登山で国土地理院2万5千分の1地図を持参する理由とメリット
登山でよく使われる地図には大きく2種類ある。1つは縮尺5万分の1の山と高原地図。それに対して、縮尺2万5千分の1の国土地理院発行の地図。
通常、普通に登山するなら5万分の1地図である「山と高原地図」を持参すれば十分事足りる。むしろ、国土地理院の地図を、何の知識もなしに持参しても、殆ど使い物にならない。国土地理院の地図は、登山歴が数年(数十回)以上あり、ちょっとステップアップしたい方向けの地図。ただし、この国土地理院の地図を使いこなすことができれば、登山が数倍楽しくなるし、道迷いや遭難の可能性もグッと下がるので、知っておいて損はない。
縮尺の違いによる地図の特徴
まずは、縮尺の違いによる、特徴を整理する。2万5千分の1より、5万分の1の方が縮尺率は高い。同じ範囲を縮小した場合、縮尺率が高いほど、地図は小さくなる。地図が小さくなれば、地図はコンパクトになるため、掲載範囲を広げることができる。反面、縮尺率が低いほど、地図は大きくなるが、より詳細なデータを載せることができる。
また、地図の等高線において、基準となる線が主曲線。その主曲線は5本ごとに太い実線で表示され、この太い実線を計曲線とよぶ。この主曲線(等高線)の間隔は、縮尺率によって異なる。
参考までに、2万5千分の1地図の場合、等高線の間隔は10m、緑色の等高線が標高1,750mの計曲線で、青色の等高線が1,700mの計曲線。1,700mの計曲線の近くに1,694mのピークが記されているので、わかりやすい。また、計曲線の間に4本の主曲線が描かれているのが地図から読み取れる。
地図の縮尺の違いによる特徴を、表にまとめてみた。5万分の1(山と高原地図) | 2万5千分の1(国土地理院) | |
---|---|---|
地図の範囲 | 広げやすい | 広げにくい※1 |
地図の細かさ | 簡略 | 詳細 |
計曲線の間隔 | 100m | 50m |
主曲線の間隔 | 20m | 10m |
なお、主曲線では表現できない緩やかな地形を表現するため、破線の補助曲線(第一次補助曲線、第二次補助曲線)もあるが、試験勉強ではないので、知っておかなくても問題ない。
山と高原地図と国土地理院の地図との違い
5万分の1、2万5千分の1地図の違いを理解した上で、改めて山と高原地図と国土地理院の地図との違いをまとめてみた。
山と高原地図(5万分の1) | 国土地理院(2万5千分の1) | |
---|---|---|
更新性 | 毎年更新※2 | 10~20年間隔の不定期更新 |
登山関連情報 | 水場や山小屋、コースタイムなど情報が豊富 | ほぼ地形図のみ |
携帯性 | 良い | やや悪い |
見やすさ | 地図は見やすいが、等高線は見づらい | 地図は見にくいが、等高線は見やすい |
基本的には、山と高原地図プラスで国土地理院の地図を持参するかどうかという選択肢になる。なお、国土地理院の地図は持参して、山と高原地図を持参しないケースは、一般ルートではないバリエーションルートから登る場合だけだろう。山と高原地図に掲載されていないコースを歩く場合、山と高原地図の重要性は一気に低下する。
国土地理院の地図を持参するメリット
大前提として、国土地理院の地図を持参するなら地図読みの知識と、コンパスを使える技術は必須。それがなければ、持参する意味は殆どない。それらの知識と技術があると仮定した場合のメリットとして下記の事項が挙げられる。
- 道に迷いにくくなる
- 地形を読みながら進むことで、現在どのあたりを歩いているかといった位置情報が推測できるようになる。また、コンパスを使えば分岐などでどちらに進めば良いかわかる時もあり、それによって道迷いや遭難を回避できる。
- 体力配分を行いやすくなる
- 登りの傾斜や長さ、アップダウンの多さなど、地図の先読みによりそれらを事前に把握することができ、体力配分を行いやすくなる。
地図読みの知識とコンパスを使える技術を習得し、国土地理院の地図を持参するようになれば、登山レベルも一気に中級者以上にレベルアップします。 自分は下記の本を買って知識をつけましたので、興味がある方は読んでみるのも良いと思います。
国土地理院の地図の購入方法
東京近郊であれば、ジュンク堂書店や紀伊國屋書店などの大型書店で販売している。価格は1枚300円前後。縦走などで登山領域が広範囲に渡る場合は、2、3枚購入する場合もある。なお、ネットから電子データを購入することも可能。
■ 国土地理院 電子地形図http://dkgd.gsi.go.jp/dkgx/page1.htm
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