九重山

九重山登山

九重山

Kujyuzan

白

[九重山登山レポ]
牧ノ戸峠から登る九重連山縦走登山その1

2020年11月24日(火)天候:晴時々曇り
牧ノ戸峠 ~ 沓掛山 ~ 星生山 ~ 天狗ヶ城 ~ 中岳 ~ 白口岳 ~ 立中山 ~ 法華院温泉山荘 まで
  • 九重山(くじゅうざん)日本百名山
  • 九重山は、大分県玖珠郡九重町から竹田市北部にかけて広がる火山群の総称。山の名称について、「九重山」「久住山」「九重連山」などさまざまな表記や呼び名があり、どれを正式とするかで議論されてきた。現在は、火山群の主峰である山を「久住山」、火山群全体を「九重山」または「九重連山」とし、また地元では「くじゅう連山」というひらがな表記に統一されている。九重山の代表的な山は、久住山(1,787m)、中岳(1,791m)、稲星山(1,774m)、星生山 (1,762m)、三俣山(1,745m)、大船山(1,786m)など。
    九重山には、国内最大級の湿原「タデ原湿原」や「坊ガツル」があり、これらの湿原はラムサール条約※に登録されている。また、坊ガツルの北西には、法華院温泉山荘があり、多くの登山者に利用されている。
※1971年2月にイランのラムサールで採択された湿地に関する条約。国際的に重要な湿地を登録し、湿地の保全及び湿地に生息する動植物の保全を促進することが規定されている。
  • 久住山(くじゅうざん)花の百名山大分百山
  • 九重山を代表する標高1,787mの火山。九重山として日本百名山にも選定されているが、個別に花の百名山にも選ばれている。
  • 中岳(なかだけ)大分百山
  • 九重山(九重連山)を形成する標高1,791mの火山で、九重連山の最高峰にして九州本土最高峰。かつては、久住山や大船山(たいせんざん)が最高峰とされていたが、いずれも登山者の増加などで山頂が崩落し、1980年の再測量によって中岳が最高峰となった。

九重山の代表的なコース

九重山の地図 九重山の地図。(山と高原地図ではなく、法華院温泉山荘に張られていた地図)

九重山の登山口は、東西南北四方八方にあり、どの山を目指すかによって、そのコースもさまざま。ただ、よく利用されている登山口は、阿蘇市と別府市を結ぶやまなみハイウェイ沿線にある長者原(バス停:くじゅう登山口)と牧ノ戸峠で、よく登られているのは久住山、中岳、大船山(日本三百名山)などである。

九重山の登山道の最新情報が「長者原ビジターセンター」のホームページで紹介されている。登山道の崩落などで道が通行止めになっていることもあるので、事前に必ず確認しておくことをオススメします。
  • 牧ノ戸峠から九重山登り利用人気コース!
  • 牧ノ戸峠から沓掛山を経て、久住山や中岳を目指すコース。日帰りの場合、本コースのピストンで登っている登山者が多い。
  • 長者原から九重山下り利用
  • 長者原から三俣山の南をとおり、久住山や中岳を目指すコース。法華院温泉山荘に宿泊する場合、長者原を利用する登山者が多い。
山と高原地図
九重山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「阿蘇・九重」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

九重山登山計画

アクセス
早朝は大分駅前のホテルから出発。大分市内から九重山に公共交通機関でアクセスするには、九州産交の九州横断バスを利用するしかない。しかし、このバスで最も早い便にのっても、牧の戸峠着は10時01分となる。早朝にアクセスしたいなら、レンタカーを借りるしかない。
プラン

当初は日帰りを考えたが、10時01分着のバスで到着し、牧の戸峠15時32分の最終バスに乗るのはスケジュール的に厳しい。その場合、もし登れたとしても、せいぜい久住山ぐらいだろう。久住山や中岳など九重山を縦走するなら前日に登山口近くまで移動し近くの宿に宿泊するか、九重山にある法華院温泉山荘に宿泊するかのいずれか。前日入りで登山口近くの宿に宿泊して翌日帰るより、法華院温泉山荘に宿泊する1泊2日のスケジュールの方が断然魅力的だったので、そちらに決定。2日目は時間に余裕があるため、大船山(日本三百名山)をスケジュールに組み込んだ。

なお、2日目11月25日は、16時25分大分空港発の飛行機に乗りその日のうちに東京に戻らなければならない。一見すると夕方の便なので、時間に余裕があるように思えるが、この帰りのスケジュールを組むのにもかなり苦慮した。詳細は2日目の大船山のレポートに記しておきます。

関連レポート

九重山コースレポート

牧ノ戸峠 ~ 沓掛山(くつがけやま)

【10:02】牧ノ戸峠に到着。
バスでほぼ予定通りの時間に牧ノ戸峠に到着。出発準備を整え10時10分から登山開始。なお、登山口は茶屋の左側にあり、まあすぐにわかると思う。

登り始めはコンクリートで舗装された階段上の道。10分ほど登ると第一展望所があり、早くも眺望を楽しむことができる。
第一展望所からさらに階段を10分ほど登ると、露岩地帯に出る。露岩地帯を少し進むとあっさり沓掛山に到着。

沓掛山 ~ 星生山(ほっしょうざん)

沓掛山からは少し下って、その後は扇ヶ鼻分岐まで緩やかな傾斜の道。

【11:12】扇ヶ鼻分岐に到着。
左の「久住山」と書かれた道標の方向に進む。ちなみに扇ヶ鼻分岐の先には、西千里ヶ浜と呼ばれる湿原が広がっている。

扇ヶ鼻分岐の少し先にあるのが星生山。星生山への登山道は迂回路となっており巻き道があるため、大半の登山者はこの巻き道を通り、久住山や中岳に向かっている。しかし山と高原地図の標準コースタイムを確認すると20分しか差がないため、急遽星生山も登る予定に組み込んだ。ただ、実際に見ると標高差もあり、簡単に登れるようには見えずちょっと不安に..。
ポイント星生山の登山道
2019年度版の「山と高原地図」には、扇ヶ鼻分岐の少し先から星生山に向かう道も記されていたが、道標はなく法華院温泉山荘に張られていた地図にその道は描かれていなかったことから、現在は廃道になっていると思われます。

扇ヶ鼻分岐の少し先、星生山の南側の登山道に、山と高原地図では水場マークが記されているが、水場は見当たらなかった。調べたところ昔は扇ヶ鼻分岐あたりに水場があったらしいが、現在はなくなっているようだ。

星生山へ登る道だが結構な急登。登る前から悪い予感はしていたが、結構キツイ..。また、星生山に登っている途中で、久住山が霧に覆われ始める。うーん、予定になかった星生山に登って、肝心要の久住山が霧で覆われてしまっては元も子もない。とは言っても今更戻れないので、とにかく先を急ぐ。
【11:38】星生山に到着。
山と高原地図には、扇ヶ鼻分岐から星生山まで、20分となっているが、めちゃくちゃ急いで26分でした。あきらかに標準コースタイムの設定がおかしい。星生山の山頂には登山者1名のみ。苦労したかいあって、展望・眺望は抜群です。
ポイント山と高原地図「阿蘇・九重」
山と高原地図「阿蘇・九重」は、既にない水場や廃道が掲載されていたり、実態にそぐわないコースタイムの区間があるなど、少々誤った箇所が散見されるため、要注意です。
展望がきくので、時間があれば星生山でゆっくりしていきたいが、先を急ぐためすぐさま出発。
星生山の山頂から久住山避難小屋の上に出るまで尾根沿いを歩くが、想定外の悪路で歩きにくい..。このあたりでシニアの夫婦を見かけましたが「あなたが楽だって言うからきたけど、全然楽じゃないわよ」って感じの会話で、軽い痴話喧嘩してました。自分も「山と高原地図」の標準コースタイムから楽だと思って登ったら、全然楽じゃなかったので、全く同じ気分です。

星生山 ~ 中岳

【11:59】久住山避難小屋に到着。
すでに時間は12時で、久住山の霧がどんどん濃くなってきているので、先を急ぐ。久住山避難小屋から、久住山まで標準コースタイムで40分と、もうひと踏ん張り必要。
久住山まであと20分の分岐地点に到着。ココで立ち止まって思案。久住山はガスガスで、登っても何も見えない可能性が高い。幸い天狗ヶ城・中岳はまだ晴れているが、いつ久住山の霧が天狗ヶ城・中岳まで広がるかわからない状況。もっとも最悪なシナリオは、久住山に登りガスガスで何も見えず、久住山に登っている間に天狗ヶ城・中岳まで霧に覆われてしまうこと。昨日登った阿蘇山もガスガスで何も見えなかったため、九州まできて2日連続視界ゼロはなんとしても避けたかったため、今回久住山はパス。そうと決めたら、天狗ヶ城・中岳に1秒でも早く到着しておきたいため、天狗ヶ城・中岳に目的地を変えて先を急ぐ。
ポイント実は登ったことがあった久住山
後に知ったが、実は久住山には中学の修学旅行で登っていたことが判明。ほとんど記憶にないが、卒業アルバムにきちんと写真が載ってました。コースは不明だが、かすかに縦走ではなくピストンだった記憶があるので、おそらく南の赤川温泉からピストンしたと思われる。
天狗ヶ城から中岳までは約10分の近距離。登山道は尾根伝いに伸びている。距離も時間も大したことない区間だが、疲労の蓄積でクタクタ..。気力で登りきった。
中岳からようやく本日の最終目的地「坊ガツル」が見える。ひとまずお腹が減ったので、中岳でおにぎりを食べながら中休憩。
九重山の中岳からのパノラマ写真 九重山の中岳からのパノラマフルスクリーン(クリックで始動)
到着した当初は、学生の団体がいたので賑わっていたが、いなくなると閑散とした雰囲気に。やっぱり九州最高峰の中岳よりも、久住山の方が人気なのかも。

中岳 ~ 白口岳(しらくちだけ)

【13:00】中岳を出発。
次なる目的地は白口岳。まずは中岳を南東方面に下って、稲星山への分岐を目指す。ちなみに、中岳の南西には東千里ヶ浜と呼ばれる湿原が広がっており、星生山の南にある西千里ヶ浜の対となる湿原。
かつて中岳の南側から、白口谷を通り坊ガツルへ抜けるコースも存在したようだが、現在は廃道となっている。この道が通れれば、わざわざ白口岳を経由しなくてもよいんだけど。あと、白口岳周辺の登山道は道幅が狭い上、なんの植物かわからない固い枝が登山道に出張っており、その枝が腕に当たって痛い..。白口岳に登るなら長袖は必須。
ポイント白口岳へのショートカット道
2019年度版の「山と高原地図」には、白口岳へのショートカット道と水場が記されていたが、この道も見つけられず。道標がなかったことと、法華院温泉山荘に張られていた地図にその道は描かれていなかったことから、現在は廃道になっていると思われる。
稲星越で北に方角を変え、白口岳に取り付く。
白口岳周辺だが、白口岳の北側登山道が崩落しており、その影響もあってか九重連山の山域でも登山者は少なく、白口岳の手前で1人すれ違っただけだった。白口岳へは稲星越から10分ほどで登れるので、序盤の星生山や中岳よりも、体力的には楽に登れる。
【13:31】白口岳に到着。
白口岳も到着直後はガスっていたが、休憩しているうちに晴れました。白口岳からも星生山や中岳同様に360度の大展望。特に大船山(たいせんざん)を望むなら、白口岳がもってこいのビュースポット。
九重連山はどの山も山頂付近に樹木がないため、どのピークからでも展望が素晴らしい。この展望の良さが九重山人気のゆえんなのかも。

白口岳 ~ 立中山(たっちゅうさん)

【13:42】白口岳を出発。
次なる目的地は立中山。まずは白口岳と立中山の鞍部にある鉾立峠を目指す。

さてこの区間が問題で、九州地方を中心に甚大な被害をもたらした「令和2年7月豪雨」の影響で、登山道が崩落しているとの情報。事前に他登山者のブログで現場の状況はチェックしているので問題はないと思うが、一応注意しながら下る。
白口岳から鉾立峠に近づく終盤の登山道はぬかるみ地獄で道の状況は最悪。足が埋まるタイプではなく滑るタイプのぬかるみで、滑り止め用として地面に杭が撃ち込まれていたり、ロープが設置されている箇所も多数。凍結しているのと状況は似ており、傾斜もあるため、もはやアイゼンが必要なレベルだった。登りならともかく、下りでは二度と通りたくない道。
【14:17】鉾立峠に到着。
鉾立峠には、鉾をイメージした大きな標柱が設置されている。鉾立峠にザックをデポして、立中山へ向かう。立中山までは標準コースタイムで約20分。

立中山から久住山の方を見ると、霧が晴れているような気が..。くしくもこの時間になって天候が回復したのかも。

立中山で横になって昼寝していると、三俣山の上でホバリングしていたヘリが、こちらにやってきて自分の真上でホバリング。しばらくの間、三俣山と立中山の間を何度か往復して、ホバリングを繰り返す。明らかにこちらを意識している動きだったが、遭難者でも探していたのだろうか?[ホバリングするヘリ]

立中山 ~ 法華院温泉山荘

【15:05】鉾立峠。
立中山から戻ってきました。日が傾き始めたことで陽の光が鉾立峠に届かなくなっており、寂し気な雰囲気に包まれていた。ザックを回収して、法華院温泉へと向かう。

鉾立峠から法華院温泉山荘への道だが、令和2年7月豪雨の爪痕が数多く見受けられた。

【15:24】法華院温泉山荘に到着。
最終的に予定より1時間ほど早く到着できました。明日の大船山登山に向けて温泉で英気を養う。

To be continued...
ポイント 法華院温泉山荘の感想や評判はブログにまとめているので、興味のある方はそちらもご参照ください。
■ 九重山の山小屋「法華院温泉山荘」の評判と感想

関連レポート

九重山コースタイム

予定 実際 場所
10:00~10:05 10:02~10:10 牧ノ戸峠
10:30 10:38 沓掛山
11:15 11:12 扇ヶ鼻分岐
- 11:38 星生山
11:45 11:59 久住分かれ
12:25~12:40 - 久住山
13:30 12:31 天狗ヶ城
13:40~14:00 12:41~13:00 中岳
14:35 13:31~13:42 白口岳
15:25 14:17 鉾立峠
15:45~15:55 14:43~15:00 立中山
16:10 15:05 鉾立峠
16:30 15:24 法華院温泉山荘

九重山の難易度

難易度4

15/30

総合難易度
必要体力 体力難易度3
コース距離 コース距離難易度2
所要時間 所要時間難易度2
危険度 危険度難易度1

登山難易度 登山難易度4
小屋・水場 小屋・水場難易度3
アクセス アクセス難易度4

総合難易度 総合難易度5

登山DATE

  • 歩行距離:10.49km
  • 高度上昇:0,722m
  • 高度下降:0,779m
  • 出発高度:1,330m
  • 最高高度:1,791m

  • 標高の差:0,461m
  • 活動時間:04:27
  • 休憩時間:00:55

  • 合計時間:05:22
必要体力・距離・時間

今回は、九重連山の沓掛山、星生山、天狗ヶ城、中岳、白口岳、立中山と、合計6つのピークをハント。牧ノ戸峠(標高1,330m)からスタートしているので、最高峰中岳との単純標高差は461mだが、6つのピーク間でアップダウンがあるため、獲得標高は722m。ただそれでも獲得標高は722mで、距離も約10km、活動時間も約4時間半と、数値からみた難易度は中級レベル。

今回は、11時ごろから久住山に霧が出始め、星生山から中岳まで急いで登ったので、疲れました。公共交通機関を利用すると、九重山の主峰にはどんなに早くても昼前後の到着になるため、霧が出やすく視界不良になりやすいリスクがある。
危険度・水場

滑落が危ぶまれるような危険個所はなく、道迷いの心配もない。ただし、大半がガレ場なので、歩行には少し注意が必要。道中背丈の高い樹木は皆無なので、天候が崩れると雨や風の影響をもろに受けるので、天候が悪い時の防風・防雨対策は必須。

久住山・中岳の山塊で機能している水場は、今回寄らなかった稲星山の西にある神明水のみ。ただし神明水も渇水期は枯れている可能性があるらしいので、基本的には給水がなくても問題がない量の水を持参する必要がある。
アクセス
前日に登った阿蘇山よりもアクセス難易度は高め。公共交通機関を利用すると、登山開始がどうしても遅くなるため、レンタカーを借りてアクセスしたほうが良いかもしれない。
総括
九州地方を代表する山だけあって、圧倒的なスケール感。法華院温泉山荘に「山登りはくじゅうに始まりくじゅうに終わる」と書かれた額縁が飾られていたが、登る山を調整すれば、初心者から上級者まで、幅広く楽しめる。また、6月初旬~中旬にミヤマキリシマの大群落、10月下旬~11月中旬は紅葉が楽しめるようで、季節が変わればまた違った山の様相を楽しめるだろう。
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