荒島岳

荒島岳登山

荒島岳

Arashimadake

白

[荒島岳登山レポ]
勝原コースから登り、新しもやまコースで下る荒島岳登山

2023年5月27日(日)天候:晴れ
越前下山駅 ~ 勝原駅 ~ 勝原登山口 ~ 荒島岳山頂 ~ 下山登山口
  • 荒島岳(あらしまだけ)日本百名山
  • 福井県大野市にある標高1,523mの山。福井県唯一の百名山であり、独立峰でもあるため、別名"大野富士"とも呼ばれており、古くから信仰の山として崇められてきた。

荒島岳のコース

荒島岳の登山口は、北の勝原登山口、北西の中出登山口、西の佐開登山口、南東の下山登山口の4つ。4つの登山口に対応する4つのコースが存在するシンプルなコース構成。
佐開登山口以外は、九頭竜線(くずりゅうせん)の各駅から徒歩でアクセス可能だが、中出登山口だけは下唯野駅から徒歩1時間ほどを要する。ただし、九頭竜線の電車の本数は非常に少ない。

中出・勝原コース 中出・勝原コース
  • 勝原(かどはら)コース登り利用人気コース!
  • 荒島岳の北側、勝原駅近くの勝原登山口から登るコース。序盤は旧カドハラスキー場のゲレンデを登り、シャクナゲ平を経て山頂を目指すコース。最も利用が多い人気のコース。登り約3時間30分。
  • 中出(なかんで)コース
  • 荒島岳の北西から、小荒島岳やシャクナゲ平を経て登るコース。シャクナゲ平で勝原コースと合流する。登山口まで、下唯野(しもゆいの)駅から徒歩約1時間。登り約3時間40分。
  • 佐開(さびらき)コース
  • 荒島岳の南西、荒島養魚場のある佐開登山口から登るコース。なお、養魚場から先の作業道が通れれば、シャクナゲ平手前の標高850mまで車でアクセスが可能。登り約3時間30分。利用者は少ない。
    ※養魚場から先の道は悪路で、落石なども多く、4WD車でないと走行が困難とのこと
  • 新しもやまコース難コース下り利用
  • 2012年に開通した、和泉地区側から登る唯一のコース。急な上りが続くため健脚向けで、利用者は少ない。登り約4時間40分。ちなみに「新」と付いているのは、かつて旧下山コースが存在していたためだが、荒廃が進み現在は廃道となっている。
山と高原地図
荒島岳のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「白山」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

荒島岳の登山計画

目的
京都の実家に帰省するついでに登れる山ということで、今回選んだのが荒島岳。これまでも何度か候補には上がっていたが、京都から少し距離があるため、後回ししていた。
アクセス
問題になったのはアクセス方法で、候補となったのは以下3つ。
  1. 先に福井駅まで高速バスで移動し、福井駅から電車でアクセス。登った後に特急電車で京都に帰省。
  2. 先に福井駅まで高速バスで移動し、福井駅からレンタカーでアクセス。その後は、同上
  3. 京都の実家に帰ってから実家から車でアクセス。ただし3~4時間かかる。
1.は、福井駅から始発の電車に乗っても勝原駅着は10:28。他登山者の記録を見ると、この方法で登っている人もいたが、さすがに10時過ぎての登山はちょっとリスクがあるので却下。2は、福井駅のレンタカーで最も早く営業している場合でも8時~。福井駅から勝原駅まで車で約1時間のため、登山開始は9時~。電車よりもマシだが、それでも登山開始時間としては遅い。1と2はどちらも前日入りして、荒島岳の近くまで移動していれば、早朝から登ることもできるが、前日入りする時間の余裕はない。ということで、車で3~4時間は、ちょっと遠いが、消去法で3.の実家から車でアクセスする方法を選択。
コース
車でアクセスして、電車をうまく利用すれば、登り・下りともにコースバリエーションはいくつか考えられる。ちなみに、九頭竜湖駅から福井方面への電車は早朝5時ごろに1本走っているので、この電車をうまく利用すれば、車でも縦走が可能。今回は、縦走を前提としたので、まず駅からアクセスできない佐開コースは却下。そして候補になったパターンは以下3つ。
  1. 勝原駅近くに車を駐車して、朝一の電車で下唯野駅に移動。登り:中出コース、下り:勝原コースを歩く。
  2. 越前下山駅近くに車を駐車して、朝一の電車で下唯野駅に移動。登り:中出コース、下り:新しもやまコースを歩く。
  3. 越前下山駅近くに車を駐車して、朝一の電車で勝原駅に移動。登り:勝原コース、下り:新しもやまコースを歩く。
どのパターンでも良いが、中出コースは、下唯野駅から1時間ほどかけて徒歩で登山口にアクセスしなければならない。また、越前下山駅近くに「九頭竜温泉 平成の湯」という温泉があり、下山後に利用したいと考えていたが、利用する場合、下りは新しもやまコースのほうが効率的。ということで、3.のコースパターンを選択。ちなみに、下山後に電車を利用する方法もあるが、九頭竜線は、電車の本数も少なく、乗り遅れるリスクを避けるためにも、電車は早朝に利用したほうが安全。下山の時間を気にせず登れるのでそのほうが絶対良い。

荒島岳コースレポート

越前下山駅 ~ 勝原駅 ~ 勝原登山口

夜に実家のある京都を出発し、2時頃には大野市に到着したので、広い駐車場のあるコンビニで仮眠。4時前に起きて、登山口のある越前下山駅まで移動。登山者用の駐車場は、越前下山駅のすぐ傍にある。
ポイント越前下山駅
駅は無人で、改札やトイレもないが、待合室だけあり。運賃は電車を降りる際、運転士に払う。

【5:56】越前下山駅から勝原駅へ電車で移動。
ちなみに、越前下山駅から電車に乗るとき、逆に電車から降りてきた登山者1名。おそらく、前日入りして九頭竜湖駅近くの宿に宿泊していたと思われる。前日入りできるならこういうアクセス方法もあり。

登山口までのアクセス方法は、勝原駅を背にして一旦右手に進む。少し進んだ先で左に曲がり、道沿いに進むと、国道158号線に出る。さらに国道158号線を進むと右手に登山口への入口が現れる。
途中、勝原ICの手前に右に入れる道もあるが、この道から登山口には辿り着けない。一瞬右に進んでしまったが、すぐにおかしいと気づいて戻った。
【6:34】勝原登山口に到着。
すでに複数の車が駐車しており、すでに多くの登山者が登っているようだ。

勝原登山口 ~ 元リフト終点

【6:42】勝原登山口を出発。
勝原コースの序盤は、2008年に閉鎖した勝原スキー場跡地に作られた道で、勝原登山口からまずは、カドハラ桜坂と呼ばれる旧ゲレンデ上の道を登る。ちなみに、桜坂と命名されているが、植樹して間もないようで、現時点では桜の苗木があるのみ。この桜坂、舗装されているので歩きやすい道ではあるが、写真の見た目より勾配があり、序盤から体力を消耗させられる。
カドハラ桜坂を登り切るとリフトの遺構が現れる。この地点が小スペースとなっており、ココから先は山道となる。次のポイント地点である「元リフト終点」までは、旧勝原スキー場内のはずだが、木々に覆われた道のため、スキー場の名残は感じられない。この区間は、大小様々な石が登山道に転がっており、傾斜もそこそこあるので、楽ではない。
【7:15】「元リフト終点」に到着。
小スペースとなっており、ココにもリフトの遺構がある。円盤状のものでリフトのどの部分かわからないが、現在は登山者のベンチ替わり。ちなみに元リフト終点周辺では、タニウツギがピンクの花をたくさん咲かせていた。

元リフト終点 ~ シャクナゲ平

5分ほど休憩した後に出発。すこし進むと「荒島岳登山口」と書かれた杭がある。スキー場が営業していた2008年までは、リフトでココまで登ってこれたのかも。

次のポイント地点はシャクナゲ平。序盤は、傾斜の緩やかな平凡な樹林帯だが、進むとブナ林へと変わっていく。登山道は踏み固められた土の道となり、これまでのような小石がなく歩きやすい。
3.0km(標高848m)地点を過ぎたあたりから、登山道の傾斜が徐々に出始める。ただ、平坦な区間もありつつなので、上り一辺倒という訳ではない。
ポイントトトロの木
標高848m標識のすぐ先に、かつてトトロの木と呼ばれた名木があった。しかし、2018年の台風による暴風で倒木。現在は根の部分が残るのみとなっている。
2.0km(標高1,074m)地点を過ぎた少し先からシャクナゲ平まで、本コース屈指の急登が立ちはだかる。ココは体力的難所。
急登を20分ほど登るとシャクナゲ平へ。
【8:39】シャクナゲ平に到着。
シャクナゲ平は開けた小スペースで、中出コースとの合流地点。時期的に少し遅かったようで、シャクナゲの花は見当たらず。シャクナゲ平で5分ほど休憩。

シャクナゲ平 ~ もちがかべ ~ 荒島岳山頂

シャクナゲ平の少し先で、佐開コースとも合流。そして少し進むと「もちがかべ」の難所へ。
ポイントもちがかべ(もちが壁)
荒島岳の難所として知られる区間の名称。名前の通り、目の前に壁のように立ちはだかるので、鎖やロープ、ハシゴなどを使い登っていく。
この「もちがかべ」だが、段差があるので、身体全体を使い登って行く。ただ、ロープやはしごがしっかり設置されているので、それほど難易度が高いとは感じなかった。ちなみにこの区間中に、シャリバテに見舞われたので、おにぎり1個を食べて体力を少し回復させる。
尾根に出ると、鎖やロープを使って登るような箇所はほとんどないが、それでも急登は続く。また、この日は5月にしては異例の暑さだったので、日陰がない道は暑さで体力を奪われる。
尾根に出たあと、15分ほど登ると山頂へ。登り始めて3時間が経過しているので、体力的にもキツくなってきており、最後はバテバテでした。
【9:41】荒島岳の山頂に到着。
偶然にも、山頂到着は予定タイムピッタリでした。山頂はそこそこ広く、休憩できるスペースは十分あり。山の人気度と照らし合わせても、これだけスペースがあれば十分かと。空いていれば、寝転べるような場所もある。ただ、日陰がないので、めちゃくちゃ暑い..。
ポイント荒島神社
大昔、かつて荒島岳の山頂に荒島神社が鎮座していたが、1841年(室町時代)の雪崩により神社は倒壊。その後、元の宮地から少し下がった地に神社が建立されていたが、明治元年に麓の大野市佐開へと移され、現在に至る。そういった歴史から、かつて荒島神社のあった山頂には祠が祀られている。
荒島岳の山頂からの展望は全方位で開けているが、特に東から南側の展望が優れている。その他の方角も見えなくはないが、山頂からは手前の藪笹や山頂周辺のピークと重なり、見劣りする。

本日の昼食は、関西限定ラーメン「好きやねん」とおにぎり。遠征なので、食事にこだわる時間がなく、簡易的な昼食です。ただ、久しぶりに「好きやねん」食べたけど、あまり美味しくない..。「うまかっちゃん」にしとけば良かった..。

時間もあったので、昼寝などして過ごす。先程も書いたが、日陰がないので、めちゃくちゃ暑く、快適とは言い難かったが、結局山頂には2時間弱ほど滞在。

荒島岳山頂 ~ 新しもやま登山口

【11:22】荒島岳の山頂を出発。
下山は「新しもやまコース」を歩く。先に書いておくと、このコースほとんど人が歩いておらず、途中で見かけた登山者は1名だけ。まずは山頂付近の藪笹を刈り取り開いた尾根道を進む。この区間は、景色も開けており緩やかな下り傾斜なので、登山の醍醐味を味わえる区間。ただ、暑い..。

それと本コースは、山頂からの歩き始めは、東に向かって歩くため、アルプスや白山などの展望を望める。(ただし、白山以外特定困難)また、勝原コースに比べて花が多く咲いていた。登山者が少ないため、踏み荒らされることがなく花が育ちやすいのかも..。
30分ほど歩くと樹林帯へ。樹林帯へ入ると一転して道が険しくなる。

【12:22】「休憩所からの展望」と書かれた看板の地点に到着。
本コースは、途中にポイントとなる地点が他になく、唯一目印となったのはこの看板だけなので、ポイント地点としておく。ちなみに「休憩所からの展望」と書かれているが、休憩所らしき場所は見当たらず。この場所だとしたら、休憩スペースがないどころか、展望も全くなく、意味不明です。

この先、少し進むと「この先急勾配につき滑落注意」と書かれた看板が設置されている。この看板以降、登りで歩いた勝原コース含めて最大の難所だった。ロープは設置されているものの、急勾配に加えて、道が細く、足元が落ち葉で滑りやすいため、めちゃくちゃ下りにくい道。しかも、何箇所もあるので、難所を越えてはまた出現を繰り返し、途中で精神的に疲弊。最新の注意を払って歩いたが、それでも1回滑って尻もちをついてしまった。
時間にしては約30分ほどだったが、ようやく急勾配のロープ場ゾーンを抜ける。この区間かなり疲れたが、その後20分ほど下ると登山口に到着。
新しもやまコースの登山口は、標識が設置されているのでわかると思うが、集会所か何かの建物の左横にある。
越前下山駅から車で5分弱ほどの場所にある「九頭竜温泉 平成の湯」へ。公共交通機関でのアクセスだと、ちょっと利用しにくい温泉だが、車できたなら是非立ち寄りたい温泉。暑さで汗ダクだったので、温泉に入れて快適でした。お疲れ様でした。

荒島岳コースタイム

予定 実際 場所
06:01 06:01 勝原駅
06:21 06:34~6:42 勝原登山口
07:11 07:15 元リフト終点
08:41 08:39 シャクナゲ平
09:41~10:41 09:41~11:22 荒島岳山頂
- 12:22 休憩所?
13:11 13:29 越前下山駅

荒島岳の難易度

難易度

17/30

総合難易度
必要体力 体力難易度3
コース距離 コース距離難易度3
所要時間 所要時間難易度2
危険度 危険度難易度2

登山難易度 登山難易度5
小屋・水場 小屋・水場難易度3
アクセス アクセス難易度4

総合難易度 総合難易度6

登山DATE

  • 歩行距離:12.00km
  • 高度上昇:1,289m
  • 高度下降:1,166m
  • 出発高度:0,265m
  • 最高高度:1,523m

  • 標高の差:1,258m
  • 活動時間:05:39
  • 休憩時間:01:49

  • 合計時間:07:28
必要体力・距離・時間
体力的には、楽ではないが極端にキツイ訳でもなく、まあまあキツイレベル。所要時間は休憩を除けば、なんとか6時間に収まった感じ。距離は12kmだが、勝原の登山口からなら9.5kmと、車でアクセスしたため、余計な林道歩きを最小限に抑えて距離も抑制できた。
危険度
危険箇所は上りの「もちがかべ」と、下山で歩いた新しもやまコースの連続するロープ場。どちらもある程度の経験か、若さがあれば問題ないレベルだが、下りは気をつけた方が良い。ああいうタイプの難所は下りの方が危ない。逆に初心者はちょっとキツいと感じるかも。あと、道迷いの心配は全くない。
小屋・水場

荒島岳には有人・無人含めて山小屋・避難小屋はなく、もっと言えば、雨風をしのげる休憩所なども一切ない。日本百名山の中でも、数少ない避難小屋のない山小屋らしく、地元の山岳会が、避難小屋建設の要望を出しているようだ。有人山小屋はいらないと思うが、荒島岳は厳冬期に登る登山者もいるようなので、避難小屋ぐらいはあった方が良いと思う。

あと、どのコースから登ってもコース上に水場は一切ない。自分が登った5月でも暑くて、水は結構消費したので、持参する水の量には要注意!
アクセス
荒島岳は日本百名山なので、他県からも多くの登山者が登りにきていると思うが、公共交通機関だけでのアクセス難易度は高い。利用できるバスもなく、本数が少ない九頭竜線頼みとなるため、公共交通機関だけでアクセスする場合、前日入りは必須。なお、健脚者なら日帰り可能だが、かなりせわしない登山になるだろう。(※詳細はページ上部の「荒島岳の登山計画」に記している)
総括
登山難易度としては中レベルだが、アクセス面の悪さ、水場なし、避難小屋なしなど環境面でのハードルがやや高め。アクセスするなら車がオススメ。あと、この日は5月にしては異例の暑さで、暑さバテしました。特に山頂は日陰がなく鉄板焼状態だったので、景色云々よりも、とにかく暑かった印象が強くなってしまった。
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