[九重山登山レポ]
牧ノ戸峠から登る九重連山縦走登山その1
牧ノ戸峠 ~ 沓掛山 ~ 星生山 ~ 天狗ヶ城 ~ 中岳 ~ 白口岳 ~ 立中山 ~ 法華院温泉山荘 まで
- 九重山(くじゅうざん)日本百名山
- 九重山は、大分県玖珠郡九重町から竹田市北部にかけて広がる火山群の総称。山の名称について、「九重山」「久住山」「九重連山」などさまざまな表記や呼び名があり、どれを正式とするかで議論されてきた。現在は、火山群の主峰である山を「久住山」、火山群全体を「九重山」または「九重連山」とし、また地元では「くじゅう連山」というひらがな表記に統一されている。九重山の代表的な山は、久住山(1,787m)、中岳(1,791m)、稲星山(1,774m)、星生山 (1,762m)、三俣山(1,745m)、大船山(1,786m)など。
九重山には、国内最大級の湿原「タデ原湿原」や「坊ガツル」があり、これらの湿原はラムサール条約※に登録されている。また、坊ガツルの北西には、法華院温泉山荘があり、多くの登山者に利用されている。
- 久住山(くじゅうざん)花の百名山大分百山
- 九重山を代表する標高1,787mの火山。九重山として日本百名山にも選定されているが、個別に花の百名山にも選ばれている。
- 中岳(なかだけ)大分百山
- 九重山(九重連山)を形成する標高1,791mの火山で、九重連山の最高峰にして九州本土最高峰。かつては、久住山や大船山(たいせんざん)が最高峰とされていたが、いずれも登山者の増加などで山頂が崩落し、1980年の再測量によって中岳が最高峰となった。
九重山の代表的なコース
九重山の登山口は、東西南北四方八方にあり、どの山を目指すかによって、そのコースもさまざま。ただ、よく利用されている登山口は、阿蘇市と別府市を結ぶやまなみハイウェイ沿線にある長者原(バス停:くじゅう登山口)と牧ノ戸峠で、よく登られているのは久住山、中岳、大船山(日本三百名山)などである。
九重山の登山道の最新情報が「長者原ビジターセンター」のホームページで紹介されている。登山道の崩落などで道が通行止めになっていることもあるので、事前に必ず確認しておくことをオススメします。- 牧ノ戸峠から九重山登り利用人気コース!
- 牧ノ戸峠から沓掛山を経て、久住山や中岳を目指すコース。日帰りの場合、本コースのピストンで登っている登山者が多い。
- 長者原から九重山下り利用
- 長者原から三俣山の南をとおり、久住山や中岳を目指すコース。法華院温泉山荘に宿泊する場合、長者原を利用する登山者が多い。
九重山登山計画
- アクセス
- 早朝は大分駅前のホテルから出発。大分市内から九重山に公共交通機関でアクセスするには、九州産交の九州横断バスを利用するしかない。しかし、このバスで最も早い便にのっても、牧の戸峠着は10時01分となる。早朝にアクセスしたいなら、レンタカーを借りるしかない。
- プラン
当初は日帰りを考えたが、10時01分着のバスで到着し、牧の戸峠15時32分の最終バスに乗るのはスケジュール的に厳しい。その場合、もし登れたとしても、せいぜい久住山ぐらいだろう。久住山や中岳など九重山を縦走するなら前日に登山口近くまで移動し近くの宿に宿泊するか、九重山にある法華院温泉山荘に宿泊するかのいずれか。前日入りで登山口近くの宿に宿泊して翌日帰るより、法華院温泉山荘に宿泊する1泊2日のスケジュールの方が断然魅力的だったので、そちらに決定。2日目は時間に余裕があるため、大船山(日本三百名山)をスケジュールに組み込んだ。
なお、2日目11月25日は、16時25分大分空港発の飛行機に乗りその日のうちに東京に戻らなければならない。一見すると夕方の便なので、時間に余裕があるように思えるが、この帰りのスケジュールを組むのにもかなり苦慮した。詳細は2日目の大船山のレポートに記しておきます。
関連レポート
九重山コースレポート
牧ノ戸峠 ~ 沓掛山(くつがけやま)
【10:02】牧ノ戸峠に到着。
バスでほぼ予定通りの時間に牧ノ戸峠に到着。出発準備を整え10時10分から登山開始。なお、登山口は茶屋の左側にあり、まあすぐにわかると思う。
山というより露岩の小ピークといった感じ。沓掛山から早くも、三俣山、星生山、久住山、中岳など九重連山の主脈をとらえることができる。
沓掛山 ~ 星生山(ほっしょうざん)
【11:12】扇ヶ鼻分岐に到着。
左の「久住山」と書かれた道標の方向に進む。ちなみに扇ヶ鼻分岐の先には、西千里ヶ浜と呼ばれる湿原が広がっている。
2019年度版の「山と高原地図」には、扇ヶ鼻分岐の少し先から星生山に向かう道も記されていたが、道標はなく法華院温泉山荘に張られていた地図にその道は描かれていなかったことから、現在は廃道になっていると思われます。
扇ヶ鼻分岐の少し先、星生山の南側の登山道に、山と高原地図では水場マークが記されているが、水場は見当たらなかった。調べたところ昔は扇ヶ鼻分岐あたりに水場があったらしいが、現在はなくなっているようだ。
星生山へ登る道だが結構な急登。登る前から悪い予感はしていたが、結構キツイ..。また、星生山に登っている途中で、久住山が霧に覆われ始める。うーん、予定になかった星生山に登って、肝心要の久住山が霧で覆われてしまっては元も子もない。とは言っても今更戻れないので、とにかく先を急ぐ。山と高原地図には、扇ヶ鼻分岐から星生山まで、20分となっているが、めちゃくちゃ急いで26分でした。あきらかに標準コースタイムの設定がおかしい。星生山の山頂には登山者1名のみ。苦労したかいあって、展望・眺望は抜群です。
山と高原地図「阿蘇・九重」は、既にない水場や廃道が掲載されていたり、実態にそぐわないコースタイムの区間があるなど、少々誤った箇所が散見されるため、要注意です。
星生山 ~ 中岳
すでに時間は12時で、久住山の霧がどんどん濃くなってきているので、先を急ぐ。久住山避難小屋から、久住山まで標準コースタイムで40分と、もうひと踏ん張り必要。
後に知ったが、実は久住山には中学の修学旅行で登っていたことが判明。ほとんど記憶にないが、卒業アルバムにきちんと写真が載ってました。コースは不明だが、かすかに縦走ではなくピストンだった記憶があるので、おそらく南の赤川温泉からピストンしたと思われる。
なんとか霧が出る前に到着できた。しかし、本日の主目的である九重連山の最高峰にして九州本土の最高峰の中岳がまだ残っているので、先を急ぐ。
到着した時は少しガスってましたが、その後なんとか晴れました。ただし、久住山や稲星山方面は、引き続き霧が晴れず。でも、それ以外は晴れているので良しとします。ひとまず本日の主目的はこれで果たしたので一安心。
中岳 ~ 白口岳(しらくちだけ)
次なる目的地は白口岳。まずは中岳を南東方面に下って、稲星山への分岐を目指す。ちなみに、中岳の南西には東千里ヶ浜と呼ばれる湿原が広がっており、星生山の南にある西千里ヶ浜の対となる湿原。
2019年度版の「山と高原地図」には、白口岳へのショートカット道と水場が記されていたが、この道も見つけられず。道標がなかったことと、法華院温泉山荘に張られていた地図にその道は描かれていなかったことから、現在は廃道になっていると思われる。
白口岳も到着直後はガスっていたが、休憩しているうちに晴れました。白口岳からも星生山や中岳同様に360度の大展望。特に大船山(たいせんざん)を望むなら、白口岳がもってこいのビュースポット。
白口岳 ~ 立中山(たっちゅうさん)
【13:42】白口岳を出発。
次なる目的地は立中山。まずは白口岳と立中山の鞍部にある鉾立峠を目指す。
鉾立峠には、鉾をイメージした大きな標柱が設置されている。鉾立峠にザックをデポして、立中山へ向かう。立中山までは標準コースタイムで約20分。
【14:43】立中山に到着。
標高は高くないが山頂付近は平で、見晴らしも良いので気持ちがいいです。あとは法華院温泉山荘に向かうだけで、時間に余裕があるため、立中山で昼寝することに。
立中山から久住山の方を見ると、霧が晴れているような気が..。くしくもこの時間になって天候が回復したのかも。
立中山で横になって昼寝していると、三俣山の上でホバリングしていたヘリが、こちらにやってきて自分の真上でホバリング。しばらくの間、三俣山と立中山の間を何度か往復して、ホバリングを繰り返す。明らかにこちらを意識している動きだったが、遭難者でも探していたのだろうか?[ホバリングするヘリ]立中山 ~ 法華院温泉山荘
【15:05】鉾立峠。
立中山から戻ってきました。日が傾き始めたことで陽の光が鉾立峠に届かなくなっており、寂し気な雰囲気に包まれていた。ザックを回収して、法華院温泉へと向かう。
【15:24】法華院温泉山荘に到着。
最終的に予定より1時間ほど早く到着できました。明日の大船山登山に向けて温泉で英気を養う。
■ 九重山の山小屋「法華院温泉山荘」の評判と感想
関連レポート
九重山コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
10:00~10:05 | 10:02~10:10 | 牧ノ戸峠 |
10:30 | 10:38 | 沓掛山 |
11:15 | 11:12 | 扇ヶ鼻分岐 |
- | 11:38 | 星生山 |
11:45 | 11:59 | 久住分かれ |
12:25~12:40 | - | 久住山 |
13:30 | 12:31 | 天狗ヶ城 |
13:40~14:00 | 12:41~13:00 | 中岳 |
14:35 | 13:31~13:42 | 白口岳 |
15:25 | 14:17 | 鉾立峠 |
15:45~15:55 | 14:43~15:00 | 立中山 |
16:10 | 15:05 | 鉾立峠 |
16:30 | 15:24 | 法華院温泉山荘 |
九重山の難易度
15/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
登山DATE
- 歩行距離:10.49km
- 高度上昇:0,722m
- 高度下降:0,779m
- 出発高度:1,330m
- 最高高度:1,791m
- 標高の差:0,461m
- 活動時間:04:27
- 休憩時間:00:55
- 合計時間:05:22
お気軽にどうぞ!
今回は、九重連山の沓掛山、星生山、天狗ヶ城、中岳、白口岳、立中山と、合計6つのピークをハント。牧ノ戸峠(標高1,330m)からスタートしているので、最高峰中岳との単純標高差は461mだが、6つのピーク間でアップダウンがあるため、獲得標高は722m。ただそれでも獲得標高は722mで、距離も約10km、活動時間も約4時間半と、数値からみた難易度は中級レベル。
今回は、11時ごろから久住山に霧が出始め、星生山から中岳まで急いで登ったので、疲れました。公共交通機関を利用すると、九重山の主峰にはどんなに早くても昼前後の到着になるため、霧が出やすく視界不良になりやすいリスクがある。滑落が危ぶまれるような危険個所はなく、道迷いの心配もない。ただし、大半がガレ場なので、歩行には少し注意が必要。道中背丈の高い樹木は皆無なので、天候が崩れると雨や風の影響をもろに受けるので、天候が悪い時の防風・防雨対策は必須。
久住山・中岳の山塊で機能している水場は、今回寄らなかった稲星山の西にある神明水のみ。ただし神明水も渇水期は枯れている可能性があるらしいので、基本的には給水がなくても問題がない量の水を持参する必要がある。