[御座山登山レポ]
4月の残雪期に、難路の山口コースから登る御座山
山口公民館バス停 ~ 山口登山口 ~ 御座山 ~ 白岩登山口 ~ 白岩バス停
- 御座山(おぐらさん)日本二百名山
- 長野県南佐久郡にある標高2,112mの山。東信地方(長野の東)の最高峰で、佐久の幽境(世俗を離れた静かな所)ともうたわれている。御座山の北側、見晴台から前衛峰にかけて、シャクナゲが多く自生しており、5月末から6月にかけて、シャクナゲの花が咲き乱れる。
御座山のコース
白岩、山口、栗生の登山口にはそれぞれバスが出ているが、本数は少ない。
- 長者の森コース人気コース!
- 北の長者の森から南に向かって登るコース。30台収容可能な駐車場が完備されており、村のオススメルート。特に、シャクナゲが咲く5月末~6月は人気のコースとなる。
- 白岩コース下り利用
- 北の白岩から南に向かって登るコース。登山口まで高原野菜畑の農地内を通るため、マイカー利用は自粛が呼びかけられている。コースは見晴台の手前で長者の森コースと合流する。
- 栗生(くりゅう)コース人気コース!
- 南の栗生から、北に向かって登るコース。登山口から2時間50分で登頂可能な最短コースのため、年間を通じて最も利用されている。
- 山口コース登り利用難コース
- 北西の山口から登るコース。山と高原地図では破線表示されており、利用者は極端に少ない。
御座山の登山計画
- コースとアクセス
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まず、都内から日帰りは厳しいため、前日入りの計画を立てる。佐久平駅に深夜バスでアクセスし、漫画喫茶で仮眠をとり、始発の電車で小海駅に向かう。
御座山に公共交通機関でアクセスできる登山口は、白岩登山口、山口登山口、栗生登山口の3つ。一番最初に考えたのは、栗生登山口。しかし、小海駅からの始発バス7時35分に乗るには佐久平からでは間に合わず、小淵沢からの始発6時10分の電車に乗らなければならない。しかし、小淵沢駅周辺の宿泊施設はペンションや観光ホテルばかりで、安宿がないため断念。次に考えたのが、白岩登山口。しかし、こちらも同様で始発バスは7時12分のため間に合わない。栗生も白岩も2本目のバスなら間に合うが、どちらもバス停着が10時30分頃のため、遅い時間からの登山になり、できれば避けたい。さらに小海駅から白岩・栗生バス停までのタクシー料金を調べると、どちらも約5,500円ほどの料金。一人利用でギリギリ出しても良い値段だが、バスの乗車運賃は100円と破格なため、できればバスを利用したい。
そして最後に残った山口登山口だが、8時20分着のバスがあり、最も早い時間から登ることが可能。タイムスケジュールを組んでみたところ、比較的余裕のある行動計画だったので消去法で山口コースを選択。
※村営バスは日曜日の本数が少ないため、公共交通機関でアクセスするなら日曜日は避けたほうが良い。 - 山口コース
- この山口コースは山と高原地図では難路指定されているコース。しかも、山口コースを歩いた情報がネット上にほとんどなく、漠然と道がわかりにくいという情報だけは見つかったが、参考になる記事は皆無。そのため、道迷い対策として久しぶりに国土地理院の2万5千分の1地形図を購入し、万全を期して挑んだ。つもりだったが...。(詳細はコースレポートに続く)
御座山コースレポート

山口公民館バス停 ~ 山口登山口
バスは貸し切りでした。バス停の前に大きな御座山登山口の案内板が設置されているため、進むべき道は一目瞭然。出発準備を整え、まずは林道を歩き山口登山口を目指す。
登山ポストもないので、目印は「間伐展示林」と書かれた標識。駐車スペース2台となっていたが、路肩に駐車するタイプできちんとした駐車場はない。登山口近くには大やち川が流れており、水の調達が可能。

信濃川に流れ込む支流の1つが相木川で、その相木川に流れ込む支流の1つが大やち川。
山口登山口 ~ 廃道合流地点
山と高原地図には記されていないが、国土地理院2万5千分の1地形図にはきちんと記されている合流地点。現在通行止めになっているが、かつて存在した道。
廃道合流地点 ~ 南の鞍部
上の写真の涸れ沢を渡渉する地点は要注意。事前に沢を渡渉することは知っており見落とさなかったが、知らないと真っ直ぐ進んでしまう可能性あり。ただし、渡渉地点には目印がしっかり設置されていた。
涸れ沢を渡った先から、雪の凍結した箇所が現れ始める。実は、今回道迷いに注視しすぎて雪の事まで頭が回らず、アイゼンは持ってきていない。細い道の斜面でツルツルの箇所もあったが、慎重に通過してなんとか乗り切る。途中まで問題なかったが、涸れ沢を渡った後の後半はかなりキツかった。体力的にもそうだが精神的にも疲れた。でも難所を乗り切ったので一安心。
南の鞍部 ~ 御座山の山頂
ちなみに山頂避難小屋を覗いてみたが、小屋内部はきれいなので平時でも泊まれる避難小屋。[山頂避難小屋]
すったもんだありましたが、なんとか時間差15分以内に収められました。御座山の山頂から、特に目を引くのは西の八ヶ岳、北の浅間山。そしてわかりにくいが、南に金峰山と瑞牆山も見える。
御座山の山頂 ~ うだの沢のトーミ ~ 前衛峰
【13:15】御座山の山頂を出発。
一旦避難小屋まで戻り、北の白岩登山口を目指す。
道は狭くて薄暗いため、閉塞感があり気の滅入る道が続く。雪は山頂付近で膝下ぐらいまであったが、雪が柔らかくクッション代わりになって、逆に歩きやすかった。
この区間で、チワワを連れた本日2人目となる登山者とすれ違う。結局山中で出会った登山者はこの方含め2組だけだった。寂しすぎるし。【13:40】うだの沢のトーミに到着。
なんだか可愛らしい地名だが、ココが前衛峰と御座山の鞍部。うだの沢のトーミには、御座山の北西「下新井」への道標が設置されているが、登山道は消失しており国土地理院2万5千分の1地形図にも掲載されていない。
御座山の山頂は見えるが、展望自体はそれほど良くない。登りの場合は「御座山の山頂が見えた~」って気分にはなると思うけど。
前衛峰 ~ 見晴台
展望台のようになっているが、それほど展望は良くない。登りならともかく、山頂からの大パノラマを見てきているのでココはスルー。なお、反対側に浅間山が見える展望スポットもある。
見晴台 ~ 合流点 ~ 白岩登山口
ココが長者の森コースと白岩コースとの合流地点。下りでは分岐となり、白岩登山口を目指して左方向に進む。ちなみに道標の矢印は直進方向を指し示しているが、白岩コースは斜め左方向なので要注意。
白岩登山口の入口には、鹿よけフェンスが設置されており、この扉を開けて外に出る。鍵代わりにドアにベルトが取り付けられていた。
白岩登山口 ~ 白岩バス停
白岩登山口から、高原野菜畑の中を抜け、白岩バス停を目指す。時間は30分押しているが、スケジュール段階で30分の余裕時間を作っていたので、ある意味予定どおり。
この農地の敷地内を抜けていく道、下りは問題ないが、登りで利用する場合、結構キツイと思う。白岩バス停から1時間30分もかかる上、農地内の見通しの良さが仇となって「あそこまで歩くのかよ..」って、絶望感に襲われそう。ギリギリだが、無事に15時54分のバスに間に合いました。まあ、次のバスが16時25分なので、そのバスでも帰りの高速バスには間に合うんですが。おかげで小海駅でゆっくり食事する時間を確保できました。
御座山のコースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
08:21~08:26 | 08:21~08:26 | 山口公民館バス停 |
09:46 | 09:21~09:30 | 山口登山口 |
11:46 | 11:56 | 南の鞍部 |
12:01~13:01 | 12:17~13:15 | 御座山の山頂 |
13:11 | 13:40 | うだの沢のトーミ |
13:46 | 14:16 | 見張台 |
14:16 | 14:44 | 合流点 |
14:36 | 15:07 | 白岩コース登山口 |
15:26 | 15:50 | 白岩バス停 |
御座山の難易度

14/30
総合難易度必要体力 | ![]() |
コース距離 | ![]() |
所要時間 | ![]() |
危険度 | ![]() |
登山難易度 | ![]() |
小屋・水場 | ![]() |
アクセス | ![]() |
総合難易度 | ![]() |
登山DATE
- 歩行距離:15.82km
- 高度上昇:1,146m
- 高度下降:1,033m
- 出発高度:1,017m
- 最高高度:2,112m
- 標高の差:1,095m
- 活動時間:06:17
- 休憩時間:01:07
- 合計時間:07:24
お気軽にどうぞ!
登山口から廃道合流地点までの道は、気持ち悪いぐらいの歩きにくさで意外と体力を消耗する。沢沿いの道は総じて傾斜も緩やかだが、最後に沢を詰める区間は、急坂で体力を使う。ただし、全体を通して格別に体力が必要かと言われれば、それほどではない。
林道歩きを除けば距離は約8km。全体を通して歩いた時間は5時間30分と、日帰り登山としてはそこそこの距離と時間。バス停から山口登山口まで分岐は多いが、道標がしっかり設置されており道迷いの心配はない。ただし登山口だけわかりにくいので要注意。登山口から廃道合流地点までの区間も問題はない。沢沿いの道だが、予想以上に多くの目印が設置されていた。大局的に見ると沢を詰めるだけなので、地形的にわかりやすいだろうと楽観的に捉えていたが、支沢に惑わされたり、方向感覚のわかりにくい場所もあるなど、そんなに単純ではなかった。
山頂付近は岩場だが、コース全体を通じて滑落の危険性のある箇所はない。凍結や積雪量の多い箇所も多かったので、やはりアイゼンは必須。いつも持参して使わないパターンが多いので軽視してしまったが、今回は確実にあった方が良かった。余談だが、バスの運賃が100円というのは破格。村営バスなので、村人以外はもう少し徴収しても良いと思うが..。なんか逆に申し訳なく感じた。
今回は雪対策を怠り残雪に泣かされたが、雪がなければこの山口コースから登るのも全然ありだと思う。人も少なく沢沿いの道は薄暗い箇所も多いが、反面静粛な雰囲気を味わえるというメリットもある。
下りで利用した御座山の北側は、シャクナゲが想像以上に数多く自生していたので、シャクナゲの咲く5月末~6月上旬に長者の森か白岩から登れば、素晴らしい光景が広がっていそう。次登るなら絶対その時期に登ってみたい。