[巻機山登山レポ]
井戸尾根から登る巻機山・牛ヶ岳・割引岳の縦走登山
清水 ~ 巻機山 ~ 牛ヶ岳 ~ 割引岳 ~ 清水
- 巻機山(まきはたやま)日本百名山ぐんま百名山
- 新潟県南魚沼市と群馬県利根郡みなかみ町の境にあり、三国山脈の一角を担う標高1,967mの山。狭義には本峰のみを指すが、本来巻機山は本峰、前巻機山、牛ヶ岳、割引岳と4つのピークの総称である。山頂には池塘も存在し高山植物が豊富な山として知られている。
- 牛ヶ岳(うしがたけ)
- 巻機山の一角を担う標高1,961mの山。
- 割引岳(わりめきだけ)
- 巻機山の一角を担う標高1,931mの山。
巻機山のコース
清水を起点とする南から北に登るコースを表巻機山、五十沢キャンプ場を起点として北から南に登るコースは裏巻機山と呼ばれている。ちなみに、日本百名山を選定した深田久弥氏が登ったのは井戸尾根コース。
- 井戸尾根コース登り利用下り利用人気コース!
- 清水から前巻機山を経て本峰に到達するコース。他登山道と比較して安全なため、登山者の大半はこのコースのピストンで登っている。
- 天狗尾根コース難コース
- 清水から割引沢沿いに登り、途中天狗尾根に上がり割引岳に到達するコース。
沢沿いを登るため、山と高原地図では破線表示されている難コース。また下山利用は禁止されている。
- ヌクビ沢コース難コース
- 清水からヌクビ沢沿いに登り、割引岳と巻機山の中間地点の尾根に到達するコース。
天狗尾根同様に沢沿いを登るため、山と高原地図では破線表示されている難コース。また下山利用は禁止されている。
- 旧道難コース
- 北の五十沢キャンプ場あたりから旧道を登り、牛ヶ岳へ到達するコース。
片道8時間以上もかかる上、増水時には渡渉困難な場所があるなど、熟練者向けのコースとされている。利用者は殆どいない。
- 新道難コース
- 北の五十沢キャンプ場あたりから新道を登り、割引岳へ到達するコース。
片道8時間以上もかかる上、増水時には渡渉困難な場所があるなど、熟練者向けのコースとされている。旧道同様に利用者は殆どいない。
巻機山の登山計画
- プラン
- 梅雨の合間の晴れ間に急遽計画したのが今回の登山。公共交通機関を使って前入りして次の日には帰ってこられる山ということで白羽の矢をたてたのが巻機山。巻機山は今年の山行計画にも入れておらず急遽決めたため、白紙の状態から急いで事前リサーチをしてコース選定など行った。
- アクセス
- 公共交通機関で行く場合、巻機山登山口のある清水へは、北越急行ほくほく線の六日町駅からバスで向かう。1日3本バスが運行されており、朝一は6時50分発だが、東京からの始発電車では間に合わない。六日町駅にホテルがあるので前入りしてそこに泊まるか、深夜バスを利用するかの二者択一。自分の場合は、新潟交通の深夜バスを利用し、午前3時頃に六日町のインターチェンジで下車。近くのまんが喫茶で仮眠をとり、早朝バスの時間に合わせて六日町駅まで30分ほど歩いた。
- コース
- コースは普通に登れば井戸尾根コースのピストン。しかし、ピストンはあまり好きではないため、候補に上がるのが天狗尾根、ヌクビ沢コース。どちらも下山利用は禁止されているため、登りで利用して井戸尾根コースで下山を考えた。しかし、増水しているであろう梅雨の合間に、沢沿いのコースを経験もないのに単独で入るにはあまりにも無謀だったため今回は見送った。防水用品を買う暇もなかったため、万が一沢に落ちれば、GPS、カメラ、携帯などが浸水して20万ほどの損害になることが想定されたのも、見送った理由の1つ。なお、裏巻機山コースは公共交通機関がない上、天狗尾根、ヌクビ沢コース以上に危険で、1日で登るには時間が足りないので最初から除外していた。
巻機山コースレポート
清水バス停 ~ 桜坂駐車場
【7:23】清水バス停に到着。
1人ぐらい登山者がいると思ったが、登山者どころかバスの利用者は自分だけだった。
駐車場は第三駐車場も含めてほぼ満車。この車の数から推測すると、自分は後発組のようだ。
桜坂駐車場 ~ 巻機山五合目
巻機山には登山口となる三合目から山頂まで◯合目の杭が設置されている。合目の中間地点には五勺杭もあり、杭の文字から東京学芸大学登高会が設置してくれているようだ。
先に言ってしまうと、登山口から七合目までは変わり映えのない樹林帯の道が続く。五合目、六合目などの要所で、時折景色も開けるが、道中の大半で展望はきかないため、前半はひたすら登るのみ。登山道は部分的にヘドロや粘土層で足元の緩い箇所はあるものの、総体的には登りやすい。少し景色の開けた小スペース。疲れたので五合目で少し休憩。
巻機山五合目 ~ 巻機山七合目
六合目からヌクビ沢が見えたので目を凝らしてみたが、登山者らしき人影は見当たらない。六合目以降は、要所で登山道からヌクビ沢が見えるようになり、部分的に粘土層の地面が露出して、足元の滑りやすい箇所も多くなる。
七合目付近から前巻機山を捉えることができるようになる。小腹が空いてきたため、七合目以降の登りに備え行動食を食べながら少し休憩。
巻機山七合目 ~ 前巻機山(九合目)
【10:16】巻機山八合目に到着。
八合目から前巻機山まで、登山道が広がっていてわかりづらい箇所あり。道に迷うという意味ではなく、気付いたら登山道外の植生保護区域を歩いていたので、もう少し登山道をわかりやすくしておいて欲しい。
【10:31】前巻機山(九合目)に到着。
別名ニセ巻機山。ご丁寧にニセ巻機山と書かれた杭も設置されている。
前巻機山(九合目) ~ 御機屋 ~ 巻機山本峰の山頂
【10:41】巻機山避難小屋に到着。
この避難小屋のある場所が九合五勺。避難小屋周辺には緑色のジャージを着た子供多数。何かの団体行事?
避難小屋から御機屋まで標準コースタイム40分の距離だが、1分1秒でも早く到着するため、急いで登ったのでしんどかった。
山頂手前で、初の池塘(高山の湿原や泥炭地にある池沼)を発見。この池塘には目で見えるだけでも数十匹の巨大な蛙が生息しているが、人馴れしているのか、近くでカメラを構えても逃げる素振りを見せない。【11:00】御機屋に到着。
杭には「巻機山頂1,967m」と書かれているが実はココの標高は1,930mで、本当の巻機山本峰の山頂はもう少し先。いわゆるココ御機屋はニセピーク。霧が晴れているうちに牛ヶ岳まで行きたかったので、3分ほど休憩してすぐに出発。
【11:14】巻機山本峰の山頂に到着。
山頂というよりも道の途中といった感じ。ベンチなどはなく、風で吹き飛んでしまいそうな小さな木の山頂標識が、ケルンに刺さっているだけ。展望は南側を中心に扇型に開けている。
巻機山本峰の山頂 ~ 牛ヶ岳
出発して少しすると、日本三百名山朝日岳への縦走路分岐を通過。このコースは米子頭山(こめごかしらやま)、柄沢山(からさわやま)、檜倉山(ひぐらやま)、大烏帽子山(おおえぼしやま)と4つの山を越え、朝日岳に至る超ロングコース。ネットでココを歩いた人のレポートを読んでみたが超ハードそうだった。当然ながら山と高原地図ではコースとして掲載されていない。
牛ヶ岳山頂には木の杭が1本立っているだけで、山名は書かれていない。最高点はスペースが狭いため、その先にある小スペースが山頂代わりとなっている。この小スペースも広さは畳16畳ぐらいで広くはない。また平らな部分が少ないので、食事を食べるのには苦労しないが、調理はしにくい。
余談だが、食事の準備中に、近くのソロ登山者が熱湯を足にこぼしてしまい、太腿に大きな水ぶくれができ、痛々しくて気の毒だった。ズボンをめくり上げ、急いで下山していったが、あのヤケドだと完治に1カ月ぐらいかかりそう..。
牛ヶ岳に到着した時には、若干霧も残っていたが、時間が立つにつれ消失。八合目付近を登っていた時はもうダメかと思ったが、本当に良かった。逆に、霧が出て早々に下山していった人たちは大損。
当初、スケジュールを組んだ時点では時間を捻出できず、割引岳には寄らない予定だった。しかし、時間の余裕もあり、割引岳にかかっていた霧も晴れたので、割引岳に寄ることにした。なお、牛ヶ岳で一緒だったソロ登山者の方と会話を交わしたことがきっかけで、下山まで行動を共にすることに。これも縁です。牛ヶ岳 ~ 御機屋 ~ 割引岳 ~ 御機屋
一先ず、巻機山本峰最高点を通過して御機屋まで戻る。御機屋まで戻ると、ザックが多数デポされている。登山者は数人程度と、登ってきた時よりも人は少ない。
御機屋から割引岳までは、少し下って登り返す。上りは一見するとキツそうだったが、登ってみるとそうでもなかった。
途中に登山道に雪渓が残っており、雪解け水がポタポタと沢に落ち込んでいる。沢まで降りればまとまった量になっていると思うが、沢は大きく食い込んでいるので、下りたら戻ってくるのが大変そう。割引岳に登山者は1人。御機屋にデポしてあったザックは、牛ヶ岳に向かった登山者だったようだ。割引岳からの展望も360度のパノラマ。時間帯のせいか牛ヶ岳より人は少ないが、牛ヶ岳に勝るとも劣らない景色。
再び御機屋に戻る。なお、巻機山は高山植物が豊富なことでも有名だが、特に割引岳への道中に多くの花が咲いていた。
御機屋 ~ 巻機山登山口
上りでは通り過ごしてしまったので、水場まで下りて水を補給した後、小屋内のバイオトイレを利用。
この避難小屋だが、地元のボランティア団体「巻友会」により管理されており、超がつくほどきれい。小屋内にはバイオトレイも設置されている。また、片道3分ほどの場所に水場もあり、テントを設営できるスペースもあるなどロケーションは最高。このときもテントが8つほど幕営されていた。
避難小屋近くにある水場の水量は豊富。梅雨の合間だからかもしれないが、枯れそうなイメージはなかった。また、雪解け水を含んでいるせいか、癖がなくめちゃくちゃおいしい水だったので、ペットボトル2L満タンにして、残った水は持ち帰った。
【14:57】巻機山避難小屋を出発。【16:54】桜坂駐車場に到着。
満車だった車も殆どなくなっていた。テント泊の登山者もいるので差し引きすると、日帰り登山者は殆ど山中に残っていないだろう。予定なら、桜坂駐車場から清水バス停まで歩く筈だったが、牛ヶ岳から一緒だった方に、バス停まで送って頂いた。有り難いことです。
巻機山コースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
07:20~07:30 | 07:23 | 清水バス停 |
08:10 | 07:47 | 桜橋駐車場 |
- | 08:15 | 四合目 |
09:20 | 08:35 | 五合目 |
10:20 | 09:08 | 六合目 |
- | 09:43 | 七合目 |
- | 10:16 | 八合目 |
11:30 | 10:31 | 前巻機山(九合目) |
11:40 | 10:41 | 巻機山避難小屋 |
12:20 | 11:00 | 御機屋 |
12:30 | 11:14 | 巻機山本峰の山頂 |
13:10~14:00 | 11:31~12:50 | 牛ヶ岳 |
14:40 | 13:24 | 御機屋 |
- | 13:45~14:05 | 割引岳 |
- | 14:19 | 御機屋 |
15:00 | 14:36~14:57 | 巻機山避難小屋 |
15:10 | 15:04 | 前巻機山 |
16:05 | 15:51 | 六合目 |
16:45 | 16:17 | 五合目 |
17:35 | 16:54 | 桜橋駐車場 |
18:05 | - | 清水バス停 |
18:40 | - | バス乗車 |
巻機山の難易度
16/30
総合難易度必要体力 | |
コース距離 | |
所要時間 | |
危険度 | |
登山難易度 | |
小屋・水場 | |
アクセス | |
総合難易度 |
登山DATE
- 歩行距離:16.70km
- 登山歩数:29,469歩
- 高度上昇:1,595m
- 高度下降:1,457m
- 出発高度:0,728m
- 最高高度:1,967m
- 標高の差:1,239m
- 活動時間:07:31
- 休憩時間:02:00
- 合計時間:09:31
お気軽にどうぞ!
桜橋駐車場から七合目までは、景色の開けていない樹林帯の単調な道が続く。七合目以降はやや急登となるため、体力的にはキツい区間である反面、景色は開けるため登っていて楽しい区間でもある。御機屋まで辿り着けば、牛ヶ岳、割引岳まで行くとしても後は楽。多少ぬかるんでいる箇所があったものの、登山道は踏み固められた地面に加え、よく整備されており登りやすい。○合目の杭も登っていて目安となるため、有り難い。
巻機山本峰から牛ヶ岳まで標準コースタイム40分という時間がネックになっているのか、巻機山本峰までで引き返している登山者も多いようだが、最低でも牛ヶ岳までは行くことをオススメする。巻機山本峰からなら、牛ヶ岳・割引岳いずれも体力的には厳しくないので、あとは気力の問題。最悪、御機屋にザックをデポしていけば良い。牛ヶ岳をおすすめするのは、巻機山に比べて景観が良いのも1つの理由だが、特に牛ヶ岳へ向かう道中の平原、木道、池塘、雪渓など、景色や雰囲気が素晴らしい。割引岳も景色が良いので、余裕があれば寄ることをオススメする。
持っているハンドブックには上級者向けの山に分類されていたが、井戸尾根コースから登れば、難易度は中レベル。