毛無山

毛無山登山

毛無山

Kenashiyama

白

[毛無山登山レポ]
毛無山から雨ヶ岳へ!天子山地縦走登山

2019年4月9日(火) 天候:晴れ
朝霧高原 ~ 毛無山 ~ 大見岳 ~ タカデッキ ~ 雨ヶ岳 ~ 本栖湖
  • 天子山地(てんしさんち)
  • 富士山の西側、山梨県南部と静岡県北部にまたがる山地。代表的な山に毛無山(1,946m)、雨ヶ岳(1,771m)、長者ヶ岳(1,335m)、天子ヶ岳(1,330m)などがあり、山麓には朝霧高原をはじめ白糸の滝や田貫湖などの観光地がある。
  • 毛無山(けなしやま)日本二百名山山梨百名山
  • 山梨県南巨摩郡身延町と静岡県富士宮市の境にある標高1,946m、天子山地を代表する山。毛無山は金山を有する山でもあり、江戸時代まで採掘が行われていた「湯之奥金山」の採掘跡が残る。
  • 雨ヶ岳(あまがたけ)
  • 天子山地にある標高1,771.7mの山。本栖湖の南西岸に接し、山頂から富士山の展望が良い。

毛無山のコース

毛無山のコース地図毛無山のコース地図。
毛無山のコースはそれぞれ東の朝霧高原から登るコースと、西の下部温泉(しもべおんせん)から登るコースの2つ。交通アクセスの観点などから、朝霧高原から登る登山者が多い。また、北の雨ヶ岳から縦走してくることも可能だが、こちらは下山で利用される事が多い。
  • 朝霧高原コース登り利用
  • 西の朝霧高原から登るコース。途中に「不動の滝見晴台」「富士山展望台」などの見どころがある。
  • 下部温泉コース
  • 東の下部温泉から、五老峰(ごろうぼう)、大ガレの頭を経て登るコース。途中に「金山遺跡」などの見どころがある。
※ 朝霧高原から登る場合、地蔵峠を経由する迂回路もあったが、2019年4月現在崩落により通行止めとなっている。
山と高原地図
毛無山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「富士山」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

毛無山の登山計画

コース
朝霧高原コースも下部温泉コースも公共交通機関でアクセス可能だが、日帰りとなると朝霧高原のみとなるため、消去法で朝霧高原コースに決定。
日程
実は、2018年5月5日に登る予定で登山口に向かったが、「富士芝桜まつり」の渋滞に巻き込まれ、登山口にたどり着けず、登らずして敗退した経験がある。今回はその経験を生かして、「富士芝桜まつり」が始まる前の4月上旬を狙って計画。2019年は4月13日(土)から「富士芝桜まつり」が始まるため、天気の良い4月9日(火)の平日に有給を取得して挑むことにした。
アクセス
朝霧高原の登山口に公共交通機関でアクセスする方法は、新富士・富士宮駅から河口湖・富士山駅へ向かうバスに乗るか、その逆である河口湖・富士山駅から新富士・富士宮駅へ向かうバスに乗るかのいずれか。新富士駅7:15 or 富士宮駅7:50のバスに乗れば8時30分前に登山口最寄りのバス停「朝霧グリーンパーク入口」に到着できるが、都内から始発に乗ってもこの時間のバスには間に合わない。次に早いのは河口湖・富士山駅からのバスだが、それでもバス停「朝霧グリーンパーク入口」の到着は10時を過ぎてしまう。ちなみにバス停「朝霧グリーンパーク入口」から毛無山の登山口まで約1時間かかるため、登山開始は11時頃となる。新富士・富士宮駅周辺に前入りするか、11時という遅い時間からの登山を覚悟するかの二者択一となり、後者を選択。幸いなことに、19時頃に本栖湖・朝霧高原から新富士・富士宮駅に向かう最終バスがあり、登山開始は遅くなるが、下山が遅くなっても日帰りは可能。

毛無山コースレポート

朝霧グリーンパーク入口 ~ 毛無山登山口

【10:28】「朝霧グリーンパーク入口」バス停に到着。
今回渋滞はなかったが、路線バスのエンジントラブルにより代車のバスに乗り換えるなどしたため、30分遅れで到着。前回の渋滞に続いて今回はエンジントラブルによる敗退かとヒヤヒヤさせられた。ちなみに、30分遅れたとはいえ、標準コースタイムで登れば帰りのバスには十分間に合う。

時間が惜しいのですぐに出発。毛無山に伸びる一本道の林道を歩き、登山口を目指す。
T字路を右に曲がった先にトイレがある。登山口にトイレはないので、ココでトイレを済ませておく。

【11:00】毛無山登山口に到着。
上の写真の右側にも道があり、どちらも入口に鎖が設置されているので、一瞬悩んでしまったが、正解は素直に「毛無山登山道案内図」が設置されている道を進む。※案内図から、おそらく右の道からでも行けるかと。

ちなみに、駐車場に車が数台あり、ソロ登山者が1名。下山してきた登山者かと思っていたが、後に山頂で出会うことになる。

毛無山登山口 ~ 不動の滝見晴台

登山口から先にもいくつか分岐があるので、ちょっとだけ要注意。
【11:09】地蔵峠を経由するコースとの分岐に到着。
2018年4月現在、地蔵峠への道は崩落により通行止め。右に進む。ちなみに、この分岐あたりで、本日下山してくる第一号とすれ違う。まあ、早朝から登っていれば、今ぐらいの時間に下山してきてもおかしくない..。これから登る自分としては、なんか切なさを感じる。
コース上には一定間隔で「毛無山○合名」の標識が設置されている。本コースは、道中のトピックスも乏しく、代わり映えしない景色が続くため、モチベーションの維持や距離感・進捗を把握するのにありがたい標識。
【11:30】不動の滝見晴台に到着。
不動の滝は、岸壁を流れ落ちる滝だが、かなり距離が遠い。
残念ながら広角レンズで撮影した写真から、滝の迫力や雄大さは全く伝わらず...。

不動の滝見晴台 ~ 富士山展望台

「不動の滝見晴台」以降は、毛無山の本格的な上りがスタート。何箇所かロープの垂らされた岩場も出現するが、ロープを使わなくても通過は可能。登山道には石も多いが、浮石ではなく地中に埋まっているので、障害にはならない。むしろ固い岩を足場に、脚力で前に上にと進んでいけるので、登りやすい道と言える。
山と高原地図には記されていないが、四合目の少し先でレスキューポイントを通過する。このレスキューポイントを通過したあたりから、今まで以上に登山道に傾斜が出始め、岩も多くなっていく。
○合目の標識も、序盤の四合目ぐらいまでは、先の長さを感じさせられて嬉しくないが、半分の五合目を過ぎてくると、嬉しくなってくる。
一合目あたりから、振り返ると富士山と朝霧高原を見下ろした景色が木々の隙間から見えるが、八合目を過ぎたあたりからは、高度も感じられるようになる。
富士山展望台手前の上り道は急傾斜。ココも脚力を使う。
【13:10】富士山展望台に到着。
富士山展望台からの風景も良いけど、この先もっと素晴らしい場所がある。

富士山展望台 ~ 毛無山の山頂

「富士山展望台」以降も、これまで通り、急傾斜の登山道が続く。九合目を過ぎるとすぐに、下部温泉コースとの合流地点に到着。体力を使うのはココまでで、あとは稜線の平坦な道を歩けば山頂に到着できる。
「北アルプス展望台」となっているが、北アルプスはほとんど見えず、実際のところは「南アルプス展望台」である。

本日は、本栖湖に抜けて17時27分の河口湖・富士山駅行きのバスに乗ることも可能性の1つに考えていたので、昼食はおにぎりのみ。この時点で予定時間より30分早く行動できているので、なんか17時27分のバスに間に合いそうな気もしてきた。

当初は端足峠(はしたとうげ)から天子山地の東に下山し、「根原」からバスに乗る予定を計画していた。しかし、よくよく考えたらこのバスは本栖湖からも乗車できるので、間に合えば、17時27分の河口湖・富士山駅行きのバスに乗り、間に合わなければ、18時53分の新富士・富士宮駅行きのバスに乗れば良い。ということで行き先を本栖湖に変更。

毛無山の山頂 ~ 大見岳 ~ タカデッキ

【14:00】毛無山の山頂を出発。
毛無山のすぐ北にある、大見岳を経由して、タカデッキを目指す。なお、毛無山の山頂には「雨ヶ岳までの縦走区間はヤブササが深くベテランの方を必ず同行させてください」と注意書き板が設置されていた。

あと、最初に書いておくと、毛無山から北側では一部の区間で残雪が残っていた。特に、大見岳周辺とタカデッキの北側には多く残っており、一部アイスバーン化した場所も。アイゼンは持参しているが、雪のあるところとないところがはっきりしていたので、持ってくるならチェーンスパイクのほうが良かった。

【14:17】大見岳に到着。
間違いなく、ココが大見岳の筈だが、山名標識は見当たらず。ネットには写真がアップされていたので、見落としたのか、なくなったのか..。

大見岳直後の道は、要注意。道標の矢印からわかるとおり、左に約45度方角を変える。また、大見岳周辺は雪で登山道が消失しており、足跡を頼りに進んだところ道迷い。足跡をつけた登山者も途中で道から外れていることに気づいたようで、左に大きく旋回して登山道に復帰する足跡が残っていた。大見岳直後は、左方向をかなり意識して進んだほうが良い。
ポイント 天子山地の最高峰
Wikipediaなどには天子山地の最高峰は毛無山(1,946m)と書かれているが、実際は大見岳(1,964m)が最高峰となる。
無事、登山道に復帰。その後、タカデッキ・雨ヶ岳を経由して本栖湖に下るまで、道迷いしそうなポイントはなかった。
想定はしていたが、タカデッキ手前で中規模の登り返しがある。ただ想定の範囲内の登り返しだった。
【14:53】タカデッキに到着。
笹藪に覆われており、展望が良さそうでそれほど良くない。小休憩してからすぐに出発。

タカデッキ ~ 雨ヶ岳

タカデッキの北側は、木が鬱蒼としたヤセ尾根で、トラロープが張られているあたりで少し道がわかりにくい。あと期間限定だが、このあたりは雪が凍結した箇所が多く危険。なんとか行けそうだったので、ココもアイゼン付けずに通過したが、滑らないようにかなり気を使って歩いた。
タカデッキと比較して、雨ヶ岳への登り返しは短く緩やかな道で、体力はそれほど使わなかった。
【15:29】雨ヶ岳に到着。
雨ヶ岳から見た富士山も秀逸。今回歩いたコースの中で毛無山の北側と、この雨ヶ岳から見た富士山の景観が特に素晴らしかった。

雨ヶ岳 ~ 端足峠

雨ヶ岳からは、端足峠(はしたとうげ)を経由して、本栖湖に下山する。出発直後に北尾根(破線コース)との分岐があるが、道標が設置されていないので、間違って北尾根に進んでしまわないように注意。

雨ヶ岳から先は、一気に高度を下げる急降下の道となる。
正面の景色が富士山から竜ヶ岳・本栖湖に変わってからは、さらに傾斜のある急降下となる。この区間、膝に負担がかかるので要注意。

【16:14】端足峠に到着。
竜ヶ岳経由で本栖湖に下山することも可能だが、さすがに毛無山から縦走してきてお腹いっぱいだし、しかもこの時間なのでパス。河口湖・富士山駅行きのバスの時間は17時27分。間に合いそうな気もするので、すぐさま本栖湖へ向けて出発。

本栖湖までは、九十九折の道をひたすら本栖湖に向かって下る。道中の景色に、ほとんど代わり映えなし。

【16:47】本栖湖に到着。
ココから本栖湖畔線の道路を歩き、本栖湖バス停を目指す。※厳密には「本栖湖入口」バス停を目指す。

地図の標準コースタイムを注意深く見ておらず、本栖湖に到着すればバス停まですぐだと思っていたが、舗装道路に出てからバス停まで1時間15分のコースタイム。17時27分のバスまで残り40分。多少の時間なら短縮できる自信はあるが、さすがに約半分の時間を短縮するのは厳しい..。ひとまず先を急ぐ。

【17:33】本栖湖入口バス停に到着。
途中、要所で小走りして、なんとか間に合いそうな感じだったが、最後の最後でキャンプ場の中を抜けショートカットしようとして道に迷い、ジ・エンド。こんなことなら、ゆっくり歩けば良かった。

なお、本栖湖まで下山すれば、18時52分のバスまで喫茶店などでゆっくり時間を潰せると思っていたが、周辺のお店はすべて閉店し、あたりにはほとんど人がおらず。しかも18時を過ぎるとあたりは真っ暗で激寒。まあ、帰れたので良いが、最後の道迷いが悔やまれた。
ポイント 本栖湖周辺のお店
夏季期間であれば19時ごろまで営業しているお店もあるようです。

毛無山のコースタイム

予定 実際 場所
10:07 10:28 朝霧グリーンパーク
11:07 11:00 毛無山登山口
11:32 11:30 不動の滝見晴台
12:13 12:17 毛無山五合目
13:47 13:20 合流地点
14:02~14:47 13:30~14:00 毛無山の山頂
15:02 14:17 大見岳
15:52 14:53 タカデッキ
16:32 15:29 雨ヶ岳
17:42 16:14 端足峠
- 16:47 本栖湖(端足峠入口)
- 17:33 本栖湖入口バス停
18:42 - 根原バス停

毛無山の難易度

難易度5

13/30

総合難易度
必要体力 体力難易度3
コース距離 コース距離難易度3
所要時間 所要時間難易度3
危険度 危険度難易度1

登山難易度 登山難易度3
小屋・水場 小屋・水場難易度1
アクセス アクセス難易度2

総合難易度 総合難易度5

登山DATE

  • 歩行距離:18.27km
  • 高度上昇:1,341m
  • 高度下降:1,245m
  • 出発高度:0,820m
  • 最高高度:1,964m

  • 標高の差:1,144m
  • 活動時間:06:35
  • 休憩時間:00:30

  • 合計時間:07:05
必要体力

登山口から九合目の先、下部温泉コースとの合流地点まで、終始上りが続くコース。トラバース道や九十九折の道はほとんどなく、余計な動きをさせられないのが特徴。道は直登なのでそれなりにキツさはあるが、道自体は登りやすく、標高もドンドン稼いでる感じがあって登りごたえがある。ちなみに自分は岩場の多いコースは得意で相性も良いので、登っていて清々しい疲労感で、苦しさはあまり感じなかった。また「毛無山○合目」の標識も、程よい間隔で現れるため、登りやすさに一役買っている。

毛無山から雨ヶ岳までの縦走路は、アップダウンも少なく、タカデッキ手前の登り返しで少し体力を使う程度。それ以外に体力的難所はない。
距離・所要時間
登山口からの標高差は1,144m。登山口から本栖湖までの距離は18.3km。活動時間は6時間35分。日帰り登山としては、標高差もあり、時間・距離も長いので中級者向けのコース。
危険度・水場
毛無山から雨ヶ岳までの縦走路上で、一部雪が凍結している場所があり危険だったが、雪がなければ滑落するような危険箇所はない。道迷いでは、大見岳直後が道を間違えやすいので要注意。
毛無山の山頂には、縦走路を歩く場合ベテラン者の同行が呼びかけられていたが、そこまで危険性の高い道ではないと思う。
アクセス
おそらく、自分以外の全員が車でアクセスしていたと思う。他サイトで公共交通機関のアクセスが容易と紹介されていたが、早い時間のバスがなかったり、周辺の道路状況に影響されるなど、制約条件が多く公共交通機関でのアクセスは少々ハードル高め。なお、バスでアクセスするなら「富士芝桜まつり」の開催期間はNG。特に土日祝は絶対に避けること。
総括
毛無山に登るなら、朝霧高原から登るコースだけだと見どころが少なく、魅力に欠けるため、やっぱり雨ヶ岳までの縦走がおすすめ。この区間は体力的にキツくない上に、時折景色が開けて見える富士山の眺望が素晴らしかった。
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