妙義山

妙義山登山

妙義山

Myogisan

白

[妙義山登山レポ]
鎖場が連続する上級者向け登山道を歩く、表妙義の白雲山登山

2017年5月29日(月) 天候:晴れ
妙義神社 ~ 大の字 ~ 奥の院 ~ 見晴 ~ 大のぞき ~ 天狗岩 ~ 相馬岳 ~ バラ尾根ピーク ~ 妙義神社
  • 妙義山(みょうぎさん)日本二百名山上毛三山ぐんま百名山日本三大奇景日本百景
  • 群馬県甘楽郡下仁田町・富岡市・安中市の境界に位置する山。上毛三山および、日本三大奇景の一つに選定されている。山域は大きく表妙義と裏妙義に分かれている。妙義山は複数のピークが連なっている山体が特徴。表妙義は見晴、大のぞき、表妙義の最高峰である相馬岳1,103mなどのピークが連なる白雲山(はくうんざん)と、鷹戻しの頭、東岳、中之岳、西岳などのピークが連なる金洞山(こんどうさん)、2つの山塊に分かれている。裏妙義は御岳963m、丁須ノ頭1,057m、烏帽子岩1,117m、裏表含む最高峰の谷急山1,162mなど、表妙義同様に複数のピークから成る。

    表妙義、裏妙義ともに鎖場が連続する稜線上を歩くため、滑落事故が後を絶たない。そのような背景から、稜線上のコースは上級登山道に位置付けられており、安易に足を踏み入れないよう注意喚起されている。

表妙義山のコース

妙義山登山まっぷ 妙義山登山まっぷ。
表妙義山の登山口は妙義神社と中之獄神社(なかのたけじんじゃ)。
白雲山は妙義神社、金洞山は中之獄神社が登山口として利用しやすい。表妙義のコースは単純明快で、白雲山と金洞山2つの山の、ノコギリのような稜線を右から歩くか、左から歩くかのいずれか。朝早くから登れば2つのコースを1日で縦走することも可能。
  • 白雲山コース登り利用下り利用難コース
  • 妙義神社を起終点とした白雲山と中間道の周回コース。
    大の字、奥の院、見晴、玉石、大のぞき、天狗岩、相馬岳と見どころやピークが続く。反時計回りに登るのが一般的。
  • 金洞山コース難コース
  • 妙義神社、または中之獄神社を起終点とした金洞山と中間道の周回コース。
    鷹戻しの頭、東岳、中之岳などのピークが連なる。鷹戻しの頭への鎖場は滑落事故が多発する表妙義最大の難所とされている。
山と高原地図
妙義山のコースが紹介されているのは、山と高原地図の「西上州」です。地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

妙義山の登山計画

プラン
表妙技の縦走を計画するが、前々日5/27(土)は所用のため、5/28(日)を計画。しかし、唯一公共交通機関でアクセスできる上州富岡駅からの乗合タクシーの朝一便8:10が、日曜日に限って運休。第二便になると10:20となるため、遅すぎる。そのため5/29(月)に有給取得による登山を計画。
装備
装備で悩んだのがヘルメット。自分はヘルメットを持っていないので、持参するなら購入しなければならない。いつかは必要になる装備なので購入するのもやぶさかではないが、不必要なら今すぐ買いたくない。妙義山に登ったことある方に尋ねたところ「あった方が安心」とのことだったので、購入することにした。ちなみに山中で出会った登山者4組中、ヘルメットを被っていたのは2組。自分の感想としても、なくても問題はないが、垂直に近い鎖場が多いので、落石対策にあった方が安全であることは間違いない。また、他人がおこした落石で自分が怪我をしたら、その他人にも迷惑をかけてしまうので、やはりヘルメットは持参するのがベスト。ただし、休日ならともかく平日は登山者も少ないので、なくても大きな問題はない。

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コースレポート

妙義神社 ~ 大の字

【08:54】妙義神社に到着。
周辺にいる登山者は、乗合タクシーに乗っていた女性と、妙義神社の鳥居前で突然現れた中高年のソロ登山者の2名のみ。
山道入口は、崩落防止工事中のため、迂回路を進む。ここから本格的な登山開始。
日帰りの軽装で、標高も高くない山なので、体力を使う場面は殆どないだろうと予想していたが、序盤の急登から肩で息をするほどバテる。原因は不明だが、気温が高く無風だったので、暑さバテかと思われる。

妙義山を登ってまず驚いたのは、巨木が多いこと。天に向かって真っ直ぐ伸びる大木の存在感は圧巻。少し前に登った雲取山の野陣尾根も巨木は多かったが、妙義山はそれ以上かも。

登ること30分ほどで、長い鎖場出現。これが大の字手前にある2段15mの鎖。危険な鎖場ではないが、湿った岩がツルツル滑り登りにくい。鎖場を登りきるとT字路となり、左に進むと大の字のある展望台。右は辻へ向かう道。まずは左に向かうが、すぐに鎖のある大岩が立ちはだかる。ほぼ垂直に近い鎖場を登ると大の字に到着。
【09:50】大の字に到着。
大岩に登るとそこには関東平野を一望できる絶景。「スゲー」と感動したのは、最初の数分だけ。直射日光がガンガン照りつけるため、暑すぎる..。ここでの休憩はパスして、先ほどのT字路まで戻って15分ほど休憩。

大の字 ~ 見晴

大の字から辻を経由して奥の院へ向かう。

【10:24】大の字から5分ほどで辻に到着。 辻から先は上級者向け登山道となる。滑落事故が多発している妙義山のコースだけあって、注意喚起・警告メッセージのアピールが半端ない。

【10:34】奥の院に到着。
奥の院は岩の間にできた空洞を利用して、石仏が祀られている。これがいわゆるルンゼ(水の浸食作用でできた険しい岩壁の溝)かな。

この奥の院横の鎖場以降、本格的な鎖場が連続する危険領域がスタートする。そして、いきなりだが奥の院横の鎖が、白雲山の中で1、2を争う危険な鎖場。過去に滑落死亡事故も数件起きている。しかし、ホールドはたくさんあるので、慎重に登れば問題はない。でも、登った後に上から覗き込むと、下に引っ張られるような感覚があり少しビビった。

見晴 ~ 大のぞき

奥の院以降、斜面を登攀してきたが、見晴以降は稜線状を歩く。
見晴からすぐの場所にチムニー(岩壁の割れ目)がある。自分でもギリギリ通れる幅。通れない人は、左側の岩の上を登ることになる。

【11:09】玉石に到着。
玉石もスペースが狭く、既に先行していた女性が座っていたので、空気を読んで玉石はスルー。「空気を読んで」とは、見晴のときに後ろで場所が空くのを待っていたため、無言の圧力で場所をどかせた感じになってしまったので、玉石では配慮してスルーした。

次なる目的地は大のぞき。大のぞきの手前に、背ビレ岩と呼ばれる鎖場がある。この鎖場は岩稜上を登るだけなので、危険性はほとんどない。鎖がなくても登れそうなレベル。
【11:20】大のぞきに到着。
ココで少し一休み。表妙義のコースはノコギリのような稜線上を歩くため、基本何処のポイントもスペースが狭い。平日で人は殆どいないので良いが、団体とかいたら鬱陶しく感じそう。

大のぞき ~ 天狗岩

大のぞきから下る岩場に、表妙義を代表する3連結30mの鎖場がある。この鎖場はホールドが浅いので、他の鎖場に比べて技術的難易度は少し高い。下り利用は問題なかったが、鎖場の最下部から上を撮影した写真を見る限り、登りは結構大変かも。

大のぞきの鎖場で本日3組目となる2人組の登山者と遭遇。
大のぞきの次は天狗岩。大のぞきの直後、一部稜線から外れて樹林帯を歩く。樹林帯でも湿った岩の上を横切る箇所などもあり、転倒など注意が必要。道迷いするほどではないが、一部道のわかりにくい箇所もあり。

【11:51】天狗岩に到着。
天狗岩と呼ばれる上に乗れる石がある。他の山でも天狗岩と名付けられた岩を見たことあるが、だいたい台座のような岩で、天狗が上に乗って下界を見下ろしたという伝承が定番なので、おそらくこの天狗岩もそのような伝承だと推測される。

これまでのポイントに比べて展望はきかないので、休憩をとらずにそのまま通過。

天狗岩 ~ 相馬岳

天狗岩の先に、本来コース外のようだが、自然の展望台があるので、寄っておくことをオススメする。道標は出ていないので、通り過ぎないよう要注意。

【12:10】天狗岩から少し下って、タルワキ沢のコルに到着。
本来、金洞山に行かないなら、ココで下って中間道に出ても良いのだが、この先に表妙義最高峰の相馬岳があるため、真っ直ぐ進む。一応最高点のピークは踏んでおかないと後々寝覚めが悪いので。

相馬岳方面の入口に注意板が設置されているが、タルワキ沢のコルから堀切までの区間に危険箇所はない。タルワキ沢から、相馬岳への登り返しは、地図から短距離であることはわかっていたので、ココは一気に登る。

相馬岳 ~ バラ尾根ピーク

10分ほど休憩していたが、訪れる登山者は誰もいないため相馬岳を出発。相馬岳以降は、バラ尾根沿いを進む。妙義山登山マップでは白雲山と金洞山が強調されているため、バラ尾根は標高が低いように描かれているが、実際はそこそこ高い。

さて、あとはバラ尾根を横断して中間道に下りるだけだが、この先に表妙義の稜線上唯一となる水場がある。暑いため、山の冷たい水をがぶ飲みするのが楽しみ。コース状況は、相馬岳から下る途中に鎖場が連続する箇所あり。ただし、滑落を注意するような鎖場ではない。
左手から沢が合流してきたところで、水場に到着。ギリギリ水をボトルに入れられる水量の細さ。沢に合流した直後よりも、少し下った先で沢が合流し水量も増えるので、少し下ってから水を補給したほうが良い。水は期待していたほど冷たくはなかったが、それでも山の水はやっぱり美味しい。これで体力も完全回復。
水場の先から尾根上へ戻り、尾根上を進むこと15分で、岩上の開けた岩が現れる。山名標識はないが、ココがバラ尾根のピーク。

バラ尾根ピーク ~ 堀切 ~ 堀切入口

【14:15】バラ尾根のピークを出発。
バラ尾根ピークから5分ほど下り、あっさり堀切に到着。

時間があれば、金洞山まで行きたいところだが、妙義神社まで戻る時間を考慮すると、時間が足りない。あとから考えると、金洞山まで行って、中之獄神社からタクシーでもよかったかもしれない。
堀切から中間道へ。一部天然のアスレチックのような岩場もあったが、特段難所もない。
【14:38】堀切入口に到着。ココで中間道と合流。
乗合タクシーの出発時刻は15時56分と18時06分。15時56分に乗るため、足早に中間道を進む。

堀切入口 ~ 妙義神社

中間道は表妙義の斜面に作られたトラバース道。薄暗い樹林帯で、小規模なアップダウンはあるものの、体力を消耗するような難所や危険箇所もない。
東屋から車道に出る道を進む予定だったが、パッと見た感じ道が見つけられなかったので、そのまま中間道を進む。
時間はないが、コース上から近かったので、第一見晴、第二見晴ともに寄っておいた。まあ、もっと高度の高い稜線上からの風景を散々見てきたので、寄らなくてもよかったんだけど..。
【15:39】妙義神社に到着。
15時56分の乗合タクシーの時間に間に合いました。次回は今回登れなかった、金洞山に挑戦します。

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コースタイム

予定 実際 場所
08:55 08:54 妙義神社バス停
09:10 09:10 白雲山登山口
09:45 09:50 大の字
10:25 09:51 見張
11:05 11:20 大のぞき
11:45 11:51 天狗岩
12:05 12:10 タルワキ沢のコル
12:25~12:55 12:28~12:40 相馬岳
13:10 12:48 国民宿舎跡分岐
14:10 13:35~14:15 バラ尾根ピーク
14:20 14:21 堀切
14:40 14:38 堀切入口
15:50 15:39 妙義神社

妙義山 白雲山の
難易度

難易度

13/30

総合難易度
必要体力 体力難易度2
コース距離 コース距離難易度2
所要時間 所要時間難易度3
危険度 危険度難易度4

登山難易度 登山難易度6
小屋・水場 小屋・水場難易度1
アクセス アクセス難易度1

総合難易度 総合難易度

登山DATE

  • 歩行距離:9.05km
  • 登山歩数:15,904歩
  • 高度上昇:0,931m
  • 高度下降:0,931m
  • 出発高度:0,430m
  • 最高高度:1,103m

  • 標高の差:0,673m
  • 活動時間:05:53
  • 休憩時間:00:52

  • 合計時間:06:45
危険度

稜線を歩く妙義山のコースは上級登山道とされているため、妙義山に登る場合、最も気になるのはその危険度。
まず、滑落注意の鎖場は奥の院、ビビり岩、大のぞきの3つのみで、それ以外の鎖場は、特筆するほど危険性はない。ホールドの観点では、大のぞきが最も少なく技術的難易度は少し高い。反面、技術的難易度は低いが、高度感や恐怖感は奥の院とビビり岩が上。

大のぞきの鎖場で「難易度が少し高い」と書いたが、それでも高い技術力は不要。つまり上級者向けとされているが、決して高い技術力が必要なコースではない。では、なぜ上級者向けとされているか?それは、一瞬のミスが命の危機に繋がるリスクの高いコースだから。つまり正しくは、上級者向けコースではなく、命のリスクが高いコースである。

自分の場合、白雲山の鎖場で恐怖感を感じる場面はなかった。まず、普通に鎖場が得意という人は問題ないレベル。技術的難易度は高くないので、筋力や敏捷性・バランス感覚が比較的高い、若い人も大丈夫だろう。警戒すべきはやはり中高年以上のシニア。データ分析した訳ではないが、「妙義山 滑落」で検索して出てくる滑落事故の年齢は60以上が多い。筋力やバランス感覚などは、年齢とともに衰えやすいので、60以上が多いというのは、想像に難くない。県や自治体も、単に危険を煽るだけではなく、どのような属性(年齢・性別・装備・経験など)が滑落事故を起こしているか分析・公表し、論理的に注意喚起してほしいと思う。
必要体力・水場・アクセス
体力面では稜線上の見晴に出てしまえば、あとは楽。自分のときは暑さバテしたが、体力はそれほど必要としない。短い区間に見どころスポットが多いことも、疲れを感じさせない要因の一つ。
稜線上に1カ所水場はあるが、水量が細かったので、時期によっては枯れる可能性も考慮して、水の量は持参したほうが良いだろう。
アクセス面では電車とバス(乗合タクシー)でアクセスできるので便利。駅からタクシーを利用できる距離なので、ケースに応じてタクシー利用もあり。
その他
白雲山と金洞山の両方を1日で縦走することも可能だが、別々に登る方が安心。疲れが出るとリスクも高まるし。
ご質問・感想などコメント歓迎します。
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