安達太良山

安達太良山登山

安達太良山

Adatarayama

白

[安達太良山登山レポ]
奥岳から沼尻へ!紅葉シーズンの安達太良山・鉄山縦走登山

2016年10月15日(土) 天候:晴れ
奥岳登山口 ~ 安達太良山 ~ 鉄山 ~ 沼尻登山口 ~ 中ノ沢温泉
  • 安達太良山(あだたらやま)日本百名山花の百名山
  • 福島県にある標高1,700 mの活火山。山頂部分がの突起が乳首に似ていることから、通称「乳首山」とも呼ばれている。近年では、明治33年に水蒸気爆発による噴火を観測。その時の噴火でできた直径500mの沼ノ平噴火口が、安達太良山のシンボル的存在となっている。夏期でも奥岳から薬師岳までゴンドラリフトが運行されており、標高1300メートル付近までショートカットできる。山麓には多くの温泉が点在する。
  • 鉄山(てつざん)
  • 標高1,709mの山で安達太良山より9m高い。

安達太良山のコース

登山口は奥岳登山口、沼尻登山口、野地温泉登山口、銚子ヶ滝登山口、横向登山口、銚子ヶ滝登山口、塩沢温泉登山口、表登山口。コースは多岐にわたるが、最も利用者が多いのは奥岳登山口。奥岳登山口を起終点とした、周回コースが人気。

なお、全てのコースを書くと長くなるので、ココでは現実的に利用されているコースに絞って紹介する。また、標準コースタイムは山と高原地図を参考にしている。
  • 奥岳・薬師岳コース人気コース!
  • 東の奥岳登山口から薬師岳を経由して登るコース。ゴンドラリフトを使えば薬師岳までショートカットできる。
    周回コースの登りとして利用されることが多い。 標準コースタイムは2時間40分。
  • 奥岳・勢至平コース登り利用人気コース!
  • 東の奥岳登山口から勢至平を経由して登るコース。厳密にはくろがね小屋経由とくろがね小屋を巻いた2通りの道が存在する。
    周回コースの下りで利用されることが多い。 標準コースタイムは3時間10分。(くろがね小屋経由)
  • 塩沢温泉コース
  • 東の塩沢温泉から、くろがね小屋を経由して登るコース。 標準コースタイムは3時間20分。
  • 沼尻・鉄山コース下り利用
  • 西の沼尻登山口から硫黄川沿いに、鉄山を経由して登るコース。 標準コースタイムは3時間30分。
  • 沼尻・船明神山コース
  • 西の沼尻登山口から船明神山を経由して登るコース。 標準コースタイムは3時間05分。
  • 野地温泉縦走コース
  • 北の野地温泉登山口から鬼面山、箕輪山、鉄山と縦走しながら安達太良山を目指すコース。 標準コースタイムは3時間45分。
※コース名に厳密な名称はありません。
山と高原地図
安達太良山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「磐梯・吾妻」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

安達太良山の登山計画

プラン
9/15、9/16と福島登山遠征。9/15に安達太良山、9/16に磐梯山に登る。
アクセス
9/14の夜から深夜バスで福島駅へ移動。早朝の電車で福島駅から二本松駅に向かい、二本松駅からバスで岳温泉に向かう。さらに、岳温泉から奥岳登山口まではタクシーに乗り換え移動する。(事前にタクシーを配車予約)
コース
9/15中に安達太良山のある二本松から磐梯山のある猪苗代へ移動しなければならない。沼尻登山口近くの中ノ沢温泉から猪苗代へバスが出ていたため、下山は沼尻に決定。奥岳登山口から登る場合、北の勢至平・くろがね小屋経由と、南の薬師岳経由とあるが、勢至平の景色がきれいとの情報がどこかに書いてあったので、今回は北の勢至平・くろがね小屋経由を選択した。

関連レポート

安達太良山コースレポート

二本松 ~ 奥岳登山口

【06:08】福島駅から始発の電車で二本松駅に到着。
二本松という地名にどうも聞き覚えがあると思ったら、戊辰戦争で白虎隊と同じく悲劇の史実として知られる二本松少年隊の二本松である。駅前には二本松少年隊のブロンズ像が設置されている。

さて、安達太良山登山者で一緒のバスに乗ったのは10名ほど。早朝のバスは奥岳の手前、岳温泉止まりのため、みんなタクシーを配車予約していると思っていたが、事前に予約していたのは自分だけ。1人で乗るより複数人でシェアした方が安くなるため、2人ほど誘ってタクシーで奥岳登山口へ。おかげで700円と割安で利用できた。
なお、当初岳温泉から奥岳登山口まで歩くことも考えたが、交通量の多い舗装道路を1時間以上歩かなければならず、歩くのはオススメできない。1人歩いている人もいたが、時間と体力の無駄使い。
【07:36】奥岳登山口に到着。
奥岳登山口の駐車場には想定以上の車と人で、かなり賑わっている。建物の横を通り抜けて登山道へ向かう。
ほとんどの登山者は薬師岳方面に進むと思っていたが、意外と勢至平方面に進む登山者も多かった。

奥岳登山口 ~ 勢至平 ~ くろがね小屋

分岐から少し進むと、旧道と馬車道の分岐がある。山と高原地図には「林道経由は登り15分、下り10分をコースタイムにプラス」と書かれている。この林道が旧道にあたるのか馬車道にあたるのかわからず悩む。こういうのホント困るので、表記統一しておいてほしい。「林道 = 馬車道」だと思うが、そうなると旧道を通った方が時間を短縮できるはず。しかし、見た目は旧道の方が険しそうで、馬車道へ進む登山者の方が圧倒的に多い。結局、他登山者に倣って馬車道を進むことにした。
なお、この旧道と馬車道だが、途中で頻繁に交錯するので、途中から旧道⇔馬車道に変更することも可能。自分は考えるのが面倒だったので、そのまま馬車道を歩き続けた。

【08:36】登山口から歩くこと約1時間。勢至平に到着。
勢至平の杭の横に、地図にない踏み跡が続いていたが、何処に通じているのか謎。少し気になったが、そこまで時間の余裕もないのでスルー。勢至平は展望が良いと聞いていたが、少なからず勢至平分岐まで展望は良くない。

勢至平分岐から、くろがね小屋経由で安達太良山へ向かう。

くろがね小屋経由の道だが、安達太良山に向かう場合、迂回路で少し遠回りになるため、利用者は少ないと思っていたが、こっちの道の方が人は多い。

自分がこの道を選んだ理由は、途中にある水場「金明水」が美味しいとのネット情報を見たため。飲んでみたところ、まろやかな口当たりの超軟水。今まで飲んだ山の水の中で1、2を争う美味。なお、写真は割愛したが、くろがね小屋の手前に「銀明水」と呼ばれる水場もある。
【09:12】くろがね小屋に到着。
なんか、秘密基地みたいなちょっと珍しい形をした山小屋。くろがね小屋は温泉に入れる山小屋として有名。当初はくろがね小屋宿泊も検討したが、すでに予約がいっぱいだった。

くろがね小屋 ~ 安達太良山

くろがね小屋から、「馬ノ背(鉄山近くの稜線)」に出られる道は、廃道で立入禁止。いつ頃から廃道になったのか不明だが、近くの登山者が持っていた古い地図にはコースとして紹介されていたので、廃道になったのは最近かも。

さて、ここまでそれほどキツイ登りはなかったが、ココから安達太良山まで本格的な上りとなる区間。次なる中間目的地は安達太良山手前にある「峰の辻」。
北側「鉄山」の斜面とは別、南側の斜面には赤の強い紅葉。こちらは赤(紅)色が強いので、本当の意味での紅葉。

【09:40】峰の辻に到着。
多くの登山者が休憩している。自分も少し疲れたので、10分ほど休憩。

峰の辻の少し先に、水の流れる場所がある。見た目は透き通ったきれいな水。近くの登山者が水を飲んで「美味しい」と言っていたので、先ほどペットボトルに汲んだ金明水の水を捨てて、水を入れ替えてしまう。しかし、飲んでみると硫化水素が混じった水でまともに飲めない。ガーン( ̄△ ̄;)この登山者のせいで「金明水」で汲んだ美味しい水を捨ててしまったし..。
安達太良山の山頂手前で「奥岳・薬師岳コース」と合流。ココから先、人は激増。まあ、ロープウェイのコースと合流すると、人が倍増するのは、いつものパターンなので予想はしてたけど。

【10:10】安達太良山の山頂に到着。
しかし、そこから乳首と呼ばれる岩場の上に登るのに、10分ほど行列を並んでようやく岩上に。岩上は人で溢れかえっているが、滞留できるスペースも多少ある。

安達太良山の東には、船明神山(ふねみょうじんやま)、南には和尚山、北には鉄山と3つの山に囲まれている。特に、和尚山はその堂々たる山体に存在感がある。ちなみに、船明神山の奥には磐梯山も見える。
当初は、安達太良山で食事をする予定だったが、時間も早く、人も多いので鉄山で昼食をとることにした。なお、岩上にこだわらなければ、山頂スペース自体は広いので、昼食をとるスペースがない訳ではない。

安達太良山 ~ 鉄山

【10:51】安達太良山を出発。
岩場から下りると行列。まさにディズニーのアトラクション待ち状態。行列を横目に、鉄山へ向け出発。この稜線だが、安達太良山から峰の辻の分岐までを牛ノ背、分岐から鉄山までを馬ノ背と呼ぶ。また、途中に安達太良山の象徴的存在、沼ノ平噴火口がある。

沼ノ平噴火口は、明治33年の水蒸気爆発による噴火で出来た直径500mの噴火口。地図や道標から推測すると、西の沼尻から噴火口の近くをとおり馬ノ背まで出る「沼ノ平コース」があったようにも見えるが、現在は完全に立入禁止。

あまりにも感動したので、この噴火口が見える場所で20分ほど滞在。
噴火口から少し進むと、峰の辻への分岐地点がある。奥岳周回コース組はここで峰の辻へ向かうため、分岐以降は登山者も減る。分岐までは牛ノ背と呼ばれる稜線だったが、分岐以降の稜線名は馬ノ背。

分岐から少し先に、馬ノ背からくろがね小屋へ続く道がある。高温の地熱と有毒ガス発生の危険性が高いため、現在は立入禁止で廃道。今後、復活することもないだろう。

鉄山の直前で上り道となるが、距離も短く激しい登りではない。登山道はガレ場だが、危険な場所もない。
【11:49】鉄山の山頂に到着。
鉄山の山頂は縦に長く、南側は切り立った岩場となっている。東側は二本松市内の展望、西側には沼ノ平噴火口。安達太良山に比べて、人も少なく平坦なスペースも多いため、昼食をとるなら鉄山の方が良い。

鉄山 ~ 沼尻登山口

【13:16】鉄山を出発。
出発してすぐに、鉄山避難小屋を通過する。鉄山避難小屋にトイレがあることを期待していたが、トイレはなかった。ちなみに、鉄山避難小屋内はかなりきれいだった。[鉄山避難小屋内部の写真]

意外だったのは、鉄山避難小屋から箕輪山へ向かう人が多かったこと。横向登山口か、野地温泉に抜けるのだろう。このコース利用者って全然いないと思っていたが、それなりにいるのね。ちなみに箕輪山は、安達太良山山域での最高峰1,718m。山と高原地図によると展望も良いようだ。
石楠花(しゃくなげ)の塔は、1958年12月11日箕輪山近くに墜落した航空自衛隊の事故を追悼するための供養塔。
石楠花の塔から先の小ピークを超えるまでの登山道は、一部で道がわかりづらい箇所があるので要注意。短い時間だが、道を見失ってしまった。幸い小ピークの上に人影が見え、ピークを登山道がとおっているのがわかったので、なんとかなったが、濃霧とかだと結構やばいかも。特にこのあたりは、沼ノ平の立入禁止区域と隣接しているため、誤って迷い込むと大変なことになる。
小ピークで沼ノ平噴火口も見納め。小ピークからしばらくは壁沿いを歩くため、これがまた絶景。

胎内くぐりから先、硫黄川までグングン高度を下げる。このコースは高度維持の区間と、高度を一気に下げる(上げる)区間にはっきり分かれているが、胎内くぐりから硫黄川までは、高度を一気に下げる区間。

硫黄川に出てからは、硫黄川沿いを下る。試しに硫黄川の水を口に入れてみたが、硫化水素がきつ過ぎて、口に含むことすらままならない。

【14:35】沼ノ平分岐に到着。
1997年9月15日沼ノ平から安達太良山に向かった登山者グループ14名が、濃霧による悪天候で道を見失い、立入禁止区域に迷い込んだ結果、硫化水素ガスによって4名が中毒死した「安達太良山火山ガス遭難事故(外部リンク)が発生している。この事故の影響なのか、沼ノ平分岐には「沼ノ平立入規制」の注意版が設置されている。立入禁止でなければ、この道は沼ノ平噴火口を通り、馬ノ背に出られるはず。

地図や道標に出てくる情報、また「沼ノ平分岐」という場所が存在することなどから、かつて沼ノ平を通るコースが存在していたように思われるが、詳細を調べてもわからなかった。仮に登山道として利用されていたとしても、昭和以前とか、かなり昔であることは間違いないと思う。

硫黄川周辺だが、「沼尻元湯」と呼ばれる野湯(やとう)で、川自体が温泉になっている。でも、この硫黄川沿いは登山道にもなっているので、裸で温泉に入っている人に遭遇すると、かなりびっくりすると思う。
※野湯・・・自然の中で温泉が自噴し、かつその源泉を利用した商業施設が存在しない場所
源泉地内の入口には、立入禁止の注意書き板。入っている登山者もいた上、自己責任であれば立入OKともとれるので、少し入ってみた。
源泉地の施設から先、登山道は2股に分かれている。山と高原地図で一方は実線、一方は破線表示される道。地図上では2つの選択肢を与えられているが、実際のところ破線コースは作業道で道標が設置されていないどころか、むしろ立入禁止の「×マーク」が付いている。にも関わらず、前後を歩いていた登山者は全員破線の作業道へ。おそらく、沼尻登山口を起終点とした場合、登りは実線表示の登山道を歩いている可能性が高いため「下りは少しでも違った道で」という心理が働いたのだろう。自分もつられて、破線コースの作業道へ。
破線表示されている作業道だが、確かに崩落個所など危険個所もあるが、どちらかというと「歩いてほしくない」という意味合いが強いと思われる。作業道には麓の施設まで温泉を引き込むパイプが敷かれており、温泉施設の関係者からすると、パイプが破損したり、温泉に異物を混入されるイタズラなどを懸念して、通って欲しくないということだろう。
【15:21】沼尻登山口に到着。
前後を歩いていた登山者は車のようで、登山口から中ノ沢温泉まで歩いているのは自分だけ。まあ、これもいつものパターンです。

【16:24】中ノ沢温泉バス停に到着。
17時28分のバスの時間まで1時間近くある。こうなるともう温泉に入るしかないでしょ!ということで、近くの温泉施設で日帰り入浴してから、バスで猪苗代駅近くのホテルまで移動しました。

To be continued...

関連レポート

安達太良山コースタイム

予定 実際 場所
07:28 07:36 奥岳登山口
09:28 08:36 勢至平分岐
09:38 09:12 くろがね小屋
10:18 09:40 峰の辻
10:43~12:13 10:10~10:51 安達太良山
12:58~13:18 11:49~13:16 鉄山
15:33 15:21 沼尻登山口
16:43 16:24 中ノ沢温泉
17:28 17:28 バス乗車

安達太良山の難易度

難易度

11/30

総合難易度
必要体力 体力難易度1
コース距離 コース距離難易度3
所要時間 所要時間難易度3
危険度 危険度難易度1

登山難易度 登山難易度4
小屋・水場 小屋・水場難易度1
アクセス アクセス難易度2

総合難易度 総合難易度3

登山DATE

  • 歩行距離:19.07km
  • 高度上昇:0,876m
  • 高度下降:1,070m
  • 出発高度:0,941m
  • 最高高度:1,699m

  • 標高の差:0,758m
  • 活動時間:07:44
  • 休憩時間:01:35

  • 合計時間:06:09
必要体力・距離
体力が必要な区間は、くろがね小屋から安達太良山までと、鉄山直下の上りのみと、登山難易度は低い。登山経験がなくても普段から運動している人なら、ゴンドラリフトを使わずとも登れるだろう。
危険度・水場
展望のきく場所を歩くため、天候が良ければ問題ないが、天候が荒れると影響をモロに受けるだろう。ゴンドラリフトが運転停止するぐらいの悪天候なら登山は見送った方が良いかもしれない。また、奥岳の周回コースなら道迷いの心配はないが、沼尻から登るコースは濃霧の場合のみ要注意。誤って立入禁止区域に入ると生死に関わるので。
アクセス
今回は、朝一のバスでアクセスしたが、奥岳登山口の周回コースなら、9時以降スタートの登山でも間に合うだろう。ゴンドラリフトでショートカットすることもできるし。タクシーで岳温泉まで出れば、帰りのバスも遅い時間まで走っているので、東京から公共交通機関を使ったアクセスでも日帰り可能。
総括
「安達太良山は良い」と、複数の登山者から聞いていたので、今回決定した安達太良山登山。その前情報どおり、序盤の奥岳登山口から勢至平分岐以外は、とにかく見所満載。くろがね小屋の紅葉、安達太良山の展望、牛ノ背・馬ノ背の稜線歩き、鉄山の展望、絶壁の上を通る登山道、硫黄川、沼尻元湯、と序盤以降は魅力のあるスポット目白押し。登山をやらない人を連れていく山にも、安達太良山は適しているし、登山経験者でも楽しめる魅力がある。
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