鷹ノ巣山

鷹ノ巣山登山-稲村岩尾根

鷹ノ巣山

Takanosuyama

白

[鷹ノ巣山登山レポ]
奥多摩屈指の急登、稲村岩尾根から登る鷹ノ巣山登山

2016年4月23日(土)天候:くもり
東日原 ~ 稲村岩 ~ 鷹ノ巣山 ~ 倉戸山 ~ 倉戸口
  • 鷹ノ巣山(たかのすやま)
  • 奥多摩山域、奥多摩湖の北の石尾根上にある標高1,736mの山。雲取山からの下山時や、隣接する六ツ石山とセットで登られることが多い。コースは多岐にわたるが、北の東日原の稲村岩尾根から登るコースは、約3kmで1,100mも登る超急登コース。奥多摩三大急登の筆頭格に挙げられている。

鷹ノ巣山のコース

鷹ノ巣山は東西南北いずれの方向からも登ることができ、登山口も多岐にわたる。
登山口は、北の東日原、東の奥多摩駅、南の奥多摩湖、倉戸口、峰谷、南西の鴨沢などがある。
  • 稲村岩尾根登り利用
  • 北の東日原から登るコース。約3kmで1,100mも登るため体力的難易度が高いとされている。唯一北から登るコースでもある。
  • 榧ノ木尾根下り利用
  • 南側の奥多摩湖近くの、倉戸口や女の湯バス停近くから、倉戸山・榧ノ木山を経由し山頂に至るコース。
  • 石尾根縦走路
  • 東側、奥多摩駅から石尾根沿いに登るコース。道は緩やかだが、その反面コース距離が長く、起終点が奥多摩駅のため、下山で利用されることが多い。
  • 水根沢林道
  • 南側、奥多摩湖から水根沢林道沿いを歩き、水根山をかすめながら山頂に至るコース。
  • 六ッ石山コース
  • 南側、奥多摩湖から六ッ石山や水根山を経由するコース。六ツ石山とセットで登る場合に効率が良い。
  • 登り尾根
  • 南西の鴨沢から登り尾根沿いを登り、七ツ石山・日蔭名栗山(ひかげなぐりやま)を経由し、鷹ノ巣山を目指すコース。
  • 浅間尾根
  • 南側、峰谷から浅間尾根(せんげんおね)沿いに登り、鷹ノ巣山避難小屋を経由し山頂に至るコース。
    なお、浅間尾根に対して迂回路となるが、峰谷から浅間尾根の西隣にある赤指尾根を登り七ツ石山・日蔭名栗山を経由するコースも存在する。
※コース名に厳密な名称はありません。
山と高原地図
鷹ノ巣山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「奥多摩」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

鷹ノ巣山の登山計画

プラン
三頭山・六ッ石山・御前山に続く、本格的登山シーズンに向けた筋トレ&基礎体力作りを兼ねた、奥多摩急登チャレンジ登山の第四弾。鷹ノ巣山の稲村岩尾根は、最後に登る予定だったが、倉戸山の山桜の季節が4月下旬となっていたので、急遽時期を繰り上げ登ることにした。
コース
登りは当然ながら稲村尾根だが、下りは利用したことがないコースを歩きたかったため、「榧ノ木尾根」から下山することにした。

関連レポート

鷹ノ巣山コースレポート

東日原 ~ 鷹ノ巣山登山口

予定通り、始発の電車で奥多摩駅に到着。東日原行きのバスは立ちも含めて満席。そのうち約6割は川苔山の川乗橋で下車。1割はその他のバス停。残り3割が東日原の終点で下車。 下車した全員が鷹ノ巣山かと思っていたが、東日原の北にある天目山に登る人もいたようだ。

【7:50】東日原のバス停に到着。
最近、登山口に到着すると催すことが多く、この日もバス下車後に、トイレに行きたくなったが、幸いにも東日原に公衆トイレが設置されていたので助かった。しかし、トイレ待ちが発生しており無駄に時間を浪費してしまったため、後発組としてスタート。
ポイント日原へのバス
平日なら「日原鍾乳洞」までバスも出ているが、土・日・祝は「東日原」止まり。平日なら「中日原」で下車したほうが、登山口は近い。ただし「中日原」にトイレはない。
本日の天気予報は直前まで二転三転していたが、最終的には曇り予報。予報通り、周りの山々には濃霧が立ち込めており、本日の登山で景観は期待できなさそう。まあ、神秘的な雰囲気なのでコレはコレで悪くない。
【8:11】鷹ノ巣山登山口に到着。
登山口まで徒歩約5分。登山口は民家の間を抜けていく道だが、道標が大きく出ているので、注意して歩いていれば見落とすことはない。左正面に第一目標となる稲村岩の大きくそびえ立つ姿が見える。

鷹ノ巣山登山口 ~ 稲村岩

これから急登を登るのに、登山口からいきなり下る嫌なスタート。沢沿いを奥へ奥へと進んでいく。
稲村岩の手前にある九十九折の急坂まで、この沢沿いの道を歩く。全体的に傾斜はそれほどでもないが、部分的に傾斜のある箇所があったり、歩きにくい箇所も。沢沿いの道は、多少ながらも景色の変化があるため、同じような景色が続く杉林の道に比べれば楽しめる。

朽ち果て渡れない橋があれば、その地点から沢を離れてしまうので、水を補給しておくならこのポイント。

朽ち果てた橋を過ぎると、稲村岩まで九十九折の急登となる。この区間は序盤戦における最大の難所で、全体における第一ステージといったところ。下から上を眺めると数人の登山者の登っている姿が見える。中には子供も登っており、子供でこのコースを登るとは、かなりの強者。
稲村岩まで序盤戦で体力もあるため、前には登山者が詰まっていたが、先に通してもらいながら、それなりのペースで登る。脚が悲鳴を上げ始め、そろそろキツくなってきたところで稲村岩に到着。
濃霧のため稲村岩からの展望はきかない。霧がなくても、木々が邪魔してあまり景観は良くないかも。岩の下(コル)を見ると休憩している登山者もいるが、岩の上まで登ってこない。行動食を食べるなどして、これから続く急登に備える。

稲村岩 ~ ヒルメシクイノタワ

【09:05】稲村岩を出発。
出発直後、予想外の道迷いに遭遇。道が2つに分かれているような箇所で、本来右に曲がるところを、前の登山者に釣られて直進。最初こそ踏み跡がしっかりしていたが、進むに連れ、踏み跡がなくなっていく。前の登山者もおかしいと思い立ち止まっていたので、2人で思案。地図は尾根上を直登に伸びているが、この道は明らかに尾根から外れている。立ち止まっていた登山者は、強引に尾根に登ろうとしていたので、諌めて先ほどの分岐らしき場所まで2人で戻ることにした。
分岐まで戻り、よく見てみると、「直進するな!」を示しているような目印あり。迷った後ならわかるが、最初は全く目に入らなかった。周りにいた登山者は道を間違えていなかったようだが、途中まであれだけ踏み跡があったということは、かなりの登山者が間違えて足を踏み入れている筈なのでココは要注意ポイント。なお、後にも先にも道迷いで注意が必要な箇所はココだけだった。

コースに復帰した直後は、普通レベルの傾斜が続く上り道。先ほど一緒に道に迷った登山者も少しの間一緒に歩いていたので、「稲村岩手前の急登に比べれば楽ですね」なんてお気軽ムードで話していたが、それも最初のうちだけ。すぐに奥多摩屈指の急登、稲村岩尾根の恐ろしさを思い知らされることになる。

そのうち、どんどん急勾配となり、道もジグザクに急斜面の木々の間を縫うように伸び始める。ココから核心部となる急登スタート!この急登が山頂までほぼ直登に続いており、登っても登っても変わり映えのない景色が続く無限地獄。コレは甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根で登った八丁登りを彷彿させる。

道迷いから復帰した地点より40分ほど登り、ようやく平坦な場所に到達。座るのに丁度良い倒木があったので休憩。目印はないが、ここまでが第二ステージ。

さて、休憩後もまだまだ続く急登。休憩中に追い抜いていった登山者は、一定速度でコツコツ登るタイプだったので、その後ろにへばりつくように登るハイエナ戦法で登ることに。これは、前の登山者をペースメーカとし、追いついたら止まって休憩、一定の間隔が空くとまた歩き出し、また追いついたら止まって休憩を繰り返しながら登るスタイル。しかし、後ろに付かれるのが嫌だったのか途中であっさり前に通されてしまう。この戦法は、前を歩くペースメーカーから嫌がられる事が多い..。
木々の隙間から見える景色からこれまでより高度感が出て、濃霧だっだ山に陽も差し込み始める。天候は期待できないと踏んでいたが、嬉しい想定外。ただし、明日にかけて天候は下り坂なので、いつ天候が崩れてもおかしくないため、早めの登頂を意識して先を急ぐ。
【10:32】ヒルメシクイノタワに到着。
ここまでが第三ステージ。目の前のピークが鷹ノ巣山の筈なので、ココまで来ればあとはひと踏ん張り。ガイドブックには「ヒルメシクイノタワ以降、次第に傾斜は緩やか」と書かれていたが、そんなことはなかった。これまでの三頭山、六ッ石山、御前山では全て、難所を超えた後の終盤は、山頂まで楽な道だったが、鷹ノ巣山はその法則に当てはまらず。

ヒルメシクイノタワ ~ 鷹ノ巣山の山頂

ココからが最終ステージ。山頂にはすぐに着くだろうと思っていが、進めど進めど山頂に辿り着く気配なし。最後だったので、残る体力を全て使いきるつもりで登ったが、なかなか山頂に着かないため、途中で体力切れとなり、残るは気力で登り切る。
最後の方で、前を登っていたシニア登山者に追いついてしまったが、もはや前に通されるのもツライ。バテバテだったので、前を通してくれた方も「私に気を使わず、ゆっくり自分のペースで登ってください」と気遣いを見せてくれた。その前にも、女性ソロ登山者が登っていたが、その登山者に追いついたところで、山頂到着。

稲村岩尾根で自分の前後を歩いていた登山者は、そそくさと早めに下山していく。石尾根から奥多摩駅に抜けるため、早めに出発しているのだろう。自分の下山は奥多摩湖で、時間に余裕があるのでゆっくり休憩。

展望が広がる南は霧に覆われているが、時折霧が晴れることもあり、その瞬間に奥多摩山域の景色なら見ることができる。晴れていれば富士山も見えるようだが、さすがにこの霧では見えない。
12時を過ぎると、山頂付近が晴れる気配のない濃霧に覆われ始めたため、そろそろ頃合いかと思い出発。

鷹ノ巣山 ~ 榧ノ木尾根分岐

【12:25】鷹の巣山の山頂を出発。
前回登った際に逆走しているが、石尾根から鷹ノ巣山までの道は、歩いていて気持ちが良い。途中の登山道外で食事をしている登山者も2組ほど見かけた。

【12:37】石尾根縦走路との分岐に到着。
殆どの登山者は石尾根縦走路には出ずに、尾根筋を直進している。奥多摩駅に抜ける人たちだろう。本来であれば、右に曲がるのだが、直進した1~2分先に水根山があるため、寄ることにした。

次の写真の場所が水根山。登山道外の右手にある小ピーク。山名標識はあるが、知らなければ気付かず通過してしまうだろう。その後は分岐に戻って石尾根縦走路を歩く。このあたりの道は平坦でとても歩きやすい。
【12:46】榧ノ木(かやのき)尾根の分岐地点に到着。

榧ノ木尾根分岐 ~ 倉戸山

本日の第二目的地である倉戸山に向け出発。

コース上には、ヒルクライムのロードバイク数台が滑走していた。前回の六ツ石山の下山中にも見かけたので、この辺りはヒルクライムの練習場にもなっているようだ。歩くには問題ないが、落葉の深い場所や、片側が切り立った斜面の細い道などもあるのに、よくやるわ..。
倉戸山の前に、榧ノ木尾根沿いの途中に榧ノ木山という小ピークを通過する。通過後に榧ノ木山に向かうシニア女性2名に場所を尋ねられ、そこで初めて気付いたぐらい、気にも止めていなかった山。コース上に山名標識もなく、気付かず通り越していたようだ。このシニア女性は倉戸山まできたついでに榧ノ木山まで足を伸ばすことになったようだが、名のある山でもなく、倉戸山から結構距離もあるのに、こちらもよくやるわ..。
倉戸山近くまでくると、道と踏み跡が広がり、コースのわかりづらい箇所がある。注意板もあるので、道迷いには注意が必要。自分もこのあたりは、コースを外れながら歩いていたと思う。
【13:49】倉戸山に到着。
山頂の風景から、まだココまで春が上がってきていないようで、期待していた山桜も殆ど咲いておらず。この感じならピークはGW頃だろう。山と高原地図に「4月下旬が見頃」とあるため、4月下旬に倉戸山に登った記事をいくつか見かけたが、殆ど空振り。倉戸山で山桜を見たいならGWあたりが良いと思う。

倉戸山 ~ 倉戸口バス停

倉戸山からは熱海・倉戸口バス停に下るコースと女の湯バス停に下るコースに分かれる。奥多摩駅に近いのは熱海・倉戸口バス停のため、榧ノ木尾根から歩いてきた登山者の大半は熱海・倉戸口バス停方面に下る。ちなみに、女の湯バス停近くには、「鶴の湯温泉源泉(外部リンク)」があるが、温泉施設がある訳ではない。また、倉戸山から女の湯バス停までの道は廃れているようで、道がわかりにくい場所もあるらしい。

【14:08】倉戸山を出発。
倉戸山からの道に、目立った難所や特徴はない。淡々と歩くこと30分で倉戸山登山口に到着。
【14:56】倉戸口バス停に到着。
途中で追い抜いた団体シニア登山者もやってきたため、帰りのバスでは座れなかった。

関連レポート

鷹ノ巣山コースタイム

予定 実際 場所
08:00 07:50 東日原
- 08:11 稲村岩尾根登山口
09:15 08:53~09:05 稲村岩
- 10:32 ヒルメシクイノタワ
11:25~12:40 10:55~12:25 鷹ノ巣山
- 12:46 榧ノ木尾根分岐
14:30 13:49 倉戸山
15:30 14:56 倉戸口バス停

鷹ノ巣山の難易度

難易度

11/30

総合難易度
必要体力 体力難易度4
コース距離 コース距離難易度2
所要時間 所要時間難易度3
危険度 危険度難易度0

登山難易度 登山難易度5
小屋・水場 小屋・水場難易度2
アクセス アクセス難易度0

総合難易度 総合難易度4

登山DATE

  • 歩行距離:13.54km
  • 登山歩数:22,805歩
  • 高度上昇:1,256m
  • 高度下降:1,353m
  • 出発高度:0,614m
  • 最高高度:1,736m

  • 標高の差:1,122m
  • 活動時間:05:24
  • 休憩時間:01:42

  • 合計時間:07:06
必要体力・距離

体力的難所は稲村岩手前の急登。この区間はジグザクに道を切らないと登れないスペシャル急の傾斜。稲村岩から先は、ダラダラと山頂まで続く登り道が厄介。本文にも書いたが、これまで登った奥多摩の急登と異なる点は、山頂までこの急登が続くこと。唯一楽だったのは東日原から沢沿いを歩いた序盤と、稲村岩出発直後に少し平坦な道があった程度。

また、稲村岩までは沢沿いを歩くなど道に変化があったので、飽きない道だったが、後半は岩場や鎖場などもないため、グイグイ高度が上がっていく感じでもなく、途中に景観の良いビューポイントがある訳でもないため、嫌気がさしてくる。ただし、道自体は普通に登りやすい。
危険度・水場
特段危険箇所はないが、1カ所道を間違ったので、その地点だけは要注意。序盤にある沢から外れると水場はないので、夏場など水不足には注意。
総括
奥多摩急登の筆頭格に挙げられるだけあって、タフなコース。ただし、このコースが宿泊を前提とした北アルプスなどであれば、かなり厄介だが、日帰り前提の山であるため、軽い荷物で登れる点はアドバンテージがある。危険箇所もなく、技術的要素が求められる場所もないため、体力さえあれば、登山経験がなくても登ることは可能。女性ソロやシニアや子供もいたので、体力に自信がなくても時間をかけて登れば問題はない。
ご質問・感想などコメント歓迎します。
お気軽にどうぞ!

PAGE TOP