蕎麦粒山登山記録

奥多摩の蕎麦粒山
白
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[蕎麦粒山登山レポ]
知る人ぞ知る奥多摩の急登、鳥屋戸尾根から登る蕎麦粒山登山

2018年5月12日(土)天候:晴れ時々くもり
川乗橋 ~ 笙ノ岩山 ~ 蕎麦粒山 ~ 浦山大日堂 ~ 奥多摩駅
  • 蕎麦粒山(そばつぶやま)
  • 東京都西多摩郡奥多摩町と埼玉県秩父市の境界に位置する標高1,473mの山。山名の由来は山頂の形が蕎麦粒の形に似ているため。なお、埼玉県側では火打石山とも呼ばれている。奥多摩の山々の中では比較的標高の高い山だが、やや奥まった場所にあるため、訪れる人は多くない。
  • 笙ノ岩山(しょうのいわやま)
  • 蕎麦粒山の南、鳥屋戸尾根上にある標高1,255mの山。

蕎麦粒山のコース

登山口は、奥多摩側「東日原」「倉沢」「川乗橋」、埼玉側は「浦山」「有間峠」の5つ。
なお、有間峠以外の登山口にはすべてバスが出ており、公共交通機関でのアクセスが可能。
  • ヨコスズ尾根人気コース!
  • 東日原からヨコスズ尾根沿いを登り、天目山(三ツドッケ)を経由して蕎麦粒山を目指すコース。
    本来は隣の天目山に登るコースだが、天目山とセットにした周回コースとして人気がある。
  • 棒杭尾根(ぼうこうおね)難コース
  • 南の倉沢橋バス停から、倉沢林道の終点付近まで歩き、そこから棒杭尾根沿いを登る。棒杭尾根は山と高原地図では破線表示されている。
  • 鳥屋戸尾根(とやどおね)登り利用難コース
  • 南の川乗橋から鳥屋戸尾根沿いを登り、笙ノ岩山を経て蕎麦粒山を目指すコース。棒杭尾根同様に、山と高原地図では破線表示される難コース。
  • 仙元尾根下り利用
  • 北の埼玉県秩父市浦山にある浦山大日堂から、仙元尾根沿いに登り仙元峠を越え蕎麦粒山を目指すコース。
  • 有間峠コース
  • 北東の有間峠から登り、桂谷ノ峰(かつらだにのうら)を経て蕎麦粒山を目指すコース。2時間弱ほどで登れる最短コース。
    本コースは車でのアクセスのみであるため、コースバリエーションに乏しく、ほぼ有間峠からのピストンとなる。
地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

蕎麦粒山の登山計画

3年ほど前から春先にかけて行っている奥多摩急登巡り登山。当初はその存在を知らず予定していなかった山だが、天祖山に登った際に、他登山者から教えてもらったのがこの蕎麦粒山の鳥屋戸尾根。コースは山と高原地図で破線表示される難コース。しかし、近年は登る人も増え、以前に比べてかなり登りやすくなっているとの前情報。

当初、下山するコースはヨコスズ尾根を予定していたが、秩父に抜ける方が帰りは楽なため、仙元尾根に変更。浦山大日堂からの最終バスは16時なので、朝一の電車で登れば、十分間に合うはず。鳥屋戸尾根は山と高原地図では波線コースのため、標準コースタイムが設定されていない。当初始発電車で奥多摩駅に向かう予定だったが、仕事の疲れで起きられず予定より1時間遅いスタートとなる。まあそれでも「昼までには登頂できるだろう」という大雑把な感じで登山に挑んだ。

蕎麦粒山コースレポート

川乗橋 ~ 蕎麦粒山登山口

【8:43】川乗橋バス停に到着。
始発の電車でくる予定が、寝坊して1本遅れてしまったので、45分遅れで到着。5月の晴れの土曜日ということで、臨時便が出るほど登山者多数。身支度を整え出発。
【9:46】標高917m地点に到着。
ココまででちょうど1時間経過。マイナーなピークだと山名標識のない場合もあるため、当初はここが笙ノ岩山だと思い込む。2万5千分の1地形図を持っていなかったことや、最近地図読みしながら登ることもなかったので、距離感覚も鈍っていた。加えてここまでかなりキツかったので、ここが笙ノ岩山であってほしいという希望的観測もあったと思う。

標高917m地点 ~ 笙ノ岩山

標高917m地点直後は傾斜の緩やかな道。しかしそれも束の間で、徐々に傾斜が出始める。また、標高917mを過ぎたあたりで、序盤から違和感を感じていた踵の靴連れが、痛みに変わり、足を蹴り出すと激痛が走るようになる。舐めてかかり過ぎて、靴擦れ対策を怠ったことを後悔したが後の祭り。

下の写真の大岩を過ぎたあたりで小休憩していると、後方から鈴の音が。本日出会った2人目の登山者で、この方とはこの後もコース上で何度か接触する。
上の写真の上り道が本日2カ所目となる、超が付くスペシャル級の急登。幸い区間は短いが、尾根に取り付く最後の方は"歩く"ではなく、まさに"登る"だった。
無名ピークには「川乗橋バス停」と書かれた道標。写真は省略したが、同じ道標が標高917m地点に設置されていた。「蕎麦粒山」という道標は出てこないが、「川乗橋バス停」という道標はたまに出てくるので、登りより下山利用者の方が多いということか・・。
上の写真の急登を登りきった先で、前を歩く登山者が休憩していたため、少し会話をしたことで未だ笙ノ岩山を通過していないことを知らされる。半信半疑だったので、ザックの中のGPSで確認したところ、確かに笙ノ岩山の手前。笙ノ岩山は、鳥屋戸尾根コース上のちょうど中間地点にある山。既に登山口から約2時間登っている上、ココまでかなりしんどかったのに、距離的には半分も進んでいないことに、ちょっとショック・・。
【10:41】笙ノ岩山に到着。
笙ノ岩山はきれいな半円をした山頂で、展望はきかない。笙ノ岩山手前で休憩したことあり、写真撮影だけしてすぐに出発。

笙ノ岩山 ~ 蕎麦粒山

笙ノ岩山から先は緩やかに波打つような登り下りが続く。これまで一貫して登り一辺倒だったため、ホッとする。

山と高原地図によると、笙ノ岩山の先で塩地ノ頭(標高不明)と松岩ノ頭(標高1,268m)という2つのピークを通過する。しかし両ピークともに山名標識はなく、意識していても塩地ノ頭は全くわからなかった。そして、この両ピークの周辺で、本日初となる展望。と言っても、木々の隙間から周辺の山が少し見える程度だが、これまで展望は皆無だったので、新鮮に感じる。
松岩ノ頭からは大きく下り、再び樹林帯へ。これまで登山道は、ヤセ尾根の急登メインだったが、松岩ノ頭以降は尾根が広がり始める。道迷いの可能性があるならこの区間なので、少し注意が必要。

上の写真の場所が、山と高原地図に「迷」と書かれている場所。目印がなければ迷う分岐だが、左側に目印が見えるため、迷わず左を選択できる。

その後は、小規模なアップダウンが続く。笙ノ岩山までは一貫した上り道だったため、歩行と休憩を繰り返しながら登ったが、この区間は下りで体力を回復できるため、休憩を挟まずに歩くことができた。
上の写真のモコモコした切り株のある地点が、国土地理院に記されている1,339m地点。ココから少し下って、そこから蕎麦粒山への最後の上りとなる。

【11:45】実線コースと合流。
この尾根は都県界尾根と呼ばれる、東京都と埼玉県の境にある尾根で、ココはメインコースから少し外れた蕎麦粒山を巻くための派生コース上。ちなみに、長沢背稜は芋木ノドッケから天目山(三ッドッケ)付近までを意味するようだが、広義にとらえればココも長沢背稜に含めて良いかと。

蕎麦粒山への最後の登りという気分で登ったが、ココからあと10分ほど登らなければならない。この最後の10分は、気力が途切れてしまったことですごく嫌だった。

【11:52】蕎麦粒山に到着。
笙ノ岩山まで2時間かかったときはどうなるかと心配したが、予定通りの12時に到着できた。山頂には単独の山名標識はなく、道標の根元に「蕎麦粒山」と書かれているのみ。

蕎麦粒山の山頂からは東側の見晴らしがよく、霞んではいるが遠くに埼玉県飯能市の市街地も見える。Wikipediaには「山頂は開けて展望に優れ」と書かれていたが、開けて展望がきくのは東側のみのため、優れているとは言えない。また、この季節は山頂付近にツツジとシロヤシオが咲いており、新緑と相まって明るい雰囲気だった。

蕎麦粒山の山頂は天に突き出た三角形をしているため山頂スペースは狭い。その上大きい岩が多いため、平坦な場所が少なく、人が多いと食事の場所に苦慮する。昼の12~13時過ぎまで山頂にいたが、入れ替わりも含め概ね平均5人ほどが滞留している感じ。出発直前にシニア10名弱が登ってきたが、大人数で滞留されると狭く感じる。蕎麦粒山は都県界尾根の途中にある山のため、滞留せず通過していく登山者も少なくない。

登山者が登ってくる方角は西側の天目山方面が多く、下りは西側の桂谷ノ峰・日向沢ノ峰・川苔山方面へ向かう登山者が多い。やはりだが、鳥屋戸尾根方面は下りも登りも少なかった。
この季節の2,000m前後の山でよくあることだが、山頂付近はコバエが多くて、鬱陶しい。食事をする時などは、注意が必要。

蕎麦粒山 ~ 仙元峠

【13:15】蕎麦粒山を出発。
下りは仙元尾根から、浦山地区にある浦山大日堂に下山する。標準コースタイムは2時間45分。まずは西側に向かって歩き、仙元峠を目指す。
仙元峠

【13:28】仙元峠に到着。
仙元峠には登山者1名。仙元尾根から登ってきたのだろうか・・。

この仙元峠は歴史ある峠のようで、案内板によると江戸時代以前は秩父と多摩を結ぶ交通の要だったとのこと。現在の仙元峠は樹林に覆われ薄暗く、名残が感じられるものは、小さな祠のみ。

仙元峠 ~ 大樽

仙元峠から仙元尾根に入り、まずは山と高原地図に「大樽」と書かれた地点を目指す。最初に書いておくと、この仙元尾根は想像以上に廃れている。
この「川俣」と書かれた道標だが、地図で確認しても「川俣」という地名は見つからない。仙元峠出発直後で道に迷う要素はなかったので、一応コンパスで方角を確認してから進む。GPSで確認しても良かったが、答えを見るようでつまらないし。後で知ったが、下山する浦山地区にある集落の名前が「川俣」である。
大樽手前に大きく崩落した箇所がある。特段危険ではないが、数メートルずれていれば登山道もろとも崩落していただろう。
【14:57】大樽に到着。
後に写真で気付いたが、道標の先端に「大楢」と書かれている。コースは右側に下りるが、道標がなければ100%直進してしまうだろう。

大樽 ~ 浦山大日堂

大樽以降、尾根から外れ薄暗い沢の斜面に降りる。この大樽から送電鉄塔に出るまでの区間は、展望のきかない薄暗い樹林帯歩きとなるため、気が滅入る区間。

上の写真の場所は少し要注意。手作りの道標が設置されているが、文字が消えかけており、かろうじて「大日堂」と読み取れる。この道標を見落とさなければ大丈夫だが、見落とすと高い確率で右に進んでしまう。何故なら右のほうが明るく踏み跡明瞭で、左は薄暗く踏み跡が不明瞭なため。左が正しい道だとわかっても、左に進むのには勇気がいる。

薄暗い道を抜けると、一定間隔で送電鉄塔が設置された、明るい尾根道へと変わっていく。

送電鉄塔60号が最後に見る送電鉄塔。頻繁に現れる道標に「自然を大切に」って書かれていたけど、この送電鉄塔60号の設置場所を見ると、電力会社が一番自然を破壊している気がする。まあ、我々はその恩恵を受けているので偉そうなこと言えないけど。

送電鉄塔60号から、沢に下る道へ。再び薄暗い道に戻るが、ココまでくると登山口も近いので、途中で通った薄暗い道と異なり、気が滅入ることはない。登山口が近づくと木の階段が現れる。この階段は「彩の国みどりの基金」で作られたようだ。
【15:27】浦山大日堂に到着。
バスの時間まで30分ほど余裕があるため、ひとまず浦山大日堂でお参り。そして川の反対側にあるバス停に向かう。
【15:45】浦山大日堂バス停に到着。
無事に最終16:00発のバスに間に合いました。

蕎麦粒山コースタイム

予定 実際 場所
09:00 08:43 川乗橋バス停
- 08:47 蕎麦粒山登山口
- 09:46 標高917m
- 10:41 笙ノ岩山
12:00~13:00 11:52~13:15 蕎麦粒山
13:15 13:28 仙元峠
13:55 13:57 大樽
15:40 15:27 浦山大日堂

蕎麦粒山の難易度

難易度

16/30

総合難易度
必要体力 体力難易度4
コース距離 コース距離難易度3
所要時間 所要時間難易度3
危険度 危険度難易度2

登山難易度 登山難易度6
小屋・水場 小屋・水場難易度3
アクセス アクセス難易度1

総合難易度 総合難易度5
必要体力

とにかくキツイのが登山口から笙ノ岩山まで。この区間は休む間もなく急登が続き、まさに奥多摩屈指という噂に違わない急登っぷり。この状況が山頂まで続けば間違いなく、奥多摩一の急登コースであったが、幸い(残念ながら)この急登は笙ノ岩山まで。笙ノ岩山以降は、緩やかなアップダウンが連続する登山道となる。ただし、とは言え要所で急登が立ちはだかるし、疲労の蓄積もあるので、あなどれない。そして、蕎麦粒山直下の急登で最後の一撃をくらう。

序盤は踵を地面につけられないような急登が続くので、靴擦れ対策は万全を期して挑んだほうが良い。帰って靴脱いだら、踵に水ぶくれがバッチリできてました。
時間・距離

標準コースタイムが示されていない鳥屋戸尾根だが、そこそこ脚に自信があるなら3~4時間が目安。ちなみに、後半コースを一緒に登っていた方も、山頂まで概ね3時間だったと言っていた。ただし、序盤で追い抜いたシニア登山者は、13時になっても蕎麦粒山に姿を見せなかったので、3~4時間はあくまで目安。時間配分は笙ノ岩山までが2時間、笙ノ岩山から蕎麦粒山までが1時間。距離的には笙ノ岩山は中間地点なので、時間と距離の関係からも、いかに笙ノ岩山までが大変だったのかが、わかると思う。

総歩行距離は12.5km。林道歩きのない日帰り登山としては、まあまあ歩いた方かと。
危険度

破線表示だった鳥屋戸尾根だが、破線を解除しても良いぐらい登山道に危険箇所はない。道標はほとんどないが、最低限の目印は設置されており、踏み跡もしっかりしている。道迷いの可能性があるとすれば、笙ノ岩山から都県界尾根までの区間。

むしろ、下山で利用した仙元尾根のほうが破線に近く、廃れる一歩手前という感じ。道標や目印は少ないので、歩いていて不安になることがしばしば。目印がなければ、高い確率で道を間違ってしまう場所もあったので、少々危なっかしいコース。目印は、濃霧で見えないことや吹き飛んでしまうこともあるだろうし。人も少なく道迷いの可能性もあったため、下山は神経を張り詰め歩いたので、精神的に疲れた。

鳥屋戸尾根で出会った登山者は、登り2名、下り2名の4名。仙元尾根は0名。(仙元峠付近で2名見かけたのみ)両コースとも人が極端に少ないので、何かあっても自力解決が必須という意味での危険度は高い。

鳥屋戸尾根および仙元尾根ともに滑落するような危険箇所はない。
見どころ
鳥屋戸尾根・仙元尾根ともに見どころがほとんどない点では、共通している。鳥屋戸尾根で展望のきく場所は、塩地ノ頭・松岩ノ頭付近だけ。仙元尾根に関しては、崩落箇所ぐらい。少しとはいえ、蕎麦粒山からの眺望はせめてもの救い。また、下りで利用した仙元尾根は、とにかく薄暗い場所が多く、面白みに欠けるどころか、歩いていて気が滅入った。
総括
体力的要素が求められるため、体力に自信のない人や登山経験の浅い人を連れていくと、トラウマになって2度と登山に行かなくなるかも。それぐらいキツいコース。体力づくりや挑戦という意図で登るなら良いが、純粋に登山を楽しみたい人にはおすすめできない。
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