[那須岳登山レポ]
那須連山の主脈、茶臼岳・朝日岳・三本槍岳縦走登山
ロープウェイ山頂駅 ~ 那須岳 ~ 朝日岳 ~ 三本槍岳 ~ 北湯登山口 ~ 北湯入口
- 那須連山(なすれんざん)
- 那須連山は、栃木県と福島県にまたがる火山群の総称。那須岳は日本百名山に選定されているが、深田久弥氏は『那須岳とは那須五岳(茶臼岳、朝日岳、三本槍岳、南月山、黒尾谷岳)の中枢を成す茶臼岳、朝日岳および三本槍岳のこと』と述べている。つまり日本百名山の那須岳とは、那須連山の主脈である、3つの峰(茶臼岳、朝日岳、三本槍岳)の総称である。
- 茶臼岳(ちゃうすだけ)日本百名山
- 茶臼岳の別称が那須岳で、那須連山の主峰で標高1,915mの山。かつては硫黄の採掘が行われており、近年でも那須岳の西斜面にある噴気孔からは噴煙が出ており、硫黄の臭気が漂っている。山頂近くまで那須ロープウェイが運行しており初心者でも楽に登れるため、那須連山の中で最も人気が高い。
- 朝日岳(あさひだけ)日本百名山
- 那須連山の一角をなす標高1,896mの山。北に三本槍岳、南に茶臼岳があり、朝日岳はその中間に位置する。
- 三本槍岳(さんぼんやりだけ)日本百名山
- 那須連山の最高峰、標高1,917mの山。那須連山の北にあり、山域は栃木県と福島県の県境に跨っている。山頂から北西に爆裂火口湖「鏡ヶ沼」がある。
那須岳のコース
また、北・南・西からアクセスするには長時間必要な縦走コースしかないため、南東の那須町から登っている登山者が大半を占める。下記は、一般的に利用されているコースのみピックアップした。北の甲子山(かしさん)や南の南月山、西の大倉山経由の縦走コースは割愛している。
- 茶臼岳・朝日岳のコース
- 那須ロープウェイコース登り利用人気コース!
- 那須ロープウェイ山麓駅からロープウェイで山頂駅まで移動して、そこから茶臼岳を目指すコース。最短で気軽に登れるため登山者以外の利用者も多い。
- 峰の茶屋コース
-
那須ロープウェイ山麓駅からロープウェイを使わず、峰の茶屋跡を経由して登るコース。歩いて登るコースでは最も利用者が多い。
- 高雄口登山道
- 南東の那須湯本温泉から、高雄口登山道沿いの登るコース。数少ない水場が途中にあるコース。
- 三本槍岳のコース
- 中の大倉尾根下り利用
- 南東の中の大倉山から、中の大倉尾根沿いに登るコース。中の大倉山までは北湯から徒歩で登るか、那須ゴンドラを利用して登ってくるかのいずれかになる。
那須岳の登山計画
- プラン
- 都内から日帰りできる百名山ということで、急遽計画したのが今回の那須岳登山。まず、日本百名山の那須岳は、那須連山の主脈である茶臼岳、朝日岳、三本槍岳の総称であるため、この3峰の縦走を前提とした。
- コース
- 当初はロープウェイを使わない予定だったが、いざスケジュールを組んでみると、標準コースタイムではこの3峰を3つとも登るのは時間的に厳しいことが判明。コースタイムを巻けばなんとかなるが、それでも同じ道を結構な距離戻らなくてはならず、無駄の多いスケジュールとなってしまう。仕方なく妥協して、登りはロープウェイを利用することにした。これにより、茶臼岳、朝日岳、三本槍岳を南から北に向かって効率よく縦走することができ、時間的にも無理が生じない。
- アクセス
- アクセスだが、当初は8:20黒磯駅発 → 9:22那須ロープウェイ着のバスを予定していたが、7:45那須塩原発 → 8:55那須ロープウェイ着 のバスでギリギリ間に合うことが判明。しかし、7:45那須塩原駅発のバスに乗るには、7:32那須塩原駅着の新幹線に乗るか、在来線の7:44那須塩原駅着かのどちらか。新幹線を使えば十分間に合うが、たった30分ほどの時間短縮に、大宮からの新幹線代2,590円は高く感じる。しかし在来線だと乗り換え時間がたったの1分。迷ったが、ココはこの1分にかけて、駅からダッシュすることにした。まあ、仮に乗り過ごしても、次のバスに乗れば、当初の予定どおり9:22には着くわけだし。
那須岳コースレポート
那須ロープウェイ ~ 茶臼岳
7:45那須塩原駅発のバスにダッシュして、1分乗り継ぎに成功したため、9時前に到着することができた。なお、参考までに那須塩原駅での乗り継ぎについて書いておくと、電車は真ん中よりやや前よりの車両に乗ると階段が近い。またバス停は西口の階段下ってすぐ目の前なので、すぐわかると思うが、西口2番乗り場となる。
【9:05】那須ロープウェイ山頂駅に到着。
山麓駅からたった5分なので、あっという間だった。那須ロープウェイ山頂駅には売店があるので、ココで腹ごしらえも可能。もちろんトイレもある。
トイレに行くなど準備にもたついたので、同じロープウェイに乗ってきた登山者の中でも後発。山頂駅の標高は1,684mなので、標高差231mを登れば茶臼岳の山頂となる。登山道は火山特有のザレ場。柵が設置されるなど登山道は整備されているが、いかんせん地面はザレ場なので、足がズルズル滑って登りにくい。
山頂駅から30分で到着。やっぱり登りでロープウェイ使うとめっちゃ楽。那須ロープウェイのホームページには、「360度の壮大な景色」と書かれていたが、山頂が大きなお椀型をしているため、一地点から360度見渡せるような感じではない。山頂には小さな祠があり、那須岳神社と書かれている。
山頂スペースは広く、ピークとなる那須岳神社周辺は人も多いが、少しピークから外れると腰をかけられる岩やスペースは十分あるので、手狭感や窮屈感はない。ガスバーナーは置く場所に苦慮しそうだが、お弁当を食べるスペースは十分ある。
茶臼岳 ~ 峰の茶屋跡避難小屋
【9:58】茶臼岳を出発。
茶臼岳はあくまで3峰のあるうちの1つだし、人も多いので長居は無用。
峰の茶屋跡避難小屋は、あくまで避難小屋であり、環境保全の観点から緊急時以外の宿泊は禁止されている。そのためトイレもない。[峰の茶屋跡避難小屋の内部]
峰の茶屋跡避難小屋 ~ 朝日岳
ココから朝日岳は目と鼻の先。写真からもわかるが、歩くコースが見えるほど近い。大量のザックがデポされているが、日帰りなら荷物を持って登っても苦にならない距離。
茶臼岳やこの後に登る三本槍岳と異なり、天に向かって尖った山頂であるため、山頂が狭い。しかも、ザックをデポしていた団体が山頂にいるため、狭い山頂が余計に狭く感じる。朝日岳山頂での食事は、よほど人がいない日でなければ難しいだろう。 反面、展望・眺望は他2つの峰と比べても優れている。
朝日岳 ~ 三本槍岳
眺望は良いが、人が多く落ち着かないため、10分ほどで切り上げ、最後の三本槍岳に向かう。団体が朝日岳分岐で、デポしたザックを回収し、出発しようとしていたので、急いで追い抜き逃げるように先を急いだ。
1,900m峰から清水平まで下降し、北温泉分岐を目指す。
意外だったのが1,900m峰以降、すれ違う登山者が多かったこと。この登山者たちは北から縦走してきてるとは思えないので、おそらくロープウェイ山麓駅まで車でアクセスし、ロープウェイで登り、茶臼岳~朝日岳~三本槍まで歩き、ロープウェイ山麓駅まで戻っている途中と思われる。
清水平に下る道の途中にシャクナゲの花が、六~八分咲き程度で咲いていた。下山で歩く、中の大倉尾根は満開だったので、写真はのちほどそちらを掲載。また、清水平は湿原ではないが、植生保護のためか木道設置されている。【11:41】北温泉分岐に到着。
下山時は右に進むが、まずは左に進み三本槍岳を目指す。

【12:00】三本槍岳に到着。
三本槍という尖った形をイメージさせる山名だが、山頂は丸いお椀型。岩場だった茶臼岳や朝日岳と異なり、山頂周辺には植物が自生している。そのうち修復されると思うが、このとき山名標識は倒れていた。
三本槍岳 ~ 中の大倉山
北温泉分岐を経由し、中の大倉尾根沿いを下り、ゴンドラ乗り場のある中の大倉山を目指す。
左は赤面山経由で、新甲子温泉(しんかしおんせん)に抜ける道。

中の大倉尾根は、尾根の形がはっきりとしている尾根。遠くの尾根上にゴンドラリフトの建物が見え、歩く道筋が遠くからも見てとれる。また、赤面山分岐以降も要所でシャクナゲの花が咲いていた。
樹林帯に入ったあとは、ツツジやシロヤシオ(ゴヨウツツジ)の花が出迎えてくれる。
山名標識は「中大倉山」と書かれていた。那須ゴンドラを利用して登っている登山者もいたようだが、那須ロープウェイに比べればごく僅か。なぜなら、那須ゴンドラを利用しても、三本槍岳まで2時間ほど登る必要があり、多少ショートカットできてもロープウェイのように手軽に登れるという訳にはいかないためだろう。
中の大倉山 ~ 北温泉
中の大倉山には那須ゴンドラが開通しており、山頂周辺はゴンドラを起点に周遊できる遊歩道になっている。そのため、中の大倉山の遊歩道では、数組のハイカーを見かけた。
遊歩道を抜けてからは、樹林帯を抜けていくが特筆すべき事はない普通の登山道。ポイント地点は途中に林道を横切る箇所が1カ所ある程度。あとは北湯までひたすら歩くのみ。北温泉 ~ 北湯入口バス停
【15:49】北温泉旅館に到着。
めっちゃ雰囲気良さげな温泉旅館。日帰り入浴もやっているが、北温泉旅館からバス停まで30分ほど歩かなければならず、16:42の最終バスに間に合わない可能性があり断念。こんなことなら、山頂滞在時間を短くすれば良かった..。北温泉旅館には、温泉プールがあり、めっちゃ気持ちよさそうだったし。
バス停の周りには何もない。那須ロープウェイから出る本日の最終バスなので、座れるか心配だったが、バスはガラガラだった。往路のバスには、20人ぐらい乗っていたので、もっと早い便で帰っていると思われる。あとは、やっぱり車で着ている人が多いということか..。
那須岳コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
08:54 | 08:54 | 那須ロープウェイ山麓駅 |
09:24 | 09:05~09:15 | 那須ロープウェイ山頂駅 |
08:59~10:14 | 09:43~09:58 | 茶臼岳 |
10:34 | 10:21 | 峰の茶屋跡 |
11:24~11:39 | 10:57~11:07 | 朝日岳 |
11:59 | 11:16 | 熊見曽根 |
12:24 | 11:41 | 北温泉分岐 |
12:54~13:39 | 12:00~13:22 | 三本槍岳 |
13:59 | 13:43 | 北温泉分岐 |
14:14 | 14:13 | 赤面山分岐 |
15:04 | 14:53 | 中の大倉山 |
16:04 | 15:49 | 北温泉 |
16:29 | 16:11 | 北湯入口 |
16:42 | 16:42 | バス乗車 |
那須岳の難易度

12/30
総合難易度必要体力 | ![]() |
コース距離 | ![]() |
所要時間 | ![]() |
危険度 | ![]() |
登山難易度 | ![]() |
小屋・水場 | ![]() |
アクセス | ![]() |
総合難易度 | ![]() |
登山DATE
- 歩行距離:12.04km
- 登山歩数:25,494歩
- 高度上昇:0,685m
- 高度下降:1,201m
- 出発高度:1,684m
- 最高高度:1,917m
- 標高の差:0,233m
- 活動時間:05:59
- 休憩時間:01:47
- 合計時間:06:56
お気軽にどうぞ!
朝日岳手前に切り立った崖際を歩く場所はあったが、危険個所と言えばそこぐらい。あとは、ガレ場があるので、足をくじかないように注意する程度の危険度。
大半は日帰り登山なので、クリティカルではないが、水場がほとんどなく水の買える有人山小屋もないことが難点。3峰を比較すると、眺望・展望の良さは、[1]朝日岳、[2]茶臼岳、[3]三本槍岳、山頂の広さは、[1]茶臼岳、[2]三本槍岳、[3]朝日岳。
茶臼岳に人が多いことは想定していたが、三本槍岳にあれだけ人が多いのは想定外。今回歩いたルートの中で、中の大倉尾根以外の登山道は、人も多く行楽地化が進んでいる印象。ロープウェイで気軽に登れる上、山周辺には温泉施設も充実しているので、当然と言えば当然かもしれない。一人でガツガツ登る山ではなく、グループで楽しく登る方が適した山。