白馬岳

白馬岳登山

白馬岳

Shiroumadake

白

[白馬岳登山レポ]
大雪渓の猿倉コースから登る白馬三山縦走登山

2020年8月1日(土)~ 8月2日(日)天気:曇りのち晴れ
猿倉 ~ 白馬大雪渓 ~ 白馬岳 ~ 杓子岳 ~ 鑓ヶ岳 ~ 白馬大雪渓 ~ 猿倉
  • 白馬岳(しろうまだけ)日本百名山花の百名山新花の百名山
  • 北アルプス(飛騨山脈)北部の後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)にある標高2,932 mの山。山名は、春の雪解けにより露出した岩肌が「代掻き(しろかき)馬」のような形に見えることから「代馬(しろうま)岳」と呼ばれるようになったことが由来。全長3.5km、標高差600mの「白馬大雪渓」が有名で、「日本三大雪渓」にも数えられている。白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳の3つを総称して白馬三山と呼ぶ。
  • 杓子岳(しゃくしだけ)
  • 北アルプスの後立山連峰にある標高2,812mの山。
  • 白馬鑓ヶ岳(しろうまやりがたけ)
  • 北アルプスの後立山連峰にある標高2,903mの山。単に「鑓ヶ岳」とも呼ばれるが、北アルプス南部の槍ヶ岳と区別するため、白馬鑓ヶ岳(しろうまやりがたけ)と呼ばれている。

白馬岳のコース

白馬岳の登山口は、東の猿倉、栂池の2つのみ。猿倉を起点に2つのコース、栂池から登るコースの合計3つ。
縦走では南の唐松岳からのコースが比較的利用されている。
  • 猿倉コース登り利用下り利用人気コース!
  • 猿倉から白馬大雪渓を通り山頂を目指す、最もポピュラーなコース。
  • 栂池コース人気コース!
  • 栂池高原のロープウェイやゴンドラを利用し、そこから白池大池(山荘)や小蓮華山を経由して登るコース。
  • 白馬鑓温泉コース
  • 猿倉から、白馬鑓温泉(小屋)を通り、杓子岳、鑓ヶ岳、白馬岳と白馬三山を縦走して登るコース。
    ※ 2020年時点、十分な登山道整備がされておらず、通行・遭難のリスクが増しているため通行禁止になっている。白馬鑓温泉小屋も営業していない。
山と高原地図
白馬岳のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「白馬岳」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

白馬岳の登山計画

プラン

白馬三山を縦走したいため、当初は猿倉コースから登り、白馬鑓温泉コースで下山する予定だったが、白馬鑓温泉コースが通行禁止のため断念。そこで、猿倉から登ることは確定として、その他3つのプランを立案。

  • 【1】1日目に白馬山荘にザックをデポして、白馬三山を全て登る。2日目に栂池高原に下る。
  • 【2】1日目は白馬岳のみ。2日目に杓子岳と白馬鑓ヶ岳まで登り、そこから引き返して猿倉コースで下山。
  • 【3】1日目は白馬岳のみ。杓子岳と白馬鑓ヶ岳には登らず栂池高原に下る。

標準コースタイムでも白馬山荘には昼過ぎには到着できる予定だったので、できれば【1】案。天候やコンディション次第で【2】か【3】を予定。

アクセス
新宿から白馬駅まで深夜バスが出ており、白馬駅から猿倉まで路線バスが運行されているため、今回も公共交通機関のみでアクセスした。

白馬岳コースレポート

猿倉登山口 ~ 白馬尻小屋

【6:30】猿倉に到着。
バスはほぼ満車だった。登山口のある猿倉には猿倉荘があり宿泊も可能。

【6:45】猿倉登山口を出発。
最初こそ山道だが、15分ほど登ると林道へ。この林道が意外と長く、30分弱ほど歩く。なお、傾斜はほとんどない。
林道終点から山道に戻り、15分ほど進むと白馬尻小屋に到着する。なお、水を2Lほど積んで登っていたが、頻繁に沢と交錯するため、この区間で水を半分以上捨てて、ザックにマグカップを引っ掛けるスタイルに変更。
【7:42】白馬尻小屋に到着。
白馬尻小屋は2020年の営業は休止していた。区切りが良いのでここで小休憩。
ポイント 白馬尻小屋
白馬尻小屋は大雪渓の下部に位置し、冬季の雪崩による崩壊を防ぐため6月から小屋を組み立て、営業終了後10月には解体する特殊な山小屋。2020年度は営業休止のため小屋自体が組み立てられていない。

白馬尻小屋 ~ 岩室跡

【7:47】白馬尻小屋を出発。
白馬尻小屋から15分ほど登ると雪渓に出る。

自分はチェーンスパイクを持参していたのでココで装着。殆どの人がアイゼンだったが、チェーンスパイクでも全く問題はなかった。凍結している雪質ではなく踏み跡もあるので、万一忘れてしまっても最悪登れなくはない。(基本は持参です)ちなみに下山時、何も装着せずに歩いている人も見かけた。(何度か転倒してましたが..)なお、アイゼンやチェーンスパイクと同じぐらい、ストックも重要なアイテム。

チェーンスパイクを装着しているとき、コース外だったが人の数倍はある巨大な落石が発生し、現場が凍りつく場面があった。ヘルメットで防げるレベルではなく、直撃したら確実に大怪我。あと時期や年度によって違いはあると思うが、序盤に大きなクレバスがあり、クレバスをまたぐ地点もあったので要注意。
ポイント 白馬大雪渓
大雪渓を歩くにはアイゼンが必要とされており、山荘などでレンタル品も提供されている。大雪渓上は、赤いインクの軌跡が登山道の印。どこでも歩けそうだが、クレバスがあるため不用意に道から外れると危険。
ホワイトアウトのような状態になっていた区間はさすがに涼しく快適でした。ただ、抜けるとやはり暑い..。
【7:37】大雪渓の終点に到着。
大雪渓を歩いていた時間は正味30分強。クレバスと落石にさえ気をつけて登れば、特に問題はない。ただ、例年に比べて雪が少ないという声を聞いたので、時期や年度、雪質などによっても危険度や所要時間は変化するだろう。そのためだと思うが、この区間の標準コースタイムは余裕をもって設定されている。
【9:37】岩室跡に到着。
岩室跡手前に渡渉地点があり、少し不安定な箇所もあるので、渡る際は要注意。

岩室跡 ~ 白馬岳頂上宿舎

岩室跡から白馬岳頂上宿舎までの区間の標準コースタイムは2時間。この区間が猿倉コースの中でも最もキツイ。
【10:25】避難小屋に到着。
ココがこの区間のちょうど中間地点。休憩している登山者も多い。なお、小屋の後ろを流れる水の所に、「飲み水ではありません」と貼り紙がされていた。雪解け水なので衛生的ではないと思うが、そんなこと言ったらどこの水も全部飲み水じゃないってことになる気がするが..。
【11:14】白馬岳頂上宿舎に到着。
最後の方はかなりバテたが、なんとか到着。ココまでくれば白馬山荘まであと少し。ひとまず5分ほど休憩。
ポイント 水場
山と高原地図には「避難小屋直後の水場」が、コース上における最後の水場になっているが、白馬岳頂上宿舎近くの「小雪渓から流れる水場」もありました。(雪渓の水なので、年度や時期によってはないのかも)ちなみに白馬岳頂上宿舎近くの水場の水は、メチャクチャ冷たくて激ウマでした。(衛生面は保証できませんが)

白馬岳頂上宿舎 ~ 白馬山荘 ~ 白馬岳山頂

白馬岳頂上宿舎から、白馬山荘までは約15分。しかし、疲労に加え、靴擦れが痛くて思うように歩けず、距離以上に長く感じた。

【11:37】白馬山荘に到着。
白馬山荘到着後は、ひとまず宿泊手続きを済ませる。この時点で、杓子岳、白馬鑓ヶ岳まで行って戻ってくる時間は十分あったので、行く気満々だったが、ひとまず腹ごしらえ。そして食後に少し思案したが、白馬岳山頂付近は晴れているように見えたので、ひとまず主目的の山だけは、晴れているうちに登っておこうと、白馬岳山頂に向かう。
ポイント 白馬山荘の感想や評判はブログにまとめているので、興味のある方はそちらもご参照ください。
■ 北アルプス白馬岳の山小屋「白馬山荘」の評判と感想
白馬岳山頂から見た、杓子岳、白馬鑓ヶ岳は完全に霧の中。(上の写真は15時ごろ撮影したもので、山頂到着時はもっとガスっていた)これだと登っても眺望は期待できない。明日は天候が良いという情報も得ていたので、今日中に杓子岳、白馬鑓ヶ岳に向かうのを諦めて、明日向かうことにした。となると本日の行動予定はこれで終了。結果論だが、こんなことならもっとゆっくり登ってくれば良かった..。気が抜けて、山頂の岩場で腰掛けたまま、2時間ほどウトウト眠りに入る。

白馬岳山頂

15時頃に目が覚めると少し霧も取れていたが、16時頃になると再び霧が出始める。白馬山荘の食事が17時だったため、頃合いかと思い山荘まで戻ることにした。そして、17時前になるとまさかの天候回復。これまで見えていなかった劔岳も見えるなど、明らかに眺望がよくなっていたので、食事を済ませたあとはすぐ山頂に戻ることに。
山頂周辺にあった霧がとれ、南は劔岳、北東には妙高連峰など、遠くの山が見えるまで天候回復。加えて、ブロッケン現象と遭遇。実は15時頃にも出ていたが、このときが一番キレイに虹の輪ができていた。
18時半を過ぎると周辺が夕日で赤く染まり始める。
結局、昼から夜にかけて山頂にいた時間は5時間弱。山頂滞在時間の最長記録更新です。まあ、うち2時間ぐらいは寝てましたが..。
ポイント 山名標識
2020年8月1日現在、山頂の山名標識がありませんでした。山頂杭は残っていたのでそこに付けられていた、山名標識だけなくなってしまったと思われます。記念撮影するのに、山名標識がなくて困っている人をちらほらみかけました。
白馬岳からのパノラマ写真
白馬岳からのパノラマフルスクリーン(クリックで閲覧可)

白馬岳山頂

【4:45】白馬岳山頂。
前日に夕日を見てそこそこ満喫していたので、ご来光は見なくても良かったんだけど、一応見ておいた。

白馬岳 ~ 杓子岳

【6:06】白馬山荘を出発。
ほぼ予定通りの時間に出発。杓子岳を目指すが、まずは通過地点にある丸山を目指す。

丸山には2つのザックがデポされていた。自分もどこかで荷物をデポしたいと思っていたので、これは渡りに船。ザックをデポすると不便なので、着替えやクッカーセットなど重くて使わない荷物のみデポすることに。ただ、白馬鑓ヶ岳まで行って戻ってくるまで4時間と長時間なのが少し心配。まあ、取る人いないと思うけど..。

また途中、山小屋に物資を運ぶ輸送ヘリが何度も飛んでいた。同じヘリが往復していただけかもしれないが、5回以上は見かけたかと。
丸山から下りが続いて、杓子岳手前で登り返す。丸山から結構下るので、戻ってくるとき、丸山への登り返しを考えると憂鬱になる。

杓子岳への登りは、ガレ場で登りにくい上、急登という難所。ただ分岐から正味20分弱ほどあれば登れるので、ココは気合いで登り切る。

なお、前日に杓子岳は白馬岳方面からの道は急登なため、傾斜が緩やかな白馬鑓ヶ岳方面から登った方が楽なので、「先に白馬鑓ヶ岳に登り、戻ってくるときに杓子岳に登った方が良い」という登山者同士の会話を耳にしていた。しかし、いざ目の前までくると、目の前にある山は先に登っておきたいという心理が働き、急登な方から登ってしまった。でも、こっちから登ってる登山者のほうが断然多かったですけど..。

杓子岳 ~ 白馬鑓ヶ岳

【7:30】杓子岳を出発。
最後の目的地、白馬鑓ヶ岳へ向かう。杓子岳から白馬鑓ヶ岳までは一旦下って登り返す。
白馬鑓ヶ岳への上りだが、写真の①、②という2つのピークを超える2段階方式になっている。①までの方が距離は長い。
②までくれば、あとは緩やかな傾斜の道を10分弱ほど歩けば、白馬鑓ヶ岳の山頂に到着する。
白馬鑓ヶ岳までくると南の、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳が望める。
到着直後は、団体がいたこともあり賑わっていた山頂だったが、自分以外全員出発してしまい、最後は山頂にポツンと1人になってしまった。

白馬鑓ヶ岳 ~ 猿倉登山口

【8:50】白馬鑓ヶ岳を出発。
あとはきた道をひたすら戻るのみ。丸山でデポした荷物を回収して白馬岳頂上宿舎から猿倉コースを下る。
できれば 猿倉コースは白馬岳頂上宿舎から大雪渓までの区間、急登が多くかつ浮き石が多いガレ場の道が大半。落石を発生させないように気を使って下らなければならず、精神的に疲れる。このコース、下山に使うには不向き。できれば下りは、栂池高原に下ったほうが歩きやすいと思われる。なお、登りでコース写真はたくさん撮影したので、下りは花の写真を中心に撮影している。
登りでは涼しかった大雪渓だが、下りはあまり涼しくなかった。夏場はガスっているぐらいが涼しくて丁度良いのかも。ただ、時々風が吹くと冷たくて気持ち良かったけど。
【13:45】猿倉登山口に到着。
下山なので標準時間を短縮していると思ったが、ほぼ定刻通りだった。あとで気づいたが、もともと短縮した時間でスケジュールを組んでいたようで..(汗)
それでも、13時50分のバスだったので、ギリギリセーフだったが、バスの出発時間を勘違いして、トイレに行っている間にバスが出発してしまうという痛恨のミス。まあ、1時間後のバスで無事帰ることができたので良いんですが..。

白馬岳のコースタイム

1日目

予定 実際 場所
06:25~06:35 06:30~06:45 猿倉
07:35 07:42~07:47 白馬尻小屋
10:05 09:37 岩室跡
12:05 11:14 白馬岳頂上宿舎
12:25 11:37~13:00 白馬山荘
12:40~14:10 13:13~16:00 白馬岳

2日目

予定 実際 場所
06:00 06:06 白馬山荘出発
06:15 - 白馬岳頂上宿舎
07:15 07:16~07:30 杓子岳
08:15~08:45 08:21~08:50 白馬鑓ヶ岳
09:25 09:22 杓子岳分岐
10:37 10:35 白馬岳頂上宿舎
11:35 11:42 岩室跡
12:55 13:00 白馬尻小屋
13:40 13:45 猿倉

白馬岳の難易度

難易度5

16/30

総合難易度
必要体力 体力難易度4
コース距離 コース距離難易度5
所要時間 所要時間難易度3
危険度 危険度難易度2

登山難易度 登山難易度7
小屋・水場 小屋・水場難易度0
アクセス アクセス難易度2

総合難易度 総合難易度5

登山DATE 2日間

  • 歩行距離:23.66km
  • 高度上昇:2,323m
  • 高度下降:2,330m
  • 出発高度:1,250m
  • 最高高度:2,932m

  • 標高の差:1,682m
  • 活動時間:11:59
  • 休憩時間:01:11

  • 合計時間:13:10
必要体力
猿倉コースで体力的にキツイのは、大雪渓を抜けた後から、白馬岳頂上宿舎までの区間。この区間は体力勝負となる。反面、登山口から大雪渓までの区間は比較的楽に歩くことができる。杓子岳・白馬鑓ヶ岳の縦走は、杓子岳までがややキツく、白馬鑓ヶ岳は見た目ほどキツくはなかった。ただこの区間、本来ならそのまま白馬鑓温泉に抜ければ良いはずが、通行禁止の影響で白馬岳頂上宿舎まで戻らなければならなかったのは、ちょいキツかった。特に杓子岳から丸山への登り返しが、精神的にも体力的にも苦痛。
時間・距離
体力的にはそこそこキツイ反面、白馬岳のみなら朝一のバスに乗れば昼過ぎには到着できる時間のゆとりが助けてくれる。コース距離は白馬岳単独ならともかく、白馬三山を縦走するとやはりコース距離は長くなる。
危険度
猿倉コース後半の大半はガレ場のため、落石には注意が必要。また、下りは落石を発生させやすいので要注意。ヘルメットを持参している登山者も多かったが、必須ではない。心配な方は持参した方が安全だが、荷物になるのでこのレベルなら自分は持参しない。山頂付近は白馬岳、杓子岳など、切れ落ちたような崖になっている箇所があるので、崖際に寄り過ぎないこと。なお、道迷いの心配は全くない。
山小屋・水場

本コース最大の魅力は水場の豊富さ。道中のあらゆる箇所で給水が可能なので、最低限の水だけ持って登ればよい。しかも雪解け水でめっちゃ冷たいし。雪解け水なので、衛生面を不安視する声もあるが、心配なら携帯用浄水器の持参をオススメします。自分は構わず飲んでましたが、特に腹痛などはありませんでした。

加えて、登山口の「猿倉荘」、今季は営業していなかったが、雪渓手前の「白馬尻小屋」、山頂付近の「白馬岳頂上宿舎」「白馬山荘」など、山小屋も充実。水場も含めて、登る上でトップクラスの環境面の良さをほこっている。
アクセス
最寄の白馬駅まで高速バスが出ている上、白馬駅から路線バスも運行されているので、北アルプスの中でもアクセス面は良い。アクセスの良さも、白馬だけが人気の山である一要因かと。
総括
白馬岳単独なら、マイカーで早朝にアクセスして、頑張れば日帰りでも登れると思うが、ほとんどの登山者が山頂で1泊していたと思う。また、白馬三山を縦走するなら宿泊は必須。 見どころの白馬大雪渓に加え、山頂からの景観など、見どころも充実しているが、水場の豊富さ、山小屋の充実、アクセスの良さなど、環境面において恵まれており、魅力溢れる山です。北アルプスの中でも人気の山であることが納得できます。体力的にはそこそこ必要だけど時間の余裕が助けてくれると思う。個人的にもオススメの山です。
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