[妙義山登山レポ]
鎖場が連続する上級者向け登山道を歩く、表妙義の白雲山登山
妙義神社 ~ 大の字 ~ 奥の院 ~ 見晴 ~ 大のぞき ~ 天狗岩 ~ 相馬岳 ~ バラ尾根ピーク ~ 妙義神社
- 妙義山(みょうぎさん)日本二百名山上毛三山ぐんま百名山日本三大奇景日本百景
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群馬県甘楽郡下仁田町・富岡市・安中市の境界に位置する山。上毛三山および、日本三大奇景の一つに選定されている。山域は大きく表妙義と裏妙義に分かれている。妙義山は複数のピークが連なっている山体が特徴。表妙義は見晴、大のぞき、表妙義の最高峰である相馬岳1,103mなどのピークが連なる白雲山(はくうんざん)と、鷹戻しの頭、東岳、中之岳、西岳などのピークが連なる金洞山(こんどうさん)、2つの山塊に分かれている。裏妙義は御岳963m、丁須ノ頭1,057m、烏帽子岩1,117m、裏表含む最高峰の谷急山1,162mなど、表妙義同様に複数のピークから成る。
表妙義、裏妙義ともに鎖場が連続する稜線上を歩くため、滑落事故が後を絶たない。そのような背景から、稜線上のコースは上級登山道に位置付けられており、安易に足を踏み入れないよう注意喚起されている。
表妙義山のコース
白雲山は妙義神社、金洞山は中之獄神社が登山口として利用しやすい。表妙義のコースは単純明快で、白雲山と金洞山2つの山の、ノコギリのような稜線を右から歩くか、左から歩くかのいずれか。朝早くから登れば2つのコースを1日で縦走することも可能。
- 白雲山コース登り利用下り利用難コース
- 妙義神社を起終点とした白雲山と中間道の周回コース。
大の字、奥の院、見晴、玉石、大のぞき、天狗岩、相馬岳と見どころやピークが続く。反時計回りに登るのが一般的。
- 金洞山コース難コース
- 妙義神社、または中之獄神社を起終点とした金洞山と中間道の周回コース。
鷹戻しの頭、東岳、中之岳などのピークが連なる。鷹戻しの頭への鎖場は滑落事故が多発する表妙義最大の難所とされている。
妙義山の登山計画
- プラン
- 表妙技の縦走を計画するが、前々日5/27(土)は所用のため、5/28(日)を計画。しかし、唯一公共交通機関でアクセスできる上州富岡駅からの乗合タクシーの朝一便8:10が、日曜日に限って運休。第二便になると10:20となるため、遅すぎる。そのため5/29(月)に有給取得による登山を計画。
- 装備
- 装備で悩んだのがヘルメット。自分はヘルメットを持っていないので、持参するなら購入しなければならない。いつかは必要になる装備なので購入するのもやぶさかではないが、不必要なら今すぐ買いたくない。妙義山に登ったことある方に尋ねたところ「あった方が安心」とのことだったので、購入することにした。ちなみに山中で出会った登山者4組中、ヘルメットを被っていたのは2組。自分の感想としても、なくても問題はないが、垂直に近い鎖場が多いので、落石対策にあった方が安全であることは間違いない。また、他人がおこした落石で自分が怪我をしたら、その他人にも迷惑をかけてしまうので、やはりヘルメットは持参するのがベスト。ただし、休日ならともかく平日は登山者も少ないので、なくても大きな問題はない。
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コースレポート
妙義神社 ~ 大の字
周辺にいる登山者は、乗合タクシーに乗っていた女性と、妙義神社の鳥居前で突然現れた中高年のソロ登山者の2名のみ。
そのまま妙義神社の階段を登り安全祈願のお詣りを済ませ、妙義神社の右手にある山道入口に向かう。
日帰りの軽装で、標高も高くない山なので、体力を使う場面は殆どないだろうと予想していたが、序盤の急登から肩で息をするほどバテる。原因は不明だが、気温が高く無風だったので、暑さバテかと思われる。
妙義山を登ってまず驚いたのは、巨木が多いこと。天に向かって真っ直ぐ伸びる大木の存在感は圧巻。少し前に登った雲取山の野陣尾根も巨木は多かったが、妙義山はそれ以上かも。
登ること30分ほどで、長い鎖場出現。これが大の字手前にある2段15mの鎖。危険な鎖場ではないが、湿った岩がツルツル滑り登りにくい。鎖場を登りきるとT字路となり、左に進むと大の字のある展望台。右は辻へ向かう道。まずは左に向かうが、すぐに鎖のある大岩が立ちはだかる。ほぼ垂直に近い鎖場を登ると大の字に到着。大岩に登るとそこには関東平野を一望できる絶景。「スゲー」と感動したのは、最初の数分だけ。直射日光がガンガン照りつけるため、暑すぎる..。ここでの休憩はパスして、先ほどのT字路まで戻って15分ほど休憩。
大の字 ~ 見晴
大の字から辻を経由して奥の院へ向かう。
【10:24】大の字から5分ほどで辻に到着。 辻から先は上級者向け登山道となる。滑落事故が多発している妙義山のコースだけあって、注意喚起・警告メッセージのアピールが半端ない。【10:34】奥の院に到着。
奥の院は岩の間にできた空洞を利用して、石仏が祀られている。これがいわゆるルンゼ(水の浸食作用でできた険しい岩壁の溝)かな。
見晴からは、同じ上毛三山の榛名山と赤城山が見える。ココは大の字に並ぶ妙義山の中で1、2を争う絶景ポイント。ただし、スペースはかなり狭いので、混雑しているときは、ポジション争いが起こりそう。
見晴 ~ 大のぞき
見晴からすぐの場所にチムニー(岩壁の割れ目)がある。自分でもギリギリ通れる幅。通れない人は、左側の岩の上を登ることになる。
【11:09】玉石に到着。
玉石もスペースが狭く、既に先行していた女性が座っていたので、空気を読んで玉石はスルー。「空気を読んで」とは、見晴のときに後ろで場所が空くのを待っていたため、無言の圧力で場所をどかせた感じになってしまったので、玉石では配慮してスルーした。
ココで少し一休み。表妙義のコースはノコギリのような稜線上を歩くため、基本何処のポイントもスペースが狭い。平日で人は殆どいないので良いが、団体とかいたら鬱陶しく感じそう。
大のぞき ~ 天狗岩
大のぞきから下る岩場に、表妙義を代表する3連結30mの鎖場がある。この鎖場はホールドが浅いので、他の鎖場に比べて技術的難易度は少し高い。下り利用は問題なかったが、鎖場の最下部から上を撮影した写真を見る限り、登りは結構大変かも。
大のぞきの鎖場で本日3組目となる2人組の登山者と遭遇。【11:51】天狗岩に到着。
天狗岩と呼ばれる上に乗れる石がある。他の山でも天狗岩と名付けられた岩を見たことあるが、だいたい台座のような岩で、天狗が上に乗って下界を見下ろしたという伝承が定番なので、おそらくこの天狗岩もそのような伝承だと推測される。
天狗岩 ~ 相馬岳
【12:10】天狗岩から少し下って、タルワキ沢のコルに到着。
本来、金洞山に行かないなら、ココで下って中間道に出ても良いのだが、この先に表妙義最高峰の相馬岳があるため、真っ直ぐ進む。一応最高点のピークは踏んでおかないと後々寝覚めが悪いので。
表妙義の最高峰といっても、相馬岳からの展望は見晴や大のぞき、天狗岩直後の展望台に比べて劣る。しかし、ちょうど開けた場所から、トカゲの背びれのような金洞山が見える。
相馬岳 ~ バラ尾根ピーク
10分ほど休憩していたが、訪れる登山者は誰もいないため相馬岳を出発。相馬岳以降は、バラ尾根沿いを進む。妙義山登山マップでは白雲山と金洞山が強調されているため、バラ尾根は標高が低いように描かれているが、実際はそこそこ高い。
さて、あとはバラ尾根を横断して中間道に下りるだけだが、この先に表妙義の稜線上唯一となる水場がある。暑いため、山の冷たい水をがぶ飲みするのが楽しみ。コース状況は、相馬岳から下る途中に鎖場が連続する箇所あり。ただし、滑落を注意するような鎖場ではない。【13:35】バラ尾根ピークに到着。
バラ尾根ピークで遅めの昼食。心地よい風が暑さを和らげてくれるため、昼食時はなかなか快適だった。
バラ尾根ピーク ~ 堀切 ~ 堀切入口
【14:15】バラ尾根のピークを出発。
バラ尾根ピークから5分ほど下り、あっさり堀切に到着。
乗合タクシーの出発時刻は15時56分と18時06分。15時56分に乗るため、足早に中間道を進む。
堀切入口 ~ 妙義神社
15時56分の乗合タクシーの時間に間に合いました。次回は今回登れなかった、金洞山に挑戦します。
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コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
08:55 | 08:54 | 妙義神社バス停 |
09:10 | 09:10 | 白雲山登山口 |
09:45 | 09:50 | 大の字 |
10:25 | 09:51 | 見張 |
11:05 | 11:20 | 大のぞき |
11:45 | 11:51 | 天狗岩 |
12:05 | 12:10 | タルワキ沢のコル |
12:25~12:55 | 12:28~12:40 | 相馬岳 |
13:10 | 12:48 | 国民宿舎跡分岐 |
14:10 | 13:35~14:15 | バラ尾根ピーク |
14:20 | 14:21 | 堀切 |
14:40 | 14:38 | 堀切入口 |
15:50 | 15:39 | 妙義神社 |
妙義山 白雲山の
難易度
13/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
登山DATE
- 歩行距離:9.05km
- 登山歩数:15,904歩
- 高度上昇:0,931m
- 高度下降:0,931m
- 出発高度:0,430m
- 最高高度:1,103m
- 標高の差:0,673m
- 活動時間:05:53
- 休憩時間:00:52
- 合計時間:06:45
お気軽にどうぞ!
稜線を歩く妙義山のコースは上級登山道とされているため、妙義山に登る場合、最も気になるのはその危険度。
まず、滑落注意の鎖場は奥の院、ビビり岩、大のぞきの3つのみで、それ以外の鎖場は、特筆するほど危険性はない。ホールドの観点では、大のぞきが最も少なく技術的難易度は少し高い。反面、技術的難易度は低いが、高度感や恐怖感は奥の院とビビり岩が上。
大のぞきの鎖場で「難易度が少し高い」と書いたが、それでも高い技術力は不要。つまり上級者向けとされているが、決して高い技術力が必要なコースではない。では、なぜ上級者向けとされているか?それは、一瞬のミスが命の危機に繋がるリスクの高いコースだから。つまり正しくは、上級者向けコースではなく、命のリスクが高いコースである。
自分の場合、白雲山の鎖場で恐怖感を感じる場面はなかった。まず、普通に鎖場が得意という人は問題ないレベル。技術的難易度は高くないので、筋力や敏捷性・バランス感覚が比較的高い、若い人も大丈夫だろう。警戒すべきはやはり中高年以上のシニア。データ分析した訳ではないが、「妙義山 滑落」で検索して出てくる滑落事故の年齢は60以上が多い。筋力やバランス感覚などは、年齢とともに衰えやすいので、60以上が多いというのは、想像に難くない。県や自治体も、単に危険を煽るだけではなく、どのような属性(年齢・性別・装備・経験など)が滑落事故を起こしているか分析・公表し、論理的に注意喚起してほしいと思う。稜線上に1カ所水場はあるが、水量が細かったので、時期によっては枯れる可能性も考慮して、水の量は持参したほうが良いだろう。
アクセス面では電車とバス(乗合タクシー)でアクセスできるので便利。駅からタクシーを利用できる距離なので、ケースに応じてタクシー利用もあり。