日本二百名山の和名倉山(白石山)登山記録

和名倉山
白
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[和名倉山登山レポ]
遭難多発?原生林が残る奥秩父の秘峰!和名倉山登山 奥秩父縦走登山その2

2016年5月1日(日)天候:晴れ時々くもり
将監小屋 ~ 西仙波 ~ 東仙波 ~ 和名倉山 ~ 秩父湖
  • 和名倉山
    (白石山)
  • 埼玉県秩父市にある標高2,036mの山。和名倉山は埼玉側の呼び名で、山梨側からは白石山(しろいしやま)と呼ばれている。ガイドブックなども含め、一般的に和名倉山の名称が使用されることが多い。

    奥秩父の秘峰といわれており、奥秩父の中でも美しい原生林が残る山。戦前まであった米ツガの原生林の大半は1950~60年代にかけて火災で消失。その後、シカの食害などもあり荒廃が進み、登山者の足も遠のいていたが、2000年以降、森林の再生が進み、かつての美しい原生林が戻ってきているといわれている。 奥秩父の主縦走路から外れていることもあり、並列する雲取山の尾根に比べ登山者は少ない。特に、秩父湖から登る二瀬(ふたせ)のルートにおいて、登山道のわかりにくい箇所が多く、遭難が多発する山とされていたが、2010年以降は登山者の数も増え、登山道も整備されたことで、かつてほど難しい山ではなくなってきている。
    日本二百名山

和名倉山のコース

一般的には、南の将監峠から登るか、北の秩父湖から登るかの2パターン。西の川又からヒルメシ尾根沿い、東の雲取林道から仁田小屋尾根沿いに登ることも可能だが、一般ルートとはされておらず、山と高原地図では記されていない。

また北東のナシ尾根からの登ることも可能だが、ヒルメシ尾根、仁田小屋尾根以上にマニアックなルートで、ガイドブックにも全く触れられていない。しかし、ネットで調べると、ごく少数ながら登っている人もいるようだ。
  • 和名倉山のコース
  • 登り
  • 仙波尾根
  • 南の将監峠から仙波尾根沿いに西仙波、東仙波を越えて山頂を目指す。最も利用者が多いコース。
  • 下り
  • 二瀬尾根
  • 北の秩父湖から二瀬尾根沿いを南に向かって進む。山と高原地図では破線ルートの難コースで描かれている。
  • その他難路コース
  • 仁田小屋尾根
  • 東の雲取林道から仁田小屋尾根沿いに登るコース。
  • その他難路コース
  • ヒルメシ尾根
  • 西の川又からヒルメシ尾根沿いに登るコース。事実上廃道となっており、登るならルートファイティングの技術が必要。
アイコンの説明はこちら。
地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

関連レポート

和名倉山の登山計画

去年ルートファイティングの技術がなく敗退した、皇海山・袈裟丸山登山に向け前哨戦に位置づけた和名倉山。秩父湖からの二瀬ルートはコース不明瞭な箇所が多く、身につけたルートファイティングの技術を試すことが目的。

和名倉山コースレポート

将監小屋 ~ 山ノ神土

【04:30】起床。
将監小屋の食事は5時。食事を済ませ、出発準備を整える。

【05:53】出発
グズグズしていたので、後発組としてスタート。まずは笠取山と和名倉山の分岐地点である、山ノ神土(やまのかみつち)に向かう。なんか、語呂が悪く舌噛みそうな名前だし。

将監小屋から将監峠まで直登の上り坂。スタート直後なので、一気に登る。将監峠には何もないのでそのまま進む。将監峠から山ノ神土まで傾斜のない平和な道。
【06:15】山ノ神土に到着。
前後を歩いていた登山者は笠取山へ向かい、和名倉山へ向かうのは自分一人。和名倉山は二百名山なのに人気がないのかな・・。また、いつもの如く孤独な登山となる予感。山ノ神土から本格的な和名倉山への上りとなるため、上着を脱ぐなどして準備を整える。

山ノ神土 ~ 西仙波

こんなに早く景色が広がるとは想像していなかった。昨日は歩きながら景色を楽しめる場所がなかったため、テンションも上がる。

西仙波の南にリンノ峰という山がある。しかしコースはリンノ峰の西側を巻いているため、登らなくても良い。

西仙波手前で和名倉山登山道で初となる登山者に遭遇。一度は前に通されるも、西仙波で再び出会うことになる。

【07:06】西仙波に到着。
西仙波からの展望はそれほどない。

なお、西仙波手前で遭遇した登山者と西仙波山頂で再び出会った時に、少し会話したことがきっかけで西仙波以降、秩父湖に下山するまで行動を共にすることに。ひょんなご縁です。過去に筑波山の下山時と、同じ秩父の甲武信ヶ岳を縦走した時にソロ同士で行動を共にしたことがあるので、今回3度目。

西仙波の次は東仙波。西仙波から東仙波は稜線上を歩くため、景色が開けている。このあたりは、特段難所がある訳でもなく、景色も良いので歩いていても気持ちが良い。

西仙波 ~ 東仙波

【07:26】東仙波に到着。
東仙波から南側の写真が残っていなかった。記憶は曖昧だが、写真撮影するほどの景色ではなかったのかも。

東仙波の山頂からコースは直角に曲がる。真っ直ぐ進むとカバアノ頭。コース外だが、ルートファイティングすれば登れそうな感じ。山頂に木が生えているので展望はなさそうだけど。

東仙波 ~ 川俣分岐

特に疲れてもいないので、東仙波では休憩をとらずにそのまま、北に方角を変えて歩き出す。東仙波から本格的に和名倉山へのアプローチルート。一先ず、廃道となっているヒルメシ尾根への分岐地点である川俣分岐を目指す。

東仙波から少し下って登り返した後は、引き続き緩やかな上り道で、登山道の左右(東西)も開けており、開放感のある山歩きが続く。
【08:32】川俣分岐に到着。
川俣方面に伸びるヒルメシ尾根は、ガイドブックに「廃道」と書かれていたが、このヒルメシ尾根から登った何人かのコースレポートを見てみたが、道さえわかれば今でも登れなくはなさそうだった。

川俣分岐 ~ 二瀬分岐 ~ 和名倉山

川俣分岐から二瀬分岐を通過し和名倉山を目指す。

二瀬分岐の手前に平地があり、そこからコース外を東へ進めば水場がある。この平地でテントを張っている登山者1名。なるほど!水場が近くにあるのだから将監小屋ではなくココでテントを張るのもあり。でも、過去に遭難事故も多かった山だし、夜はめっちゃ怖そうだけど・・。

【08:59】和名倉山の山頂に到着。
事前情報通り、和名倉山の山頂は展望なし。しかし、山頂周辺には、和名倉山を象徴する原生林が広がっており、ある意味、中途半端な展望より、よほど魅力的。陽の光が森に差し込むと、なんとも言えない神秘的な光景。反面、曇りや雨の場合、恐ろしく不気味な森に変貌するだろう。そう言えば、同じ秩父の甲武信ヶ岳でも原生林っぽい場所があったので、奥秩父にはこのような森を育む環境要因があるのかもしれない。和名倉山の場合、何故か山頂周辺だけだが、その他は火事で消失してしまったのか・・。

和名倉山山頂は、仁田小屋尾根の分岐にもなっている。看板もきちんと出ており、ガイドブックによるとヒルメシ尾根より、道ははっきりしているようだ。

山頂には30分ぐらい滞在していたが、やってくる登山者は2~3人程度。寂しすぎず、賑やかすぎずで、個人的には丁度良い。

和名倉山の山頂 ~ 二瀬分岐 ~ 北のタル

【09:32】和名倉山を出発。
ココまで行動を共にしてきた方も同じく秩父湖に下山する上、過去に秩父湖から登った経験があるとのことで、引き続き付いていくことにした。GPSは持参しているものの、登山経験が自分より豊富な方なので、1人より2人の方が心強いし。

一先ず、二瀬分岐まで戻る。

ココから二瀬尾根沿いを歩き秩父湖に下山する。なお、将監小屋で出会った和名倉山に登る方々の何人かにルートを尋ねたところ、秩父湖に下山する方は皆無だったので、依然として二瀬尾根コースは人気がないようだ。

次なる中間目的地は二瀬分岐の真北にある北のタル。北のタルまで、引き続き原生林を彷彿させる森が広がっている。ガイドブックによると二瀬分岐から、北のタルまでの間でコース不明瞭な箇所があるとのことで注意喚起されていた。しかし、そんな心配も取り越し苦労で、迷う要素は全く感じず。
【09:57】北のタルに到着。
北のタルは小広場のようになっており、一瞬どこに進めば良いか悩んだが、地図を見ると、コースは北東に曲がっているため、北東方面をよく見るとピンクリボンの目印発見。この場所は霧が出ていたりすると、わかりにくいかもしれないが、コースが曲がっているポイントさえ把握していれば、まあ大丈夫。

北のタル ~ 造林小屋跡

北のタルで原生林ゾーンは終了し、普通の登山道に戻る。この先は展望もないが、しかし森林鉄道軌道跡の文化遺産?という見どころがある。
一先ず次なる目的地は造林小屋跡。その途中に何人もの登山者を道迷いに追い込んだ、悪名高き藪笹地帯を通過しなければならない。
下りきった場所に、水場がありその近くに造林小屋跡地がある。この場所で、何かの研究?をやっているというシニア登山者と遭遇。和名倉山の歴史に詳しそうだったので、少しお話したところ、ココ数年は遭難事故などは殆ど発生していないとのこと。
【11:07】造林小屋跡に到着。
造林小屋という名前の通り、林業が盛んだった頃、ココに林業用の小屋が建っていた場所。最盛期には、数十人規模の林業従事者がいたと思われる。その名残で、小屋周辺には錆びたレール、滑車、車輪、ワイヤーなどから、鍋、釜、バケツ、一升瓶の残骸が散乱している。あまりにも古いゴミのため、もはや汚いというよりも風情が感じられる。今時、透明の酒瓶なんてサザエさんぐらいでしか見かけないし。

造林小屋跡地 ~ 反射板跡地

造林小屋跡地から反射板跡地までは平坦な道を歩く。この道だが、昔は造林小屋跡から反射板跡地まで、森林鉄道(トロッコ列車)が走っていたようで、よく見るとレールが敷かれていた名残が窺える。起伏があると列車が動かないため、反射板跡地まで平坦な道となっている。鉄道のレールが残っていればまさに遺産なのだが、何処に消えてしまったのやら・・・。ちょっと残念。

【11:46】反射板跡地に到着。
おそらくココが森林鉄道の終点。ココからワイヤーや滑車を使って木を麓まで下ろしていたのだろう。

景色はそれほど開けていない。食事をとっていなかったので、今更ながらココで食事。

反射板跡地 ~ 秩父湖

【12:24】反射板跡地を出発。
話は変わるが、三峯神社で毎月1日限定で販売される白いお守りがあり、そのお守り目的で、周辺道路で大渋滞が発生するらしい。しかもこの日は、GWと重なっているし、いつも以上の渋滞が予想される。同行していただいている方がかなり気にしていたので、早めの下山を心がける。

反射板跡地からは秩父湖に下山するのみ。ココからは本格的な下り道となり、急下降で標高が下がっていくことになる。雑木林の中の急登をどんどん下がっていくが、この道を登るとなると相当キツそうな急登。秩父湖から登る場合、反射板跡地に出るまでの道は、体力的に相当きびしい戦いになるだろう。
【13:12】秩父湖の吊橋に到着。
秩父湖の吊橋を渡ってしばらく進むと、埼玉大学秩父山寮の脇から県道278号線に出る。
秩父湖の吊橋と言えば幽霊スポットで有名だが、女性の幽霊が出ると噂の吊橋は秩父湖の西側にあり、この吊橋ではない。しかし、秩父湖が幽霊スポットと噂される理由はなんとなく納得。自分は霊感がある方ではないが、秩父湖は薄暗くて霊的パワーが強い、強烈なパワースポット。夜には絶対きたくない。
【13:19】埼玉大学秩父山寮の脇から県道278号線に出る。
ココから、秩父湖バス停までの歩いて20分ほど。県道278号線は予想通りの大渋滞。かと思いきや、バス停のある二瀬ダムから国道140号線に出ると渋滞も解消。二瀬ダムを渡る道が1斜線のため、時間差で上り下りが切り替わる通行規制が渋滞の原因だった。

【13:35】秩父湖バス停近くの駐車場に到着。
バスの時間が気になるので、同行している方に尋ねてみたところ、なんと車できて秩父湖近くの駐車場に駐車しているとのこと。しかも、隣の沿線ではあるが、自宅がかなり近いこともあり、厚かましくも最寄り駅まで送ってもらえることに。筑波山でも同じく知りあった方に近くの駅まで送っていただいたことはあるが、まさか自宅の最寄駅まで送って頂けるとは大変感謝。

なお、三峯神社の白いお守りの渋滞に巻き込まれることはなかったが、西武秩父駅近くにある羊山公園の芝桜による大渋滞には巻き込まれてしまった・・。

関連レポート

和名倉山のコースタイム

予定 実際 場所
06:00 05:53 将監小屋出発
06:25 06:15 山ノ神土
07:55 07:26 東仙波
09:15 08:32 川又分岐
09:30 08:44 二瀬分岐
09:50~10:20 08:59~09:32 和名倉山
10:40 09:42 二瀬分岐
10:55 09:57 北ノタル
12:30~13:15 11:07 造林小屋跡
14:05 11:46~12:24 反射板跡地
15:25 13:19 埼大山寮
15:45 13:35 秩父湖バス停
15:55 - バス乗車
和名倉山標高グラフ 和名倉山標高グラフ

和名倉山の難易度

難易度

14/30

総合難易度
必要体力 体力難易度2
コース距離 コース距離難易度4
所要時間 所要時間難易度
危険度 危険度難易度1

登山難易度 登山難易度3
小屋・水場 小屋・水場難易度1
アクセス アクセス難易度3

総合難易度 総合難易度5
※ 29,975歩(将監小屋~秩父湖バス停までの歩数)
※ アクセスは東京基点
評価基準の詳細はこちら。

評価はあくまで将監小屋(将監峠)から秩父湖バス停までの区間に限定して評価している。実際に登る場合は、前日の飛龍山も含めて見て欲しい。

前日の将監小屋までの移動日に比べれば、かなり楽だった。まあ、スタート地点の標高が全然違うので当たり前だが、将監小屋まで辿り着けば、和名倉山は比較的楽に登ることができる。その将監小屋まで辿り着くまでが問題なんだけど・・。

景色は殆ど期待できないと聞いていたが、仙波尾根から広がる景色は素晴らしかった。和名倉山に近づくにつれ展望は尻窄みになっていくが、逆に映画「もののけ姫」に出てくるような原生林の森を楽しむことができる。和名倉山の山頂一帯のみ、苔むすの森になっており、この現象はなんとも不思議。メインは山頂付近のみだが、北のタルまでは、その原生林の片鱗を楽しみながら歩くことができる。

過去に遭難が多発していた秩父湖からの二瀬尾根のコースだが、現在は登山道もわかりやすく、目印も多いため、道迷いの要素は殆どない。普通のコース以上に目印が多かったので、近年目印を増やしたのだろう。あえて挙げるなら、秩父湖近くの雑木林で、森林管理用の目印と登山道の目印が散見しているので、秩父湖から反射板跡地に出るまでの道は要注意。

ガイドブックには、二瀬分岐と北のタルの間、それと(山頂から見て)造林小屋跡の手前でコース不明瞭と書かれていたが、迷うことなく普通に通過。過去には、沢登りの人達が勝手に付ける目印で、和名倉沢に迷い込んでしまう登山者も多かったようだが、今回歩いていて、そのような紛らわしい目印もなかった。 また、道迷いの代名詞ともなっていた背丈ほどの藪笹が全て枯れていた上に、コース上の藪笹も刈り取られるなど、諸々含め、遭難が多発していた時期と状況が一変していると思われる。 山と高原地図では破線で示される難コースとして記されているが、実線にしても良いレベル。

また、秩父湖からの二瀬コースは林業が盛んだった頃に捨てられたであろうゴミが散乱していて汚いとも聞いていたが、森林鉄道軌道跡とセットで見ると、見方によっては文化遺産と捉えられなくもない。
秩父湖から登る場合、反射板跡地に出るまでと、造林小屋跡からの登りが、相当キツそうな急登だったので、登るなら覚悟が必要。 水場に関しては、造林小屋跡、二瀬分岐、山ノ神土と良い間隔で水場があるため、水場には恵まれている。道迷い以外の危険要素となる、岩場や鎖場などもない。

事前情報から、展望がない上にキツくて危険でつまらない山というイメージを抱いていたが、とんでもない。他の山にはない、素晴らしい魅力に溢れた名山でした。
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