由布岳

由布岳登山

由布岳

Yufudake

白

[由布岳登山レポ]
正面登山道から登り東登山道を下る、由布岳お鉢巡り登山

2021年11月21日(日) 天候:晴れのち曇り
正面登山口 ~ 東峰 ~ 西峰 ~ 東登山口 ~ 猪の瀬戸バス停
  • 由布岳(ゆふだけ)日本二百名山大分百山
  • 大分県由布市と別府市に境界に位置する標高1,583メートルの火山。山域は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。東峰(1,580m)と最高峰の西峰(1,583m)の2つのピークからなる双耳峰。円錐形をしたシンボリックな山体から、豊後富士とも呼ばれている。古来より信仰の対象として崇められ「古事記」や「豊後国風土記」にもその名が記され、「万葉集」にも詠われている。深田久弥氏が「日本百名山に入れなかったことを後悔した山」という話(噂)もある。

由布岳のコース

由布岳案内図由布岳・鶴見岳自然休養林案内標
由布岳の主な登山口は、正面登山口、西登山口、東登山口の3つ。
なお、由布岳のコースについて「由布市ホームページ」で、由布岳登山のルートマップが、PDFでダウンロードできるようになっている。
  • 由布岳正面登山道人気コース!登り利用
  • 正面登山口または西登山口から合野越を得て山頂を目指すコース。
  • 由布岳東登山道下り利用
  • 東登山口または正面登山口から日向岳分岐を経て山頂を目指すコース。
山と高原地図
由布岳のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「阿蘇・九重」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

由布岳の登山計画

プラン
九州大分遠征の2日目。本日東京戻りの便が、夜だったので、サクッと登れる山を探して選んだのが由布岳。理由は、別府方面からバスで容易にアクセスができ、帰りの飛行機にも十分間に合う時間に下山が可能なため。また日本二百名山にも選定されており、去年登った九重の大船山からの眺望で、その特徴的な山体が記憶に残っていたことも理由の1つ。
コース
登りは王道の正面登山道コースで即決だったが、問題は下山。せっかくならピストンを避けたいので、東登山道コースから下山することにした。もう1点迷ったのがお鉢巡りをするかどうか。山と高原地図では破線コースとなっており、由布市の公式ページでもかなり強めに注意喚起がされている。とは言ってもこういうケースは大抵行ってしまうのが自分の性分なので、今回も登山に組み込んだ。

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由布岳コースレポート

正面登山口 ~ 合野越(ごうやごえ)

【9:22】由布登山口バス停に到着。
本当は1時間早いバスでくる予定だったが寝坊しました。今日は時間に余裕があるので「遅れてもいいや」と思っていたら、やっぱり起きられなかった。バス停近くにはトイレも完備されているので、出発準備を整える。
【9:28】由布岳正面登山口を出発。
正面にデンと構える由布岳の麓に向かって歩き、由布高原園地を経由して合野越を目指す。
【10:07】合野越に到着。
西登山口からの道との合流地点でもある。合野越で5分ほど休憩。

合野越 ~ マタノ

合野越から本格的に由布岳の山体に取りつく。地図からもわかるとおり、由布岳の斜面を九十九折状に登山道が伸びる。また登山道の途中に不定期ながら、標高(ALT)と残距離(m)の標識が設置されている。
合野越から既に40分ほど登ってきているので、そろそろ休憩をしたかったが、道が狭くなってきているため、休憩できる適切な場所が見つからず苦労した。
合野越から50分ほどで山頂の東峰・西峰が見え始めるが、近そうでまだまだ遠い。東峰と西峰の鞍部「マタエ」まで九十九折かと思ったが、さすがに終盤は火山らしく岩場だった。

マタエ ~ 由布岳西峰

下山は東登山口に下山するため、まずは由布岳の西峰へ向かう。マタエから西峰の道だが、鎖場が3箇所連続する難所。難易度的には「3本目>1本目>2本目」で、特に3本目の鎖場が厄介。
この岩場は「障子戸(しょうじど)岩壁」、鎖場は「カニノヨコバイ」と呼ばれており、由布岳最大の難所。あまり登山経験がなさそうな若い女性も登っていたが、難易度は高い。難易度を上げている原因は、名称の通り、カニのように斜め横移動が必要で、かつ途中で方向が変わること。これまで経験上、横移動が加わる鎖場は難易度が高く危険。高度感があるので、慣れていない方で自信がない方は避けた方が無難。
【11:49】由布岳西峰に到着。
西峰手前に難易度の高い鎖場があるため、明らかに東峰より登山者は少ない。ちなみに、西峰から見たマタエから東峰への道だが鎖場はなさそうだった。また、朝方は晴れていた天気も、昼が近付くにつれどんよりした曇り空に。
由布岳西峰からは、これから歩く火口の縁が一通り見渡せる。見る限り歩いている人はポツポツといます。

由布岳西峰 ~ 由布岳東峰(お鉢巡り)

【12:02】お鉢巡りに出発。
最大の難所は火口北側の痩せた部分。なお、厳密には由布岳東峰と西峰以外に北側にもう1つのピーク(北峰?)も存在する。ちなみに、序盤ですれ違った人に「危険箇所ありましたか?」と尋ねたところ、「1箇所だけ危険な場所がありました」との返答。
ココが序盤ですれ違った登山者が言っていた危険な場所。斜めった岩を横切るが、いかにも滑りそうな雰囲気の岩質。しかも右下に落ちたら火口まで滑落すること間違いなし。「これはヤバいかも..」と思ったが、よく確認したら迂回路ありました。
迂回路を使って岩場の反対側に回り込む。反対側からなら岩の真上を通っていけそうな雰囲気。いずれにせよ、火口側の岩の斜面は、危険なので通らない方が良い。
北側ピークへの登りは、道が狭く荒れており、登りづらい。少なからず楽しい道ではない。
北側ピークから南側に向かい東峰を目指す。途中に岩塊のちょっとした難所がある。
東峰の手前にも、岩場の急な登りがある。油断するとちょっと危険な箇所。
【13:00】由布岳東峰に到着。
西峰から東峰のお鉢巡りの所要時間は、ほぼ1時間だった。東峰山頂は岩場で食事をするにはちょっと不便なため、少し下った場所にある、赤土の平な場所で食事をすることに。
概ね1時間ほど滞在していたが、雲っているせいか昨日の祖母山と比べて激寒。やはりこの時期は"晴れ"と"曇り"で体感温度が相当変わる..。

由布岳東峰 ~ 日向岳分岐

【13:58】由布岳東峰を出発。
ガスが出てきて、人も少なくなってきたため、そろそろ出発。一旦北の方角へ道を戻って、東登山口に入る。
東登山道だが、山頂付近はあきらかに正面登山道より険しい。特に5~6mほどの長い鎖場があり、東登山道で最も危険な箇所。
鎖場以降もガレ場の悪路が続くため、転倒しないよう注意しながら下る。
標高が下がって広い斜面の道に出るとあとは安全。ちなみに時間は既に14時を過ぎているが、登ってくる登山者5組ほどすれ違いました。都市部に近い山でよく見かける「登山あるある」だが、日が短いこの時期なので、山頂に着くころには相当薄暗く、下山時は真っ暗になると思うが大丈夫なのかな..。
【15:01】日向岳分岐に到着。
ココで予定通り東登山口に向かうか、正面登山口に向かうかで迷う。時間的に早そうなのは、東登山口経由の「猪の瀬戸」バス停だが、見た感じ道がわかりにくそうな予感。少し悩んだが、最悪GPSもあるし予定通り東登山口に向かうことにした。
ポイント東登山道
由布市作成の「由布岳登山ルートマップ」に「正面登山口以外はルートがわかりにくいため、経験者の同行をおすすめします。」と書かれている。また、過去の経験上、視界が広がった空間で且つ落ち葉で踏み跡がわかりずらい道は、道迷いの危険性が高い。
結果的にだが、かなり目印がしっかり設置されていたので、道迷いの可能性は低い。ただし、目印がなかったり少なかったりすると、道迷いが続出する可能性がある道。
ポイント遭難多発で登山道整備
2020/12/07の読売新聞オンラインの記事によると、新型コロナウイルスの影響で密を避ける屋外レジャーが注目され、大分県内の山岳遭難が増加。そのため、別府署が由布岳の木に目印を増やしたとのこと。
ちなみに東登山口手前で、東岳登山道の鎖場付近で遭遇した学生の登山者グループに再遭遇しました。山頂まで行って戻ってきたそうで、めちゃくちゃ速いし..。下山はほとんど走っていたが、恐るべき若者の体力。

【15:32】東登山口に到着。
この東登山口あたりを「猪の瀬戸園地」と呼ぶらしいが、"園地"と呼ぶには寂しすぎる。なお、地図には「駐車場なし」となっていたが、向かいの鶴見岳登山道入口付近の路肩に車数台駐車できるスペースあり。先ほど遭遇した学生グループはココに車を駐車していた。

東登山口から車道を20分ほど歩き、猪の瀬戸バス停を目指す。
【15:49】猪の瀬戸バス停に到着。
本来なら15時52分に別府行き観光快速のバスがあったはずだが、コロナで運休中。知らずにバスを待ち続けた自分だったが、バス会社に問い合わせて運休が発覚。せめてバス停の時刻表に「観光快速は運休中」とか、紙で貼っておいて欲しかった。結局次の16時22分のバスまで待ちました。

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由布岳のコースタイム

予定 実際 場所
08:22~08:32 09:22~09:28 正面登山口
09:12 10:07~10:12 合野越
10:32 11:27 マタエ
10:52~11:12 11:49~12:02 西峰
11:52~12:12 13:00~13:58 東峰
13:22 15:01 日向岳分岐
13:52 15:32 東登山口
14:12~14:22 15:49~16:22 猪の瀬戸バス停

由布岳の難易度

難易度5

13/30

総合難易度
必要体力 体力難易度3
コース距離 コース距離難易度2
所要時間 所要時間難易度2
危険度 危険度難易度4

登山難易度 登山難易度6
小屋・水場 小屋・水場難易度2
アクセス アクセス難易度0

総合難易度 総合難易度4

登山DATE

  • 歩行距離:9.08km
  • 高度上昇:857m
  • 高度下降:918m
  • 出発高度:0,775m
  • 最高高度:1,583m

  • 標高の差:0,808m
  • 活動時間:05:05
  • 休憩時間:01:55

  • 合計時間:07:00
必要体力・距離・所要時間
体力的にはもっと楽に登れるかと思っていたが、合野越から東峰・西峰鞍部のマタエまでの区間が意外とキツかった。ただし、体力を使うのはこの区間の約1時間30分だけ。距離は林道歩きを入れても10km未満で、活動時間も約5時間なので、ショートコースと言って良いだろう。
危険度
正面登山道に危険箇所はないが、終盤はガレ場となるので、若干の注意は必要。最大の難所はやはり障子戸岩壁の鎖場「カニノヨコバイ」。自信がない方は東峰だけに留めておいた方が良い。警戒していたお鉢巡りだが、1箇所危険な岩場はあったが、迂回路があったため総合的な危険度は高くない。ただ、狭い道を四苦八苦しながら進むため、一般向けではない。歩いていて気持ちの良い道ではないため、もう一度由布岳に登ってもお鉢巡りはしません。あと東登山道から登る場合は、正面登山口より危険個所が多いため要注意。
山小屋・水場
山小屋や水場はないが、日帰り前提のショートコースの山なので問題はない。とは言っても、山頂に茶屋やトイレがあるような観光地化された山ではなく危険個所もあるので、その点は要注意。
アクセス
由布市はもとより近隣の別府市から、バスで容易にアクセスできる点が由布岳の魅力の1つ。
総括
アクセスの良さに加えて、適度な体力と時間で登れる由布岳。反面、意外と危険個所も多いという、ちぐはぐな一面をもつ山。ファミリー登山などで危険個所を回避したいなら、正面登山口と東峰のピストンにすれば良い。今回は昼からどんより曇ってしまったので景色は楽しめなかったが、晴れていれば大展望を楽しめるだろう。
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