[奈良倉山登山レポ]
秀麗富嶽十二景の奈良倉山登山
2025年5月4日(日)天候:晴れ
鶴峠 ~ 奈良倉山 ~ 鶴寝山 ~ 小菅の湯
鶴峠 ~ 奈良倉山 ~ 鶴寝山 ~ 小菅の湯
- 奈良倉山(ならくらやま)秀麗富嶽十二景
- 山梨県大月市と北都留郡小菅村の境にある標高1,348mの山。大月市の秀麗富嶽十二景の5番山頂に選定されている。
- 鶴寝山 (つるねやま)
- 山梨県大月市と北都留郡小菅村の境にある標高1,368mの山。鶴寝山の西側には、推定樹齢650年のトチの巨樹がある。
奈良倉山の主なコース
かつて、奈良倉山の西にある松姫峠までバスが運行していたため、奈良倉山に登る場合、松姫峠からのルートが定番だったが、2023年で松姫峠へのバス路線が廃止。そのため、2024年以降は、鶴峠から登るコースがメインとなっている。バス利用者の場合、その多くは鶴峠から登り、奈良倉山、松姫峠、鶴寝山を経て、小菅の湯へ抜けるルートを歩いている。
- 鶴峠コース登り利用
- 鶴峠(標高870m)から南西に向かって直登に登るコース。標準コースタイムは約1時間20分。2025年現在、鶴峠まで4~9月の土日祝のみ上野原駅からバスが出ている。
- 松姫峠コース下り利用
- 松姫峠(標高1,250m)から東に向かって登るコース。標高差が少なく、標準コースタイムは約50分。バスは廃止され車でのアクセスのみとなっている。

松姫峠への大月側からの道は、通年通行止め。2025年現在、小菅の湯から松姫峠へ至る村道松姫峠線は土砂崩れのため、こちらも当面の間は通行止め。松姫峠へ車でアクセスする場合、事前の最新情報を要確認。
奈良倉山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「大菩薩嶺」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!
奈良倉山の登山計画
- プラン
- GWの3連休は天気が良かったので、約1年ぶりに登山を計画。まだ登っていない、秀麗富嶽十二景の中でもアクセスの悪い、奈良倉山を選んだ。選んだ理由は、アクセスが悪い反面、難易度は低めだったため。
- コース
松姫峠から登るコースを想定していたが、2024年を最後にバス路線が廃止。今後は法改正と人手不足の影響で、過疎地のバス路線は減少の一途をたどるので、こればっかりは仕方ない。なお、鶴峠までの路線バスも、4~7・9月の土日祝しか運行していない。1つ手前の飯尾までなら平日でもバスは運行しているが、飯尾~鶴峠間はバスで10分、徒歩では1時間半ほどかかるため、歩くのは厳しく、素直にバスの運行期間に登ったほうが良い。
今回もバス利用なので、奈良倉山の定番ルート、鶴峠から登り、奈良倉山、松姫峠、鶴寝山、大マテイ山、を経て小菅の湯へ抜けるルートを選んだ。このルートは、最後に温泉で疲れを癒やして帰れるため、理想的な縦走ルートといえるだろう。なお、往路ともにバスで時間に余裕がなさそうだったので、昼食はさっと食べられるパンとおにぎりを持参することにした。
奈良倉山コースレポート
笹子駅 ~ 奈良倉山登山口
【10:02】鶴峠。
時刻表では9:42着予定だったが、20分ほど遅れて到着。ちなみに、厳密な意味での鶴峠バス停は、もう少し上にあるが、トイレがあることに配慮して、この地点で降車してくれた。ちなみにトイレはバイオトイレで、山のトイレの中でもきれいな類に入る。
時刻表では9:42着予定だったが、20分ほど遅れて到着。ちなみに、厳密な意味での鶴峠バス停は、もう少し上にあるが、トイレがあることに配慮して、この地点で降車してくれた。ちなみにトイレはバイオトイレで、山のトイレの中でもきれいな類に入る。
鶴峠バス停で降車したのは、自分を含めて5組の登山者。準備に時間がかかり、他の登山者はいなくなってしまい、一番最後の出発となった。
ココが鶴峠バス停。道路の向かいの矢印の箇所が、三頭山の登山口。三頭山は東京の「都民の森」から登るコースが一般的で、山梨の鶴峠から登る登山者は、よほどの物好きしかいないだろう。
【10:11】登山開始。「鶴峠バス停=登山口」といった感じで、バス停からそのまま登山道へと繋がっている。登り始めは、斜面に沿って伸びるつづら折りの蛇行道を登る。右に左に振られながら登っていくが、振り幅が大きく、序盤から地味に疲れる。

日本たばこ産業(JT)がCSR(企業の社会的責任)活動の一環として、森林を一定期間借り受け、地元の森林組合と協力し、森林保全活動を行っている森。2025年現在、全国に9カ所ありそのうちの1つが「小菅の森」。
道中、トレランコースと並走している区間があり、気付いたらトレランコースを歩いていたというケースもあった。
30分ほど登ったところで、林道に出る。地図にも、道路と交錯する箇所がポイント地点となっているので、地図に書かれている道路はこの林道だろう。
林道をしばらく進むと、再び登山道となる。ココまでが前半戦。
後半戦の序盤は、斜面を横切るように伸びる道だが、傾斜はあるので楽ではない。しばらく進むと、大きく窪んだような斜面に出る。ココから山頂までの区間が、奈良倉山登山における最大の難所。久しぶりの登山ということもあってか、脚の筋肉がパツンパツンになったので、この区間はストックがあった方が楽。斜面に設置された道標の場所だが、山と高原地図の分岐地点と思われる。だた、自分が歩いてきた方角が松姫峠となっており、左側が鶴峠となっている。道間違いしたような感じはなかったので、このあたりは道が交錯しているのかも。
山頂近くで、直角に曲がる地点があり、ココから山頂までは急登で、最後の難関。体力的にキツかったが、10分程度の短い時間だったので乗り切れた。
【11:18】奈良倉山の山頂に到着。
富士山は山頂標識から少し外れた場所から見える。基本的に奈良倉山の山頂は樹林に覆われているが、不思議と富士山の方角だけ景色が開けている。景勝地にするために伐採したのかも。(苦笑)
富士山は山頂標識から少し外れた場所から見える。基本的に奈良倉山の山頂は樹林に覆われているが、不思議と富士山の方角だけ景色が開けている。景勝地にするために伐採したのかも。(苦笑)
登っている途中は、どんよりした空模様で、富士山は見えないのではないかと心配したが、バッチリ見えました。奈良倉山は秀麗富嶽十二景の中でもアクセスが悪く、リベンジ登山でもう1度くるのはおっくうなので、
見れて良かった。秀麗富嶽十二景の中で最も北、富士山から最も遠い位置にある奈良倉山。画角的には◯(マル)だが、距離が遠いため迫力面では少し劣る。
奈良倉山の山頂は丸いおわん型で、スペースは広く、大人数でも滞在可能。しかし、マイナーな山で登山者も少なく、この広い山頂スペースを活かせず、もったいない状況である。
山頂周辺で先行していた登山者2組に追いつたので、少し会話したが、やはり2組とも小菅の湯に抜けるようだ。自分は山頂に30分ほど滞在していたが、他2組は早々に出発していったので、この広い山頂を独占できた。奈良倉山 ~ 松姫峠 ~ 鶴寝山
【11:53】奈良倉山を出発。
出発直後は、緩やかな下り道が林道に出るまで続く。10分弱ほどで林道に出て、20分ほど進むと松姫峠に到着。
出発直後は、緩やかな下り道が林道に出るまで続く。10分弱ほどで林道に出て、20分ほど進むと松姫峠に到着。
奈良倉山から松姫峠まで歩いた印象として、松姫峠から奈良倉山に登った場合、相当楽に登れるだろう。標高差が100mしかないので、当然かもしれないが。
【12:22】松姫峠に到着。
松姫峠の大月側にはゲートが設置され、通年通行止めとなっている。このときは小菅側も通行止めだったため、松姫峠には誰もおらず、寂しい雰囲気だった。峠にはバイオトイレが設置されている。
松姫峠の大月側にはゲートが設置され、通年通行止めとなっている。このときは小菅側も通行止めだったため、松姫峠には誰もおらず、寂しい雰囲気だった。峠にはバイオトイレが設置されている。

松姫とは武田信玄の娘の名前で、松姫峠は織田信長の甲州征伐の際、松姫が甲府から八王子へ逃れる際に越えたとされる峠。ちなみにその後、武田家は滅亡し、松姫は出家し八王子の心源院で余生を過ごし、56歳で生涯の幕を閉じました。心源院には今でも、松姫のお墓が残されています。
次の鶴寝山へは、奈良倉山から下った標高分を登り返すことになるが、100mしか下っていないので、大した登り返しでもなかった。ちなみに、松姫峠あたりから、ブナ、ミズナラ、コナラなどの、広葉樹林が目立つようになる。
鶴寝山手前に、ニリンソウコースとの分岐がある。GWはニリンソウの花期にあたるが、ニリンソウ群生地を通る道は、鶴寝山を巻いているので、鶴寝山かニリンソウのどちらかを選択することになる。このときは花期だということを知らなかったので、鶴寝山を選択した。
松姫峠周辺に自生するニリンソウ(二輪草)の花期は、4月中旬から5月中旬。ニリンソウは「スプリング・エフェメラル」と呼ばれる春の短命な花の一つで、開花期間が短いことでも知られている。
【12:50】鶴寝山に到着。
鶴寝山は「関東の富士見百景」の中の、「大月市北部からの富士」の1地点になっている。手前に山があるので、奈良倉山から見た富士山より、少し見える範囲が狭い感じ。
鶴寝山は「関東の富士見百景」の中の、「大月市北部からの富士」の1地点になっている。手前に山があるので、奈良倉山から見た富士山より、少し見える範囲が狭い感じ。
当初は、鶴寝山から大マテ山を経由して小菅の湯に下山する予定だったが、予定から30分ほど遅れており、大マテ山まで行くと、小菅の湯で温泉に入る時間がなくなる可能性がある。そのため、セカンドルートとして考えていた、大マテ山手前の、巨樹のみちから小菅の湯に下山することにした。奈良倉山から富士山を拝むという主目的は達成しており、温泉を犠牲にしてまで、マイナーな大マテ山にこだわる意義も低いので。
鶴寝山 ~ 小菅の湯
鶴寝山から大マテ山まで、二本の道が並走している上、大マテ山方面と、小菅の湯方面に向かう分岐もあるので、道が入り組んでおり、その状況が、道標にも現れている。並行している、日向みちと巨樹のみちは、大マテイ山の手前で合流するため、どちらを進んでも問題はない。

大菩薩嶺の東にある石丸峠付近から奈良倉山辺りまで伸びる長大な尾根道の名称。松姫峠以降は標識に「大菩薩峠」という地名が現れるのは、この牛ノ寝通りの最果てには、大菩薩峠があるため。ただし、牛ノ寝通りを横断するには4~5時間ほどの時間を要する健脚者向けのルート。ちなみに、名前の由来は、コース全体の尾根の形が寝ている牛の背中のように見えるから、または、平坦な道が多く牛をつなぐことができる=牛が寝ることができたから、といった説などがある。
自分は、日向みちを歩いていたが、途中真っすぐか右かで判断に迷う場面があった。少し悩んで右に進み、結果正解だったようだが、この区間は慎重に歩いた方が良い。
【13:23】山沢入りのヌタに到着。
ココは、大マテ山と小菅の湯との分岐地点。ココから、牛ノ寝通りを外れて、巨樹のみちへ進む。
↑の沢地形のあたりから、水の流れる沢に出るまでの区間で、痩せた道や崩落しかけの場所があるので、歩行には注意。
沢に出れば、小菅の湯まであと少し。要所で架けられている木の橋が、結構揺れるのでプチ注意。沢沿いなので、ひんやりした空気にマイナスイオンも感じられる。

【14:53】小菅の湯に到着。
予定を変更してショートカットしたので、予定より30分早く到着。GWのため小菅の湯周辺は多くの人で賑わっていた。小菅の湯から奥多摩駅の最終バスは15:25、上野原駅への最終バスは16:38。温泉に入ると奥多摩駅の最終バスには間に合わないため、上野原駅の最終バスで帰宅しました。お疲れ様でした。
予定を変更してショートカットしたので、予定より30分早く到着。GWのため小菅の湯周辺は多くの人で賑わっていた。小菅の湯から奥多摩駅の最終バスは15:25、上野原駅への最終バスは16:38。温泉に入ると奥多摩駅の最終バスには間に合わないため、上野原駅の最終バスで帰宅しました。お疲れ様でした。
奈良倉山のコースタイム
予定 | 実際 | 場所 |
---|---|---|
09:45~09:55 | 10:02~10:11 | 鶴峠 |
11:15~11:35 | 11:18~11:53 | 奈良倉山 |
12:10 | 12:22 | 松姫峠 |
12:35 | 12:50 | 鶴寝山 |
13:00 | 13:23 | 山沢入りのヌタ |
13:25 | - | 大マテイ山 |
15:30 | 14:53 | 小菅の湯 |
奈良倉山の難易度

10/30
総合難易度必要体力 | ![]() |
コース距離 | ![]() |
所要時間 | ![]() |
危険度 | ![]() |
登山難易度 | ![]() |
小屋・水場 | ![]() |
アクセス | ![]() |
総合難易度 | ![]() |
登山DATE
- 歩行距離:10.17km
- 高度上昇:616.0m
- 高度下降:765.5m
- 出発高度:0,870m
- 最高高度:1,368m
- 標高の差:498m
- 活動時間:04:07
- 休憩時間:00:35
- 合計時間:04:42
ご質問・感想などコメント歓迎します。
お気軽にどうぞ!
お気軽にどうぞ!
鶴峠から1時間で登れるショートコースだったが、久しぶりの登山ということもあってか、体力的に楽な登山ではなかった。体力的にキツイのは、奈良倉山の後半戦、林道から奈良倉山の山頂までの区間。奈良倉山以降は、特段体力的難所はなかったが、バスの場合は登山時間が9時~となり、小菅の湯に15時半ごろまでには到着しなければならない、時間的制約がネックだった。
歩行距離は約10km、標高差は約500mと、データからみると初心者~中級者向けの難易度。