[農鳥岳登山レポ]
白峰三山を駆け登る!9月の農鳥岳登山 白峰三山縦走登山その3
- 白峰三山(しらねさんざん)
- 南アルプス国立公園内の南アルプスにある山、間ノ岳、間ノ岳、農鳥岳3つの山の総称。読み方は「しらみね」ではなく「しらねさんざん」。
- 農鳥岳(のうとりだけ)日本二百名山山梨百名山白峰三山
- 南アルプスにある標高3,026mの山。日本二百名山や新日本百名山に選定されている。山頂は農鳥岳(3,026m)、西農鳥岳(3,051m)と2つのピークが存在する。農鳥岳が本峰扱いされているが、標高は西農鳥岳の方が高い。山名の由来は、春に山頂東面に白鳥の形をした残雪が現れるためとされている。
農鳥岳のコース
農鳥岳の登山口は、縦走を除けば奈良田温泉のみ。縦走ならば、間ノ岳からの縦走、塩見岳から三国峠を経由しての縦走などがある。
- 大門沢コース下り利用
- 奈良田温泉から、大門沢沿いに登り大門沢小屋を経て農鳥岳を目指すコース。
コースが長大で急勾配の続く登山道のため下りに利用する登山者が多い。ちなみに、下りでも大門沢下降点から奈良田温泉までの標準コースタイムは約6時間となっている。
- 白峰南嶺コース難コース
- 奈良田温泉から笹山(黒河内岳)を経て、白峰南嶺(しらねなんれい)の稜線を北に歩き白河内岳を越え、農鳥岳を目指すコース。
地図上では破線で表示される上級者向けルートとなっている。
農鳥岳のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「北岳・甲斐駒」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!
白峰三山縦走の登山計画
- コース
- 白峰三山縦走は、北岳、間ノ岳の百名山2つに加え、二百名山の農鳥岳も含めて縦走する贅沢なコース。おまけに、北岳、間ノ岳は日本で2番目、3番目に高い山というプレミアムのおまけ付き。
- 日程
- 白峰三山縦走は、1泊2日では時間に余裕がなく、2泊3日では時間に余裕がありすぎる。しかし、仕事の関係で2泊3日のスケジュールは確保できないため、1泊2日のスケジュールに。問題となったのは、やはり大門沢分岐から奈良田まで6時間という標準コースタイム。下山の奈良田温泉から最終バスは、広河原経由甲府行きが15時30分、身延駅行きが16時20分のため、できれば15時30分、遅くても16時20分までに奈良田温泉バス停に到着しなければならない。
- 宿泊先
- 白峰三山を縦走する場合、宿泊施設は間ノ岳と農鳥岳の間にある、農鳥小屋も候補となるが、農鳥小屋の評判がすこぶる悪い。特に小屋到着が15時を超えると叱咤されるらしく、甲府から始発のバス乗って広河原からスタートした場合、15時までに農鳥小屋に到着するにはかなりのハイペースで登らなければならない。そんなこともあり、宿泊施設は北岳山荘を選択。しかし、北岳山荘に宿泊して、標準コースタイムでスケジュールを組むと、2日目は北岳山荘を4時に出発しなければならない。いずれにしても、白峰三山を1泊2日で縦走する場合、長い距離をそれなりのスピードで歩く必要がある。
関連レポート
農鳥岳コースレポート
農鳥小屋 ~ 西農鳥岳
【8:40】農鳥岳に向けて農鳥小屋を出発。
西農鳥岳を経て農鳥岳を目指す。ひとまず、山頂ではないが矢印の部分(岩の突起)で人がはしゃいでいる姿が見えたので、第一目標としてココを目指す。
西農鳥岳を経て農鳥岳を目指す。ひとまず、山頂ではないが矢印の部分(岩の突起)で人がはしゃいでいる姿が見えたので、第一目標としてココを目指す。
岩の突起部分に到着。疲れたので、ココでひと休み。上を見ると、山頂はまだ見えないのでもう少し上りが続きそう。
休憩後15分ほど登ると西農鳥岳の山頂が見える。そこから大した距離ではないが、安堵感からか北岳・間ノ岳に農鳥岳を登ってきた疲れに襲われ異常にしんどい。ニセピークに到着した時は、力尽き倒れこんでしまった。
休憩後15分ほど登ると西農鳥岳の山頂が見える。そこから大した距離ではないが、安堵感からか北岳・間ノ岳に農鳥岳を登ってきた疲れに襲われ異常にしんどい。ニセピークに到着した時は、力尽き倒れこんでしまった。
右手を見ると本物の西農鳥岳山頂。しかし、疲れですぐに動けなかったので、しばし休憩してから西農鳥岳に移動。
【9:27】西農鳥岳に到着。
つい先程までいた先行組は、入れ替わりで農鳥岳に向かい出発していた。 ちょうど正面に間ノ岳、奥に北岳が見える。ニセピークで休憩してしまったので、撮影だけして農鳥岳に向けて出発。
つい先程までいた先行組は、入れ替わりで農鳥岳に向かい出発していた。 ちょうど正面に間ノ岳、奥に北岳が見える。ニセピークで休憩してしまったので、撮影だけして農鳥岳に向けて出発。
西農鳥岳 ~ 農鳥岳
進行方向を見ても、西農鳥岳より高い山は見当たらない。それもそのはず、西農鳥岳の標高3,051mに対して、農鳥岳は標高3,026mと西農鳥岳の方が標高は高い。農鳥岳までの標準コースタイムは40分。パッと見てもアップダウンは激しくなさそうなのでホッと一安心。
【10:00】10時ピッタリに農鳥岳の山頂に到着。
農鳥岳でようやく先行組に追いつく。皆さん白峰三山縦走で下山も奈良田だが、全員自家用車でバスは自分だけ。
農鳥岳 ~ 大門沢下降点
【10:19】予定通り20分で休憩を切り上げて、農鳥岳を出発。次なる目的地は大門沢下降点。
【10:39】大門沢下降点に到着。
11時までに大門沢下降点に到着することを目標にしていたので、ホッと一安心。大門沢下降点から奈良田まで標準コースタイムで約6時間だが、それでは16時20分のバスに間に合わないので、時短で下る必要がある。ネットの記録を調べると多くの登山者が概ね5時間前後のコースタイムで下山している。
11時までに大門沢下降点に到着することを目標にしていたので、ホッと一安心。大門沢下降点から奈良田まで標準コースタイムで約6時間だが、それでは16時20分のバスに間に合わないので、時短で下る必要がある。ネットの記録を調べると多くの登山者が概ね5時間前後のコースタイムで下山している。
大門沢下降点の道標
鐘の付いたユニークな道標だが、この道標には逸話がある。逸話とは、昭和43年1月に25歳の青年がこの場所に辿り着いたが、吹雪のため下降点を見付けられず、そのまま力尽き遭難死した。その後、亡くなった青年のご両親がこの道標を建てたそうだ。この逸話どおり大門沢へ下る道はわかりづらく、冬で吹雪ならば尚更。
鐘の付いたユニークな道標だが、この道標には逸話がある。逸話とは、昭和43年1月に25歳の青年がこの場所に辿り着いたが、吹雪のため下降点を見付けられず、そのまま力尽き遭難死した。その後、亡くなった青年のご両親がこの道標を建てたそうだ。この逸話どおり大門沢へ下る道はわかりづらく、冬で吹雪ならば尚更。
大門沢下降点 ~ 大門沢小屋
【10:42】大門沢下降点から、急勾配のハイマツ帯の蛇行道を下っていく。このハイマツ帯だけで標準コースタイムは40分に設定されている。
【11:05】針葉樹林帯に突入。コースタイム40分に対して23分で到着。
この針葉樹林帯から河原(沢)に出るまでの標準コースタイムは50分。
この針葉樹林帯から河原(沢)に出るまでの標準コースタイムは50分。
標高2,200m地点を通過。大門沢下降点で標高2,820mなので620m下ってきたことになる。
【11:35】沢と合流。地図に書かれた「河原に出る」と書かれた地点はこのあたりだと思われる。コースタイム50分に対して30分で到着。この「河原に出る」と書かれた地点から大門沢小屋までの標準コースタイムは60分。
【12:11】大門沢小屋に到着。
60分のコースタイムに対して36分で到着。ココまで急ぎ下ってきたので、トイレも兼ねて休憩。時間は12時なので、大門沢小屋で3人ほどが昼食を食べていた。沢に合流したあたりから一緒に歩いてきた方がいたけど、後ろにいる友人を待つとのことでココでお別れ。この方とは、前日の北岳山頂、北岳山荘、農鳥岳と頻繁に接触してきた方で、短い間だったが久しぶりに会話しながら歩けて楽しかった。
大門沢小屋 ~ 大門沢登山口
【12:34】大門沢小屋を出発。
大門沢小屋から先、なんどか沢を渡りつつ進む。次なる目的地は地図に「小尾根をまく」と書かれた地点だが目印がない。そのため、さらにその次の目的地を目指す。地図を辿ると沢と接触する地点に「大きな岩」と書かれた地点があり、ココを目指し進むことにした。大門沢小屋から「大きな岩」までの標準コースタイムは1時間40分。
大門沢小屋から先、なんどか沢を渡りつつ進む。次なる目的地は地図に「小尾根をまく」と書かれた地点だが目印がない。そのため、さらにその次の目的地を目指す。地図を辿ると沢と接触する地点に「大きな岩」と書かれた地点があり、ココを目指し進むことにした。大門沢小屋から「大きな岩」までの標準コースタイムは1時間40分。
【13:39】橋の手前に大きな岩があったので、地図上で「大きな岩」と書かれた沢を渡る地点はココかと思われる。標準コースタイムは1時間40分に対して1時間5分で到着。この木の橋を渡るときトラロープを跨ぐ必要がありちょっと怖かった。てっいうかロープ邪魔だし。
次なる目的地は大門沢登山口。標準コースタイムは55分。
1つめの吊橋に到着。しかし、この吊橋はグラグラ揺れるわ、足場が細いわでめっちゃ怖かった。高所恐怖症の方は要注意。
吊橋の後は、早川水系発電所内を抜け、工事現場を抜け、2つ目の吊橋を渡れば登山口がある。
時間は14時20分だが2つ目の吊橋手前で、2名1組の登山者とすれ違った。結局、大門沢下降点から、すれ違った登山者は合計2組のみ。まあ、平日だし上りで利用する人も少ないコースなので、こんなもんかな。
時間は14時20分だが2つ目の吊橋手前で、2名1組の登山者とすれ違った。結局、大門沢下降点から、すれ違った登山者は合計2組のみ。まあ、平日だし上りで利用する人も少ないコースなので、こんなもんかな。
【14:23】大門沢登山口に到着。
標準コースタイム55分に対して44分で到着。途中で迂回路など歩かされたので少し時間がかかった。登山口には登山者専用の休憩所があったのでザックを降ろして休憩。時間を確認すると14時23分。身延への最終バス16時20分どころか、広河原経由甲府へのバス15時30分にも間に合いそう!登山口からバス停まで約1時間なので、すぐに出発すれば十分間に合う。休憩していたが、すぐに立ち上がり出発。
標準コースタイム55分に対して44分で到着。途中で迂回路など歩かされたので少し時間がかかった。登山口には登山者専用の休憩所があったのでザックを降ろして休憩。時間を確認すると14時23分。身延への最終バス16時20分どころか、広河原経由甲府へのバス15時30分にも間に合いそう!登山口からバス停まで約1時間なので、すぐに出発すれば十分間に合う。休憩していたが、すぐに立ち上がり出発。
大門沢登山口 ~ 奈良田バス停
林道は整備されていて歩きやすい。広河原行きのバスは、奈良田温泉の先にあるバス停まで歩かなくても、丸山林道入口の向かいにある駐車場のバス停でも良い。しかし、後ろを振り向かないと気づかない場所なので、普通に歩いていて気付くのは難しい。なお、身延への最終バスに関してはこのバス停に停車するかは不明。まあ、10分弱の違いしかないので、無難に奈良田温泉の先にあるバス停を目指すのが良い。
【15:25】奈良田バス停に到着。
奈良田温泉あたりで、バス停がわからず迷ったので、時間はギリギリになってしまった。でも間に合って良かった。結局、大門沢下降点から4時間46分で到着。5時間前後と予想していたので、予定通りでした。
【18:30】甲府駅到着。前回の八ヶ岳と違い平日だったので、自由席で座って帰ることができた。
関連レポート
農鳥岳のコースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
04:00 | 04:00 | 北岳山荘出発 |
05:00~05:30 | 05:01~05:56 | 北岳山頂 |
06:00~06:15 | 06:14~06:35 | 北岳山荘 |
- | 06:59 | 中白根山 |
07:50 | 07:42 | 間ノ岳 |
09:00 | 08:28 | 農鳥小屋 |
10:00 | 09:27 | 西農鳥岳 |
10:40~11:00 | 10:00~10:19 | 農鳥岳 |
11:40 | 10:39 | 大門沢下降点 |
- | 12:11~12:34 | 大門沢小屋 |
15:00 | 14:23 | 大門沢登山口 |
16:00 | 15:25 | 奈良田バス停 |
16:20 | 15:30 | バス乗車 |
農鳥岳の難易度
15/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
登山DATE
- 歩行距離:20.3km
- 登山歩数:22,450歩
- 高度上昇:0,850m
- 高度下降:2,901m
- 出発高度:2,900m
- 最高高度:3,193m
- 最低高度:0,820m
- 標高の差:-2,373m
- 活動時間:09:27
- 休憩時間:01:58
- 合計時間:11:25
- 必要体力
- 間ノ岳から縦走してくる場合、懸念となるのが、間ノ岳から農鳥岳への道のりがどれほど険しいか。しかし、蓋を空けてみると、体力を要したのは農鳥小屋から西農鳥岳の間のみ。それも標準コースタイム50分なので難易度は高くない。ただし、縦走してきている場合、農鳥岳を登るまでに体力を消耗しているはずなので、その点は考慮して挑んだ方が良い。短時間とはいえ、直登の上り道だし。西農鳥岳まで登ってしまえば、農鳥岳へは容易に辿りつける。
- 時間
- 縦走で問題となるのはやはり、大門沢下降点から奈良田まで標準コースタイム6時間という長い時間。健脚者なら休憩込みで、5時間前後を目安として問題ないと思う。しかし、前半のハイマツ帯や、針葉樹林帯は急勾配で足場が悪い道が続くので、急いで怪我する可能性もあるので注意が必要。自分も急いだため、左膝をやられた。やっぱり奈良田に下山する場合は、バスの時間に間に合わなくなるリスクを無くし、安全に登山するためにも自家用車がおすすめ。
- 危険度
- 大門沢小屋以降の登山道で、渡渉地点がいくつかあるため、注意が必要。丸太をかけただけの簡易的な橋が多い上、水量も多かったので、沢に落ちて流されてしまうとちょっとヤバイ。
- 山小屋
- 山小屋で助かるのは大門沢小屋の存在。奈良田から登る場合はコースが長くなるため、大門沢小屋で一泊する人も多いようだ。農鳥岳まで行けば、評判に賛否両論あるとはいえ、農鳥小屋もあるので、山小屋には恵まれている。
- 総括
- 農鳥岳だけを登る人も少ないと思うが、自分の場合も縦走しているので、あくまで縦走としての評価。やはりネックは大門沢下降点から奈良田までの長ーい距離。コースタイムは、時短する必要があり結構飛ばしたが、参考になれば幸いです。
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農鳥小屋 ~ 西農鳥岳 ~ 農鳥岳 ~ 大門沢下降点 ~ 大門沢小屋 ~ 奈良田