[天目山登山レポ]
3月下旬にヨコスズ尾根から登る天目山
- 天目山(てんもくさん)
- 埼玉県と東京都の県境にまたがる長沢背稜にある標高1,575mの山。ピーク(トッケ)が3つあることから別名「ミツドッケ」とも呼ばれている。2005年~2007年にかけて、天目山をこよなく愛する男性が、「見晴らしをよくしたい」という想いから、山頂付近の木々を違法伐採。その影響で山頂の見晴らしが、以前より良くなっている。ちなみに、この男性はその後、自ら東京都と埼玉県に違法伐採を申告し、損賠賠償金を支払っている。
天目山のコース
それ以外では、東の酉谷山や西の蕎麦粒山からの縦走者が登っているケースもある。
- ヨコスズ尾根登り利用人気コース!
- 奥多摩の東日原から一杯水避難小屋を経由して天目山頂を目指すコース。天目山に登る唯一の直登コースで、最もメジャーなコース。
- 仙元尾根下り利用
- 北の埼玉県秩父市浦山にある浦山大日堂から、仙元尾根沿いに登り仙元峠を越え天目山を目指すコース。
- 棒杭尾根(ぼうくいおね)難コース
- 南の倉沢橋バス停から、倉沢林道の終点付近まで歩き、そこから棒杭尾根沿いを登る。棒杭尾根は山と高原地図では破線表示されている。また、倉沢林道に複数の崩落個所があり、通行禁止で廃道に近い状態になっているが、稀に登っている登山者もいるようだ。
関連レポート
天目山の登山計画
- プラン
- 奥多摩の登りたい山の中で唯一登っていなかった天目山。今年の登山シーズン開始前の準備運動的な位置付けとして、3月下旬の3連休の中日を使って登ることにした。なお、当初は1人で登る予定だったが、友人を誘ったら「登る」というので2人登山に変更。
- コース
- 登りのコースはヨコスズ尾根で即決。他にまともに登れるコースもないし。下山は、秩父に下った方が帰りは楽なので、以前に蕎麦粒山の下山でも利用した仙元尾根から下ることにした。下ったあとに秩父で一杯やりたかったのも理由の1つ。(奥多摩側だと、そういったお店があまりないので)
天目山コースレポート
東日原 ~ 一杯水避難小屋
【7:55】東日原のバス停に到着。
東日原から西に向かう登山者がちらほらいたが、おそらく鷹ノ巣山の稲村岩尾根が通行止めになっていることを知らない人たちだろう。(知っていて登るつもりかもしれないが)天祖山や雲取山の富田新道の可能性もあるが、この2つのコース・山に登る人があんなにいるとは思えないし。
一杯水避難小屋の背後に天目山の山頂があるはずだが、目視ではわかりませんね..。小屋内には先行者のザックがデポされていた。奥多摩の避難小屋の中ではきれいな方ではないが、普通に泊まれる小屋です。[一杯水避難小屋内]
一杯水避難小屋 ~ 天目山の山頂
一杯水避難小屋から天目山までの道のりが第4フェーズ。
一杯水避難小屋からは、天目山の山頂を目指す道と、巻き道とがある。このとき、足跡につられて巻き道へと進んでしまう。途中で気付いたが、このまま進み西側から登ることもできるので、引き返さずそのまま進むことにした。ちなみに直登コースの入口に道標はないので要注意。小屋の裏側、ちょうど上の写真を撮影した背後に道がある。
その巻き道だが、トレースは薄く雪が柔らかい。左側が斜面になっている細い道を歩くため、場所によっては雪が深く、ちょっと危なっかしい箇所もあり。自分はともかく、友人が雪に慣れていないので、ちょっとリスキーな道間違いだった。別名「ミツドッケ」の由来となっている3つのピークだが、地図を見る限り、山頂周辺に西峰、中央峰(山頂)、東峰と3つのトッケ(ピーク)が並んでいる。(名称は仮称)
予定では10:49着予定だったので、30分遅れでの到着。道間違いと雪で、思いのほか時間を浪費してしまった。早朝は晴れていた空だが、山頂に着いたときには、菅笠のような大きな雲が上から覆いかぶさり、どんよりした雰囲気。南側の石尾根の山頂付近を、ギリギリ雲が覆っており、鷹ノ巣山や雲取山なども特定できず。もちろん富士山も雲の中。せっかく違法伐採までして開けてくれた展望も、その良さをあまり享受できず。
天目山の山頂 ~ 一杯水避難小屋 ~ 仙元峠
さて、これから秩父の浦山に下山し、16時最終のバスに乗らなければならない。そのため、ゆっくりもしていられないため、食事を済ませたあとは早々に出発。ちなみに現時点で、予定より20分遅れ。下山は危ないので、自分が持参したチェーンスパイクを友人に装着させる。
【12:18】天目山の山頂を出発。復路は本来登りで利用する予定だった直登コースで、一杯水避難小屋に向かう。「ミツドッケ」と呼ばれるように、一杯水避難小屋との間、山頂の東側にもう1つピークがある。
トイレだけ済ませて、すぐに長沢背稜を仙元峠方面に向けて出発。この区間のトピックスは、途中に「一杯水避難小屋」の名前の由来となる水場があることと、棒杭尾根への分岐地点があること。
一杯水避難小屋の水場は、小屋から東へ5分ほど進んだ場所にあります。情報によると、水が出ていることの方が珍しいらしい。
棒杭尾根への道は、倉沢林道に崩落個所があるため、ロープが張られ通行止め。まあ、崩落個所は林道なんで徒歩なら通行できると思うが..。
一杯水避難小屋から仙元峠(蕎麦粒山)方面への道だが、少ないながらもトレース(足跡)あり。また、積雪はあったものの、天目山の巻き道にあったような危険箇所はなかった。ちなみに、仙元峠までにすれ違った登山者は2名のみ。【13:32】仙元峠に到着。
前回5月上旬の新緑の季節にきた時と、同じ場所とは思えない景色の違い。1カ月半違うだけで、全然イメージが違う。[5月上旬の仙元峠]
仙元峠 ~ 大楢
仙元峠から先の仙元尾根は、2018年5月12日の蕎麦粒山登山で1度利用している道。ホームぺージに記録しているので、コースの記憶もある程度鮮明。
【13:37】仙元峠を出発。
仙元峠まで続いていた足跡だが、仙元尾根に向かわずに蕎麦粒山に向かったようだ。そのため、トレースなし。おそらくこの日、仙元尾根を歩いたのは自分たちだけ。まあ、前回歩いたときも、誰にも合わなかったし。
浦山大日堂のバスは、16時が最終。それを逃すとタクシーとなる。バスだと、西武秩父駅までの料金は310円だが、タクシーだとその10倍以上はかかる。
うーん、予定より約20分遅れ。巻き返すどころか、差が開いてしまった。大楢から尾根上を外れ、矢印の方向に下りていく。
大楢 ~ 浦山大日堂
【15:26】送電鉄塔60号に到着。
送電鉄塔60号から先の道を急下降すると、登山口の浦山大日堂に到着する。残り30分あるので、バスの時間に間に合いそうな感じ。
バスの出発時間まで残り9分だが、友人がなかなか下りてこないので、ちょっと焦る..(汗)
時間的にはギリギリだったが、バスが渋滞で遅れてきたので、結局10分ほど待ちました。お疲れさまでした。
関連レポート
天目山コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
08:04 | 07:55~8:10 | 東日原バス停 |
10:24 | 10:34~10:45 | 一杯水避難小屋 |
10:49~11:59 | 11:23~12:18 | 天目山 |
12:19 | 12:36 | 一杯水避難小屋 |
13:19 | 13:32~13:37 | 仙元峠 |
13:59 | 14:22 | 大楢 |
15:49 | 15:51 | 浦山大日堂 |
天目山の難易度
14/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
登山DATE
- 歩行距離:16.11km
- 高度上昇:1,175m
- 高度下降:1,320m
- 出発高度:0,620m
- 最高高度:1,575m
- 標高の差:0,955m
- 活動時間:06:36
- 休憩時間:01:11
- 合計時間:07:47
- 必要体力
- 体力的難所は、登山口から尾根に出るまでの区間。奥多摩のコースに共通する傾向だが、尾根に取り付くまでの序盤がもっともキツイ。ただ幸い、キツかったのはこの区間のみ。その後、尾根の東側を歩く区間は緩やかな上りで、尾根上に出てからもそれほどキツイ上りはなかった。ただ、数値を確認すると、高度上昇が1,175mと、意外と獲得標高はあったので、ある程度の体力は必要。
- 時間・距離
- 長沢背稜を横移動し、最終的に仙元尾根を下って秩父に下山したので、林道歩きのない登山にしては、それなりに歩いて時間もかかった印象。
- 危険度
- 登りのヨコスズ尾根は中盤で1、2箇所、滑落を注意する箇所あり。道迷いの心配はない。下山の仙元尾根で滑落するような箇所はないが、終盤の送電鉄塔に出るまでに、道がわかりにくい個所があるので要注意。ただし、ココ数年で道迷い対策を強化したのか、前回歩いたときよりも、目印の数は増えていた気がする。道標も新しいものが設置されていたし。
- 小屋・水場
- 事前情報どおり、一杯水避難小屋の水場は機能していないため、アテにしてはいけない。ただ、基本は日帰りする山なので、山小屋や水場がなくても問題はない。あっても、あるに越したことはない程度。ちなみに、長沢背稜で1泊する場合は、小屋の清潔感、水場の有無などから、主に酉谷山避難小屋が使用されている。
- 総括
- 長沢背稜自体、人が少なく一般向けではないためか、ガイドブックにもほとんど掲載されておらず、奥多摩山域の中でも穴場の山といえる。東日原からヨコスズ尾根のピストンなら、危険な場所もほとんどなく、道迷いの心配もない上、山頂からの展望も優れているので、初心者にもおすすめ。ただ、仙元尾根を利用するなら、コース距離や仙元尾根の人の少なさから、中級者向けといえる。
お気軽にどうぞ!
東日原 ~ 天目山 ~ 仙元峠 ~ 浦山大日堂