[大普賢岳登山レポ]
行者還岳・七曜岳から縦走する大普賢岳登山!大峰山縦走登山その2
行者還避難小屋 ~ 行者還岳 ~ 七曜岳 ~ 国見岳 ~ 大普賢岳 ~ 山上ヶ岳の女人結界門 まで
- 大峰山(おおみねさん)日本百名山
- 大峰山は大和アルプスの異名をもつ、北は奈良県吉野から南は和歌山県の熊野まで、紀伊山地の中央を南北にのびる全長50Kmほどの山脈。大峰山とは、広義には大峰山脈を指すが、狭義には山上ヶ岳をさす。しかし、山上ヶ岳は日本三百名山に、南部にある釈迦ヶ岳は日本二百名山に選定されているため、日本百名山の大峰山に登る場合、八経ヶ岳に登る登山者が多い。本サイトでは「日本百名山」の大峰山は、大峰山北部(八経ヶ岳以北)を日本百名山として捉え、北部の大峰山を形成する代表的な山、大普賢岳、稲村ヶ岳も百名山の扱いとしている。
- 大普賢岳(だいふげんだけ)
- 大峰山脈を形成する一峰で、山上ヶ岳の南東に位置する、標高は1,780mの山。古くから、修験道の山として山伏の修行の場であったため、大普賢岳の周辺には水太覗(みずぶとのぞき)、笙ノ窟(しょうのいわや)、朝日ノ窟、指弾ノ窟(したんのいわや)、鷲ノ窟といった修験道の行場跡がある。
- 国見岳(くにみだけ)
- 大峰山脈を形成する一峰で、大普賢岳の南に位置する標高1,655mの山。
- 七曜岳(ひちようだけ)
- 大峰山脈を形成する一峰で、国見岳の南、行者還岳の北に位置する標高1,584mの山。
- 行者還岳(ぎょうじゃがえりだけ)
- 大峰山脈を形成する一峰で、七曜岳の南に位置する標高1,546mの山。山の南側に行者還避難小屋がある。
- 大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)
- 吉野と熊野を結ぶ大峯山を縦走する、修験道の修行の道。国の史跡「大峯奥駈道」として指定され、ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部でもある。古来より。大峯山寺より奥の「靡(なびき)」に進むことを奥駈と云われていた。修行場は「靡」と呼ばれ、ひとつひとつに番号が割り当てられている。熊野本宮大社の本宮大社の第一行所(靡)にはじまり、吉野川河岸の柳の宿の第七十五行所(靡)に終わる。
大峰山 大普賢岳のコース
なお、縦走であれば、北の山上ヶ岳や南の行者還岳から縦走してくることも可能。
- 和佐又コース
- 東の和佐又口から笙ノ窟尾根を経由して登るコース。コース途中に、笙ノ窟、朝日ノ窟、指弾ノ窟、鷲ノ窟など修験道の行場跡がある。
なお、南側から迂回して七曜岳経由で登ることもできる。
- 柏木コース
- 北の柏木から南に向かって歩き、山上ヶ岳の女人結界門をかすめて、小普賢岳を経て、大普賢岳に登るコース。
大峰山縦走登山の計画
- プラン
- たまたま、仕事の関西出張と11月の3連休が重なったため、計画。3連休の天候は21日は晴れ、22日は晴れのち曇り、23日は雨。そのため、21日のスケジュールを長めにとり、23日は下山するだけの予定を立てた。大峰山を逆時計回りで縦走するため、21日観音峰登山口(10時の方角)から行者還避難小屋(3時の方角)まで移動し、行者還避難小屋に宿泊。22日は、行者還避難小屋から行者還岳、七曜岳、国見岳、大普賢岳、山上ヶ岳、を経由して稲村ヶ岳山荘(12時の方角)に泊まる計画。
- コース
- 本日22日の主目的は山上ヶ岳登頂。しかし、その前に立ちはだかるのは、行者還岳、七曜岳、国見岳、大普賢岳とこれら中ボス級の山々を越えていかなければならない。初日に比べスケジュールに余裕はあるが、コース的には厳しい区間が多い。
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大普賢岳コースレポート
行者還避難小屋 ~ 行者還岳
【6:27】行者還避難小屋を出発。
1日目と比較して、2日目のスケジュールには余裕があるので、少し遅めの出発。と言っても、シニアの団体や男女ペアの登山者はまだ出発していなかったが。コースは行者還避難小屋の後ろに続いている。
この水場は前日も利用しているので、ココまでは問題なかった。ちなみにこの水場は、人工的に作られた水場のようで、季節によっては枯れてもおかしくない水量。ココで水を補給し「さて出発!」と思いきや、この先どこに進めば良いかわからなくなってしまう。水場までは、行者還岳の斜面をトラバースする道だったが、歩いてきた道はココで行き止まり。強引に行き止まりの道を進もうとして、危うく崖下に滑落しそうなる。道を聞きに、行者還避難小屋まで戻ろうかと考えていたところ、真後ろを振り向くと木のハシゴ発見!見つけてしまえば、なんてことないのだが、山ではこういう事がたまに起こる。あきらかにコース上にいるにも関わらず道がわからないときは、固定概念を取り払い冷静に360度周りを確認したほうが良い。
【6:58】行者還岳の山頂に到着。
行者還岳は第五十八番目の行所。山頂に到着すると、タイミングよく雲の切れ間からご来光。うーん、なんか神秘的な雰囲気。
行者還岳 ~ 七曜岳
七曜岳は第五十八番目の行所。行者還岳から約1時間ほどで到着しているが、楽な道ではなかった。特に七曜岳周辺は切り立った岩壁で、七曜岳自体も切り立った岩の上が山頂となっている。誰もいなかったから良いものの、人が多いと危ない山頂。山頂の東側は木々に遮られており、北西から南西までの見晴らしが良い。
七曜岳 ~ 国見岳
七曜岳山頂で休憩していると、濃い霧が出始める。天気は下り坂なので、先を急ぐことにした。
【8:02】七曜岳を出発。七曜岳から北側も、切り立った尾根上を歩くため、引き続き注意が必要。七曜岳からは下リ道が続き、途中に七ツ池(鬼ノ釜)と呼ばれる大きな窪地の傍らを通る。池といっても水がある訳ではない。
七曜岳と国見岳の鞍部に第六十番目の行所、稚子泊(ちごどまり)がある。細い尾根に切り立った崖などが多い、この区間には珍しい開けた平らなスペース。テント場やビバークする場所としては使える。稚子泊には、護摩供(ごまくよう)をしたような跡があった。
稚子泊以降はポツポツ登山者を見けるようになる。なお、遭遇した登山者全員、進行方向は逆。稚子泊以降は、国見岳への上りだが、右側を巻きながら登る。長い鎖場があり、一気に登ったのでちょっと疲れた。【8:48】ザックをデポし、分岐から上り坂を登って3分ほどで国見岳山頂に到着。山頂は展望がきかないため、写真撮影だけしてすぐに分岐まで戻る。
国見岳 ~ 大普賢岳
山頂まであと少しなのはわかっていたので、ココは一気呵成に登りきった。
【9:50】大普賢岳の山頂に到着。
大普賢岳は第六十三番目の行所。水太覗から正味20分ほどだったが、一気に登ったのでちょっと疲れた。山頂には12人ほどの登山者。山頂スペースは広くないが、20人ぐらいの収容キャパはあるかな。小笹宿にザックをデポし登ってきている登山者もいた。
大普賢岳 ~ 山上ヶ岳女人結界門
霧が晴れないか少し粘ってみたが、晴れる気配は全くないので、諦めて山上ヶ岳へ向かうことにした。
【10:00】大普賢岳を出発。途中にある小普賢岳、明王ヶ岳の小ピークを越えていく。
【10:10】小普賢岳を通過。
小普賢岳のピークは意識せずに歩いていたため、山名標識を見落とした。目立つ標識はなかったと思う。
明王ヶ岳の小ピークも気付かず通過。かろうじて明王ヶ岳のピークらしき写真が1枚だけ残っていた。
【10:43】脇の宿(跡)を通過。脇の宿は第六十四番目の行所。登山者が休憩していたため、写真撮影は控えたが、大岩の傍らにある開けたスペース。現在は、特に何かある訳ではないが、大昔は宿があったのかも。
脇の宿から軽い上りを10分ほど登ったところに女人結界門がある。【10:52】女人結界門に到着。
右側は柏木に抜ける道。ココから本格的に山上ヶ岳へのアプローチルートとなる。
関連レポート
大普賢岳のコースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
06:30 | 06:27 | 行者還避難小屋出発 |
- | 06:58 | 行者還岳 |
08:15 | 07:50 | 七曜岳 |
- | 08:48 | 国見岳 |
10:00 | 09:44~10:00 | 大普賢岳 |
11:10 | 10:52 | 阿弥陀ヶ森の女人結界門 |
大普賢岳の難易度
15/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
お気軽にどうぞ!
初日に歩いた八経ヶ岳周辺の登山道と大きく異なるのは、なんと言っても危険度の高さ。行者還岳から国見岳までの区間は、細い尾根、切り立った崖の近くを歩くなど、危険箇所満載。この区間は登山者も多くないため、その点も危険度が増す要素の1つ。特に七曜岳周辺が最も危険で、滑落したら軽傷では済まない場所も多数あった。反面、大普賢岳から女人結界門まで危険箇所は殆どない。
自然の水場は行者還避難小屋、小笹宿(女人結界門から15分ほど進んだ場所)、女人結界門から柏木方面に30分ほど進んだアスカベ平の合計3カ所。稜線歩きにしては、水場に恵まれており、どのコースから登っても、水にはそれほど困らないだろう。水が枯れていない事前提だけど。