浅間山

浅間山登山

浅間山

Asamayama

白

[浅間山登山レポ]
噴火警戒レベル1!天狗温泉から前掛山まで登る浅間山登山

2018年11月3日(土)天気:晴れのち曇り
浅間山荘 ~ 火山館 ~ 前掛山 ~ 黒斑山 ~ トーミの頭 ~ 車坂峠
  • 浅間山(あさまやま)日本百名山花の百名山ぐんま百名山
  • 長野県と群馬県の境にある標高2,568mの成層火山。気象庁の火山噴火予知連絡会で「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動がある火山」のAランクに指定され、常時観測火山として火山活動の監視・観測が行なわれている。噴火警戒レベルに応じて登山道の規制範囲が変わり、噴火警戒レベル1でも手前の前掛山までしか登ることができず、浅間山の噴火口(釜山)はココ数十年登山不可となっている。

浅間山のコース

浅間山の周辺案内板 浅間山の周辺案内板。
浅間山の登山口は、浅間山荘のある天狗温泉と、高峰高原ホテルのある車坂峠の2つ。
  • 浅間山荘コース登り利用人気コース!
  • 浅間山(天狗温泉)から北に向かって登り、火山館や湯ノ平口を経由し前掛山を目指すコース。
  • 車坂峠コース下り利用人気コース!
  • 車坂峠からトーミの頭、湯ノ平口を経由して登るコース。厳密にはトーミの頭まで、中コースと表コース2つの登山道が並行している。
  • 外輪山コース
  • 車坂峠からトーミの頭以降を、浅間山の外輪山(黒斑山、蛇骨岳、仙人岳)を経由して登るコース。要所で、浅間山の展望が優れており、噴火警戒レベル2で前掛山まで登山できないときなどは、本コースの外輪山の山々を目的に登山される。
※コース名に厳密な名称はありません。
山と高原地図
浅間山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「浅間山」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

浅間山の登山計画

プラン
2018年8月30日に浅間山の噴火警戒レベルが2から1へ引き下げられた。2015年6月以来、実に3年2カ月ぶり。この機を逃すわけにはいかないと急遽今年の山行に組み込んだ。
アクセス
問題となったのはアクセス方法。浅間山にはバスも出ており、新幹線の始発に乗れば都内から電車とバスでアクセス可能。しかし、バス利用で標準コースタイムを元にスケジュールを組むと、日帰りできない。浅間山の山中に宿泊できる施設はないため、前日入りして麓の宿泊施設に泊まるか、レンタカーで早朝にアクセスするかの選択となる。詳しく調べると小諸駅から浅間山荘までタクシーで約4,500円という事と、小諸駅の近く佐久平駅に漫画喫茶のあることが判明。この情報から、深夜バスで深夜にアクセスし佐久平駅近くの漫画喫茶で仮眠をとり、始発で小諸駅に向かいそこからタクシーで浅間山荘へアクセスする計画を立てた。なお、高峰高原ホテルや浅間山荘に宿泊することも検討したが、宿泊料金が1万円を超える上、満室だったので却下した。

浅間山コースレポート

天狗温泉 浅間山荘 ~ 火山館

【7:00】「天狗温泉 浅間山荘」に到着。
駐車場には、既に数台の車が駐車しており、出発準備をする登山者も多い。浅間山荘のすぐ先に鳥居があり、トイレや登山ポストも設置されている。

【7:12】「天狗温泉 浅間山荘」を出発。
第一目的地は一の鳥居。出発当初から一の鳥居までは緩やかな傾斜で、スロースターターに優しい道。
【7:34】一の鳥居に到着。
登山口から20分ほどで到着でき、意外と早かった。一の鳥居からコースは二股に分かれ次の二の鳥居で合流する。どちらに進んでもコースタイムは変わらないようだが、右側の不動の滝を経由するコースを選択。一の鳥居から二の鳥居までは沢沿いの道を進む。この区間は少し傾斜も出始めるが、それでも大した傾斜ではない。

【7:50】二の鳥居に到着。
二の鳥居は一の鳥居で分かれた道と合流する地点。鳥居はなく、丸太の椅子が置かれているのみ。少し休憩してすぐに出発。

二の鳥居を通過して少し先の地点で装備トラブル発生。今回の登山においてお試しで装備していた「カメラクイックリリース」からカメラが外れなくなる。四苦八苦してなんとか取り外すことができたものの、再装着できなくなったため、仕方なくシングルストックに切り替え、カメラを片手に持って歩くことに。
二ノ鳥居から20分ほど登り樹林帯を抜けると、火山を連想させる険しい岸壁が現れる。このあたりは、雰囲気最高。道は、岸壁の右を回り込むように伸びている。
【8:36】火山館に到着。
火山館には自然保護と遭難防止対策の拠点として館長が常駐している。トイレ利用や休憩はできるが、山小屋ではないため、緊急時を除き宿泊や飲食の提供は行っていない。

火山館 ~ 賽ノ河原分岐

【8:48】火山館を出発。
火山館の右奥には浅間神社が鎮座しており、その前を横切り奥へと進む。

【8:53】湯ノ平口分岐に到着。
火山館から5分ほどで到着。ココは車坂峠からトーミの頭を経由して登る「車坂峠コース」との合流地点。
湯ノ平口分岐から賽ノ河原分岐までの区間は、傾斜の緩やかな樹林帯の道。
賽ノ河原分岐【9:07】賽ノ河原分岐に到着。
噴火警戒レベル2の時はココから前掛山方面へは立入禁止。

賽ノ河原分岐 ~ 浅間山(前掛山)

ココまでツライと感じるような本格的な登りがなかったので、その分山頂直下でかなり登らされることは想像がついた。

賽ノ河原分岐を出発してすぐに浅間山の全貌を捉えることができる。この時点では、まさかの雲かぶりだったが、山頂に着く頃には雲もなくなっていた。

ココから避難シェルターのある広場までが、浅間山登山の中で最もツライ区間。この区間で約400m登らなければならない。樹木のないザレ場のためストックは必須。また、風を遮る樹木がないため、標高が上がるにつれ、風が強くなり体感温度がみるみる低下。体力と寒さ、両面でツラかった。

【9:46】浅間山の噴火口(釜山)との分岐地点に到着。
浅間山の噴火口(釜山)方面へは、立入禁止の看板が設置されている。浅間山の噴火警戒レベルが0になれば、この先進めるようになるかもしれないが、ここ数十年は無理だろう。

【9:48】浅間山の避難シェルターに到着。
活火山の山ならではの設備。ココで休憩したり昼食をとっている登山者も多い。ひとまず前掛山は目の前のため、先に山頂を目指す。ちなみにココにザックをデポしても良いが、大した距離でもないので、担いで登った。
写真からは伝わらないが、前掛山の山頂は強風が吹き荒れ極寒。タオルを手放すと遠くに飛んでいくほどの風。しかも、今回ミスで手袋を忘れてしまったので、手がかじかんでヤバイ。当初は、前掛山での食事も検討していたが、こんな強風が吹き荒れる場所で食事なんてとても無理。あまりにも風が強いので、登頂後ものの数分で下山していく登山者も多い。

浅間山(前掛山) ~ 湯ノ平口分岐

【10:23】浅間山の山頂(前掛山)を出発。
20分ほど滞在していたが、これでも他の登山者に比べれば長くいた方。とにかく寒いので、避難シェルターのある場所まで足早に下りる。

【10:40】浅間山の避難シェルターに到着。
避難シェルター周辺は地形的な理由からか風は弱く、そのため食事や休憩をとっている登山者が多い。少し早いが自分もココで昼食をとる。しかし後で後悔したが、すぐに下りて外輪山に登りそこで昼食をとった方が良かった。

【11:37】浅間山の避難シェルターを出発。
浅間山から、湯ノ平口分岐まで来た道を戻る。
【12:15】賽ノ河原分岐を通過。
ココで外輪山経由のコースに進んでは?と頭をよぎる。ざっと時間を計算したところ、標準コースタイムで車坂峠に15時45分到着。16時19分発のバスを予約しているので間に合う時間だが、高峰高原ホテルの温泉に入る時間がなくなってしまうかもしれない。また、もう一点ネックだったのが、片手がカメラでふさがっていること。このコース下調べはしていないので、本格的な鎖場など出てくるとちょっと厄介。少し迷ったが、結局は予定通り湯ノ平口分岐からトーミの頭を目指すことにした。
湯ノ平口分岐
【12:34】湯ノ平口分岐に到着。
湯ノ平口分岐からは往路から外れ、トーミの頭に向かう。湯ノ平口分岐からトーミの頭までが後半戦の難所。トーミの頭までの標準コースタイムは1時間20分。

湯ノ平口分岐 ~ トーミの頭

月並みな言葉だが「目の前に立ちはだかる」という表現がピッタリのシチュエーション。浅間山の外輪山に向かって直登に登山道が伸び、そこを登る。標高差は約300mと、下りでこれだけ登らされると気分も萎える。

ちなみにこの区間、地図には「草すべり」と書かれている。知らなかったが登山用語らしく「人が隠れてしまうほど、背丈のある草地の場所」という意味らしい。
比較的緩やかな登山道が多かった浅間山だが、この区間だけは異質の急登。体力的にも相当厳しい。せめてもの救いは、振り返ると浅間山の絶景を拝めること。
浅間山が極寒だったので、3枚重ね着をしたまま登っており、途中で1枚脱ぎたかったが、斜面が急でザックを下ろせる適当な場所が見つからず。結局そのまま登り続け汗だくになってしまった..。
【13:16】トーミの頭手前の分岐に到着。
稜線に出ればトーミの頭は目の前だが、疲れて大岩に座り込む。景色はココでも十分良かったので、トーミの頭には行かずに30分ほど大岩に座りこみボーとしていた。地図を確認すると、黒斑山の箇所に「浅間山の絶好のビュースポット」と書かれていたので、黒斑山まで行ってみることにした。
【14:12】トーミの頭に到着。
黒斑山からトーミの頭に移動。14時を過ぎたので、再び雲をかぶり始めた浅間山。

トーミの頭 ~ 車坂峠

【14:15】トーミの頭を出発。
高峰高原ホテルのある車坂峠を目指す。出発してすぐに、中コースと表コースに分かれる。時間は中コース50分に対して、表コース1時間20分なので、中コースへ向かう登山者が多い。時間に余裕もあり表コースのほうが景観も良さそうだったので、表コースを選択。

途中にある避難小屋は、避難小屋とは名ばかりの、鉄板をカマボコ型にしただけのもの。浅間山の山頂近くにあったシェルターと同じ構造で、これを小屋と呼んで良いのか疑問。[避難小屋内部

避難小屋からしばらくは樹林帯。樹林帯を抜けると、見晴らしの良い場所を通過する。
大したピークではないが、登山口近くで小ピークを越える。

【15:05】車坂峠登山口に到着。
車坂峠登山口のすぐ近くに高峰高原ホテルと、JRバスの高峰高原ホテルバス停があるので、とても便利。近くのカフェで「キャベツソフトクリーム」食べて、高峰高原ホテルの温泉へ。

その後、予定通り直通便のバスに乗って新宿へ。直通便は1日1本だが、高峰高原ホテルから新宿まで乗換えなしで帰ることができるのでとっても便利。
※小諸駅まで出れば1日10本のバスあり

浅間山のコースタイム

予定 実際 場所
07:00~07:10 07:00~07:12 浅間山荘
07:40 07:34 一の鳥居
08:10 07:50 二の鳥居
- 08:36~08:48 火山館
09:15 08:53 湯ノ平口分岐
09:30 09:07 賽ノ河原分岐(前掛山登山口)
10:40 09:46 噴火口(釜山)分岐
11:10~12:10 10:05~10:23 前掛山
- 10:40~11:37 避難シェルター
12:30 11:40 噴火口(釜山)分岐
13:10 12:15 賽ノ河原分岐(前掛山登山口)
13:25 12:34 湯ノ平口分岐
- 13:16~13:38 トーミの頭(厳密には手前)
- 13:54~14:01 黒斑山
14:45 14:12~14:15 トーミの頭
16:05 15:05 車坂峠登山口

浅間山の難易度

難易度5

16/30

総合難易度
必要体力 体力難易度3
コース距離 コース距離難易度3
所要時間 所要時間難易度3
危険度 危険度難易度1

登山難易度 登山難易度5
小屋・水場 小屋・水場難易度4
アクセス アクセス難易度2

総合難易度 総合難易度5

登山DATE

  • 歩行距離:14.88km
  • 高度上昇:1,458m
  • 高度下降:0,918m
  • 出発高度:1,410m
  • 最高高度:2,568m

  • 標高の差:1,158m
  • 活動時間:05:54
  • 休憩時間:01:59

  • 合計時間:07:53
必要体力
体力的にキツイ箇所と楽な箇所がはっきりしている。難所は賽ノ河原分岐(前掛山登山口)から避難シェルターまでと、湯ノ平口分岐からトーミの頭までの区間。浅間山荘から賽ノ河原分岐まで500mほど登っているが、距離があるせいか傾斜は緩やかで体力的にキツイと感じる場面はなかった。全体を通して、道はよく整備されており歩きやすい。
時間・距離

林道歩きのない登山で15km歩いたので距離はそこそこ。やはり序盤は距離がある分、傾斜が緩やかだったのかと。

標準コースタイムと実際にかかった時間を比較すると、かなり短縮できている。特に顕著だったのは次の3区間。
  • 【登り】賽ノ河原分岐~噴火口分岐 │ 標準1時間10分のところを39分
  • 【登り】湯ノ平口分岐~トーミの頭 │ 標準1時間20分のところを42分
  • 【下り】トーミの頭~車坂峠登山口 │ 標準1時間20分のところを50分
それなりのスピードで歩いたことも要因だと思うが、全体的にやや余裕をもって標準コースタイムは設定されている印象。合計時間は休憩を除けば約6時間と、日帰り登山としてはボチボチ。
危険度・水場

危険箇所はほとんどない。ただ、賽ノ河原分岐から前掛山まで遮蔽物がないザレ場の登山道を登るため、天気の良い日でも、防風対策は必須。道迷いの心配はほとんどない。

ネックなのは水場。有人山小屋もなく自然の水場は二ノ鳥居手前に流れる沢のみ。山頂付近は日光を遮るものがなく、水がなくなると夏場は熱射病の危険性も高まる。十分な水の量を持参して、計画的に摂取したほうが良い。
アクセス
アクセスは、山中泊不可の制約条件と標準コースタイムの時間設定により、一見すると良さそうで良くないという印象。まず、山中泊できないという制約条件により、日帰りが前提。小諸駅から登山口までバスは出ているが、始発に乗っても標準コースタイムを短縮して登る必要がありスケジュールが苦しくなる。現実的には、やはり「車」か「電車・バス + タクシー」か「電車・バス + 麓の宿に宿泊」いずれかの選択となる。ただし、帰りは小諸駅から新宿まで高速バスが多数出ているため便利。
総括
体力的にはそこそこだが、危険箇所もなく道も歩きやすい。ネックは水場や有人山小屋がない点。レベル的には中級者向けといった印象。ある程度足に自信があるなら、外輪山をまわるコースでも日帰り可能かと。
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