八幡平

八幡平登山

八幡平

Hachimantai

白

[八幡平登山レポ]
八幡平頂上から安比高原へ縦走する八幡平トレッキング登山

2020年9月22日(火) 天候:晴れのち曇り
八幡平登山口 ~ 八幡平頂上 ~ 源太森 ~ 茶臼岳 ~ 大黒森 ~ 屋棟岳 ~ 西森山 ~ 前森山
  • 八幡平(はちまんたい)日本百名山花の百名山新花の百名山
  • 岩手県、秋田県の県境北部一帯の高原。広い高原上に様々な火山起源の小さなピークがそびえ、その間に無数の沼や湿原が点在する。八幡平の中でも特に展望が良い、畚岳(もっこだけ)、源太森、茶臼岳は、「八幡平三大展望地」と呼ばれている。また、山域は十和田八幡平国立公園に指定されている。

八幡平のコース

八幡平は大きく西の玉川温泉を登山口にした秋田焼山・後生掛温泉エリアと、中央の八幡平頂上周辺エリア、東の安比エリアに分かれている。それぞれのエリアで四方八方に登山道が伸びている。

大半の登山者は八幡平頂上周辺エリアに集中しており、山頂周辺をゆっくりと散策するのが定番。
八幡平頂上付近案内図 八幡平頂上付近案内図
  • 八幡平頂上周辺トレッキング登り利用人気コース!
  • アスピーテライン頂上駐車場から、八幡平頂上を含め、八幡沼、ガマ沼、鏡沼周辺を散策するコース。山頂だけなら約30分ほどで到着できる最短コース。
  • 茶臼岳~八幡平頂上下り利用
  • 茶臼口バス停から、茶臼岳、黒谷地、源太森、八幡沼を経て八幡平頂上を目指すコース。
※ 代表的なコースのみ紹介
山と高原地図
八幡平のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「岩手山・八幡平」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

八幡平の登山計画

プラン・アクセス
八幡平温泉郷から早朝のバスで八幡平へ向かうことは決めていたが、詳細なスケジュールは未定だったため、前日の夜に計画を立てた。
コース

宿泊した宿には朝食がついておらず、十分な食料も持ち合わせていないため、まずは山頂近くにある「八幡平レストハウス」で朝食を食べることにした。そのため、バスは「八幡平頂上」バス停で下車する。その後、八幡平頂上周辺を散策するだけでは、かなり時間が余ってしまう。そこでコースプランをいくつか検討してみた。

まず考えたのは、秋田焼山経由で玉川温泉に抜けるコースだが、約8時間ほど所要時間がかかる上、食料も乏しく、また「八幡平三大展望地」のどれにも寄ることができないため却下。次に、八幡平頂上周辺から源太森や茶臼岳に登り、茶臼口バス停に向かうコースプラン。しかし、このコースでも所要時間は3時間30分と、昼頃には行動予定が終了してしまう。そこで、茶臼岳から安比高原の前森山(ゴンドラ山頂駅)に抜け、ゴンドラを使って安比高原に下山し、そこから歩いて安比高原駅に向かい、盛岡まで戻ることにした。ちなみに本コースは、山と高原地図のハンドブックに紹介されているモデルコース「安比高原スキー場から八幡平へ」の逆走となる。
ゴンドラと電車の時間

ゴンドラ:この日の安比ゴンドラの下りの最終は16時30分と、十分間に合う時間。万が一間に合わなかった場合でも、ゴンドラを使わず歩いて安比高原に下れるコースもある。

電車:安比高原駅から乗るJR花輪線の本数は少なく、午後以降で候補となる時間帯の電車は15時31分と18時17分の2本のみ。しかし、標準コースタイムで計算すると15時31分は厳しいため、時間はあまるが18時17分の電車で考えることにした。

関連レポート

八幡平コースレポート

八幡平登山口 ~ 八幡平頂上

【9:16】八幡平頂上バス停に到着。
まずは朝食のために、八幡平レストハウスへ向かう。
八幡平レストハウスだが、新型コロナ感染症の影響で当面の間「休業中」。うーん、前日に宿で営業しているか確認したんだけど..アテが外れました。八幡平頂上周辺で食事できる場所はココだけ。現時点で残っている食料は、カップヌードルリフィル、魚肉ソーセージ、柿の種などの行動食が少々。まあ、今日はガツガツした登山にはならないだろうから、なんとかなるだろうと、そのまま予定通りの行動スケジュールをとることに。
八幡沼 【9:30】八幡平頂上を目指して出発。
意味の八幡平頂上までは見返峠を経由して、八幡平でも代表的な沼、八幡沼とガマ沼の近くを通る。
見返峠までは緩やかな上り道だが、以降は頂上まで平坦な道。
とりあえずピークは踏んだので、形式的にはこれで登頂。20分弱で到着して、感慨も全くなし。

八幡平頂上 ~ 源太森

ガマ沼 【9:56】八幡平頂上を出発。
八幡沼経由で、源太森を目指す。
湿原

八幡沼のほとりに佇む小屋は陵雲荘(りょううんそう)。「荘」となっているが、無人の避難小屋。ただ、小屋内はきれいだった。[陵雲荘の内部

陵雲荘の先、八幡沼の北側には、湿原が広がっている。
源太森分岐から1分ほど登ると、源太森に到着する。
源太森から見る八幡平頂上方面は、まさに平。「八幡平」という地名の由来がよくわかる。

源太森 ~ 黒谷地 ~ 茶臼岳

源太森から黒谷地経由で茶臼岳を目指す。源太森から5分ほど歩くと展望の開けた場所がある。
源太森から黒谷地まで、大半は緩やかな下り道。

【11:09】黒谷地に到着。
黒谷地には黒谷地湿原があり、その前には展望デッキもあるため、食事や休憩をするにはもってこい。しかし、大した食料も持ち合わせていないため、そのまま進む。

黒谷地から茶臼岳までは、これまでと異なりコースタイムが逆になっている区間で、登りとなる。ただ、とは言っても緩やかな傾斜の上り道。

【11:37】茶臼山荘に到着。
茶臼山荘も山荘という名称だが、無人の避難小屋。ただ、陵雲荘同様に、小屋内はきれい。[茶臼山荘の内部

茶臼山荘から5分ほど進んだ場所に、茶臼岳の山頂がある。この先、上りはほとんどないので、ザックはデポしなくても、問題ないレベル。
茶臼岳は源太森と同じく「八幡平三大展望地」の1つだが、源太森よりも高度感がある。安比高原に下山するまでお腹が持つように、茶臼岳で魚肉ソーセージだけお腹に入れておいた。

茶臼岳 ~ 大黒森 ~ 屋棟岳

【11:55】茶臼岳を出発。
茶臼山荘まで戻り、そこから安比高原に向かう。まずは大黒森というピークを目指す。その安比高原への道だが、オオシラビソ、コメツガなどの鬱蒼とした樹林に覆われ薄暗く、登山者も皆無。比較的新しい足跡があったので先行者はいたようだが、結局出会うことはなかった。歩いていて気が滅入るが、幸いアップダウンは多少あるものの、傾斜は緩やかで、体力的なキツさはない。
【12:35】大黒森に到着。
展望ゼロ、ピーク感なし。大黒森で道が直角に曲がっている。次なる目的地は屋棟岳(やのむねだけ)。大黒森以降も代わり映えしない道が続くが、湿度が高くなり登山道にキノコが散見されるなど、ますます高まる閉塞感。
屋棟岳へは分岐から約5分。5分なのですぐだろうと思っていたが、意外と距離がある上、上りもあるので、行くならザックのデポがおすすめ。どうせ誰も通らないだろうし。
【13:00】屋棟岳に到着。
樹林に覆われ展望ゼロ。1秒で引き返しました。

屋棟岳 ~ 西森山 ~ 前森山

屋棟岳の分岐まで戻り、西森山に向けて出発。出発直後、屋棟岳の周辺だけ道が狭くて、やや廃れ気味だったが、すぐに解消。
西森山も屋棟岳同様にコースから5分ほど外れた場所にある。最初に通過した時点では、この分岐を見落としてしまう。
ゴンドラやロープウェイで登れる山は、山頂周辺が散策路になっていることも多く、「ひょっとしたら西森山まで足を伸ばしている人達と出会うかも」と思っていたが、そんな人達は皆無でした。ちなみに西森山は、主コースから5分ほど外れた場所にある。

【13:51】西森山に到着。
屋棟岳同様に樹林に覆われ展望ゼロ。これだと、前森山から足を伸ばしても意味ないですね。ちなみに、山と高原地図によると、西森山付近にリフトがあるはずだが、見当たらず。上の写真の右奥の、道なき道を進めばあるのかも。

さて、分岐を見落とし、予期せず西森山に到着してしまったので、状況を整理する。分岐を見落としたであろうことは想像できたが、その第一候補となるのは、山頂手前にあった「右✕印」の標識。ひとまずその標識まで戻るが、どう見ても道がない。「もしかして最近廃道になったとか?いやいや、持参している山と高原地図は最新版で、✕印の先を見ても最近廃道になった感じには見えない」。冷静になってもう一度、記憶をさぐると、標識が下に落ちていた地点を思い出す。あの地点なら、西森山まで5分というコースタイムとも整合性がとれる。ということで、その標識まで戻ることに。

【14:13】三本ぶな分岐に到着。
左がゴンドラを使わず徒歩で、安比ハッピーモール・安比プラザに下山する道。案内板には、ゴンドラの最終は15時30分となっていたが、ホームページで確認したのは16時30分のはず。まあ、15時30分でも間に合う時間なので、気にせず前森山へ向かう。

三本ぶな分岐から前森山への区間は、本コースで唯一となる本格的な上り。と言っても、体力は十分残っているし、時間も30分ほどなので、問題はない。
結局、茶臼岳から前森山まで誰にも会うことはなかった。
【14:36】前森山に到着。
結局、茶臼岳から前森山に到着するまで誰にも会いませんでした。そして予想通り、前森山に到着すると、ゴンドラで上がってきた観光客多数。コース上で見かけた岩手山は雲をかぶっていたが、雲がとれてました。でも八幡平頂上方面は雲の中だったので、朝の晴れているうちに寄っておいて正解だった。
当初は、間に合わないだろうと思っていた、安比高原駅15時31分発の電車に間に合うかもしれない。ゴンドラ乗車時間は約15分のため、安比プラザに到着したのは15時過ぎ。観光施設なので、タクシーぐらい止まっているかと期待したが、タクシーは見当たらず呼ばないとダメらしい。呼んでいたら間に合わないので、歩くことに。安比プラザから安比高原駅までは徒歩約40分。時間は25分しかなく、普通に歩くと間に合わないため、歩く・走るを繰り返しながら駅へ。もし間に合わないと、駅周辺で3時間弱も時間を潰さなければならない..。

【15:28】安比高原駅に到着。
なんとか3分前に到着できたが、激しんど..。この日の登山では、体力もあまり消耗せず、汗もほとんどかかなかったのに、最後の最後で疲労困憊の汗だく。本日の登山の中で、この区間がもっともキツかった。でも電車に間に合って良かった。走った挙げ句に間に合わなかったら目も当てられないし..。それに、安比高原駅は無人駅で、駅周辺には何もなかったので、駅前で3時間も時間を潰すのは相当キツイ。

ということで、岩手遠征2日間のスケジュールも無事終了。お疲れさまでした。

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八幡平コースタイム

予定 実際 場所
09:10~09:20 09:16~09:30 八幡平頂上バス停
09:45~10:00 09:51~09:56 八幡平頂上
10:40 10:38 源太森
11:20 11:09 黒谷地
12:20 11:42~11:55 茶臼岳
12:50 12:35 大黒森
13:25 13:00 屋棟岳
14:45 13:51 西森山
15:20 14:13 三本ぶな分岐
16:10~16:30 14:36~14:45 前森山
16:45 15:00 安比プラザ
17:30 15:28 安比高原駅

八幡平の難易度

難易度

12/30

総合難易度
必要体力 体力難易度2
コース距離 コース距離難易度4
所要時間 所要時間難易度2
危険度 危険度難易度1

登山難易度 登山難易度3
小屋・水場 小屋・水場難易度1
アクセス アクセス難易度2

総合難易度 総合難易度4

登山DATE

  • 歩行距離:15.24km
  • 高度上昇:0,530m
  • 高度下降:0,791m
  • 出発高度:1,540m
  • 最高高度:1,613m

  • 標高の差:0,073m
  • 活動時間:05:16
  • 休憩時間:00:56

  • 合計時間:06:12
必要体力・時間・距離

今回は異例の山頂からスタートするパターンだったこともあり、体力をほとんど使わなかった。上りで少し体力を使ったのは黒谷地~茶臼岳、西森山直前の上り、三本ぶな分岐~前森山の区間のみ。それ以外は平坦か緩やかな下り道。

距離は15.24kmと結構歩いたが、八幡平という名前のとおり平らな場所が多かったので、苦に感じる距離ではなかった。時間も休憩含めて約6時間だったので、日帰り登山としては標準的かと。
危険度・山小屋・水場

鎖場などもなく、滑落の危険性は皆無。八幡平には縦横に登山道が伸びているが、分岐にはきちんと道標も設置されているので、道迷いの心配は少ない。ただし、今回歩いた茶臼岳~前森山までの区間は人がほとんど歩いておらず、少々廃れた場所もあったので、そういった意味での危険度1。

コース上に水場はないが、下り中心だったので問題はない。ただし夏場は注意が必要。トイレは八幡平レストハウス、陵雲荘、茶臼山荘、前森山のゴンドラ駅と、いい間隔で設置されているので、トイレで困ることもなかった。
アクセス
八幡平頂上へは、盛岡駅からバスでアクセスできるが本数は少なく、最終便も早い。ただ、山頂周辺を散策するだけなら十分な時間。今回は安比高原に下山したが、安比高原駅の電車の本数も少ない。しかし、下山さえすれば夜遅くまで電車は走っているので、遭難でもしない限り、帰れなくなるリスクはない。
コースについて

今回歩いた茶臼岳から安比高原に抜けるコースは2016年頃に開通した比較的新しいコースのようだ。ただ、茶臼岳以前はともかく、茶臼岳から前森山までの区間は人も歩いておらず、見どころがないどころか、陰鬱な雰囲気が漂っているので、オススメしない。

八幡平に登るなら、茶臼岳から八幡平頂上を目指し、あまった時間で今回寄れなかった、八幡平三大展望地の1つ畚岳(もっこだけ)に寄るのが良いと思う。そうすれば八幡平三大展望地のすべてに寄ることができる。また、八幡平頂上をゴールとすれば、余った時間を周辺散策やレストハウス(2020年度は休業)で潰しやすいというメリットもある。

時間とお金があるなら、八幡平頂上から玉川温泉に抜けて、玉川温泉に宿泊するのもありだが、八幡平三大展望地のどれにも寄れないので、それも微妙。健脚でコースタイムを短縮できる自信があるなら、茶臼岳から玉川温泉に抜けることも不可能ではないと思うが..。
総括
今回は、登山というよりトレッキング。八幡平頂上だけで言えば、展望もイマイチで山頂を踏むことに形式的な意味しかないので、1度ピークを踏んでおけばそれで十分。トレッキング目的ならともかく、登山の対象と考えるなら少々物足りないので、岩手山とセットで登るのが良いかと。
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