[谷川岳登山レポ]
世界一遭難死亡者の多い山「谷川岳」を日本三大急登の西黒尾根から登る!
土合駅 ~ 天神ロッジ ~ 西黒尾根登山口 ~ 谷川岳山頂 まで
- 谷川岳(たにがわだけ)日本百名山ぐんま百名山
- 群馬・新潟の県境の三国山脈にある山。周囲の万太郎山・仙ノ倉山・茂倉岳などと合わせて谷川連峰と呼ばれている。山頂にはトマの耳(標高1,963m)、オキの耳(標高1,977m)と2つのピークがある。
統計が開始された1931年から、2012年までに805名の死者を出している。この飛び抜けた数は、日本のみならず世界の山のワースト記録としてギネス認定されている。遭難者が多い要因は、日本三大岩壁「一ノ倉沢」の岩登りによる事故が多いことや、天候が急変しやすい地理的要因、首都圏から近いことで気軽に登れるため無謀な登山者が多かったことなど挙げられている。遭難者の多いことから、通称「魔の山」「人喰い山」とも呼ばれている。
谷川岳のコース
- 谷川岳のコース(東側)
- 天神尾根人気コース!
- ロープウェイを使って標高1,319mの天神平駅まで行き、そこから天神尾根伝いに山頂を目指すコース。
ロープウェイを使い気軽に山頂を目指せるため、利用者も多い。
- 田尻尾根
- 田尻尾根から登るコース。ロープウェイのほぼ真下を歩くコースとなる。
- 西黒尾根登り利用
- 日本三大急登の1つ「西黒尾根」から登る健脚者向けのコース。途中、らくだのコルで「厳剛尾根」と合流する。
- 厳剛尾根
- 厳剛尾根から登る健脚者向けのコース。途中、らくだのコルで西黒尾根と合流する。
- 谷川岳のコース(南側)
- いわお新道
- 谷川温泉の奥にある二俣から登るコース。
- 中ゴー尾根
- 谷川温泉の奥にある二俣から、肩の小屋あたりに登ってくるコース。
谷川連峰の登山計画
- プラン
- 今回の登山目的は、日本三大急登の「西黒尾根」に挑戦すること。前日入りして麓の天神ロッジに宿泊し、翌日日の出前から1日かけて谷川岳、万太郎山、仙ノ倉山、平標山と縦走する計画。あとから後悔することになるが、前日に谷川岳の西黒尾根を午後からでも良いので登り、その日は山頂の肩の小屋に宿泊し、翌日に万太郎山、仙ノ倉山、平標山と縦走するほうが、計画的に無理がなく良かった。
- 持ち物
- 遭難が多いといこうことで、万が一を考えてシュラフだけは持参することにした。ただしマットはなし。実質日帰りだが、装備的にはガスバーナー非常食など1泊2日程度の装備で挑む。
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谷川岳コースレポート
土合駅
【13:55】土合駅到着。
土合駅は無人駅。下りホームが新清水トンネル内にあり、地上の駅舎からは10分ほど階段を下りないと到達できない「日本一のモグラ駅」。「関東の駅百選」にも認定されている。なお、上りホームは地上にあり、その高低差は81m。この土合駅は地下駅という特徴と、谷川岳において遭難者が多い事と関連付けられて幽霊スポットとしても名を馳せている。
天神ロッジ
谷川岳トレッキングコース
翌日は日の出前に出発するため、登山口の確認を含め登山口のある谷川岳トレッキングコースを下見。歩き始めてすぐ、谷川岳ロープウェイの近くに霊園がある。この霊園以外にも、要所で慰霊碑があるなど遭難者の多い山ならではの光景。なんか気の引き締まる思い。
トレッキングコースから一ノ倉沢まで歩き、戻りは新道を通って天神ロッジに戻る。ちなみにこの新道だが、歩いていたのは自分だけだった。西黒尾根登山口
身支度を整え、早々に登山口へと向かう。この時間は誰もいないだろうと思っていたら、駐車場で身支度する人たちや、途中の道でも複数の登山者と遭遇。
登山者の朝は早く、4時30分頃とはいえ一番乗りって訳ではなかった。
西黒尾根登山口 ~ 見通しの良い尾根
5時前には登山口に到着していたと思うが、準備のため登山口でグズグズしていたので、スタート時間は曖昧。登山口スタート直後から、樹林帯の急登が続く。周りは真っ暗なので景色はわからなかったが、明るくなり始めたらあたり一面紅葉に染まっていた。急登というだけあってひたすら続く上り道で、平坦・下りなど、遊びが少なくほぼ直登。真っ暗で景色を楽しむこともできないので、ひたすら登る。
樹林帯を抜け見通しの良い尾根に出てからは、景色が一変する。
見通しの良い尾根 ~ 谷川岳トマの耳
見通しの良い尾根に出てからは、朝日で真っ赤に染まる岩の斜面を、よじ登りながら進む。少し、急登という意味をはき違えており、前半のような樹林帯の地味な急登がひたすら続くと思っていた。
要所で鎖場もある。鎖場は得意な方だが、1カ所だけ垂直に近い鎖場があり、初めて鎖場で怖いと感じた。【6:27】ようやく山頂を捉える。
ただし、天神ロッジの従業員からも「山頂が見えてからが長い」と聞いており、そのとおりココから先が長い..。以降、コースの全容が明らかになるので、前方にどれぐらいの人が登っているかが見える。6~7人の団体2組ほどを始め、ソロ登山者など意外と多くの登山者が登っている。
天神ロッジで頂いた朝食のおにぎりを食べていなかったので、山頂目前でまさかのスタミナ切れ。山頂までは我慢するつもりだったけど、おにぎりを半分カジッてなんとか持ちこたえた。
後半は急登に空腹とツラかったけど、なんとか【7:41】トマの耳に到着。谷川岳山頂 トマの耳、オキの耳
トマの耳到着後、すぐに団体の登山者により人で溢れかえり始めたので、逃げるように対の反対側オキの耳に移動。ロープウェイ組がいないだけマシかもしれないが、狭い場所で騒々しいのは嫌いなので、オキの耳で朝食をとることにした。
狙い通り、トマの耳よりオキの耳のほうが山頂スペースもやや広く、人も少ない。天神ロッジで頂いたおにぎり弁当を食べたが、夜中冷蔵庫で保管していたため、ご飯がカチカチでおいしくなかった。まずは縦走路の入口に位置する、肩の小屋に向かう。
【8:55】肩の小屋に到着。
谷川連峰を縦走する登山者はこの肩の小屋に宿泊する人が多い。ここで後々痛恨となる水の補給をせずに出発してしまう。肩の小屋に寄ることもなく、そのまま先を急ぐため出発。
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谷川岳コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
04:20 | 04:30 | 天神ロッジを出発 |
05:00 | 05:00 | 西黒尾根登山口 |
08:30~09:00 | 07:41~08:51 | 谷川岳山頂(オキの耳、トマの耳) |
09:15 | 08:55 | 肩の小屋 |
谷川岳の難易度

17/30
総合難易度必要体力 | ![]() |
コース距離 | ![]() |
所要時間 | ![]() |
危険度 | ![]() |
登山難易度 | ![]() |
小屋・水場 | ![]() |
アクセス | ![]() |
総合難易度 | ![]() |
登山DATE
- 歩行距離:5.6km
- 高度上昇:1,261m
- 高度下降:0,036m
- 出発高度:0,684m
- 最高高度:1,977m
- 標高の差:1,293m
- 活動時間:03:45
- 休憩時間:01:10
- 合計時間:04:55
お気軽にどうぞ!
危険箇所は、見通しの良い尾根に出てから山頂が見えるまでの間。細い岩場をよじ登るように進む道は、滑落危険箇所が連続している。晴れていたから良かったものの、靄やガスが出ていると、かなり危険度上がりそう。鎖離したら死ぬような鎖場も1カ所あったし。それと岩肌がツルツルすべる岩場も危なかった。
途中に水場はないが、山頂まで行けば肩の小屋で水を調達できるので、谷川岳単独登山ならそれほど水に困ることはない。