[雲取山登山レポ]
巨木の森を歩く!急登の野陣尾根・富田新道から登る雲取山登山
東日原 ~ 権衛ノ頭 ~ 野陣ノ頭 ~ 小雲取山 ~ 雲取山 ~ 七ッ石山 ~ 高丸山 ~ 日陰名栗山 ~ 峰谷
- 雲取山(くもとりやま)日本百名山花の百名山新花の百名山山梨百名山
- 東京都・埼玉県・山梨県の境界にある標高2,017mの山。東京都の最西端で東京都最高峰の山であり、まさに東京を代表する山。日本百名山、花の百名山に選定され、妙法ヶ岳、白岩山、雲取山の三山合わせて三峰山とも呼ばれている。雲取山には雲取山荘、三条の湯、七ツ石小屋など、山小屋が充実しており、コースも多岐にわたる。
雲取山のコース
登山口は、北側は三峯神社、天上岩の渓流、東側は日原、南側は丹波、お祭、鴨沢、峰谷となる。なお、鷹ノ巣山、六ッ石山を経由して登る人も少なくない。
- 富田新道登り利用
- 日原から日原林道を歩き、野陣尾根登るコース。日原林道を2時間30分歩かなければならない上、急登であるため、比較的下山利用者が多い。
なお、登り始めてすぐにある分岐から、唐松谷林道を歩き七ツ石山を経由するコースもあるが、2017年現在崩落ため通行禁止になっている。
- 三峰コース
- 三峯神社から霧藻ヶ峰や白岩山を経由して登るコース。
西武線の西武秩父駅や三峰口駅から三峯神社へバスが出ているため、比較的利用者は多い。
- 鴨沢コース人気コース!
- 鴨沢から登り尾根を歩き、七ツ石山を経て、山頂を目指す。最も利用者が多い人気のコース。
- 三条の湯コース
- お祭から、後山林道を歩き、三条の湯を経由して登るコース。お祭りから後山林道を約3時間歩かなければならない。
林道歩きを避けたい場合、丹波からサオラ峠を経由して三条の湯まで登ることも可能だが、コースタイムは長くなるため、こちらは下山利用者が多い。
- 峰谷コース
- 峰谷から赤指尾根沿いに登り、七ッ石山を経由して山頂を目指すコース。利用者は少ない。

今回歩いたルートであれば「山と高原地図 奥多摩」で全域が掲載されています。
雲取山の登山計画
- プラン
- 今回の登山目的は、奥多摩急登チャレンジ登山の締めくくり。雲取山を富田新道・野陣尾根から登るコースは、奥多摩三大急登に勝るとも劣らない屈指の急登だという情報を聞いたので、その検証を兼ねた登山でもある。
- コース
- コースタイム的に日帰りもギリギリ可能だが、かなりタイトなスケジュールとなるため、1泊2日を計画。宿泊場所は、山頂の雲取避難小屋を予定していたが、避難小屋が混雑して宿泊できない場合は、雲取山荘か奥多摩小屋も候補に。下山は赤指尾根を予定していたが、3年前に石尾根縦走路から登った際に見落としたポイントを回収するために、浅間尾根(鷹ノ巣山のコース)から下山することにした。ちなみに見落とした内容は、七ツ石山の由来となっている7つ石(岩)の確認、日陰名栗山のピーク確認、小雲取山のピーク確認、そして雲取山からのご来光を拝むこと。なお、これまでの急登チャレンジと条件をなるべく同じにするため、ストックは持参しなかった。
関連レポート
雲取山コースレポート
東日原 ~ 唐松谷の出合
東日原から途中の八丁橋までは、先週登った天祖山のときにも歩いている。天祖山のときもそうだったが、登山者の大半は天目山か鷹ノ巣山が目的。今日も孤独な登山になるのかな..と思っていたら、奇跡的に1人だけ同じルートの登山者発見。すでに仕事を引退されたシニア登山者だが、毎週奥多摩にきているそうで、かなりバイタリティありそうな感じ。しかも、富田新道は何度か登り下りで利用したことがあるそうで、人の極端に少ないコースなので、なんか気持ちがホッとした。ルートは富田新道の野陣尾根から登るまでは一緒だが、宿泊は長沢背稜の何処かでテントを張るらしい。
【08:49】八丁橋のゲートに到着。
東日原から八丁橋までは約50分。八丁橋まではさほど長く感じないが、八丁橋以降はやたらと長い。おそらく、八丁橋までの50分+αの累積であることに加え、景色に特色や変化がないためだろう。東日原から標高380mをこの林道歩きで登るが、幸い傾斜も緩やかでさほどキツさは感じない。
【09:46】野陣尾根・富田新道入口に到着。
約2時間弱の林道歩き。体力はそれほど消耗していないが、気分的に疲れた。ココで既に標高1,000m。
なお、まっすぐ進み大ダワ林道沿いから雲取山に登るコースは、2010年から崩落により通行禁止。大ダワ林道は死亡事故も発生しており、他登山者のレポートからも相当危険らしい。さらに、唐松谷林道も崩落のため通行禁止になっているため、現在日原林道から雲取山へアクセスするには野陣尾根・富田新道のみとなっている。
もう一人の登山者は、登山口で行動食を食べるため休憩していたが、自分は唐松谷林道分岐で、朝食のパンを食べる予定だったためそのまま進む。足場は不安定だが、沢まで近づけるため、給水は可能。この水場以降、石尾根に出るまで水場はない。ココまでが第一ステージ。
唐松谷の出合 ~ 標高1,414m地点
【10:16】唐松林道分岐に到着。
分岐を少し登った先に巨木があったため、その脇に腰をおろして朝食&中休憩。
山と高原地図には記されていないが、国土地理院の地図には記されている。ココまでが第二ステージ。
標高1,414m地点 ~ サワラノ平(標高1,708m)
【12:02】サワラノ平に到着。
少し手前でガッツリ休憩してしまったので、そのまま進む。ちなみに、サワラはヒノキ科の針葉樹の名称なので、このあたりの木々にはサワラが多いのかと。ココまでが第三ステージ。
サワラノ平(標高1,708m) ~ 権衛ノ頭 ~ 野陣ノ頭
サワラノ平までくれば、富田新道・野陣尾根を攻略したも同然!あとは小雲取山まで、傾斜も緩やで雰囲気の良い稜線を歩くため、鼻歌でも歌いながら気軽に歩ける道。
この時点で時間とスケジュールを確認したところ、このまま進むと相当早く雲取山に到着してしまう。権衛ノ頭周辺は雰囲気も良いので、時間調整のため休憩をとる。
権衛ノ頭から目と鼻の先だった。景色も微妙で、権衛ノ頭で休憩もしたのでそのまま通過。
野陣ノ頭 ~ 雲取山荘
【13:07】石尾根縦走路の合流地点(小雲取山)に到着。
石尾根縦走路に合流すると同時に10人ほどの団体登山者と遭遇。いつものことだが、富田新道・野陣尾根は登山者が少なかったので、このギャップが嬉しいやら悲しいやら複雑な心境。
小雲取山の山頂だが、やはりコース上には見当たらない。地図的にはこの合流地点と小雲取山の山頂はほぼ同一地点。次の写真のピークが小雲取山っぽい。のちにネットで調べると一応ピークを踏めるようだ。コース外ならと今回もスルーしてしまったので、次回以降の宿題。
さて、ココから雲取山の山頂へ行く前に、水とビールを調達するため巻き道を使って雲取山荘へ向かう。雲取山荘への巻き道周辺は、東京で唯一の亜高山帯の原生林が広がる森で、年間平均気温が約6度しかないらしい。そのため、この時期でも雪が多く残っていた。【13:46】雲取山荘に到着。
巻き道なのですぐに到着するかと思いきや、結局分岐から30分ほど歩いたので、これなら山頂を通過してもあまり変わらない気がする。雲取山荘前のベンチで富田新道・野陣尾根を一緒に登っていた登山者が先着し休憩していた。
雲取山荘 ~ 雲取山の山頂
3年前に登ったときもそうだったが、雲取山の北側斜面は雪が残りやすい。東京平野部では昨日雨だったが、雲取山では雪だったのかも。石尾根側から登るより道は急で険しい。
雲取山には北側、南側と2つのピークがあり、三角点や山頂標識は北側に設置されている。南側には雲取避難小屋がある。3年前登ったときは木製だった山頂標識も、立派な石碑に変わっていた。残念ながら富士山は見えず。
雲取山の山頂(昼・夕)
避難小屋を覗くと2名のソロシニア登山者が先着していた。今日は日曜日なので、この時間で2名だと避難小屋が人で溢れかえることはなさそうなので、ホッと一安心。奥多摩の避難小屋に共通していることだが、雲取避難小屋内部は普通にきれいです。[雲取避難小屋内部]
それでいて、小屋から少し離れた場所にトイレもあるので、申し分なし。場所取りだけして、山頂で遅めの昼食兼夕食をとる。
雲取山の山頂(早朝)
雲取山からの朝焼けにご来光です。
雲取山の山頂 ~ 七ッ石山
【7:46】雲取山の山頂を出発。
下山予定は峰谷で、七ッ石山、高丸山、日陰名栗山を越え、鷹ノ巣山避難小屋から浅間尾根を下る予定。
まずは、ヨモギノ頭を通り、奥多摩小屋を目指す。
【8:20】奥多摩小屋に到着。
奥多摩小屋から3分ほど下った場所に水があるので、そこで下山用の水を調達。ちなみにこの奥多摩小屋は素泊まりのみ宿泊可能な山小屋だが、ネット上の評判は良くない。それもあってか、山小屋泊まりの登山者はほとんど雲取山荘に流れているようだ。水場も近く、ビールは奥多摩小屋で購入できるので、テント泊には申し分ないロケーション。
【9:02】七ッ石山の山頂に到着。
七ッ石山から、雲取山までの道(稜線)が見える。でも、このときはちょっとガスっていて見えづらかった。3年前の登山で見落とした七ッ石山の七ッ石だが、あっさり発見。前回は石尾根縦走路をヘロヘロの状態で登っていたので、疲れ切って周りが見えていなかったのかも。
七ッ石神社。(クリックで社殿拡大)
【9:54】高丸山の山頂に到着。
天に突き出たような形をした山なので、さぞ景色は良いかと思いきや微妙に良くない。傾斜も急なので、登りのときは巻いた方が無難なピーク。七ッ石山よりもしんどかったし。
【10:20】日陰名栗山に到着。
高丸山からの登り返しはあったが、キツイ登り返しではなかった。ピーク自体はわかりにくいが大きい山名標識が設置されている。3年前は気付かず通過したが、疲れていてもさすがにこの山名標識には気付くと思うので、前回山名標識はなかったのかも。
予定していた見落としポイントの回収も終えたので、あとは下山するのみ。峰谷バス停の時刻表を調べるが、なんと峰谷からのバスは1日3本しか出ておらず、昼の便は12時31分のみ。もっとバスの本数が多いと甘くみていた。このバスに乗れないと峰谷橋まで歩かなければならない。標準コースタイムを巻かなければ間に合わないため、急いで出発。
日陰名栗山から鷹ノ巣山避難小屋まで急勾配の道だったので、登りの場合は結構キツイと思う。雲取山まで距離もあるので、体力があり余っていなければココも巻き道を進んだほうが無難。鷹ノ巣山避難小屋から浅間尾根(せんげんおね)に入る。最初こそ道はトラバースしているが、すぐに尾根上となり、途中の浅間神社手前まで真っ直ぐに道が伸びている。浅間尾根の道は踏み固められていて歩きやすく危険箇所もないが、見どころ的なトピックスもない。
【11:30】浅間尾根の登山口に到着。
地図から途中で林道に出ることはわかっていたが、まさか民家があるとは思っていなかったのでビックリ。後で調べると、峰谷には峰集落と奥集落があり、このあたりは峰谷の中でも奥に位置する奥集落。なんでも、東京都で最も標高の高い場所にある家がこの峰集落にあるそうで。
なんとか、12時31分のバスに間に合ってホッと一安心。バス停周辺は、そよ風で桜吹雪が舞い、のどかで良い雰囲気でした。
関連レポート
雲取山コースタイム
1日目
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
08:00 | 08:04 | 東日原バス停 |
09:07 | 08:49 | 八丁橋 |
10:27 | 09:55 | 唐松谷の出合 |
10:57 | 10:16~10:34 | 唐松林道分岐 |
- | 12:02 | サワラノ平 |
- | 12:27~12:37 | 権衛ノ頭 |
- | 12:47 | 野陣ノ頭 |
14:27 | 13:06 | 小雲取山 |
14:57~15:07 | 13:46~14:13 | 雲取山荘 |
15:27 | 14:38 | 雲取山 |
2日目
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
04:30 | 04:15 | 起床 |
- | 08:10 | 雲取山出発 |
- | 08:20~08:30 | 奥多摩小屋 |
- | 09:02 | 七ッ石山 |
- | 09:54 | 高丸山 |
- | 10:20 | 日陰名栗山 |
- | 10:37 | 鷹ノ巣山避難小屋 |
- | 11:30 | 浅間尾根登山口 |
12:25 | 12:14 | 峰谷バス停 |
雲取山の難易度

15/30
総合難易度必要体力 | ![]() |
コース距離 | ![]() |
所要時間 | ![]() |
危険度 | ![]() |
登山難易度 | ![]() |
小屋・水場 | ![]() |
アクセス | ![]() |
総合難易度 | ![]() |
登山DATE
- 歩行距離:33.31km
- 高度上昇:2,649m
- 高度下降:2,700m
- 出発高度:0,614m
- 最高高度:2,017m
- 標高の差:1,403m
- 活動時間:09:33
- 休憩時間:01:05
- 合計時間:10:38
お気軽にどうぞ!
冨田新道・野陣尾根からのコースは奥多摩屈指の急登との情報を得て、実施した今回の山行。まず、厄介なのが東日原から登山口までの長ーい林道歩き約2時間。このコースが敬遠される最大の原因はこれだろう。幸い、距離に対して傾斜が緩やかなため、林道歩きでの体力の消耗は殆どないが、やはり2時間は長い。
登山口の少し先、唐松谷の出合から急登スタート。序盤の沢地形から尾根に出るまでは、これまで登った急登と同じくツライ区間。ただし、前回登った天祖山の序盤よりかは楽だった。尾根上に出てからも上りは続くが、緩やかな傾斜となる体力回復ゾーンもあるので、それほど苦痛ではない。問題は、サワラノ平手前の急登。この区間は冨田新道・野陣尾根における最大・最強の難所と言える。
サワラノ平まで到着すれば、このコースは攻略したも同然。その後、小雲取山を経由して雲取山までの道は、楽しく登ることができる。