飛龍山

飛龍山登山

飛龍山

Hiryusan

白

[飛龍山登山レポ]
丹波から登りサオラ峠経由で目指す飛龍山 奥秩父縦走登山その1

2016年4月30日(土)天候:晴れ
丹波 ~ サオラ峠 ~ 熊倉山 ~ 前飛龍 ~ 飛龍山 ~ 将監小屋 まで
  • 飛龍山(ひりゅうさん)山梨百名山新・花の百名山
  • 埼玉県と山梨県との県境にある標高2,077mの山。飛竜権現が祀られていることが山名の由来。荒川水系である大洞川の源頭(谷の最上流)となる山なので、埼玉県側では大洞山(おおぼらやま)とも呼ばれている。前飛龍と呼ばれる支峰を従えており、山梨百名山の1つであり、新・花の百名山では、ツバメオモトの花とともに選定されている。

飛龍山のコース

飛龍山は場所的に日帰りが困難なことや、展望がきかないことから、飛龍山単独で登る登山者より、雲取山・笠取山・和名倉山など周辺の山とセットで登る登山者が多い。縦走以外で飛龍山のコースといえば、今回登った丹波(たば)からと、お祭りから後山林道沿いに登るコースのみ。いずれも日帰りは厳しい。奥多摩駅からみて丹波の手前のバス停、親川や役場前からも丹波天平(たばでんでいろ)・サオラ峠経由でも登れるが、丹波からに比べて遠回りとなるため、現実的ではない。
  • サオラ峠コース登り利用
  • 丹波からサオラ峠に登り、そこから熊倉山や前飛龍のあるミサカ尾根を歩き、飛龍山を南から目指すコース。
    日帰りは厳しいため、三条の湯か将監小屋で一泊するのが一般的。
  • 後山林道コース
  • お祭りバス停から後山林道を歩き、三条の湯を目指す。三条の湯からは、飛龍山の北側に周り込み、北天のタル経由で飛龍山に至るコース。
    こちらのコースも日帰りは厳しいため、途中の三条の湯で一泊するのが一般的。
※コース名に厳密な名称はありません。
山と高原地図
飛龍山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「雲取山・両神山」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

飛龍山の登山計画

プラン
去年敗退した、皇海山・袈裟丸山登山に向け前哨戦に位置づけた、和名倉山登山が主目的。本来この日は移動日だが、コースから少し外れた箇所に飛龍山があるため、飛龍山の登頂も兼ねた移動日とした。本日の最終目的地は和名倉山の南に位置する将監小屋。
アクセス
奥多摩駅から登山口となる丹波(たば)へのバスは9時29分着が最も早い。そのため、公共交通機関だけの場合、かなり遅めの登山開始となる。これが、今回スケジュールを組む上で最もネックとなった点。標準コースタイムでスケジュールを組むと、将監小屋到着は18時となる。日が長い5月だから可能なギリギリのスケジュールだが、秋以降は厳しいだろう。時間がないため、昼食はすぐに食べられるおにぎりを持参することにした。

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飛龍山コースレポート

丹波 ~ サオラ峠

GWの前半とだけあって、奥多摩駅は未だかつてないほど人で溢れかえり、丹波行のバスも1本増便されていた。先行するバスに乗ったが、登山者の7割は、雲取山登山が目的のようで鴨沢下車。残る2割はお祭りなどでパラパラ下車し、最終的に終点丹波まで残ったのは自分以外で1名のみ。この登山者は自分より先行して出発していったが、将監小屋に向かう途中の水場で遭遇することになる。なお、増便された2台目のバスで5~6名の登山者がやってきた。
【9:40】丹波バス停を出発。
国道411号からサオラ峠への道標が出ている。この道標はわかりやすかったが、その後のサオラ峠に向かうまでの林道で、曲がる場所を直進してしまう。しばらく進んだ先で農作業をしていたおじさんから、サオラ峠への分岐を通り越したことを知らされる。どうやら、前を歩いていた登山者も間違って直進しているようだ。この時に、このまま直進し堰(せき)のあるところを右に曲がって進むとコースと合流できる、近道を勧められる。
しばらく、進むと堰が現れるが、そこで前を歩いてたシニアソロ登山者が座り込んでいた。このシニアとは以降会うことはなかったが、どの山を目指していたのか謎。右を見るとかろうじて道らしきものはあるが、悪路で結構な急登。ココまできて戻る訳にもいかないので、先ほどのおじさんを信じ、道無き道の急登を登る。登山スタート直後から道無き道の急登はかなりキツイ。なんとか、コースに合流はできたが、序盤からペースが乱れてしまった感じ。やはり、道間違いを知った時点で戻っておけば良かった..。
最初に書いておくと、丹波バス停からサオラ峠まで4.5kmを852mも登ることになるが、この道は相当ハード。山と高原地図に「急登」とは書かれていたが、想定外のキツさ。傾斜的に直登にできないため、要所で九十九折になっている。奥多摩の急登チャレンジで鍛えた筈だが、序盤から体力の消耗が激しく、少し登ると息切れ発生。また、体力の消耗に拍車をかけるのが、凸凹した地面、細い道、落葉の降り積もった道などなど、歩きにくさ満載。とにかく、めちゃくちゃしんどかったので、要所で休憩をとりつつ登る。
相当キツイ上りだが、そんな中でも自分より速く、テントを担いで登る男性ソロ登山者や、テクテク登っていく女性ソロ登山者などもおり、この人達の化物的な体力に脱帽させられる。

【11:35】サオラ峠に到着。漢字では竿裏峠と書く。
後半はシャリバテもあり、サオラ峠に到着した時はヘロヘロ。空腹を満たすために、魚肉ソーセージを食べながら休憩。サオラ峠の標高は1,420mのため、丹波バス停(568m)から852mとかなり高度を稼いでいるが、サオラ峠から飛龍山まで、さらに646m登らなければならない。

サオラ峠には奥多摩水源林の造林に尽力された中川翁を祀った中川神社がある。神社といっても小さな祠だが。

サオラ峠 ~ 熊倉山

【11:47】サオラ峠を出発。
次なる目的地は、標高1,624mの熊倉山。これまでの道と異なり、熊倉山までは緩やかな道。しかし、サオラ峠までの道で消耗した体力が回復せず、ちょっとした登りでも息切れ発生。体力の消耗が激しいときに荷物が重く感じる現象も発生し、引き続きヘロヘロ状態で、熊倉山まで歩く。

なお、熊倉山までの登山道もサオラ峠までと同様に、景色が殆ど変わらない。この景色の凡庸さや変化のなさが、歩いていてなんともツライ。

【12:29】熊倉山に到着。
当初は飛龍山の分岐地点、飛竜権現で昼食を食べる予定だったが、とてもそこまでお腹がもたないため、休憩も兼ねて熊倉山で昼食をとることにした。熊倉山は飛龍山の途中にある通過地点としての山。中ピーク程度の規模で山頂スペースも狭く展望もきかない。

【12:45】熊倉山を出発。
熊倉山以降も、ダラダラと続く緩やかなアップダウンのある道。そして、次なる難所は前飛龍直前にひかえる岩場の急登。本来であれば、岩場の急登は得意だが、ココも疲労で登るのがツライ。

前飛龍 ~ 飛龍山

【13:56】前飛龍を出発。
前飛龍から少し下った後に、少しだけ登り返す。飛龍山に近づくにつれシャクナゲが目立ち始める。

【14:29】飛竜権現に到着。
飛竜権現には小さな祠が1つあるだけ。飛竜権現から飛龍山への往復時間は約40分。時間がなければ飛龍山に寄らないことも考えていたが、時間はなんとかなりそうなので、ザックをデポして飛龍山に向け出発。

飛竜権現からは、最初こそ急坂だが、すぐに緩やかな傾斜となる。シャクナゲなどの植物により道が狭い箇所もあり、木々を掻き分けるように進む。
ある程度進んだ地点で、GPSを確認すると山頂を少し通り過ぎていることに気付く。慌てて戻るも、ピークらしき場所に山名標識なし。Webで見た記憶では、飛龍山の山頂には山名の杭があるはず。このあたりで2、3回行ったり戻ったりを繰り返し右往左往。こんなところで時間を無駄に費やす余裕はないので、このまま戻ろうかと思った矢先に、GPSを見て引き返した地点の目と鼻の先に、山名の杭発見。後に地図で確認しても、杭のある場所は厳密な意味での山頂ではなく、ピークはその手前にある。恐らく山頂付近の開けた場所に、便宜的に杭を打ち込んだのだろう。コースから少し右の小スペースにあるため、ちょっとわかりにくい。
【14:57】飛龍山に到着。
前情報通りだが、展望はゼロで、周辺に登山者もいない。杭に書かれた山名が崖側(登山道から見ると裏側)に彫られているが、普通逆じゃない?人もおらず、展望もきかないため早々に退散。

飛龍山 ~ 飛竜権現 ~ 将監小屋

飛竜権現までの道で、後に将監小屋で会うソロ登山者とすれ違う。自分と同じく飛竜権現にザックをデポし登っている。

【15:09】飛竜権現に戻る。
少しだけ休憩しすぐに出発。出発後すぐに、飛竜権現近くに禿岩への分岐がある。分岐から1分ほどで到着できるので、ザックをデポしなくても良いレベル。この禿岩は、前飛龍以外では唯一のビューポイントで、景色も良いので寄る事をおすすめする。
禿岩には一人の登山者。この登山者は、飛龍山の山頂でビバークする予定らしい。登山者と会話を交わしつつ、しばらく景色を観ながら休憩。

【15:32】禿岩を出発。
飛竜権現から将監小屋への標準コースタイムは2時間20分。地図で見る限り、コースは大常木山(おおつねぎやま)と竜喰山(りゅうばみやま)の斜面をトラバースしており、地形図からもアップダウンはなさそう。ただしコース距離は長い。

なお、山頂をトラバースする大常木山と竜喰山だが、登ることも可能。登山道はないが、踏み跡はあるようだ。GPSがないと厳しいかも。
標高的には飛竜権現から将監小屋まで230mほど下がる。斜面を歩くので、左側は崖だが、特段危険性を高く感じる場所もないため、淡々と歩く。斜面を歩くため、景色も変わりにくく、途中で何度も同じ場所を通るような錯覚(デジャブ)に陥る。この区間には山と高原地図に掲載している箇所以外にたくさんの水場があり水には困らない。禿岩にいた登山者が、飛龍山の山頂でビバークできるのもこの水場あってのことだろう。
禿岩から歩き始めて約1時間30分後に、将監小屋が見える。見えてからも少し距離はあるが、とりあえず暗くなる前に到着できそうでホッと一安心。
【17:11】将監小屋に到着。
将監小屋はテント場が人気のため、既にテント場を埋め尽くすほどのテント。溢れたテントは林道に設営している。到着してすぐに宿泊手続きを済ませ、部屋に入るも、小屋宿泊は12人ほど。明らかにテント泊の方が多い..(汗)

将監小屋

ポイント将監小屋
将監小屋は去年まで「田辺金雄」さん(79)が小屋番をされていたが、2015年10月14日山中で倒れているところを発見され、死亡が確認された。きのこ狩りの際に誤って足を滑らせてしまったようで、ご冥福をお祈りします。
2016年における将監小屋の営業予定が気になっていたが、2日前にようやく電話が繋がり予約。従業員は男性2名、女性1名の合計3名。もともと何人で運営していたのか不明だが、新しい従業員さんでしょうか?特に接客や手際など、不慣れな印象は受けなかった。山小屋の中でも接客は丁寧な部類に入ると思う。
小屋宿泊者は自分も含め中高年層が多い。女性も数人おり、ソロ女性も1名。宿泊費は他の山小屋に比べ2食7,000円と少し安め。ただし、その分食事はシンプル。
ポイント 将監小屋の感想や評判はブログにまとめているので、興味のある方はそちらもご参照ください。
■ 奥秩父の山小屋「将監小屋」の評判と感想

今回は、特に登山者同士で会話は弾まず、お互いあまり干渉しない、微妙な感じのまま就寝時間に。
明日の和名倉山登山に備え、寝床に着く。

To be continued...

関連レポート

飛龍山コースタイム

予定 実際 場所
09:40 09:40 丹波
11:50 11:35 サオラ峠
10:23~11:56 12:29~12:45 熊倉山
13:45 13:51 前飛龍
14:25~14:45 14:29 飛竜権現
15:05~15:10 14:57 飛龍山
15:30 15:09 飛竜権現
17:50 17:11 将監小屋
飛龍山標高グラフ 飛龍山標高グラフ

飛龍山の難易度

難易度

16/30

総合難易度
必要体力 体力難易度5
コース距離 コース距離難易度3
所要時間 所要時間難易5
危険度 危険度難易度1

登山難易度 登山難易度7
小屋・水場 小屋・水場難易度1
アクセス アクセス難易度1

総合難易度 総合難易度5

登山DATE

  • 歩行距離:16.09km
  • 登山歩数:26,012歩
  • 高度上昇:1,754m
  • 高度下降:0,632m
  • 出発高度:0,630m
  • 最高高度:2,077m

  • 標高の差:1,447m
  • 活動時間:07:15
  • 休憩時間:00:16

  • 合計時間:07:31
必要体力・時間・アクセス

本来であれば移動日なので楽な筈だが、かなりキツかった。原因は2つ。最も早い丹波到着のバスが9時29分着であることによる、時間に余裕がなかった点。もう1つはサオラ峠までの道のりが想像以上にキツかった点。

バスの始発の遅さに関しては、できればバス会社にダイヤ改正してくれることを切に願うばかりだが、現実的には厳しそうなので、頑張って9時半から登るか、さらに前入りして丹波に宿泊するしか方法はないだろう。今回は改めて、時間に余裕のない登山のツラさを身にしみて感じた。時間の難易度は、時間に制約があったという意味で「5」にしている。
危険度・水場
鎖場もなく、道迷いしそうな場所もなく、危険箇所は殆どない。水場は将監小屋へ通じる道に多数あるが、それ以外はない。将監小屋から来る場合は別だが、丹波からの場合、この水場に出くわすのは終盤なので、水の量を減らし荷物の軽量化を図るには場所が悪い。また、飛龍山から三条の湯に抜ける場合は、途中に水場がないので、水の量には注意が必要。
総括
これまで奥多摩急登チャレンジ登山によりトレーニングを積んできたが、サオラ峠への道は、それら急登に全く引けをとらないレベル。登りにくさを加えれば、凌駕しているとも言える。さらに荷物の重さの違い、サオラ峠以降もさらに上りが続く宿泊前提である山のスケール感の違いなど、諸々含めてとにかくキツかった。このキツさは恐らく自分登山史上でもベスト10には入るだろう。
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