[熊倉山登山レポ]
城山コースから標高差1,100mを登る熊倉山登山
2019年3月17日(日)天候:晴れのち雪
白久駅 ~ 城山 ~ 熊倉山 ~ 武州日野駅
白久駅 ~ 城山 ~ 熊倉山 ~ 武州日野駅
- 城山(しろやま)
- 埼玉県秩父市荒川日野と荒川白久の境にある標高648mの山。戦国時代には城山に熊倉城(日野城)と呼ばれる山城が築城されており、現在は熊倉城跡として県選定の重要遺跡に指定されている。
- 熊倉山(くまくらやま)
- 埼玉県秩父市にある標高1,426.5mの山。埼玉県と東京都の境界にある長沢背稜から派生する尾根上に位置する。近隣の両神山や和名倉山と並んで遭難事故が多い山として知られており、特に酉谷山へ通じる縦走路では、遭難が多発している。
熊倉山のコース
- 城山コース登り利用
- 白久駅から谷津川沿いの林道を歩くか、または城山を経由して、城山近くの熊倉山登山口から登るコース。
- 日野コース下り利用
- 武州日野駅から林道を歩き、日野コースの熊倉山登山口から登るコース。
- 酉谷山から熊倉山
- 奥多摩の酉谷山から縦走してくるコース。山と高原地図では破線表示される難コースで、道迷い・遭難が多発しているため、通行自粛が呼びかけられている。
熊倉山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「奥武蔵・秩父」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!
熊倉山コースレポート
白久(しろく)駅 ~ 城山 ~ 熊倉山登山口
【6:55】白久駅に到着。
電車には数人の登山者が乗車していたが、白久駅で下車したのは自分だけ。白久駅は無人駅でトイレはホームの中にある。
まずは城山の登山口を目指す。山と高原地図があれば、道に迷うことはないと思うが、一応記しておく。
- [1]駅を背にして左に進み、踏切を渡る。
- [2]T字の道路を右に進む。
- [3]右側にスロープ状の道が現れたらそこを登る。
- [4]もう一度踏切を渡る。
【7:11】城山の登山口に到着。
「城山の登山口」と書いたが、登山の対象となるような山ではないため道標があるだけ。登山ポストなどはない。
最初の上り道を登り切ると小ピークに到着する。ココから熊倉城跡まで、小規模なアップダウンの連続。鋸のようなギザギザとした痩せ尾根で、途中まで回数を数えていたが、あまりにも多いので、途中で数えるのを止めてしまった。5回以上はあったと思う。熊倉山登山口に向かう途中で通過する山ぐらいに思っていたが、肩で息をする場面があるなど、想定外に体力を使う。
熊倉城跡手前で、熊倉城跡を左から回り込む道と、右から回り込む道の分岐がある。右から回り込んでも進めるが、土塁に阻まれ城跡は見えないため要注意。分岐が落ち葉に埋もれて分かりにくい上、踏み跡は右に続いていたので、右の道を進んでしまい、結局反対側から回り込む羽目になってしまった。
【8:23】城山の熊倉城跡に到着。
想定よりも道が過酷で時間も長く感じたが、ようやく到着。
【8:36】城山の熊倉山登山口に到着。
熊倉城跡から熊倉山登山口まで5分ほどだったので、熊倉城跡を見たいだけなら反対側から登った方が絶対楽。すでに標高300mほど稼いでいるが、残る標高差は823mとまだまだ先は長い。
熊倉城跡から熊倉山登山口まで5分ほどだったので、熊倉城跡を見たいだけなら反対側から登った方が絶対楽。すでに標高300mほど稼いでいるが、残る標高差は823mとまだまだ先は長い。
熊倉山登山口 ~ 標高996m地点
【8:43】城山の熊倉山登山口を出発。
スタートしてものの数分で、先の見えない長ーい急登が立ちはだかる。序盤は特に傾斜が急で、道を直登にできないため、小刻みにジグザクが切られている。
スタートしてものの数分で、先の見えない長ーい急登が立ちはだかる。序盤は特に傾斜が急で、道を直登にできないため、小刻みにジグザクが切られている。
すごい急登だが、城山が体慣らしの前哨戦になったためか、エンジン全開って感じで、思いのほか体が動く。城山の登山道に比べると、ルートがしっかりしており、登りやすい。また、急登で標高もぐんぐん稼いでいる感じがするので、登りごたえもある。
道標には番号が付けられており、No.12が最初の道標で、No.1が山頂の道標。城山コースは途中にポイントとなる地点がないため、この道標の番号が距離の目安となる。
登り始めて1時間が経過しても、急登の終わりは見えず。ただ、体の調子が良く、不思議とそれほどツラさを感じないのは幸い。
【9:37】No.8の道標、標高996m地点に到着。
登っているときは、この標高996m地点を意識していた訳ではない。途中にポイントとなる地点がないため、レポートの区切りとしているだけ。
登っているときは、この標高996m地点を意識していた訳ではない。途中にポイントとなる地点がないため、レポートの区切りとしているだけ。
標高996m地点 ~ 熊倉山の山頂
これまで上り一辺倒だった登山道も、No.6の道標のある小ピークでようやく一区切り。
No.6の道標のピークを含め、2度ほど小規模なアップダウンを越える。また、道は次第にヤセ尾根へと変わっていく。
小ピークのアップダウンを越えたあとは、大きく登り返す。この上りもそれなりに急登。
No.5の道標を超えたあとでようやく熊倉山の山頂をとらえる。登山口から1時間30分ほどが経過しているので、さすがに疲れが出てきた。ちなみにこの区間にあるはずの、No.4の道標は見当たらなかった。欠番?
No.3の道標の左側にはロープが張られ通行禁止となっている。かつてこの道から日野コースに抜けられたようだが、現在は廃道となっている。しかし、このときはそんな事情も知らず、深く考えずにそのまま通過。しかし、次のNo.2の道標に、城山コースと日野コースが並列表記されていたため、てっきり日野コースとの合流地点を見落としてしまったと勘違いしてしまう。
No.2の道標のあとに、残雪の残る急斜面が現れる。今年は暖冬のため油断していたが、よく考えれば3月の標高1,400m付近なので雪が残っていても不思議ではない。なお、アイゼンは持ってきていない。大した雪の量ではないが、厄介だったのは雪がアイスバーン化していたこと。こんな急斜面で足を滑らせバランスを崩したら、登山道外まで滑走する可能性があり、かなり危険。比較的凍結していない箇所を選び、木の幹や木の根を手がかりにして、一歩一歩慎重に登る。
特に上の写真の箇所は危なかった。掴める木がないため僅かに地中から出ている木の根を手がかりにして、四つん這いで登る。雪が固くて足場が不安定なので、何かに掴まっていないと危ない。
【10:49】日野コースとの合流地点に到着。
ココでようやく日野コースとの合流地点を通り越していなかったことに気付く。正直これにはホッとした。何故なら、先程通ってきた凍結した雪の急斜面を下りで通らずにすむから。この合流地点から山頂までは5分ほどの距離。
ココでようやく日野コースとの合流地点を通り越していなかったことに気付く。正直これにはホッとした。何故なら、先程通ってきた凍結した雪の急斜面を下りで通らずにすむから。この合流地点から山頂までは5分ほどの距離。
【10:56】熊倉山の山頂に到着。
山頂にはきちんと最後の道標No.1が設置されていた。前情報どおり、山頂からの展望・眺望はきかず、枯れ木の間から僅かに周辺の山々が見える程度。山頂スペースは縦に長く、南側に酉谷山へ続く縦走路の入口がある。おどろおどろしい山頂標識は、もはや熊倉山の象徴。展望・眺望はないため、この山頂標識を見るために登ってきたと言っても過言ではない。
山頂にはきちんと最後の道標No.1が設置されていた。前情報どおり、山頂からの展望・眺望はきかず、枯れ木の間から僅かに周辺の山々が見える程度。山頂スペースは縦に長く、南側に酉谷山へ続く縦走路の入口がある。おどろおどろしい山頂標識は、もはや熊倉山の象徴。展望・眺望はないため、この山頂標識を見るために登ってきたと言っても過言ではない。
当初山頂には誰もいなかったが、登頂直後に1名、本日初遭遇となる登山者が、日野コースから登ってきた。また、No.2の道標あたりまで晴れていた空も、山頂付近は雪雲に覆われているのか、どんよりした空模様に。
熊倉山の山頂 ~ 笹平
途中で粉雪が舞い始めて、寒くなってきたので、食事を終えたあとは早々に退散。展望・眺望がきかず寒いとなれば、山頂に長居する理由はないし。
【11:47】熊倉山の山頂を出発。山頂付近の残雪地帯は下りの方が危険なため、細心の注意を払いながら一歩一歩慎重に下る。
分岐から10分ほど進むと雪もなくなる。城山コースの残雪区間に比べて、危険箇所が少なかったのは幸いだった。
日野コースの道標にもナンバリングされており、城山コースの道標とは逆で番号が少なくなっていく(登りは多くなる)。山と高原地図には掲載されていないが、日野コースにはポイント地点がいくつかある。まずは、笹平を目指す。
日野コースの道標にもナンバリングされており、城山コースの道標とは逆で番号が少なくなっていく(登りは多くなる)。山と高原地図には掲載されていないが、日野コースにはポイント地点がいくつかある。まずは、笹平を目指す。
苔むした岩が目立ち始めるあたりで、地面が平らになっており、このあたり一帯を笹平と呼ぶようだ。
【12:30】笹平水場に到着。
張り紙に「時期等により水が出ていない時があります」と書かれており、その通り水は僅かしか出ておらず。水場の側にもう1つ水の流れている箇所があり、そちらはギリギリ水筒に入れられる水量だった。なお、もう少し下ると登山道が沢と合流するため、下りの場合は無理にココで水を補給する必要はない。
張り紙に「時期等により水が出ていない時があります」と書かれており、その通り水は僅かしか出ておらず。水場の側にもう1つ水の流れている箇所があり、そちらはギリギリ水筒に入れられる水量だった。なお、もう少し下ると登山道が沢と合流するため、下りの場合は無理にココで水を補給する必要はない。
笹平 ~ 官舎跡
道標に書かれている情報から、次は官舎跡を目指す。
岸壁に挟まれた大きな丸岩が目に入る。かなり特徴的な風景なので、名称がつけられていても良さそうな感じだが..。登山道外だが近づいてみると、下は空洞になっており、近くに水が流れていた。
【13:05】官舎跡に到着。
No.5の道標が設置されている。名称から営林署の跡地だろう。朽ち果てたトタン屋根が残されている。
No.5の道標が設置されている。名称から営林署の跡地だろう。朽ち果てたトタン屋根が残されている。
官舎跡 ~ 日野コース登山口
「三ツ又」と書かれたNo.4の道標のある場所で沢と合流する。ココから登山口までは、この沢沿いを下る。ちなみにこの川は荒川水系の源流の1つ。
途中、局地的に道がわかりにくい箇所はあるものの、沢沿いを進めば道に迷うことはない。
途中、局地的に道がわかりにくい箇所はあるものの、沢沿いを進めば道に迷うことはない。
左側に林道が見えてきたら林道に上がる。なお、林道に上がる手前の橋は朽ち果てる一歩手前で危ないため、沢を直接渡ったほうが安全。
【13:28】林道終点に到着。
なお、本来の日野コースはこのまま沢沿いを下るのだが、山と高原地図では破線表示されており、実質的にこの林道終点が日野コースの登山口となっている。
なお、本来の日野コースはこのまま沢沿いを下るのだが、山と高原地図では破線表示されており、実質的にこの林道終点が日野コースの登山口となっている。
日野コース登山口 ~ 武州日野駅
この先は林道を歩くが、林道に出た途端まさかの降雪。まあ、すぐに止みましたが。
2回目の分岐の正解は左。しかし、看板に右は「日野コース登山口」と書かれている上、道標に武州日野駅も右となっている。(矢印の向きが微妙なので道沿いという意味だったのかも)右に進んだ先に本当の日野コースの登山口があるのだが、知らないと混乱するだろう。また、右に進んでも武州日野駅に到着できるが、左の道を進んだほうが近い。左のような気もしたが、右に進んでしまう。
ココが本来の日野コースの登山口で、自分が歩いてきた道はショートカットみたいないもの。だが、ココから登るよりショートカットとなる林道を歩いた方が絶対楽。なお、登山口の道標に「武州日野駅」は右となっている。やはり先程の分岐まで戻り舗装道路を進むことに。
なお、武州日野駅の近くに「金土日祝」のみ営業の手打ちそば屋「そば処 和美(なごみ)」がある。このそば屋は11時から1日49食のみで売り切れ次第終了。到着は14時を過ぎるため売切れている可能性大だが、ダメ元で寄ってみることに。【14:23】「そば処和美」に到着。
やっぱり閉店してました。次の武州日野駅発の電車は14時37分。「そば処和美」の近くにある道標に「武州日野駅まで16分」と書かれていた。走ったら間に合いそうだが、疲れて走る気がしない。その次は15時2分なので、次の電車に乗るつもりだったが、意外と早く駅近くの踏切が見えてきたので最後はダッシュ。
ダッシュしたおかげで電車に間に合いました。お疲れ様でした。
熊倉山コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
06:55~07:00 | 06:55~07:07 | 白久駅 |
- | 08:23 | 城山 |
08:40 | 08:36~08:43 | 城山コースの登山口 |
- | 09:37 | 標高996m地点 |
10:40~11:40 | 10:56~11:47 | 熊倉山の山頂 |
- | 12:30 | 笹平水場 |
- | 13:05 | 官舎跡 |
13:10 | 13:28 | 林道終点 |
13:40 | 13:38 | 林道分岐 |
14:35 | 14:35 | 武州日野駅 |
熊倉山の難易度
13/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
登山DATE
- 歩行距離:16.58km
- 高度上昇:1,311m
- 高度下降:1,326m
- 出発高度:0,256m
- 最高高度:1,426m
- 標高の差:1,170m
- 活動時間:06:30
- 休憩時間:00:58
- 合計時間:07:28
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お気軽にどうぞ!
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城山は大したことないと高を括っていたが、歩きにくいし、アップダウンは多いし、と結構体力をもっていかれる。熊倉城跡を見たいだけなら林道を歩いて、熊倉山登山口から逆走した方が絶対楽。
城山コースの標準コースタイムは2時間だが、前半1時間はほとんど上り一辺倒。その後も要所で急登が立ちはだかるため、体力的な要素が強く求められる。下山で歩いた日野コースの方が傾斜は緩やかだが、その分距離を歩かされる。登山者が少ない山にしては、登山道の整備が行き届いているのか、道は登りやすかった。この点において、城山とは対照的。
GPSログから、城山コースの熊倉山登山口からの平均勾配を算出したところ26.5%。(標高差:823m ÷ 距離:3.100m)これは「奥多摩三大急登」に匹敵する平均勾配。しかもこれは、熊倉山登山口からの数値であり、城山登山を含んでいない。城山はアップダウンが多かったのでGPSログの累積標高を確認すると1,311mと、単純標高差1,170mよりも241mも多かった。数値から見ても、今回歩いたルートの体力的難易度の高さがわかると思う。