釈迦ヶ岳

釈迦ヶ岳登山

釈迦ヶ岳

Shakagatake

白

[釈迦ヶ岳登山レポ]
太尾登山口から登る大峰山の釈迦ヶ岳

2024年5月4日(土) 天候:晴れ
太尾登山口 ~ 釈迦ヶ岳 ~ 深仙小屋 ~ 大日岳 ~ 太尾登山口
  • 大峰山(おおみねさん)日本百名山
  • 大峰山は大和アルプスの異名をもつ、北は奈良県吉野から南は和歌山県の熊野まで、紀伊山地の中央を南北にのびる全長50Kmほどの山脈。ユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の主要な構成要素として、大峰山北部から南部を結ぶ、修験道の道「大峯奥駈道」が登録されている。
  • 大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)
  • 吉野と熊野を結ぶ大峯山を縦走する、修験道の修行の道。国の史跡「大峯奥駈道」として指定され、ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部でもある。古来より、大峯山寺より奥の「靡(なびき)」に進むことを奥駈と云われていた。修行場は「靡」と呼ばれ、ひとつひとつに番号が割り当てられている。熊野本宮大社の本宮大社の第一行所(靡)にはじまり、吉野川河岸の柳の宿の第七十五行所(靡)に終わる。
  • 釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)日本二百名山
  • 大峰山系の山で、奈良県南部の吉野郡十津川村と下北山村の境にある標高1,800mの山。大峰山脈を代表する山の1つで、日本二百名山に選定されている。また、大峯奥駈道のルート上にあり、75の靡(なびき)の1つに数えられている。

釈迦ヶ岳のコース

釈迦ヶ岳の登山口は、縦走を除けば、西の十津川村側にある太尾(ふとお)登山口、東の上北山村にある前鬼登山口の2つ。
  • 太尾コース登り利用下り利用人気コース!
  • 西の十津川村側にある太尾登山口から東に向かって登るコース。標高差は約500mと初心者でも登りやすく、また開放的な尾根歩きも尾根歩きも楽しめるため、人気のコースとなっている。なお、太尾登山口ではなく、不動木屋谷登山口から登る派生ルート(旧道)もあるが、利用者は少なく道は廃れ気味とのこと。
  • 前鬼コース
  • 東の前鬼登山口から大日岳、深仙の宿(じんぜんのしゅく)などを経て山頂を目指すコース。厳密には、小仲坊(おなかぼう)以降から登山道となる。古くからあるコースだが、標高差は約1,000mあり、健脚向け。
山と高原地図
釈迦ヶ岳のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「大峰山」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

釈迦ヶ岳の登山計画

プラン
5月GWの帰省時に、関西の山に登るのが毎年の恒例となってきている。今年は、2015年に登りかれこれ9年ぶりとなる大峰山へ。かねてより登りたい山リストに入っていた、大峰山南部の釈迦ヶ岳へ。GW後半は天気が悪いため、夜行バスで5/3の朝に京都に着くが、その日の夜に出発して、5/4に登る計画を立てた。
コース
東の十津川村から登るメジャーコースを選択。理由は東の上北山村からのコースは、標高差もあり所要時間も長いことに加えて、駐車場(車止めのゲート)から前鬼登山口まで、8kmほど林道を歩かなければならず、面倒なため。なお当初は、太尾登山口ではなく、不動木屋谷登山口から登る予定だったが、深夜で駐車スペースがわからなかったことと、トイレがなかったため、結局太尾登山口から登ることにした。

釈迦ヶ岳コースレポート

太尾登山口 ~ 古田の森

京都を出発したのは22時頃で、当初は深夜のうちに登山口までアクセスし、明るくなるまで車で仮眠をとる予定だった。しかし、十津川村に入った1時過ぎ頃には、夜行バスでの移動疲れと長時間の車の運転による疲労で、運転が危険な状態になったため、「道の駅 吉野路大塔」で仮眠をとる。3時頃に起きて、車で太尾登山口まで移動し、到着したのは4時過ぎ。登山口でも1時間ほど仮眠をとったが、5時ごろには空が明るくなり始めたので、出発することにした。

ちなみに、夜明け前に到着したにも関わらず、登山口前の駐車スペースは満車だったため、少し手前の路肩スペースに車を駐車。後に知ったが、前日から登って楊子ヶ宿(ようじのしゅく)に宿泊している登山者が結構いたようだ。
ポイント太尾登山口までの道
太尾登山口までの道は落石が多く、山中の他の登山者から、以前に落石で車のタイヤがパンクした話も聞いたので、落石には要注意。また、登山口周辺は携帯電波は圏外のため、パンクした場合は、他登山者の車に乗せてもらうか、もしくは徒歩で、圏内まで移動しなければならない。特にオフシーズンは、落石が多く、登山者は少ないので要注意。

【5:42】正式名称は「十津川村旭 太尾登山口」。
当初は、不動木屋谷登山口から登る予定だったが、登山口近くにトイレがなかったため、太尾登山口から登る予定に変更。

出発直後は、少し入り組んで歩きにくかったが、それも序盤だけ。進むにつれてつれて、歩きやすい道へと変わっていく。

【10:21】合流地点に到着。
ココは、不動木屋谷登山口から登るコースとの合流地点。本来はこのコースから登ってくる予定だったが、「この先、道不明瞭」と書かれているので、あまり人が通らない道のようだ。ポイント地点だが、それほど疲れていないため、そのまま進む。

合流地点以降は、まるで2,000m級山の稜線を歩いているような、開放感のある登山道に。傾斜も緩やかなので、歩きやすい上、見晴らしも良いという最高の条件が揃っている。本コースの利用者が多い理由が、わかった気がする。

古田の森 ~ 釈迦ヶ岳の山頂

【6:50】古田の森を出発。
古田の森から釈迦ヶ岳の山頂までは、約1時間。古田の森を出発するとすぐに、釈迦ヶ岳の山頂をとらえることができる。

千丈平(せんじょうだいら)はテント場になっており、何張りかテントが張られていた。それと、千丈平は釈迦ヶ岳の山頂を経由しないで、大日岳へ向かう巻き道の分岐地点だが、分岐に道標がなく、このときは気づかずスルー。ちなみに、分岐を少し進むと「かくし水」と呼ばれる水場がある。詳細は復路で。

千丈平以降は、本格的な釈迦ヶ岳の山頂へ向けた登りとなる。これまで、大半は傾斜のなだらか道だったが、さすがに最後は傾斜のある道を登る。とは言っても、たいした傾斜ではないが..。
【7:35】釈迦ヶ岳の山頂に到着。
山頂には、釈迦ヶ岳の象徴である観音様がたたずんでいます。全長4m弱ほどありそうで、結構でかい!山頂スペースは、中央に観音様で、その周囲が休憩できるスペースになっているが、あまり広いとは言えない山頂。釈迦ヶ岳は、大峯奥駈道にある75の靡のうち、40番目の靡となる。
ポイント釈迦ヶ岳のお釈迦様
大正13年に天川村の剛力であった岡田雅行(通称:鬼マサ)が一人で、前鬼より三分割して運び上げられたそうです。大正時代のため、今のように道は整備されておらず、前鬼坂と呼ばれた難路(現在は廃道)を越えて運んだそうで、その壮絶さは想像を絶する。
当初は、人も少なかったが、しばらくすると楊子ヶ宿で宿泊した登山者が、どんどんやってきた。観音岳での食事を予定していたが、手狭になってきたことと、時間も7時でお腹も減っていないので、ひとまず大日岳へ向かうことに。

釈迦ヶ岳山頂 ~ 深仙の宿 ~ 大日岳

【8:09】釈迦ヶ岳の山頂を出発。
一旦、先ほど通過した、大峯奥駈道の分岐まで戻り、そこから大日岳へ向かう。これまで整備された歩きやすい道だったが、この区間は不安定なトラバース道が続くため、下側に引っ張られる力が強く、歩きにくかった。トピックスとしては、途中に第39の靡、都津門(とつもん)があることと、この区間はツツジが何箇所か咲いていた。
【8:42】深仙の宿(じんぜんのしゅく)に到着。
ココで昼休憩といきたいところだが、時間的にはまだ早いため、先に大日岳へ向かう。小屋内には誰もいなかったので、ザックをデポして出発。
深仙の宿内部

大日岳の名物となっている岩登りの行場だが、看板に「修行以外の方はお入りになることをお勧めしません。」と注意喚起されていたが、当然ながら鎖場から登る。なお、きちんと迂回路も用意されている。

その行場だが、ほぼ垂直でなかなかスリリングのある岩場。高度感はあるが、鎖が設置されている上、ザックもデポして身軽だったので、アスレッチックみたいな感覚で楽しかった。ただ、途中数メートル、目立ったホールドがなく、鎖がなければ登れないような箇所もあった。
大日岳の行場の山頂には、大日如来座像が鎮座している。山頂スペースは円錐形をした山の形からわかるとおり、かなり狭い。岩の上で、先行していた登山者と少し会話したときに、下りは意外と怖くないとのことだったので、下りも鎖場を通ったが、楽しくないので、下りはやはり迂回路を通ったほうが無難。

深仙の宿 ~ 千丈平

【9:26】再び深仙の宿に。
小屋の庇(ひさし)の木陰に腰をおろして、早めの昼食。この、深仙の宿だが、めちゃくちゃいい雰囲気。座り心地の良い芝生、鞍部のためか気持ちの良い風が吹いており、時折うぐいすの鳴き声も聞こえるという、素敵な空間でした。また、深仙の宿は、第38番目の靡でもある。
ポイント深仙の宿
修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)が、深い瞑想を行い、数多の仙人や神々が現れ、直接秘法を授けられたという伝説が伝わっている。

早朝から登っているので、食後は眠気に襲われ、少しの間昼寝。ちなみに、深仙の宿から北に200mほど進んだところに「香精水(こうしょうすい)」と呼ばれる、岩からしたたる水(場)があったのだが、確認し忘れました。あと、四天石の方にも近づけたようで、もう少し周辺を散策すればよかった..。

【11:08】深仙の宿を出発。
復路はきた道ではなく、深仙の宿から千丈平へ抜ける派生コースがあるので、その道を歩く。ただ、この道は、山と高原地図では破線で描かれており、なんとなく悪い予感を感じていたが、予感が的中し、数分だが道に迷ってしまった。ちなみに、この道は千丈平に抜けるまで、終始トラバース道となっている。

ツツジだが、見た目には「レンゲツツジ」に見えるが、西日本には「アケボノツツジ」という種が多いらしいのでそっちかも。

中間地点を過ぎたあたりで登山道から外れてしまう。途中までトレースはあったが気づけば道が途絶えてしまったため、GPSで位置確認。すると登山道の下を歩いていることが判明したので、ひとまず道を戻る。すると、深仙の宿方面から登山者がやってきたため、一緒に歩くことに。しかし進んだ先は、やはりさっきと同じ場所。また、戻るのが面倒になったので、結局強引に藪漕ぎしつつ真上に進んで、登山道に復帰した。
【11:56】千丈平の合流地点に到着。
道を間違えたことで、なんか精神的に疲れてしまった。途中までトレースがあったので、自分と同じように道を間違えた人が一定数いるはずなので、この区間は要注意。"道がおかしい"と思ったら戻ること。

千丈平 ~ 大股登山口

あとは、登ってきた道を戻るだけ。気軽な気分で歩けたが、真昼という時間的なこともあり下りはちょっと暑かった。見通しが良い反面、日陰がなく直射日光をモロに浴びるので、夏場は熱中症対策が必須。
太尾コースだが、全般的に傾斜が緩やかなので、下りも膝への負担が少なく、とても歩きやすい。
入口がちょっとわかりにくく「道の駅 吉野路大塔」の建物の横から入る。GWということもあり、「道の駅 吉野路大塔」がダダ混みだったので、星乃湯も混んでいるかと思ったが意外と空いてました。京都、大阪方面に戻るなら、十津川村温泉郷は方角が逆なので、地理的に星乃湯さんがおすすめです。おかげで登山の疲れを癒やすことができました。

釈迦ヶ岳コースタイム

予定 実際 場所
- 05:42 太尾登山口
- 06:17 合流地点
- 06:50 古田の森
- 07:35~08:09 釈迦ヶ岳の山頂
- 08:42 深仙の宿
- 09:06 大日岳
- 09:26~11:08 深仙の宿
- 11:56 千丈平
- 13:13 太尾登山口

釈迦ヶ岳の難易度

難易度

13/30

総合難易度
必要体力 体力難易度2
コース距離 コース距離難易度3
所要時間 所要時間難易度2
危険度 危険度難易度2

登山難易度 登山難易度4
小屋・水場 小屋・水場難易度0
アクセス アクセス難易度4

総合難易度 総合難易度

登山DATE

  • 歩行距離:12.69km
  • 高度上昇:789m
  • 高度下降:788m
  • 出発高度:1,300m
  • 最高高度:1,800m

  • 標高の差:500m
  • 活動時間:05:15
  • 休憩時間:02:16

  • 合計時間:07:31
必要体力・距離・時間
単純標高差は約500mで、登山道は序盤と山頂直下を除けば、緩やかな傾斜の道が大半。体力をそれほど使わず登ることができる上、道も整備されていて非常に登りやすい。時間的にも釈迦ヶ岳だけなら、約2~3時間で登頂できるので短すぎず、長すぎずと適度な所要時間。距離は最終的には12kmほど歩いたが、傾斜が緩やかなため、山での12kmというより平地に近い感覚。
危険度
滑落という意味での危険箇所は、やはり大日岳の行場(岩場)。ほぼ垂直の本格的な鎖場なので、鎖場が苦手な人は迂回路の方が良いが、慣れている人はめっちゃ楽しいと思う。また、道迷いの観点では、深仙の宿から千丈平へ抜ける破線ルートが要注意。本文にも書いたが、区間後半のルート外れには気をつけること。道がおかしいと思ったら、引き返すことが重要。
山小屋・水場

水場は、千丈平近くの「かくし水」と、深仙の宿近くの「香精水」の2箇所。香精水は確認し忘れたが、水量が細いらしいので、アテにしない方が良いだろう。ただ、ショートコースなので、確実な水場が1箇所あるだけで十分。場所的にも「かくし水」は、コース後半の良い位置にあり、存在価値も高い。

山小屋においては、無人だが「楊子ヶ宿」と「深仙の宿」があるので、宿泊登山も対応可能。ただし、宿泊する場合、楊子ヶ宿はともかく、深仙の宿は小さな小屋なので、利用するときは早着するか、テントを持参したほうが良い。
アクセス
登山口までバスは出ておらず、車でのアクセスが必須となる。周辺に駅もないため、タクシー利用も事実上不可。京阪神から、車でアクセスした場合でも、十津川村までの道のりが長い上、十津川村の国道168号線からも、落石に神経使いながら小道を約20kmほど走らなければならず、疲弊する。関西圏以外からのアクセスは、さらに難易度が上がり、全般的にアクセス難易度は高い。
総括

体力・距離・所要時間の面においては、初心者から中級者まで楽しめる難易度に対して、魅力あふれる要素が多い名山。あと、釈迦ヶ岳に登るなら、大日岳はセットがオススメ。もしくは大日岳に登らずとも、深仙の宿までは雰囲気が最高なので、足を伸ばした方が良い。ネックはやはりアクセス面。特に関西圏以外からだと、レンタカー必須で距離も遠いので、アクセス面のハードルは高い。

ここ最近登った100名山以外の山では、北海道のアポイ岳、長野の入笠山などに並ぶ名山。100名山という冠にこだわらなければ、同じ大峰山の八経ヶ岳よりもオススメです。
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