[両神山登山レポ]
鎖場の名所八丁峠から登る紅葉の両神山!
坂本 ~ 八丁峠 ~ 両神山頂 ~ 七沢滝 ~ 日向大谷(ひなたおおや) まで
- 両神山(りょうがみさん)日本百名山新花の百名山秩父三山
- 秩父山地の北端にある標高1,723mの山。イザナギ、イザナミの神が祀られており、古くから山岳信仰の対象とされている。八丁峠から登るコースは鎖場の名所として有名で、滑落者が埼玉県最多のコースでもある。秩父三山(両神山、武甲山、三峰山)にも選定されている。
両神山のコース
- 八丁峠コース登り利用
- 八丁トンネル、上落合橋、坂本、それぞれの登山口から登る3つのコースが存在する。
八丁峠以降山頂までは全て同じコースとな る。八丁峠~剣ヶ峰間の連続する鎖場を体験できる。 八丁トンネル、上落合橋登山口からの利用者が多く、距離が長くなる坂本登山口からの利用者は少ない。
- 七滝沢コース下り利用難コース
- 表参道と並行する登山道。会所で表登山道から分かれ、清滝小屋の少し上部で再び合流する。
表参道に比べ登山者が少なく、登山道も廃れている。道迷いや滑落による事故も多発しており、上級者向けのコースとされている。
- 日向大谷コース人気コース!
- 表参道とも呼ばれ、日向大谷口から登る最も人気のあるコース。両神山の中でも、シニアや女性でも安心して登れるコースとされている。
- 中双里コース
- 別名梵天尾根コース。国と地権者との争いにより、一度登山道としての認定を外されているため、厳密には廃道となった登山道。
そのため、道標は壊されているが、踏み跡などはしっかりしているようで、現在もコースとしては使われている。ただし、距離が長く、利用者は少ない。
- 白井差新道コース
- 地権者が切り開いた予約制の有料登山道。山頂に辿りつける最短コース。
- 作業道
- 登山道(コース)ではなく通行禁止となっている作業道。しかし、八丁峠コースで上落合橋登山口から登って同じ場所に戻る場合、
下りのショートカットになるため、使用する登山者が存在する。 沢へ滑落し半身不随となる重大事故なども起きており、通る場合は自己責任。
両神山の登山計画
- コース
- 今回の登山は、八丁の鎖場が目的。そのため、コースは八丁峠コースで即決だったが問題は登山口。八丁峠コースの登山口は、八丁トンネル、上落合橋、坂本の3つ。しかし、公共交通機関だけで登山口に辿りつけるのは坂本のみ。他2つは自家用車かタクシー利用になるため、消去法で坂本を選択。事前にリサーチすると、坂本~八丁峠間は利用者が少なく登山道が廃れているとのこと。下山は時間の余裕があれば、七滝沢コースを選択する予定で、夜は日向大谷の両神山荘に宿泊予定。
- アクセス
- 坂本登山口から入ると距離が長くなるので早く出発したかったが、坂本バス停着の最も早いバスでも8時10分。早朝に出発したい場合は、前日に坂本登山口近くにある「民宿 登人」に泊まるしかない。
- その他
- 本格的な鎖場は初めてのため、コースタイムが予想しずらく、ある程度時間がタイトになることも想定し、食事は朝・昼ともに自前のおにぎり弁当を持参。
関連レポート
両神山コースレポート
西武秩父駅 ~ 坂本登山口
もう1本遅くても良かったが、始発で行くと西武秩父駅でバスに乗り継ぐまで30分ほど時間の余裕ができる。その時間を利用して朝食の「おにぎり」を食べることにした。
バスで一緒だった登山者は自分を含めて4人。うち2人は大きなザックに経験者が放つオーラから、熟練者と思われる。もう1人は小さなザックで、この人とはその後遭遇しなかったので、二子山登山の日帰りだったのかも。坂本バス停にトイレはあるが、まさかのボットン便所。しかもかなり浅いので、大なら坂本バス停までの間に済ませておいた方が良い。
バスを降りてから、トイレ、登山口までの道迷いを含めて25分経過。登山開始前から思わぬタイムロス。
坂本登山口 ~ 大岩
八丁峠まであと2km地点「大岩」の傍らにベンチ有。ここで中休憩。この場所に着いたとき、バスで一緒だった熟練者と思われるうちトイレ中に見失った1人と遭遇。休憩していたようだが、自分が到着してザックを下ろすと、先に進んでいった。その後、この登山者と会う事はなかった。
大岩 ~ 八丁峠
予定コースタイムぴったりでした。でもしんど..。坂本~八丁峠間で両足の踵に「靴擦れ」ができてしまい登りがかなりつらい。バンドエイドを貼ったが気休め程度しかならず、この足で八丁の鎖場を越えられるのか、ちょっと不安..。
八丁峠 ~ 西岳
八丁峠以降は岩肌むき出しの尾根を、鎖で上り下りして進む。剣ヶ峰の両神山の山頂まで約30カ所の鎖場があり、難コースとされているが、個人的にはとても楽しかった。その理由は、まず体力を殆ど使わない事。坂本~八丁峠間のように息切れしながら歩くようなこともない。もう一つは、眺望がきき景観が良い事。日向大谷に比べて景観が数倍どころか数十倍良い。日向大谷コースをピストンする人たちは、この素晴らしい景色を観られない事を気の毒にさえ感じる。
岩がゴツゴツしており、ホールドもたくさんあるので、鎖なしで登れる鎖場もある。写真で見るとすごい箇所を登っているように見えるが、実際登っていても恐怖感は殆ど感じなかった。3点確保を意識し、鎖をきちんと掴んでおけば滑落の心配もない。また、体力を使わないので、疲れでヨロけて滑落という心配も少ない。登山道の登りで痛かった靴擦れも、鎖場では痛みを殆ど感じなかったのも幸い。
ただし、体力はいらないが最低限の軽快さと筋力は必要。太っている人やシニア、小さな子供連れ、女性にはきついかもしれない。現にこのコースでシニアを見たのは1組だけで、山ガールも殆ど見なかった。登山経験はないが若さでカバーできる男性大学生のグループと登山経験のあるソロ男性が大半。西岳 ~ 東岳
途中、景色が良かったので小さな岩場のピークで小休憩。この休憩ポイントはなかなか絶景でした。
ベンチや休憩スペースは、昼食休憩の大学生グループに占拠されていた。休憩スペースもないため、休まず両神山頂の剣ヶ峰を目指す。

両神山の山頂は剣ヶ峰と呼ばれている。つまり「剣ヶ峰=両神山頂」である。
東岳 ~ 剣ヶ峰(両神山頂)
東岳から剣ヶ峰までは、鎖場もなく尾根伝いを歩く道。あまり記憶にないので、この区間トピックス的要素はなかったと思う。
【13:37】剣ヶ峰に到着。剣ヶ峰は山頂スペースが狭い上に、日向大谷から登ってくる登山客も合流するため、人でごった返している。ゆっくりと食事ができるようなスペースはない。また、木々に邪魔され周りの景色もよく観えない。昼食は、東岳や日向大谷方面に下る登山道脇のスペースや途中のベンチなどで食べている人が多い。
剣ヶ峰(両神山頂) ~ 日向大谷
【14:34】七滝沢の分岐に到着。
登山道には下山する人たちで溢れているが、七滝沢コースに進む者は誰一人なし。日暮れは16時45分ごろと予想しており、下りだし2時間あったら抜けられるだろうと七滝沢コースへ突入。
七滝沢コース前半は崩落、滑落、痩せた道、など危険箇所が多い。苔の岩肌むき出しで、トラロープもなく滑ったらほぼ滑落間違いなしのポイントなどもあり、気を引き締めないと危険。また人が殆ど通らないので、滑落しても長時間発見されない可能性が極めて高い。土日でこれだけ人が通らないなら、平日はなおさらだろう。現に、このコースで滑落し左足を骨折。アメ玉7個と沢の水で命を繋ぎとめ、2週間後に奇跡的に生還した事故もある。
しかし、ピンクリボンの間隔は短く、数も多いので、道に迷う事は殆どない。比較的新しいピンクリボンが多かったので、道迷い防止策として最近リボンの数を増やしたのではないかと思われる。中盤以降になると道も歩きやすくなり滑落危険箇所も減少。前半の見どころは滝だが、後半は霊的・幻想的な森。岩や木々に細かい苔が付着しており、屋久島の白谷雲水峡(通称:もののけの森)を連想させれる。人通りが全くないため、この霊的・幻想的な景色と空間を独り占めでき、とても贅沢な気分になれる。
【15:15】時間に余裕ができたので途中のベンチで遅めの昼食。昼食後、出発準備をしているときに、1人だけ下山者と遭遇。これまで誰にも会わなかったので、一瞬獣かと思ったが、おじさんハイカーでした。このコースは危険箇所に対策を施し、登りは日向大谷、下山は七滝沢を定番コースとすれば、両神山はもっと人気がでそうな気がするので、なんとも勿体ない。
夕食は量が半端なく多い!しかも夕食は18時からで、15時過ぎに食事をした自分は食べきるのが相当キツかった。白飯を抜きにして、なんとか食べきったが、これなら昼食抜きにすればよかったと後悔..。食後は疲れてコタツでそのまま寝てしまった。
To be continued...関連レポート
両神山コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
- | 08:15 | 坂本バス停 |
08:30 | 08:40 | 坂本登山口 |
11:00 | 11:00~11:12 | 八丁峠 |
12:00 | 12:00 | 西岳 |
13:00 | 13:00 | 東岳 |
13:40 | 13:37~14:00 | 剣ヶ峰(両神山頂) |
- | 14:34 | 七滝沢コース分岐 |
- | 15:15~15:50 | ベンチ |
- | 16:30 | 会所 |
17:00 | 16:45 | 日向大谷 |
両神山の難易度

16/30
総合難易度必要体力 | ![]() |
コース距離 | ![]() |
所要時間 | ![]() |
危険度 | ![]() |
登山難易度 | ![]() |
小屋・水場 | ![]() |
アクセス | ![]() |
総合難易度 | ![]() |
登山DATE
- 歩行距離:11.4km
- 登山歩数:28,071歩
- 高度上昇:1,294m
- 高度下降:1,133m
- 出発高度:0,510m
- 最高高度:1,723m
- 標高の差:1,213m
- 活動時間:07:20
- 休憩時間:01:10
- 合計時間:08:30
お気軽にどうぞ!
両神山はコースによって難易度にも差が出る山。今回は結果的に登り降りともに、難易度の高いコースを歩くことになった。本文にも書いたが、八丁峠以降の連続する鎖場は、とても楽しかった。日向大谷コースに比べて景観も段違いに良いので、鎖場が苦手ではない方は、ぜひとも八丁峠から登ることをおすすめします。
ちなみに、今回は要所ごとの予定コースタイムがほぼぴったりでした。