山上ヶ岳

山上ヶ岳登山

山上ヶ岳

Sanjyogatake

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[山上ヶ岳登山レポ]
女人禁制の山上ヶ岳登山に戸閉後の大峯山寺!大峰山縦走登山その3

2015年11月22日(日)天候:晴れのち曇り
阿弥陀ヶ森 ~ 小笹宿 ~ 山上ヶ岳 ~ レンゲ辻 まで
  • 大峰山(おおみねさん)日本百名山
  • 大峰山は大和アルプスの異名をもつ、北は奈良県吉野から南は和歌山県の熊野まで、紀伊山地の中央を南北にのびる全長50Kmほどの山脈。 大峰山とは、広義には大峰山脈を指すが、狭義には山上ヶ岳をさす。しかし、山上ヶ岳は日本三百名山に、南部にある釈迦ヶ岳は日本二百名山に選定されているため、日本百名山の大峰山に登る場合、八経ヶ岳に登る登山者が多い。本サイトでは「日本百名山」の大峰山は、大峰山北部(八経ヶ岳以北)を日本百名山として捉え、北部の大峰山を形成する代表的な山、大普賢岳、稲村ヶ岳も百名山の扱いとしている。山上ヶ岳に関しては、本サイトでも日本三百名山としているが、本来は山上ヶ岳も日本百名山に含まれて然るべきである。
  • 山上ヶ岳(さんじょうがたけ)日本三百名山
  • 大峰山脈を形成する標高1,719mの山。古くから修験道の山として知られており、宗教上の理由から1300年もの間、女人禁制が敷かれている。つまり女性は、山上ヶ岳に登れない。山上ヶ岳へ通じる登山道4カ所には、それぞれ女人結界門が設置されているが、門番などがいる訳ではない。山頂には修験道の根本道場である大峯山寺があり、毎年5月3日に戸開式、9月26日に戸閉式が行われる。つまり9月27日から5月2日まで寺は無人となるため、この時期を狙い登頂している女性が多々目撃されている。この女人禁制に関して、伝統を守るべきとする賛成派と、時代錯誤とする反対派がおり、現在でも議論が繰り広げられている。山上ヶ岳が百名山の扱いを受けていないのも、この女人禁制が影響しているとも言わている。
  • 大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)
  • 吉野と熊野を結ぶ大峯山を縦走する、修験道の修行の道。国の史跡「大峯奥駈道」として指定され、ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部でもある。古来より。大峯山寺より奥の「靡(なびき)」に進むことを奥駈と云われていた。修行場は「靡」と呼ばれ、ひとつひとつに番号が割り当てられている。熊野本宮大社の本宮大社の第一行所(靡)にはじまり、吉野川河岸の柳の宿の第七十五行所(靡)に終わる。

山上ヶ岳のコース

山上ヶ岳の登山口は、北東の洞川、北西の柏木のみ。その他、北側の吉野や、南側の大普賢岳から縦走してくるコースとなる。
  • 表参道コース人気コース!
  • 北側の洞辻茶屋を経由し、大峯奥駈道を歩くコース。洞辻茶屋までは、清浄大橋から一本松茶屋を経由するコースと、小天井ヶ岳を経由するコースがある。
    コース上には鐘掛岩、西ノ覗、日本岩、など岩の名所が連続している。
  • 阿弥陀ヶ森コース登り利用
  • 西側の阿弥陀ヶ森から登るコース。登山口は北西の柏木だが、主に大普賢岳のへの縦走で利用される。
  • レンゲ辻コース下り利用
  • 東側のレンゲ辻を経由して登るコース。レンゲ辻までは、法力峠および稲村ヶ岳山荘のある山上辻経由と、レンゲ坂谷から登るコースがある。
※コース名に厳密な名称はありません。
山と高原地図
山上ヶ岳のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「大峰山」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

大峰山縦走登山の計画

計画概要
たまたま、仕事の関西出張と11月の3連休が重なったため、計画。3連休の天候は21日は晴れ、22日は晴れのち曇り、23日は雨。そのため、21日のスケジュールを長めにとり、23日は下山するだけの予定を立てた。大峰山を逆時計回りで縦走するため、21日観音峰登山口(10時の方角)から行者還避難小屋(3時の方角)まで移動し、行者還避難小屋に宿泊。22日は、行者還避難小屋から行者還岳、七曜岳、国見岳、大普賢岳、山上ヶ岳、を経由して稲村ヶ岳山荘(12時の方角)に泊まる計画。
コース
本日22日の主目的は山上ヶ岳登頂。山上ヶ岳登頂後は山上辻に向かい、そこにある稲村ヶ岳山荘に宿泊予定。

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山上ヶ岳コースレポート

阿弥陀ヶ森 ~ 小笹宿

【10:57】女人結界門をくぐり山上ヶ岳へ向け出発。
この女人結界門のあるあたりから、第六十三番目の行所でもある阿弥陀ヶ森を抜ける。中間目的地は小笹宿(こざさのやど)。途中にある小ピーク竜ヶ岳の北東を巻いて進む。小笹宿まで殆ど傾斜はなく、大半は平坦な道。女人結界門以降、コース上に史跡や石碑が目立つようになる。
小笹宿の手前から、登山道脇を水が流れだす。この水場は水量も多く、通年枯れることはないようだ。
【11:32】小笹宿に到着。
大峯奥駈道の靡(なびき)の名称では、「小篠宿」とされている。大昔にはこのあたりに修験者用の宿坊があったらしい。現在でもその名残なのか、小さな避難小屋が1棟だけ建っている。避難小屋は小さく、収容人数は5人ほど。この避難小屋に泊まる予定なら、相当早く先着するか、テントを持参しないと野宿になる可能性があるので要注意。
小笹宿近辺には、修験道として名残のある石仏や建物が今も残っているが、それぞれの詳しい由来はよくわからない。

小笹宿 ~ 山上ヶ岳

【11:41】小笹宿を出発。
途中に、投地蔵辻(なげじぞうつじ?)と地蔵岳の小ピークを越えて行く。
【11:51】投地蔵辻を通過。この投地蔵辻に、阿古滝経由で矢納谷出合(やのうだにであい)に抜ける分岐がある。しかし、柏木から長い林道歩きを強いられる上、山と高原地図では点線表示されている難コースのため利用者は少ない。ちなみに、唯一女人結界門を通らずに山上ヶ岳へ登頂できるコースでもある。
地蔵岳の小ピークは、道が直角に曲がっているため認識しやすいが、それがなければ只の登山道。ピークっぽくはなっていない。

【12:19】山上ヶ岳山頂の大峯山寺に到着。
女人結界門以降、殆ど傾斜のない登山道が続いていたため、当然ながら山上ヶ岳直前に急登が待ち構えていると気合いを入れていたが、大した上りがないまま山頂に到着。なんか拍子抜け..。

山上ヶ岳山頂は戸閉後のため、寺は無人で静まり返っている。すぐさまザックをデポして周辺散策に入る。

山上ヶ岳山頂

大峯山寺では洞辻茶屋から登る表参道を表行場(おもてぎょうば)と呼び、それに対し大峯山寺本堂裏手の平等岩、蟻の戸渡り、東ノ覗などの岩場を約1時間かけて巡る裏行場もある。ルートがわかりにくいため、裏行場を巡りたい方は、宿坊の案内人を頼むらしい。一先ずザックをデポして、裏行場の東ノ覗あたりを見てみようと、大峯山寺本堂の裏手に回るが、立入禁止の注意板。どうやらこの裏行場のコースは、戸閉後は閉鎖されているようだ。

次は大峯山寺の正門「妙覚門」を反対側からくぐる。さらに、その先にある宿坊も覗いてみたが、戸締まりがされており、当然ながら誰もいなかった。なお、この宿坊は毎年5月3日から9月26日までの間であれば、登山者も宿泊施設として利用することができる。

山上ヶ岳山頂にはお花畑と呼ばれる、庭園のような場所が広がっている。山頂にしては珍しい光景。そして更に驚いたのは、山頂にいる登山者、男性3人に対して女性4人と女性の方が多い・・。夫婦で登ってきている登山者と3人の中高年女性グループ。この時期を狙って登っているので確信犯。まあ、自分は女人禁制に対して賛成派でも反対派でもないので、注意したりはしないが、中には快く思わない人もいるので、女性が登るなら怒られたり、嫌味を言われることを覚悟して登った方が良い。女性もそれをわかっているようで、コッチから近づくと怒られるんじゃないかと、かなり警戒していた。

天気は幸い、曇ってはいるものの霧は出ていないので、展望は悪くない。お花畑の西側斜面に座ると見晴らしが良いので、そこで昼食を食べることにした。なお、お花畑の西側は、丸い斜面が緩やかに下に向かって沈み込んでいるため、無理して先端まで行き過ぎると危ないかも。
後は、稲村ヶ岳山荘に向かうだけなので、比較的ゆっくりしていたが、南側から濃霧が迫ってきたのをきっかけに13時36分出発。
少し進むとレンゲ辻への分岐地点に到着。真っ直ぐ進むと日本岩。近そうだったので少し寄ってみた。

山上ヶ岳 ~ 女人結界門

次なる中間目的地は女人結界門のあるレンゲ辻。出発直後から鉄の階段を下る急下降の道。鉄の階段がなければ相当危険で厄介な道だが、鉄の階段があるおかげで安全に下ることができる。手すりもあるので、木のハシゴより数倍安全。ただし、階段以外は、細い尾根の切り立った場所を歩くため、注意は必要。

【14:03】レンゲ辻の女人結界門に到着。
レンゲ辻から本日の最終目的地、稲村ヶ岳山荘のある山上辻に向かう。「ココまでくれば、この先に危険な箇所はないだろう。」と思っていたが、この考えはすぐに打ち砕かれることになる。

To be continued...

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山上ヶ岳コースタイム

予定 実際 場所
06:30 06:27 行者還避難小屋出発
- 06:58 行者還岳
08:15 07:50 七曜岳
- 08:48 国見岳
10:00 09:44~10:00 大普賢岳
11:10 10:52~10:57 阿弥陀ヶ森の女人結界門
12:50 11:32~11:41 小笹宿
12:50~13:50 12:19~13:36 山上ヶ岳
14:20 14:03 レンゲ辻の女人結界門

山上ヶ岳の難易度

難易度

07/30

総合難易度
必要体力 体力難易度3
コース距離 コース距離難易度1
所要時間 所要時間難易度2
危険度 危険度難易度1

登山難易度 登山難易度2
小屋・水場 小屋・水場難易度0
アクセス アクセス難易度2

総合難易度 総合難易度2
必要体力・距離
阿弥陀ヶ森の女人結界門から山上ヶ岳の山頂まで体力的難所はない。道迷いや滑落の危険性などの危険箇所も皆無。下りで利用した山上ヶ岳からレンゲ辻までは下りなので良かったが、逆の上りは急登なので結構キツイと思う。登山道には鉄のハシゴが掛けられているので、これは下りでも上りでも相当助かる。ただし、切り立った細い尾根を登るので、脚の踏み外しなどには注意が必要。
危険度・水場
山上ヶ岳からレンゲ辻に向かう場合、鉄の階段が設置されているとはいえ急下降の道なので、手すりをしっかり握って踏み外さないように注意が必要。
小笹宿にある水場は枯れることはなさそうなので、行者還避難小屋の水場に比べてアテにして良い水場。
総括

評価はあくまで縦走としての阿弥陀ヶ森の女人結界門から、レンゲ辻の女人結界門までの区間限定の評価。言わずもがなだが、純粋に登山口から登る場合、この難易度は全く当てにならない。

今回は戸閉後の期間に登頂したため、人もおらず閑散としていたので、次回は戸開後に表参道から登り、裏行場などを体験してみたい。天気も微妙だったので、山上ヶ岳は機会があれば何処かのタイミングでリベンジかな。
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