[妙義山登山レポ]
表妙義最大の難所「鷹戻し」に挑む、表妙義の金洞山登山
2021年5月8日(土) 天候:晴れのち曇り
妙義神社 ~ 堀切 ~ 鷹戻し ~ 東岳 ~ 中之岳 ~ 中之岳神社 ~ 妙義神社
妙義神社 ~ 堀切 ~ 鷹戻し ~ 東岳 ~ 中之岳 ~ 中之岳神社 ~ 妙義神社
- 妙義山(みょうぎさん)日本二百名山上毛三山ぐんま百名山日本三大奇景日本百景
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群馬県甘楽郡下仁田町・富岡市・安中市の境界に位置する山。上毛三山および、日本三大奇景の一つに選定されている。山域は大きく表妙義と裏妙義に分かれている。妙義山は複数のピークが連なっている山体が特徴。表妙義は見晴、大のぞき、表妙義の最高峰である相馬岳1,103mなどのピークが連なる白雲山(はくうんざん)と、鷹戻しの頭、東岳、中之岳、西岳などのピークが連なる金洞山(こんどうさん)、2つの山塊に分かれている。裏妙義は御岳963m、丁須ノ頭1,057m、烏帽子岩1,117m、裏表含む最高峰の谷急山1,162mなど、表妙義同様に複数のピークから成る。
表妙義、裏妙義ともに鎖場が連続する稜線上を歩くため、滑落事故が後を絶たない。そのような背景から、稜線上のコースは上級登山道に位置付けられており、安易に足を踏み入れないよう注意喚起されている。
表妙義山のコース
白雲山は妙義神社、金洞山は中之獄神社が登山口として利用しやすい。表妙義のコースは単純明快で、白雲山と金洞山2つの山の、ノコギリのような稜線を右から歩くか、左から歩くかのいずれか。朝早くから登れば2つのコースを1日で縦走することも可能。
- 金洞山コース難コース登り利用下り利用
- 妙義神社、または中之獄神社を起終点とした金洞山と中間道の周回コース。
鷹戻しの頭、東岳、中之岳などのピークが連なる。鷹戻しの頭への鎖場は滑落事故が多発する表妙義最大の難所とされている。
- 白雲山コース難コース
- 妙義神社を起終点とした白雲山と中間道の周回コース。
大の字、奥の院、見晴、玉石、大のぞき、天狗岩、相馬岳と見どころやピークが続く。反時計回りに登るのが一般的。
妙義山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「西上州」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!
妙義山の登山計画
- プラン
- 前回時間切れで登れなかった妙義山の金洞山リベンジ登山。前回下山した堀切までは中間道からアクセスし、堀切から金洞山に登り中之嶽神社へ下山する。時間に余裕がありそうだったので、今回は詳細なスケジュールを組まずに挑んだ。
- アクセス
- 令和3年1月4日から富岡市がデマンド型(事前予約型)乗合タクシー「愛タク」の運行を開始していた。「愛タク」は事前にアプリか電話で予約すれば、指定場所・指定時間に配車予約ができ、市外の方でも距離に関係なく500円の定額制で利用できるサービス。しかも時間は5分区切りで予約することができ、めちゃくちゃ便利だった。特に下山時間が不確かな復路は、下山の目途がたった時点でアプリで配車予約をすれば良い。ただし、停留所は決まっており、妙義神社へのアクセスは可能だが、中之獄神社はサービスエリア外。詳しい愛タクの利用方法やサービスエリアは富岡市の「ホームページ」で紹介されている。
関連レポート
妙義山 金洞山
コースレポート
妙義神社 ~ 堀切
【08:59】妙義神社に到着。
乗合タクシー「愛タク」で到着。運転手さんと少し話をしたが「愛タク」導入後は、ちょっとした買物とかでも予約が入るそうで、めちゃくちゃ忙しくなったそうです。ちなみに富岡市内在住者は、100円の定額制で乗れる。(市外在住者は500円)
前回、中間道を逆走しているが、ほぼ平坦な道だった記憶があった。しかし実際は要所で登り道があり、意外と疲れる。
前回、崩落で通行止めになっていた区間は、鉄橋による迂回路が設置されていた。ミニジェットコースターのような感じで、歩いていてちょっと楽しい気分になる鉄橋。
東屋から先も、予想外に結構登りがあり疲れる。また、東屋の少し先で「大きなヘビ」を見かけた。ヘビは、高山では見かけないが、低山だとたまに見かけますね。
堀切への分岐地点だが、「下り用」と書かれた場所しか見つからなかったので、「下り用」から登ることに。堀切への登り道は、道がわかりにくく悪路。ただし、目印や標識はきちんと設置されている。
【11:00】堀切に到着。
妙義神社から約2時間。コースタイムより少し早いぐらいのペースだが、感覚的にはもっと早く到着できると思っていたので意外と時間がかかった印象。この堀切が前回時間切れで、中間道に下った場所。ひとまず難所に備えて堀切で中休憩。
妙義神社から約2時間。コースタイムより少し早いぐらいのペースだが、感覚的にはもっと早く到着できると思っていたので意外と時間がかかった印象。この堀切が前回時間切れで、中間道に下った場所。ひとまず難所に備えて堀切で中休憩。
堀切 ~ 鷹戻しの頭
【11:10】堀切を出発。
妙義山最大の難所、鷹戻しの頭を目指す。この区間は、鷹戻しの鎖場以外にも、ちょっとした鎖場や隘路(細くて困難な道)など、難所が連続する。
妙義山最大の難所、鷹戻しの頭を目指す。この区間は、鷹戻しの鎖場以外にも、ちょっとした鎖場や隘路(細くて困難な道)など、難所が連続する。
【11:22】国民宿舎跡への分岐地点に到着。
山と高原地図ではポイント地点となっている場所。妙義山を北側(裏側)から登る場合は、ココから登ってくることになる。
山と高原地図ではポイント地点となっている場所。妙義山を北側(裏側)から登る場合は、ココから登ってくることになる。
この区間は、垂直なものから壁面設置まで、大小さまざまな鎖場が立ちはだかる。ただ、鎖場に慣れている人であれば、岩のホールドもしっかりあるので難易度は高くない。
ついに現れた、滑落事故が多発しているという鷹戻しの鎖場。ほぼ垂直で3連続になっている。1本、2本と進むにつれて高度感が増していき3本目になると恐怖感が最高潮となる。また、ホールドはあるが少し浅く滑りやすい箇所もあるので、足をかける場所には気を付けて登った。
1本目は、序の口なのでまだ大丈夫。
2本目から高度感が増してくる。
この鷹戻しの鎖場だが、妙義山の他の鎖場とはあきらかに別格で、自分がこれまで登ってきた中でもベスト3に入る難易度。決して高度な技術が求められる訳ではないが、高度感がハンパないので、怖いという気持ちに負けそうになる。鎖場で怖いと感じることは最も危険。自分もこれまでに2~3回あるが、そのうちの1つがこの鷹戻しの鎖場。
【11:50】鷹戻しの頭に到着。
鷹戻しの頭からは360度の展望。本日最大の難所を越えたのでホッと一安心。
鷹戻しの頭からは360度の展望。本日最大の難所を越えたのでホッと一安心。
鷹戻しの頭 ~ 東岳
次なる目的地は東岳。鷹戻しの頭以降も上り下りや隘路が続く。
鷹戻しの頭と東岳の間に、もう1つの難所「二段ルンゼ」がある。山と高原地図には「重傷事故多い」と書かれている難所。鷹戻しの鎖場に比べるとそれほど危険ではないが、二段目の岩場がオーバーハングしており、鎖の下が上から見えなかったので、下るときはちょっとおっかなびっくりだった。
ルンゼ
「岩壁に食い込む岩の溝」を意味するドイツ語。つまり、水の浸食作用でできた岩壁の溝。
「岩壁に食い込む岩の溝」を意味するドイツ語。つまり、水の浸食作用でできた岩壁の溝。
二段ルンゼ以降も地味な危険個所が続く。意外とこういう場所の方が事故起きそうで怖い..。
東岳直前に第四石門に下る分岐地点があり、そこからでも中間道へ下ることができる。
【12:33】東岳に到着。
東だけからも360度の展望。というか、妙義山のピークは大体露岩地帯なので、どこも360度の大展望だけど。ただ、午前中はばっちり晴れていた空も、残念ながらどんよりした曇り空へと変わってしまった。
東だけからも360度の展望。というか、妙義山のピークは大体露岩地帯なので、どこも360度の大展望だけど。ただ、午前中はばっちり晴れていた空も、残念ながらどんよりした曇り空へと変わってしまった。
東岳で食事をとる予定だったが、座ってランチをするのに適した場所がなかったため、ランチは保留にして、この先の中之岳まで行くことに。
東岳 ~ 中之岳
東岳からはいきなり垂直な鎖場。でもこの鎖場、実は巻き道があり、スルーできます。自分は成り行きで巻き道を使った。ちなみに写真だけ見るとすごい危険そうに見えるが、それほどではない。
【12:51】中之岳に到着。
中之岳からも360度の展望だが、木や岩が少しジャマして東岳より展望は劣る。中之岳に食事に適した場所があったため、中之岳で昼食をとる。
中之岳からも360度の展望だが、木や岩が少しジャマして東岳より展望は劣る。中之岳に食事に適した場所があったため、中之岳で昼食をとる。
昼食のときだが、ちょっとした事件が。昼食を食べ終わった後、クッカーセットをザックに収納するとき、手が滑って落としてしまう。丸いクッカーセットが"おむすびころりん"のように崖下に向かって転がったことで、思わず手を伸ばし身を乗り出す。体が完全に落ちるギリギリで、木の根元でクッカーセットが止まり救出できたが、上半身はもとより下半身の半分ぐらいまで、崖に落ち込んでいたので、かなり危なかった。理屈ではなく反射的に体が動いてしまったが、こんな形で滑落したら、目も当てられない..。
中之岳 ~ 中之獄神社(なかのたけじんじゃ)
【13:22】中之岳を出発。
東岳同様に中之岳出発直後、いきなり長い鎖場を下る。写真では斜めっているように見えるが、実際は結構垂直。
東岳同様に中之岳出発直後、いきなり長い鎖場を下る。写真では斜めっているように見えるが、実際は結構垂直。
中之岳の長い鎖場を下りた直後の道だが、踏み跡が分散していて、道がわかりづらい。道迷いするような感じではないが、何処に進んでいいのかわからず戸惑う場面があった。
【13:38】西岳分岐に到着。
ちょっと勘違いしていたが、西岳は登山禁止。そのためココで上級者コースは終了して中間道に下ることになる。看板の地図には西岳もコース上になっているものもあったので、ここ数年の間で登山禁止になったのかも。
【14:05】中間道の見晴台に到着。
中間道に戻ってきました。見晴台の展望は、中間道の反対側にある第一・第二見晴より劣るが、中之岳を下から見上げることができる。
中間道に戻ってきました。見晴台の展望は、中間道の反対側にある第一・第二見晴より劣るが、中之岳を下から見上げることができる。
中之岳を下から見上げると、さきほどクッカーセットを落としたときに落ちてたら、確実に死んでましたね..(汗)
さて、本来なら中間道を逆走しても戻れるが、通行止めのため、中之獄神社から迂回して妙義神社に戻る。その方が時間も早いし。
【14:20】中之獄神社に到着。
中之獄神社の後ろにある大岩は「轟岩(とどろきいわ)」。奥に深いので写真のイメージより、かなり大きな岩塊。
中之獄神社の後ろにある大岩は「轟岩(とどろきいわ)」。奥に深いので写真のイメージより、かなり大きな岩塊。
大国神社からは一端舗装道路に出て、一本杉を目指す。
中之獄神社 ~ 妙義神社
中之獄神社の道路近くにも石門群への登山道入口があるが、このときは通行止め。そこから出てくるルートも考えていたので、あやうく無駄足になるところだった。
大人場(おにんば)を通過。ここを左に曲がれば、午前中に通った東屋に着く。
【15:28】妙義神社に到着。
妙義山最大の難所があるコースだったので、ドキドキ・ハラハラしたが、なんとか五体満足、無事に戻ってこれた。お疲れ様でした。
妙義山最大の難所があるコースだったので、ドキドキ・ハラハラしたが、なんとか五体満足、無事に戻ってこれた。お疲れ様でした。
関連レポート
妙義山 金洞山の
コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
- | 08:59 | 妙義神社 |
- | 09:12 | 中間道入口 |
- | 11:00~11:10 | 堀切 |
- | 11:51 | 鷹戻しの頭 |
- | 12:33~12:41 | 東岳 |
- | 12:51~13:22 | 中之岳 |
- | 14:20 | 中之獄神社 |
- | 15:28 | 妙義神社 |
妙義山 金洞山の
難易度
13/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
登山DATE
- 歩行距離:10.83km
- 高度上昇:0,939m
- 高度下降:0,940m
- 出発高度:0,430m
- 最高高度:1,094m
- 標高の差:0,664m
- 活動時間:06:29
- 休憩時間:00:49
- 合計時間:05:40
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お気軽にどうぞ!
お気軽にどうぞ!
妙義山の金洞山で最も気になるのが、やはり鷹戻しの難易度だろう。まず、妙義山の白雲山も含めて、もっとも難易度の高い鎖場である事は間違いない。鷹戻しは、3連の鎖となっており、技術的難易度は高くないが、高度感があるので、気持ちをしっかりもって登る事。また、岩が少し滑りやすくホールドの浅い箇所もあるので、基本の3点確保をしっかり意識すること。鷹戻しの鎖場以外にも、本コース上には二段ルンゼなど、危険な鎖場もあるので、鎖場に慣れていない人や自信のない人は、金洞山は避けた方が良い。自信がないけど登りたいという方は、上級者と一緒にザイルなどで安全確保しながら登ることをおすすめします。
なお、本コース上は基本痩せ尾根の稜線上を歩くため、踏み外すと滑落する場所も多々あるため、鎖場以外も緊張の糸を緩めないように。今回の自分のように、予期せぬ場所・場面で滑落の危険が潜んでいるかもしれない。