武尊山

武尊山登山

武尊山

Hotakayama

白

[武尊山登山レポ]
5月に登る残雪期の武尊山(沖武尊・剣ヶ峰山・西峰)縦走登山

2017年5月4日(木)天候:晴れ
上の原登山口 ~ 手小屋沢避難小屋 ~ 武尊山 ~ 剣ヶ峰山 ~ 川場スキー場 ~ 健康村バス停
  • 武尊山(ほたかやま)日本百名山新花の百名山ぐんま百名山
  • 群馬県利根郡みなかみ町、川場村、片品村の境にある標高2,158mの山。北アルプスの穂高岳と区別するため、上州武尊山と呼ばれることもある。武尊山は、主峰である沖武尊2,158m以外に、前武尊2,040m、川場剣ヶ峰2,083m、家ノ串山2,103m、中ノ岳2,144m、剣ヶ峰山(西武尊)2,020m、獅子ヶ鼻山1,875m、西峰1,871mと、八つの峰から構成される。標高2,000m以上では唯一、国立・県立などの自然公園に含まれていない。避難小屋はいくつかあるものの、有人山小屋はなく、交通アクセスも悪いため、周辺の日光白根山、谷川岳、至仏山、燧ヶ岳などと比べて登山者は少ない。

    山名の由来は、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の東征の故事によるものとされているが、山名に「武尊」の字をあてるようになったのは、江戸時代と考えられている。それまでは保鷹山もしくは穂高山と書かれていた。山麓に点在する約30の神社の名が「武尊」表記となったのも明治以降で、日本武尊伝説は近世になってホタカ山の修験者が語りはじめたものと推測される。前武尊山頂には日本武尊のブロンズ像が設置され、武尊神社近くには日本武尊が身を清め戦いに赴いたといわれている裏見の滝などがある。

武尊山のコース

武尊山は有人山小屋ない上、公共交通機関でのアクセスが不便なため、マイカー利用者が大半を占める。マイカーの場合、最もメジャーなコースは武尊神社から沖武尊・剣ヶ峰山を経由する周回の日帰りコース。武尊牧場からのコースも標高差が少ないため、比較的楽に登れるコースとして山と高原地図では紹介されている。積雪期・残雪期でスキー場が営業していれば、川場スキー場のリフトでショートカットして登る登山者が多い。

現実的にバスでアクセス可能な登山口は北西の武尊神社コースの武尊橋と、上の原コースの上の原入口のみ。それ以外に、南の川場温泉や健康村もあるが、2時間ほど林道歩きが必要。また、オグナほたかスキー場から南へ2時間ほど歩いた場所に鍛冶屋バス停もあるが、土・休日は17時台1本のみ(平日は4本)と、本数が少なすぎて利用しにくい。※バスの本数は2017年5月現在

山中の避難小屋は、武尊避難小屋と手小屋沢避難小屋のみ。しかし、武尊避難小屋は荒廃気味で、手小屋沢避難小屋は鉄板でできたカマボコ型のため、いずれも快適な避難小屋とは言い難い。
  • 武尊神社コース(北西)
  • 西の武尊神社から裏見の滝、手小屋沢避難小屋を通り、山頂を目指すコース。武尊神社先の林道終点まで車でアクセスできるため、最短で登頂可能なコース。
    剣ヶ峰山を通る迂回路もあり、周回コースとして利用者も多い。バスでのアクセスも可能だが、武尊橋から2時間20分林道を歩かなければならない。
  • 上の原コース(北西)登り利用
  • 西の上の原から手小屋沢避難小屋を通り、山頂を目指すコース。登山口まで約1時間歩かなければならないが、「上の原入口」までバスでアクセス可能。
  • 武尊牧場コース(東)
  • 東の武尊牧場のある東俣駐車場(標高1,360m)から武尊避難小屋を通り、セビオス岳や中ノ岳を経て沖武尊を目指すコース。
    標高差が少ないため、他コースに比べ難易度は高くない。
  • 自然の森野営場コース(北東)
  • 北東の自然の森野営場近くの駐車場から、田代湿原を通り、セビオス岳や中ノ岳を経て沖武尊を目指すコース。
  • 前武尊コース(南東)
  • 南東の前武尊や中岳を経由して登るコース。
    オグナほたかスキー場から登るコースと、登山口に旭小屋(無人小屋)のある川場尾根から登るコースとあるが、いずれもコース距離は長く難易度も高い。
  • 川場スキー場コース(南西)下り利用
  • 南西の川場スキー場から剣ヶ峰山を経由して登るコース。
    川場スキー場が営業していれば、リフトを使い剣ヶ峰山の南(標高1,850m)までショートカットできるので、積雪期や残雪期はこのルートで登る登山者が多い。
    本来は遥か南にある武尊高原川場キャンプ場から、高手新道沿いに、高手山、西峰、剣ヶ峰山を経て沖武尊に至る超ロングコース。
※コース名に厳密な名称はありません。
山と高原地図
武尊山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「谷川岳」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

武尊山の登山計画

プラン
武尊山は公共交通機関でのアクセスが不便で、車がないとテント持参の1泊2日の工程が必須のため、北関東の百名山の中で後回しにしていた山。今回、重い腰を上げてGWを利用して登ることを決断。
コース
コースはバスでアクセス可能な武尊橋か上の原になるが、林道歩きがより長い武尊橋ではなく、上の原を選択。なお、トータル的なコースタイムはどちらもあまり変わらない。問題は下山だが、当初は中ノ岳・前武尊・不動岳を経て川場尾根を下り、その後は林道を歩き川場温泉からバスに乗る予定だったが、残雪があまりにも多かったため、予定を変更し川場スキー場から下山して健康村バス停を目指すことにした。
その他
前年、皇海山から見た武尊山には同じGWでも雪はほとんどなかったので、雪はないという思い込みが頭を支配し、事前リサーチもせず、アイゼンも持たない春山装備で登山に赴く。水上駅から上の原までのバス車内から見える、谷川岳は雪で真っ白。これは武尊山もマズイかもしれないと思うが、春山装備できてしまったものは仕方ないので、ヤバそうだったら引き返すという選択肢も考慮して登ることにした。なお、完全にナメきっていて国土地理院2万5千分の1地形図も持っていなかった。

武尊山コースレポート

上の原バス停 ~ 上の原登山口

【8:17】水上駅に到着。
水上駅には多くの登山者がいたものの、武尊山方面に向かう「湯の小屋行き」のバスに乗ったのは自分含めて2名。他の登山者は谷川岳だろう。そして、上の原バス停で下車したのは自分だけ。いつもの事なので慣れっこだが、今回も孤独な登山になりそう。

【9:00】上の原バス停に到着。
上の原バス停から約1時間かけて上の原登山口を目指す。登山口までの道のりは舗装道路を歩くため、楽に登山口までたどり着けるだろうと予想していたが、予想は大外れ。普通にしんどいし体力も消耗する。テント泊で、荷物が重いせいもあるがそれにしてもキツかった。ちなみにこの登山口までの道歩きで、標高365mほど上がる。

途中に見どころといえば、子宝に恵まれるとされる「宝えんの泉」ぐらい。登山口までの間で利用可能なトイレは、宝台樹スキー場の施設に1カ所あり。駐車場にあるトイレなのでおそらく通年利用可能なはず。

【10:42】上の原登山口に到着。
そして予想外に登山口からの積雪。はっきりした足跡もなく、登山道がどの方向に続いているかわからず、ちょっと焦る。たぶんコッチだろう的な感覚で進み始める不安なスタート。

地図によると登山口から暫くは林道歩きのはず。雪自体は固いので踏み込んだ足が沈み込むこともなく歩きにくくはない。登山口から少し進み大幽洞窟への分岐地点を通過。大幽洞窟は氷筍※(ひょうじゅん)で有名な洞窟。※洞窟に発生する逆さの氷柱

上の原登山口 ~ 名倉ノオキ

木の周りだけ雪が溶けている現象は、雪根開き(ゆきねびらき)または、根開き(ねあき)と呼ばれる、雪山の春に見られる現象。木のぬくもりに加え、春になると木が活発に地下水を吸い上げるらしく、その地下水が外気より暖かいため、木の周りだけ雪が溶けるらしい。

しばらく進みいつしか林道を抜けたようで、その後は沢地形を奥へ奥へと登山道が続く。途中支沢が合流している地点があるので、間違って支沢に入り込まないように細心の注意を払いながら進む。雪で登山道は分からないが、基本は本沢を奥へ奥へと地形に沿って進めば良い。国土地理院2万5千分1地形図がないので、時折見かける目印とGPSが命綱。
登山口から歩くこと約2時間。ようやく尾根に上がる上り道にさしかかる。これまでも、残雪の影響で歩きにくくて、かなりキツかったが、ココが最後の難関。ほんと、無我夢中で我武者羅に登ったって感じ。足が沈み込んで前に倒れ込んだり、雪で滑ってバランス崩したりすること数回、ようやく尾根に登りきる。
この尾根に登った地点に名称はないが、ココでコースは左90度直角に曲がり、次なる中間目的地「名倉ノオキ」を目指す。
【13:52】名倉ノオキに到着。
道標は完全に雪の中。ココから右に90度曲がり、手小屋沢避難小屋を目指す。

名倉ノオキ ~ 手小屋沢避難小屋

名倉ノオキからようやく本格的な尾根上の稜線歩き。高度感も出てきて視界が開けたことで、多少気分も楽になる。
手小屋沢避難小屋手前で本日初となる登山者と遭遇。武尊神社からの日帰りピストンのようで。雪を意識したきちんとした残雪期の装備で、自分と全然違うし..。(汗)手小屋沢避難小屋手前で武尊神社コースと合流するため、足跡も増えコースはより明確になる。
【14:25】手小屋沢避難小屋分岐に到着。
手小屋沢避難小屋は鉄板でできたカマボコ型の避難小屋。雪があるとはいえ、頭ぐらいは出ているかと思っていたが、見当たらず。正確な場所を知らないので、この窪みを上に下に移動してみるが、やはり見つけられず。場合によっては避難小屋利用も有りかと思っていたが、その可能性は消える。まあ、見つけたところで利用できないのは明らかなので、潔く平らな場所を見つけてテントを設営。本来なら手小屋沢避難小屋近くに水場があるはずだが、この雪で水場は埋もれているか凍結しているだろう。
言うまでもないが、周りにテントを張っている登山者はいない。明るいうちに、夕飯を済ませて、夕暮れとともにテントに入る。

テントを設営した直後は、ポカポカ暖かかったテント内だが、夜になると寒さが厳しく、寝付くのに時間がかかった。途中で目が覚めることもあり、快適とは程遠いテント泊。防寒という意味でも準備不足だったと反省。

また明日は、山と高原地図に危険マークが記された、武尊山(沖武尊)直下にある鎖場を越えなければならない。鎖場があるということは急傾斜な筈なので、アイゼンもない春山装備で登れるかかなり不安。この不安感は、袈裟丸連峰で道がわからず緊急ビバークした時の心境に近い。深夜に聞こえるフクロウの鳴き声が、やけに寂しく情緒的に感じるほど、不安な夜を過ごす。

手小屋沢避難小屋 ~ 武尊山(沖武尊)

【4:15】起床。
昨日の水炊き鍋の残り汁で作ったラーメンで体を温める。そしてテントを撤収。

【5:36】手小屋沢避難小屋を出発。
手小屋沢避難小屋からは、尾根を上へ上へと進む。前日は道がわからず神経をすり減らしながら歩いたが、手小屋沢避難小屋以降は、武尊神社コースと合流するため、足跡が明確。足跡という絶大な目印があるため、道迷いを気にせず足跡を追うように進む。
樹林帯を抜け景色が開けると、そこから道は一気に急勾配。一面雪で目印などもなく道は全くわからないが、足跡だけを頼りに登る。
この上の写真を撮影したあたりが最も急傾斜。後ろに倒れても斜面を滑り落ちるような感じではないが、登るのは大変。ストックを一本ザックにしまい短くしてピッケル代わりに、そして登るときは足元が下にずり落ちるのを防ぐため、斜面の雪を蹴りながら登る。ココはアイゼンがなく苦労したが、なんとか知恵と根性で乗り切った。
鎖場は合計4カ所あるようだが、登ったのは最後の1本だけ。どうやら鎖場のある岩場を大きく巻いて登っていたようだ。おそらく樹林帯を抜けたあたりでコースから外れたと思われる。
これで鎖場の難所は越えたのでホッと一安心。あとは沖武尊の山頂まで傾斜の緩やかな道。山と高原地図に「背丈を越すハイマツ帯」と書かれた場所を通るが、雪でハイマツは完全に埋もれていた。

武尊山(沖武尊) ~ 剣ヶ峰山

当初、前武尊コース(前武尊・不動岳経由で川場温泉に下山)を利用する予定だったが、不動岳周辺の登山道は破線ルートで示される難コース。この残雪の中、春山装備で破線ルートを歩くのはリスクが高いので急遽、剣ヶ峰山経由で川場スキー場に下山する川場スキー場コースに変更。このコースはスキー場近くの登山道を歩くため、道がわからなくなっても、スキー場内を歩いて下山できるというメリットがある。また、途中の剣ヶ峰山手前で武尊神社へ下山するエスケープルートがあることも理由の一つ。

【8:15】武尊山(沖武尊)山頂を出発。
45分間滞在したが、最後まで山頂独占状態だった。剣ヶ峰山までの道は稜線で日当たりが良いせいか、雪がない箇所も多く、アイゼンがなくても問題無いレベル。アップダウンも激しくなく、難所もない。
剣ヶ峰山への取り付き部分が、武尊神社コースとの合流地点。ココから直登に足跡が続いていたので、当初はその足跡を信じて登るが、ハイマツや藪に遮られ、途中で進退窮まる。すると下の方から「そっちじゃないよ!」という他登山者の声。本日初となる武尊神社から登ってきたシニアグループの登山者。その声を聞いて分岐まで戻る。
【10:01】剣ヶ峰山に到着。
剣ヶ峰山からは360度の展望。しかし、登山道が剣ヶ峰山のピークを通過しているだけで、山頂スペースはない。
武尊連峰の剣ヶ峰山からのパノラマ写真
剣ヶ峰山からのパノラマフルスクリーン(クリックで始動)

剣ヶ峰山 ~ 西峰

剣ヶ峰山以降は、登山者と出会う機会も増加。どうやら、川場スキー場のリフト利用者のようだ。突然出会う登山者が増えたのは、皆スキー場オープン直後のリフトに乗ってきたためだろう。
【10:31】川場スキー場のリフトに到着。
川場スキー場のリフトは下りでも利用できるため、ココで登山を終了させることも可能だが、西峰経由の登山道へ進む。

これまで足跡を頼りに歩いてきたが、川場スキー場のリフト乗り場を過ぎると、足跡も薄くなる。1人歩いた足跡らしきものはあるが、曖昧ではっきりしておらずアテにできない。

西峰手前に、偽ピークがあり最初はそこが西峰だと思い込む。ピークに山名標識は見当たらなかったが雪で埋もれている可能性もあるため、偽ピークだと気付けず。
西峰は、鬱蒼とした木々と雪で登れそうになかったため左側から巻く。通過するときにふと右側を見ると山頂の山頂標識が見えたので、ココでこのピークが西峰だと気付く。左側から回り込めば登れそうだったが、面倒だったのでそのまま通過。

西峰 ~ 川場スキー場

西峰以降も登山道に戻っては外れてを繰り返しながら進む。これがかなりのストレス。途中に奈女沢ノ頭という山名標識を発見。山と高原地図には載っていない山。この奈女沢ノ頭周辺は樹林帯に雪が積もっていて歩くのが大変だった。
奈女沢ノ頭以降も道はわかりづらい。標高も下がってきているので、そろそろ雪がなくなってくれても良い頃なのに、雪は一向になくならず。途中で登山道の歩きにくさと道のわかりずらさにうんざりしてきたため、川場スキー場のコース内を歩いて下ることにした。幸い登山道と並行したスキー場のコースは、この時期既に閉鎖されており、スキーヤーはいない。
【12:05】川場スキー場の最下部に到着。
結局スキー場の上から下まで約1時間30分かけて下ってきたことになる。

川場スキー場 ~ 健康村バス停

この川場スキー場から、最も近い健康村バス停まで長ーい林道歩きが待っている。ちなみに林道と書いたが、実際は舗装されたアスファルトの道。

【12:27】高手新道(川場スキー場コース)の登山口に到着。
ココで健康村バス停の時刻表を検索して調べる。朝昼夕の1日3本しかバスはなく、昼の便は13時47分。高手新道登山口から健康村バス停までの標準コースタイムは約2時間。さすがに1時間15分で到着するのは厳しそうだが、一先ず先を急ぐ。

この長い林道歩きだが、トピックス的要素が皆無。景色も代わり映えなく、ひたすら黙々と歩く。
【13:41】健康村バス停に到着。
ダメ元だったけど13時47分のバスに間に合いました。ココのバスがダメなら川場温泉バス停まで、さらに30分ほど歩かなければならなかっため、間に合って良かった。ちなみに健康村周辺は、新緑に包まれてめっちゃ良い雰囲気でした。

武尊山コースタイム

1日目

予定 実際 場所
08:55 09:00 上の原バス停
09:55 10:42 上の原登山口
11:05 - 林道終点
12:15 13:52 名倉ノオキ
13:15 14:25 手小屋沢避難小屋

2日目

予定 実際 場所
05:00 05:36 手小屋沢避難小屋出発
06:50~07:50 07:33~08:15 武尊山(沖武尊)
- 10:01 剣ヶ峰山
- 10:53 西峰
- 12:05 川場スキー場入口
- 12:27 高手新道登山口
- 13:41 健康村バス停

武尊山の難易度

難易度

23/30

総合難易度
必要体力 体力難易度4
コース距離 コース距離難易度5
所要時間 所要時間難易度5
危険度 危険度難易度3

登山難易度 登山難易度9
小屋・水場 小屋・水場難易度3
アクセス アクセス難易度3

総合難易度 総合難易度8

登山DATE

  • 歩行距離:26.77km
  • 登山歩数:39,479歩
  • 高度上昇:1,633m
  • 高度下降:1,598m
  • 出発高度:0,665m
  • 最高高度:2,158m

  • 標高の差:1,493m
  • 活動時間:12:48
  • 休憩時間:00:42

  • 合計時間:13:30
今回は残雪期ということを考慮した評価です。
危険度
良くも悪くも初めての経験となった残雪期の登山だが、やはり最大のネックはコースがわからないこと。GPSでなんとか乗り切ったが、やはり国土地理院2万5千分の1地形図を持参したほうが安全。 次に苦労したのは、急斜面の登り。危険という観点で、アイゼンなくてヤバかったって場面はなかったが、あればもう少し楽に登れたと思うので、やはりそこは反省点。また、雪を考慮していなかったので、防寒対策が不十分だった点も反省点。日中は全く問題なかったが、夜は寒すぎた。
必要体力

体力的な難所は序盤の手小屋沢避難小屋までの区間。まずバス停から登山口まで標準コースタイム1時間に設定されているが、テント担いでの1時間はかなり厳しい。軽装ならともかくだか、この林道を歩いている時点で、軽装はありえない。なぜならバス利用での日帰りは困難で、有人山小屋もない武尊山だから。実際自分の場合でも1時間42分もかかっており、途中も結構しんどかった。

そして次は、沢筋から名倉ノオキの尾根筋に出るまでの区間。積雪の急斜面が登りにくくてかなり苦労した。武尊山に限らずだが、沢(谷)は薄暗いため焦燥感や不安感を抱きながら登ると、精神的・体力的色んな意味でキツい。

翌日の手小屋沢避難小屋から最後の鎖場までの区間もきつかったが、途中までくるとアイゼンなしでも登れる手応えを感じていたし、山頂まであと少しという事もあり、前日とは打って変わって吹っ切れた感じで登れた。
山小屋・水場
残雪期だったので、序盤に歩いた沢筋での水の調達は容易だったが、標高が上がってくると水の調達は不可。手小屋沢避難小屋近くの水場も機能していなかったし。なお、雪から水を作れば話は別。公共交通機関を利用した場合、ほぼ確実に山中で宿泊しなければならない割に、有人山小屋もなく、避難小屋も使えるレベルギリギリということで、宿泊環境にも難あり。
アクセス
最寄駅から登山口まで直にアクセスできる手段が車以外にないため、北関東の山にしてはアクセスが悪い。やはり、武尊山はマイカー、レンタカー、タクシーなど車でアクセスする方が圧倒的に便利。逆に電車・バスなど公共交通機関だけでのアクセスは、長い林道歩きという時間的・体力的ビハインドを背負うことになる。
総括
アクセスや山小屋の環境が悪いから登山者も少なく、登山者も少ないからアクセスや山小屋の環境も改善されないという、「鶏が先か、卵が先か」という因果性のジレンマに陥っている武尊山。標高2,000m以上で唯一、国立・県立などの自然公園に含まれていないという事も、人気がない一要因かもしれない。反面、軽いノリの登山者は少ないため、静かな山歩きをしたい玄人に好まれそう。
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