二子山

二子山登山

二子山

Futagoyama

白

[二子山登山レポ]
鎖のない岩壁の上級者コースを登る!秩父の二子山登山

2019年3月24日(日)天候:晴れ
坂本 ~ 二子山登山口 ~ 東岳 ~ 西岳 ~ 二子山登山口 ~ 坂本
  • 二子山(ふたごやま)
  • 埼玉県秩父郡小鹿野町にある山。西岳(1,165.6m)と東岳(1,122m)と2つのピークをもつ双耳峰(そうじほう)。埼玉県では両神山に次いで滑落事故が多く、その険しい山体から秩父のジャンダルム、クレイジーマウンテンなどの異名をもつ。

二子山のコース

二子山のコース二子山のコース
二子山は近くまで林道が開通しており、比較的短時間で登頂できる。
登山口は股峠北の倉尾登山口と、股峠南の坂本に2つの登山口がある。なお、股峠とは東岳と西岳の鞍部の名称。
  • 坂本-股峠コース登り利用
  • 「民宿登人」近くの登山口から、沢沿いを登り股峠を経由して登るコース。
  • 坂本-魚尾道峠コース下り利用
  • 「民宿登人」前の国道299号を志賀坂方面に10分ほど歩いた先にある登山口から、魚尾道峠(よのおみちとうげ)を経由して登るコース。
  • 倉尾登山口から二子山
  • 二子山の股峠の北にある倉尾登山口から登るコース。約10分で股峠に到着できる最短コース。
※コース名に厳密な名称はありません。
山と高原地図
二子山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「雲取山・両神山」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

二子山の登山計画

コース
3月でも積雪がないため、急遽組み込んだ二子山登山。公共交通機関でアクセスする場合は、坂本から登るコースに限定される。
アクセス
問題となったのはバスの時間。始発の8時15分着のバスで到着して、標準コースタイムでスケジュールを組むと、帰りの坂本バス停着が14時頃。次のバスは16時25分なので、2時間30分も空きができてしまう。その前は12時40分だが、休憩なしでスケジュールを組んでも、コースタイムを短縮させないと間に合わない。一先ず、食事はおにぎりなど簡単なもので済ませられるようにして、12時40分のバスに乗れそうならその時間に、乗れそうにない場合は、二子山でゆっくり過ごして時間を調整する計画を立てた。

二子山コースレポート

坂本バス停 ~ 二子山登山口

【8:15】坂本バス停に到着。
バスにはもう1名登山者が乗っていたが、両神山の登山者だったようで、二子山登山は自分だけ。

登山口は「民宿登人」の近くにあり、坂本バス停近くにある「二子山荘」の裏の道を登っていく。事前リサーチで、その入口はチェックしていてすぐに見つけられたが、その後の分岐を誤って右に進みちょっとした道迷い。普通に考えると真っ直ぐだが、道の入口に「二子山荘駐車場」と書かれていたので駐車場へ続く私道なのかと思い込んでしまったことが原因。近くの民宿「二子山荘」の方に道を訪ねて事なきを得る。
ポイント 坂本バス停のトイレ
坂本バス停は、2013年11月の両神山登山以来2度目だが、ボットン便所から水洗トイレに建て替えられていた。
途中に閉鎖した民宿の廃屋や朽ち果てた民家脇を通過する。舗装道路から山道に変わり、意外と急な場所もあるが、10分ほどで「民宿登人」に到着できる。
二子山の登山口は「民宿登人」横の道を登った先にある。登山口の近くに、バイオトイレも設置されていた。
【8:43】二子山登山口に到着。
出発直後は道に迷ってしまったが、その後は何事もなく無事到着。こちら坂本の二子山登山口に駐車場はないが、路肩に駐車している車が数台見受けられる。

二子山登山口 ~ 股峠

本コースの序盤は沢沿いを登り、最後は尾根に突き上げる斜面を登り股峠に至る。沢沿いを登るため、序盤は給水が可能。登山道は、歩くのに邪魔な石が落ちていたり、砂でズルズル滑る場所があるなど、登りにくい。
上の写真の股峠への取り付き地点。まっすぐ登るように見えるが、登山道は左から回り込んでいる。知らないで真っ直ぐ登ったが、砂で足元がズルズル滑って登りにくかった。写真はたいした傾斜に見えないが、急斜面なので要注意。
股峠直前に謎の分岐があり少し戸惑った。右は、クライミングの登攀地点があったのかも。
【9:27】股峠に到着。
股峠は東岳と西岳の鞍部にあり、交通の要。まずは東岳から登る。

股峠 ~ 二子山東岳 ~ 股峠

西岳に比べて東岳の方が危険度は低い。ただし、それでも山と高原地図では破線表示されており、東岳の岩稜に出る前に2箇所危険な場所がある。
振り返ると西岳の上級者コースを登る登山者が目に入る。「うわ~あそこを登るのか~」って感じ。この切り立った岩壁を登るインパクトの強い光景が、目に焼き付いてしまい、後ほど西岳を登ったときに思い出して恐怖を感じてしまった。思わず目に入ってしまったが、見ない方が良かった光景。
東岳の岩稜に出たあとは、岩をよじ登るような場所もあるが、危険度の高い箇所はない。
【9:56】二子山の東岳に到着。
北東から南にかけて扇形に景色が開けており、特に南西の両神山がよく見える。山頂スペースは狭いが、人が押し寄せるような山ではないため十分かと。誰もおらず寂しい雰囲気だったので、5分ほどで出発。
二子山西岳案内図 【10:20】股峠に到着。
股峠へ戻るとすぐに西岳を登り、一般コースから上級者コースへと入る。

股峠 ~ 二子山西岳

ポイント 西岳の上級者コース入口
他登山者の記事で「上級者コースに行く予定が気づいたら一般コースを登っていた」というケースが多く見られた。上級者コースの入口は「この先滑りやすし危険です」の立て札の手前で左上方向に登ると上級者コースに入ることができる。普通に登っているとわからないので要注意。
二子山西岳案内図

【10:35】西岳上級者コースの岩壁に到着。
有名な「登山者の方へ」と書かれた案内板が設置されている。「地権者が個人の私財で鎖を設置したが、登山者から不評だったため、全て取り外したとのこと」。よほど不評だったのか、でも鎖を外してしまうとは..。

今回は初となる鎖のない岩登り。自分の力量だが、岩場・鎖場は普段から得意な方で、数カ月に1~2度ボルタリングに行く程度。
普段から鎖場や岩登りを不得意ではないという前提だが、手がかりや足がかりとなる岩(ホールド)は多く、特別なクライミングの技術は不要。岩はガバと呼ばれるホールドが多い。ただし、高度感がある上、途中ほぼ垂直に登る場所もあるので、怖いと感じたら危ない。
ポイント クライミングの用語
  • ガバ・・ガバっと持てる掴みやすいホールド
  • カチ・・第一関節位までしか入らないホールド
  • スローパー・・のっぺりとして掴みどころの無いホールド
  • ポケット・・指のみが入るホールド
途中ほぼ垂直に登る場所で、今いる自分の場所と東岳から見た上級者コースを登る登山者の姿が重なってしまい、「怖さ」を感じる場面がありちょっと危なかった。既に戻ることもできないので、気持ちを奮い立たせて登る。鎖場・岩場で怖いと感じたのは3度目だが、心が恐怖で覆われていく、あの感じはほんとヤバイ。
岩稜に出ると奥に西岳の山頂が見える。ココまでくれば一安心だが、それでも左右が切れ落ちた岩稜地帯なので、注意して進む。
【10:56】二子山の西岳山頂に到着。
二子山には1組4名の登山者のみ。東岳に比べて多少山頂スペースは広く縦に長い。西岳山頂からは360度の展望が楽しめる。
時間はまだ11時。今から急いで下山すれば、12時40分坂本発のバスに間に合うかもしれない。おにぎりを食べて、ひとしきり景色を楽しんだあとは早々に出発。

二子山西岳 ~ 魚尾道峠(よのおみちとうげ)

【11:13】二子山西岳の山頂を出発。
12時40分坂本バス停発のバスに乗るため、ペースアップを意識しながら進む。
まずは上の写真で、奥に見えるピークを目指す。
この区間、極端に危険な箇所はないが、岩稜なので道なのか道じゃないのかわからない箇所がある。大きな段差があっても無理に通らず、少し戻ると迂回路があったりするので、変だと思ったらよく確認したほうが良い。あと遮蔽物がなく、風の影響をもろに受けるので、強風時は要注意。
上の写真の場所が、岩稜の終点。ココから岩場を下るので、平坦移動だったこれまでよりも注意が必要。
上の写真の鎖場は途中で横移動も加わり、高さもあるので少し注意が必要。この鎖場で、腰に装着していたカメラをぶつけてしまったので少し焦った。

【11:44】魚尾道峠に到着。
道標には「坂本」ではなく「志賀坂峠」とある。志賀坂峠まで行ってしまうと行き過ぎなので、少し戸惑う道標だが、志賀坂峠方面へ進んだ先に、坂本への分岐がある。

ちなみに「魚尾道峠」は「よのおみちとうげ」と読む。当字だと思うが、知らないとなかなか読めない地名。

魚尾道峠 ~ 二子山坂本登山口

魚尾道峠経由で坂本へ抜ける道だが、「民宿登人」から沢沿いを登るコースとは対照的で、傾斜の緩やかで歩きやすい道。その分歩かされる感じはするが、登りで使った道より確実に歩きやすい。
【12:08】二子山坂本登山口に到着。

二子山坂本登山口 ~ 坂本バス停

登山口から国道299号を歩き「民宿登人」を目指す。なお、「民宿登人」の先にある、坂本バス停へ抜けるショートカット道だが、手前にニセの入口があるので、ちょっと注意。自分は一度間違い下りてしまった。
【12:25】坂本バス停に到着。
バスの15分前に到着できた。これ逃したら、次は16時25分だったので間に合って良かった~。バスは貸し切りでした。

二子山コースタイム

予定 実際 場所
08:15~08:20 08:15~08:20 坂本バス停
08:40 08:43 二子山登山口
09:25 09:27~09:36 股峠
- 09:56 東岳
10:35 10:20 股峠
11:15 10:56~11:13 西岳
12:15 11:44 魚尾道峠
13:00 12:08 二子山登山口
13:20 12:25 坂本バス停

二子山の難易度

難易度

12/30

総合難易度
必要体力 体力難易度2
コース距離 コース距離難易度1
所要時間 所要時間難易度2
危険度 危険度難易度5

登山難易度 登山難易度5
小屋・水場 小屋・水場難易度0
アクセス アクセス難易度2

総合難易度 総合難易度4

登山DATE

  • 歩行距離:7.87km
  • 高度上昇:0,779m
  • 高度下降:0,780m
  • 出発高度:0,510m
  • 最高高度:1,165m

  • 標高の差:0,655m
  • 活動時間:03:39
  • 休憩時間:00:26

  • 合計時間:04:05
必要体力・距離・時間
登山口から股峠までの区間は、1時間弱ほどの距離だが、歩きにくい上に股峠へ取り付く斜面が急勾配なので、結構体力を使う。ただし、この区間以外に体力は必要ない。距離は林道歩きを除けば7km弱、所要時間は約4時間と、登山ではショートコース。しかし、距離も時間も短いが、トピックスが多く内容の詰まったコース。
危険度
危険度だけは突出して高い。もちろんこれは滑落による危険度。東岳で危険な場所が2箇所、西岳の上級者コースでは崖の中盤あたりが最も危険。上級者コースで落ちたら、滑落ではなくまさしく墜落となる。鎖はないがホールドはたくさんあるので、クライミングの初級編という感じかな。ただし、本文にも書いたとおり技術よりも、怖さに負けない気持ちの方が重要。滑落に対する危険度で言えば、今まで登った中で一番だったかと。
山小屋・水場
コース距離もコースタイムも短いので、山小屋は必要ない。水場は必要ないが、序盤の沢で給水が可能なので全く問題ない。
アクセス
電車とバスを乗り継いで登山口までたどり着けるが、バスの乗り継ぎが必要であったり、本数が少なかったりとちょっと不便。朝一のバスではなく1本遅らせた10時過ぎのバスできて、16時半のバスで帰るほうがスケジュールに無理がなさそう。
総括
体力はそれほど必要ないが、危険度だけが突出して高い山。そのため、秩父山地にもかかわらず、登山本などでもあまり紹介されていない。都内から日帰りできて、展望・眺望も良く人も少ないので、この危険度合いを許容できるなら、穴場と言えるかもしれない。
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