[三頭山登山レポ]
ヌカザス尾根からイヨ山・ヌカザス山を経て登る、奥多摩三山の三頭山
奥多摩湖 ~ イヨ山 ~ ヌカザス山 ~ 三頭山 ~ 槇寄山 ~ 仲の平(バス停)
- 三頭山(みとうさん)日本三百名山花の百名山山梨百名山奥多摩三山
- 東京都の奥多摩山域にある標高1,531mの山。日本三百名山および、山域は山梨県にも跨っているため山梨百名山にも選定され、さらに御前山、大岳山と共に奥多摩三山にも数えられており、奥多摩を代表する山といえる。三頭山には西峰(1,527m)中央峰(1,531m)東峰(1,528m)と3つの頂上があり、それが山名の由来にもなっている。
三頭山の代表的なコース
なお、登山者は「都民の森コース」に集中しており、それ以外のコースに殆ど人はいない。
- ヌカザス尾根登り利用
- 北側の奥多摩湖から、南に向かって登るコース。奥多摩屈指の急登としても知られている。
なお、厳密にはこのコースも、ムロクボ尾根とヌカザス尾根の2つがあり、両コースはヌカザス山で合流する。
【ムロクボ尾根】深谷橋(バス停) ~ ヌカザス山 ~ 三頭山
【ヌカザス尾根】小河内神社(バス停) ~ イヨ山 ~ ヌカザス山 ~ 三頭山
- 数馬-笹尾根下り利用
- 檜原街道沿いの仲の平バス停から、槇寄山を経由して登るコース。大きく南側を迂回するため利用者は少ないが、利用する場合でも下山での利用者が多い。
- 都民の森コース人気コース!
- 東京都檜原都民の森を抜け登るコース。都民の森内は3つのコースに分かれているが、南側の大沢山を経由するコースは迂回路で距離が長くなるため利用者は少ない。
【北】鞘口峠(さいぐち) ~ 三頭山
【中】三頭ノ大滝 ~ ムシカリ峠 ~ 三頭山
【南】三頭ノ大滝 ~ 大沢山 ~ 三頭山
三頭山の登山計画
- プラン
- 今回の目的は、本格的な登山シーズン前に備えた体力づくり。予てより、奥多摩三山は全て登る予定だったので、まだ登っていなかった三頭山を選択。
- コース
- 軽い気持ちで望んだ三頭山登山だったが、想像以上に苦戦。それもそのはず、後で知ったが、ヌカザス尾根から登る三頭山のコースは奥多摩山域でも屈指の急登コース。体力づくりが目的だったため、殆ど事前準備もしておらず、ストックも持参しなかったため、かなりキツイ登山となってしまった。
三頭山コースレポート
峰谷橋バス停 ~ 三頭山登山口
【7:18】奥多摩駅に到着。
奥多摩駅に到着した時、2番バス停には「小菅の湯」行きのバスが停車していた。自分は7時45分発「峰谷」行きのバスに乗る予定だったため、しばし待機。しかし、後で知ったが、三頭山のヌカザス尾根から登る場合、峰谷橋バス停、小河内神社バス停のどちらで下車しても良く、奥多摩駅2番のりばから出るバスでは、「奥多摩湖」行き以外どのバスに乗っても到着できる。
【8:15】峰谷橋バス停で下車。
峰谷橋バス停で下車したのは自分を含めて3名。バスにはまだ10数人乗っていたが、残るは終点の峰谷から鷹ノ巣山の登山者だろうか?峰谷橋バス停で下車したうち1人は、峰谷橋を渡った先にあるトンネル手前、右側の道を登っていったが、どの山に向かったのか謎。うち1人は、自分と同じく三頭山で、ドラム缶橋で自分の数十メートル先を歩いていたが、その後は引き離され見かけることはなかった。
峰谷橋バス停から、赤い欄干の峰谷橋を渡り、その先のトンネルを抜けると麦山浮橋(むぎやまうきはし)こと、通称「ドラム缶橋」がある。このドラム缶橋の手前に小河内神社バス停もある。歩いて数分だが、峰谷橋バス停より、小河内神社バス停のほうが近い。
登山口は目立たないので、通り過ぎないよう注意。
三頭山登山口 ~ イヨ山
九十九折を抜けると、あとは南に向け直登に登山道が伸びている。暫く進むとヌカザス尾根の形がはっきりとわかる細い尾根となり、ココから本格的な急登となる。この細い尾根の急登に加え、大量の落ち葉にぬかるんだ地面で登りにくさも満載。登山口から約1時間ほどでイヨ山の山頂に到着しているが、感覚的には相当長く感じた。
あとで知ったが、このヌカザス尾根は奥多摩山域でも屈指の急登コースらしい。どうりでしんどい訳だ..。登山道には誰もいないので、イヨ山到着後すぐに登山道に倒れこむ。ココまで吐き気を催すほどしんどかった。山名標識のある場所は、ピークのようにはなっていない。三角点は少し手前の急登を登り切った場所にあったので、標識の立てやすい場所に便宜上立てたように思われる。
イヨ山 ~ ヌカザス山
次なる目的地はヌカザス山。イヨ山からすぐに大きく下り、その後は小刻みなアップダウンが続く。そして、ヌカザス山の手前から登り返しの急登。イヨ山までは、急登のぬかるんだ地面に苦戦を強いられたが、このヌカザス山は急登且つ足がズルズル下に滑る砂利の登山道に泣かされる。傾斜もイヨ山以上に急で、もはや修行や試練というレベル。
漢字では「糠指山」書くようだ。イヨ山同様に疲れで山頂に倒れこむ。ヌカザス山も鬼キツです。疲れで吐き気に加え頭痛もしてきた。
ヌカザス山 ~ 入小沢ノ峰
【10:54】ヌカザス山を出発。
ヌカザス山の山頂から1分ほど歩いた先に、ムロクボ尾根との分岐地点がある。ムクロボ尾根の登り道を覗き込んでみたが、こちらもかなりの急登。しかもヌカザス尾根より道が廃れているっぽい。
オツネの泣き坂は、イヨ山やヌカザス山の急登に比べれば距離が短かかったので助かった。既に疲れの蓄積でヘロヘロだし、あの坂が三頭山まで続いていれば確実に心折られてます。
入小沢ノ峰 ~ 三頭山
入小沢ノ峰と三頭山の途中に、鶴峠への分岐地点(鶴峠分岐)がある。入小沢ノ峰から4分ほどで前方に分岐が見える。疲れているので「ひょっとしてもう鶴峠分岐に着いた?」と楽観的に捉えてしまったが、そんなに早く到着する訳がなく、分岐には「作業道」と書かれており落胆。ひょっとしたら、入小沢ノ峰手前にトラロープで遮られていた道は、この分岐に繋がっているのかも。
入小沢ノ峰から鶴峠分岐までは、15分ほどで到着。この区間の登山道は、起伏もない緩やかで楽な道だった。【11:41】鶴峠分岐に到着。
鶴峠分岐からも、引き続き緩やかな登山道が続く。今年は暖冬なので、この調子なら雪はないかと思ったが、三頭山直前で登山道に積雪がちらほら現れる。さすがに暖冬とはいえ、3月なので山頂付近には雪が残っていた。三頭山の山頂に向けた急登に備えていたが、普通に歩いていたら、御堂峠に到着。拍子抜けした反面、バテバテだったのでちょっと安堵した。
三頭山には3つのピークがあるため、御堂峠から何処に向かえば良いのか迷う。疲れているため、余計な動きはしたくないので、地図を確認しながらその場で思案。結局、下山時を考慮し、中央峰 ⇒ 東峰 ⇒ 展望台 ⇒ 御堂峠(まで戻ってきて) ⇒ 西峰 と移動することにした。
ようやく腰を下ろし昼食が食べられる。中央峰と西峰周辺にはベンチがあるため、登山者の多くはどちらかで昼食をとっている。中央峰で昼食にしても良かったがベストポジションを取られていたため、西峰まで移動して食べることにした。山頂スペースとしては、西峰が一番広くベンチの数も多い。展望に関しては、3つの峰全てにおいて殆どない。あえて言うなら西峰が少し開けているかな。
三頭山 ~ 槙寄山 ~ 西原峠
一先ず中間目的地の大沢山へ向かう。大沢山の前後2カ所に、都民の森コースとの分岐地点がある。前後を歩いていた登山者は大沢山手前の分岐を下山していく。いつものパターンだが、ココから先は孤独な登山に戻る。
【13:57】三頭山避難小屋から10分弱ほどで、大沢山に到着。
大沢山手前に緩やかな登り返しがあった程度で、特に苦もなく辿りつけた。ベンチはあるが展望・眺望はきかないため、そのまま通過。
山と高原地図によるとこの分岐地点から、槇寄山は目と鼻の先。距離は短いはずなので、早歩きでそのまま進むが、10分以上歩いても一向に槇寄山に到着しない。さすがに、これはおかしいと思い始める。道は外れていないので、あり得るのは、気付かないうちに槇寄山と西原峠を通り越してしまった可能性。一瞬道がわかりにくい箇所があったので「ひょっとしてあそこで..」なんて不吉な予感が頭をよぎる。しかし、こんな時こそ頼りになるのが登山用GPS!GPSで調べると槇寄山の少し手前の地点であることがわかったので、安心してそのまま進むことに。
結局、上野原町郷原への分岐地点から15分かかったが、これ絶対に山と高原地図における郷原への分岐の場所がおかしい!地図では槇寄山からすぐの場所で分岐しているが、実際は槇寄山から結構離れている。おかげで槇寄山や西原峠を通り越してしまったかと、ヒヤヒヤさせられた。
西原峠も分岐地点となっており、上野原町郷原や数馬へ下山することができる。自分は北の数馬を目指す。ちなみに、三頭山から伸びているこの尾根は笹尾根と呼ばれており、下山せずに尾根沿いをまっすぐ進めば、遠くは陣馬山・高尾山まで続いている。
西原峠 ~ 仲の平バス停
西原峠には「温泉センターかわら版」と書かれたゲゲゲの鬼太郎の妖怪ポストにそっくりな瓦版置き?が設置されている。「温泉センター」とは、麓の檜原街道沿いにある「檜原温泉センター数馬の湯」のことで、下山者を温泉センターに誘致するためのものだと思うが、瓦版らしきものは入っていなかった。入っていたのは、汚れたクリアフォルダとバインダーだけ。
西原峠からは下り道とういうこともあり、特段難所などのトピックス的要素はない。ただ、ヌカザス尾根同様に地面がヘドロ化している箇所が多々あった。まあ、下りなので問題はないが。左(写真は振り返り撮影しているので右)に進むと、観光旅館三頭山荘に抜ける。道標に書かれた大平は地名だと思うが、地図に大平という地名は載っていなかった。
【15:48】槇寄山・西山峠への登山口に到着。
下りだったので問題なかったが、上りならこの登山口を見つけるのは至難。一応、写真撮影した後ろに案内板はあったが、どうみても民家の私道にしか見えないので、ココを入っていくのは躊躇するだろう。この登山口から登るなら、事前に民家の裏の道を抜けていくことを覚えておいた方が良い。
【15:57】仲の平バス停に到着。
バス停には、木のベンチが置かれているだけでバス停留所案内板はおろか、バス停ポールもなし。たまたま、地元のおばあちゃんが通りかかりバス停であることの確認ができたので良かったが、おばあちゃんがいなかったら周辺を探しまわる羽目になっていたかもしれない。ベンチを置くスペースがあるなら、ポールの1本でも立てておいて欲しい。
なお、気分によっては、近くの「檜原温泉センター数馬の湯」や「蛇の湯温泉(じゃのゆおんせん)」に寄ろうかと思っていたが、バスの時間ピッタリだったし、温泉入った後の着替えも持っていなかったので、今回はパスすることにした。
【16:07】予定通りの時間に、武蔵五日市駅行きのバスに乗車。お疲れ様でした。蛇の湯温泉の「たから荘」は、東京で唯一の「日本秘湯を守る会」の会員宿。
三頭山コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
08:30 | 08:15 | 峰谷橋 |
- | 08:47 | ヌカザス尾根登山口 |
09:45 | 09:49~09:58 | イヨ山 |
10:45 | 10:42~10:54 | ヌカザス山 |
- | 11:23 | 入小沢ノ峰 |
11:35 | 11:41 | 鶴峠分岐 |
12:10~13:10 | 12:06~13:28 | 三頭山 |
- | 13:57 | 大沢山 |
14:50 | 14:50~14:55 | 槇寄山・西原峠 |
- | 15:48 | 登山口 |
15:50 | 15:57 | 仲の平バス停 |
三頭山の難易度
13/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
登山DATE
- 歩行距離:15.15km
- 高度上昇:1,230m
- 高度下降:1,081m
- 出発高度:0,532m
- 最高高度:1,531m
- 標高の差:0,999m
- 活動時間:05:54
- 休憩時間:01:48
- 合計時間:07:42
お気軽にどうぞ!
ストックなし、テーピングなし、事前の運動なし、と舐めてかかりすぎて痛い目を見た。そもそも体力づくりのための登山なので準備不足は仕方ない面もあるが、ストックぐらい持っていけば良かったかと。まあ、ある意味筋トレや体力づくりには最高のコースだったと言える。
山頂にいた登山者の殆どが都民の森から登ってきているようで、小さな子どもや、登山をあまりしないようなカップルもいたので、しんどい思いしたくない人は、無難に都民の森から登った方が良い。