天祖山登山記録

奥多摩の天祖山
白
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[天祖山登山レポ]
道迷い遭難注意!表参道から急登を登る天学教の霊山天祖山

2017年4月16日(日)天候:晴れ時々くもり
東日原 ~ 天祖山 ~ ウトウノ頭 ~ 金袋山 ~ 東日原
  • 天祖山(てんそざん)
  • 奥多摩山域の長沢背稜の支尾根にある標高1,723mの山。江戸時代は白石山と呼ばれていた山で、明治以降「天学教」の霊山となり、山名が天祖山に変更された。山頂に天祖神社が祭られ、その表参道には大日神社が鎮座(現在は荒廃)しており、今でも8月上旬の礼祭日には信者による登拝が行われている。奥多摩屈指の急登に加え、途中樹林帯でほとんど展望はないため、極端に登山者が少ない不人気な山。

    天学教は明治初年に新しく興った、農民救済に重きをおいた宗教。教祖の服部国光は1847年2月神奈川県の荏田生まれ。十代半ばで修行に入り、奥多摩の白石山(今の天祖山)で荒行を行い、二十代の若さで天学教を開いた。 最盛期の明治後期から大正時代にかけては信者十数万を擁した天学教だが、昭和になり戦後の神道離れ、周辺の都市開発により、信者のほとんどが農業を放棄してしまい、農民救済に重きをおいていた天学教は、次第に衰えていった。
  • ウトウノ頭
  • 奥多摩山域の長沢背稜から日原方面へ伸びるタワ尾根上にある、標高1,588mの山。ウトウとは鳥の名前で、漢字では善知鳥と書く。
  • 篶坂ノ丸(すずさかのまる)
  • タワ尾根上にある、標高1,456mの山。
  • 金袋山(きんたいさん)
  • タワ尾根上にある、標高1,325mの山。
  • 一石山(いちいしやま)
  • タワ尾根上にある、標高1,007mの山。麓に一石山神社が鎮座している。

天祖山のコース

天祖山のコースは、八丁橋から登る表参道とタワ尾根から登る裏参道の2つのみ。登山口は表参道は八丁橋、裏参道は一石山神社。この2つの登山口を起終点にした周回ルートも可能だが、タワ尾根は山と高原地図では破線で描かれる難コースであり、また日帰りするには朝早い時間帯に日原を出発しなければならず、少々ハードルが高い。そのため、表参道のピストンも想定される。

ちなみに、利用者で最も多いパターンは長沢背稜にある酉谷山の避難小屋で一泊した登山者が、表参道沿いに下山で利用するケース。または、雲取山・雲取山荘からの下山利用も想定される。

日原林道を八丁橋を越えて雲取山方面に進んだ林道脇からバリエーションルートで登ることも可能なようだ。地図上では、大ブナ尾根、赤石尾根と書かれた2つの尾根から登れるように見える。
  • 天祖山のコース
  • 登り
  • 表参道
  • 八丁橋近くにある登山口から、天祖山を南から北に向かって目指すコース。
    途中に大日神社が鎮座し、山頂近くには信者が登拝時に利用していると思われる会所もある。
  • 下り
  • タワ尾根(裏参道)
  • 一石山神社から一石山、金袋山、篶坂ノ丸、ウトウノ頭とタワ尾根上を登り、長沢背稜に出てからはUの字の動きをとり、天祖山を北から南に向かって登頂する。
    山と高原地図では破線表示される難コースで、遭難しやすく滑落死亡事故も起きている。
    天祖山よりも、酉谷山を目指す登山者の方が多いかもしれない。天祖山を想定すると、おそらく下山利用者の方が多いだろう。
地図を持たない登山は危険ですので、必ず地図を持って登りましょう!

天祖山の登山計画

今回の登山は、本格的登山シーズンに向けた筋トレ&基礎体力作り。また、去年から行っている奥多摩急登チャレンジ登山の1つで、天祖山の八丁橋から登る表参道は、奥多摩三大急登に勝るとも劣らない急登という情報を聞いたので、その検証を兼ねた登山でもある。

今回も筋トレが目的のため、ストックは持参しなかった。人も少なく遭難が多い山ということだったので、山と高原地図以外に、国土地理院2万5千分の1地形図も持参。

今回は時間がタイトになる可能性を考慮して、奥多摩駅発-東日原行き6時27分のバスに乗ることを計画。しかし、地元の最寄駅からだと始発に乗っても間に合わないため、タクシーで吉祥寺まで移動して、吉祥寺からの始発電車で奥多摩駅に向かうことにした。

天祖山コースレポート

東日原 ~ 天祖山登山口

【7:05】東日原に到着。
東日原から林道を歩き八丁橋の天祖山登山口を目指す。

ある程度予想はしていたが、東日原から八丁橋方面へ向かう登山者は自分だけ。林道を歩く登山者のほぼ全員が、稲村岩尾根から鷹ノ巣山へと向かっていった。
さて、登山口までの林道歩きだが、日原鍾乳洞との分岐である日原林道分岐まではほぼ平坦。その後は緩やかに標高を上げていくが、東日原から八丁橋までの標高差は約60mなので、体感的にはほとんど傾斜を感じない。
【7:51】天祖山登山口に到着。
東日原から登山口までの間に水場はないので、水は東日原で調達しておく必要がある。 登山口から見た登山道は、初っ端から相当な急登。急登に備え登山口で準備を整える。

天祖山登山口 ~ 尾根筋

【8:07】天祖山登山口を出発。
出発直後から、踵を地面につけられないほど傾斜のある登山道を登っていく。5分ほど登ると、石の積まれた九十九折の登山道が出現。この沢地形をジグザグに伸びる石垣のような登山道は、天祖山の象徴的なシーン。信者さんがせっせと作ったのでしょうか?これだけの石を積んだり並べたりするのは結構大変だったと思う。でも、見た目は芸術的だけど、実際登るとかなりしんどい道。
このまま石の組まれた九十九折の道を進むのかと思いきや、大きく左右に振られ崖際を歩くなどする。天祖山はこの左右への振りが大きいので、標高差以上に歩かされ、これが体力を徐々に奪っていく。しかも季節柄、落ち葉が多く足元がゆるいため登りにくいし。
【8:30】九十九折の道を登りつつ、左右に大きく振られること数回、ようやく沢地形を登りきり尾根に出る。
登り始めて30分弱ほどだが、疲れたのでココで中休憩。ココまでが第一ステージ。

尾根筋 ~ 大日神社

10分ほど休憩した後に出発。尾根に出たのでココから先暫くは緩やかな傾斜の道。しかし、すぐ先で倒木が登山道を遮っていたことで、間違って東京都水道局の水源林巡視道に進んでしまうミスを犯す。

ところで、このあたりには水場があるはず。尾根に出てからは水場を注意深く探していたが見つけられず。山と高原地図には「水量乏しく枯れることあり」と書かれているが、事前の調査ではパイプから水が出ている写真を見ていたので、枯れているにしても水場のパイプはあるはず。山頂で出会った登山者も水場は見かけなかったと言っていた。

後に他登山者のレポートと自分の写真を照らし合わせ、水場らしき場所を特定。先程道を間違った水源林巡視道の分岐を過ぎてすぐの場所で、おそらく水場のパイプごと落ち葉に埋もれていたと思われる。もともと枯れる可能性のある水場なので、この水場はアテにして登らないほうが良さそうだ。
分岐からロボット雨量計のある標高1,355mを目指す。落ち葉で足場のゆるい道を登ること約30分で、ロボット雨量計に到着。この区間も地味ながらしんどかった・・。
【9:44】標高1,355mのロボット雨量計に到着。
ココで中休憩。なお、この少し先に荒廃した大日神社があるので、そこまで行ってから休憩しても良いかと。
大日神社は事前情報通りの荒廃ぶり。そのうち建物自体が雪か地震で潰れてしまうだろう。なお他登山者のブログで、大日神社内部にはかつてアルバムや生活用品など当時をうかがえる品々が散乱していたようだが、すでにそのような品々は関係者によって回収されたのか、見当たらなかった。ココまでが第二ステージ。

大日神社 ~ 天祖山の山頂

次なる中間目的地は国土地理院の地図に示されている、標高1,459mのピーク。登山道は大日神社の裏に続いており、急登ではないが、それなりに傾斜のある上り道。比較的細い尾根だが、要所で尾根の広がる場所もあり、そのような場所は道がわかりにくい箇所もある。しかし基本、大日神社以降は尾根を上へ上へと進めば道迷いすることはない。

GPSの標高・時間と写真の時間を照らし合わせると、おそらくココが標高1,459mのピーク。本日下山2組目のソロ登山者とすれ違う。ここまでが第三ステージ。

後半も引き続き地味な上り道が続く。標高も1,500mを越えると、枯れ木の隙間から周辺の山々が見えるようになり、ちょっとした景色の変化を糧にひたすら登る。

天祖山の山頂 ~ 水松山

【12:30】天祖山の山頂を出発。
後からやってきた登山者は自分より早く出発していったので、その登山者の後を追うような形で進む。

タワ尾根から下山するにはまず、長沢背稜に出なければならない。目指す中間目的地は、長沢背稜にある水松山(あららぎやま)。なお、天祖山から水松山まで、1度下ってから登り返す必要がある。その鞍部にあるのが、梯子坂ノクビレ。事前リサーチの情報で、この登り返しはそれほどツラくないとのこと。

山と高原地図にはナギ谷ノ頭という小ピークを過ぎたあたりで「迷」マークが付いている。注意して歩けば問題ないが、尾根が広がり道がわかりにくい場所もあるので、ちょいと注意して歩いた。

【12:50】梯子坂ノクビレに到着。
梯子坂ノクビレには、御供所(ごくうしょ)周辺通行禁止のお知らせ看板が設置され、御供所方面の道標も切り取られている。看板には「当分の間は通行禁止」とあるが、後に調べると登山道の崩落は1991年なので、26年前の出来事。先ほど道を間違え進んでしまった孫惣谷(まぐそだに)経由で八丁橋まで戻れるルートのようだ。このコースが通れれば、タワ尾根まで大回りしなくてすむんだけどね。

梯子坂ノクビレから長沢背稜まで、登り返しの道。途中、通過する2つのピークは、いずれもピーク上を通過せず、右側に巻きながら進む。なお、国土地理院の地図では1つ目のピークはピーク上を通過しており、これが少し混乱する原因となった。
上の写真の2つ目のピーク手前。尾根上を進むか、右の巻き道を行くかで悩む。"通過する2つのピークはいずれも右側に巻く"ということを把握していれば、ココは迷わず右だが、国土地理院の地図では、ピークを巻くのは2つ目のみ。「さきほどピークを巻いたので、ココは尾根上を進むのではないか?」という疑問が沸いた。本日2度目の道迷いは避けたかったので、GPSで位置確認してから右の巻き道が正しいとわかったので、巻き道を進む。ちなみに、先行していた登山者は、左に進んでしまったらしい。
長沢背稜のコース上に、水松山(あららぎやま)への道標や案内板はなく、山頂に山名看板も見当たらなかった。後にGPSログを確認したらピークから少しずれていたので、ひょっとしたら山頂写真の奥に本当の山頂があったのかも。

水松山 ~ ウトウノ頭

長沢背稜上にあるタワ尾根ノ頭(滝谷ノ峰)を起点に、方角を変えタワ尾根に入る。厳密に言えば、コースはタワ尾根ノ頭山頂を巻いている。道標ぐらいはあるだろうと思っていたが、まさかの案内板・道標なし。タワ尾根ノ頭付近でコースはV字型にうねる特徴的な形をしているので、気付きやすいとはいえ、道標もないとは・・。

タワ尾根の入口には「行くな!」という意味なのか、トラロープが張られている。ウトウノ頭付近で2016年4月に62歳ソロ女性の滑落死亡事故が起きているので、安易に登山者が入り込まないようにしているのかもしれない。歩いたのでわかるが、確かにタワ尾根は事前準備なしに入るとかなり危ない。

一見すると「ココ登るの?」と思うほど、荒れた感じがあってコースっぽくない。ピンクリボンの目印があるため、コース上であることはわかるが、目印がなければココでかなりの人が迷うだろう。

岩の上、尾根に出たあとも、一部岩むき出しの細い尾根を進む。
ウトウノ頭手前で道を見失う。近くにピンクリボンはあるがその先の道は見当たらず。目の前のピークがウトウノ頭であることは間違いないので、コースを気にせずピークを目指して登ることにした。

【14:48】ウトウノ頭に到着。
ウトウの絵が印象的な山頂だが、展望はなく山頂スペースも狭い。時間に余裕はないので、休憩なしで先を急ぐ。

ウトウノ頭以降は尾根も広がり、滑落するような場所はなくなる。次なる中間目的地は、篶坂ノ丸(すずさかのまる)。しかし、山名看板を見落とし通り過ぎてしまったようだ。篶坂ノ丸は緩やかなピークなので、下山だと認識するのは難しい。
金袋山手前で、天祖山で出会った登山者が後ろから追いついてきた。先発した筈なのにおかしいと思って尋ねると、長沢背稜の手前で道を間違ったそうで、そこで追い抜いたようだ。
【15:39】金袋山に通過。
金袋山の看板は木からはみ出していたので、下山でも気付くことができた。ピーク感は殆どない。
ミズナラの巨木周辺だが、尾根が広がり落ち葉が降り積もっているので、ほとんど道はわからない。ココ要注意ポイント!コンパスやGPS必須です。
【16:03】ミズナラの巨木に到着。
当初勘違いで、人形山で道が別れていると思っていたので、人形山のピークを探すも見付からず。正しくはミズナラの巨木で道が別れている。ミズナラの巨木は近くに看板が設置されているので、見付けやすい。ミズナラの巨木の側に立っても落ち葉で道は消失しているため、方角を頼りに進むと目印発見。
【16:15】一石山通過。
一石山は気付かず通過してしまったが、後に確認したら写真が見付かった。一石山以降は一気に急降下して、標高を下げていく。
【16:48】一石山神社登山口に到着。
後半道迷いを警戒して歩いていたので、ホッと一安心。タワ尾根入ってからは精神的に疲れた。
【17:13】東日原バス停に到着。
なんとか、17時22分発の奥多摩駅行きバスに間に合いました。出発1時間早く出てほんと良かった。1本遅いバスだと18時過ぎていたし。

天祖山コースタイム

予定 実際 場所
06:57 07:05 東日原バス停
08:07 07:51~08:07 天祖山登山口
- 09:57 大日神社
- 11:29 会所
10:52~11:52 11:38~12:30 天祖山の山頂
13:07 13:31 水松山
- 13:59 タワ尾根の頭
- 14:48 ウトウノ頭
- 15:39 金袋山
- 16:03 ミズナラの巨木
- 16:15 一石山
16:37 16:48 一石山神社登山口
17:07 17:13 東日原バス停

天祖山の難易度

難易度

22/30

総合難易度
必要体力 体力難易度4
コース距離 コース距離難易度5
所要時間 所要時間難易度4
危険度 危険度難易度4

登山難易度 登山難易度4
小屋・水場 小屋・水場難易度4
アクセス アクセス難易度1

総合難易度 総合難易度7
※ 36,414歩(東日原バス停~東日原バス停までの歩数)
評価基準の詳細はこちら。
天祖山表参道の必要体力・危険度

他奥多摩の急登もそうだったが、登り始めが最も急傾斜。特に序盤で、九十九折というより左右に大きく振られる箇所が多く、標高差以上に歩かされた気がする。それと、殆ど人も歩かない道なので、道が踏み固められておらず、登りにくい。さらに、落ち葉で足元はゆるく道もわかりづらくと、悪状況に拍車をかけている。
大日神社以降は、道も広がり尾根を直登に上へ上へと進む。大日神社までくると傾斜も緩やかになり、左右に振られることもなくなるが、地味にキツイ登りに加え、変わらない景色が延々と続くので、これはこれでツライ。 後半は体力切れで倒れ込む場面もあり、体力的には相当厳しい。

天祖山の表参道だけで言えば、道迷いの心配はそれほどない。と言いつつも、自分は思いっきり道を間違ってしまったが・・。

天祖山にたどり着けば、そこから長沢背稜の水松山までのアップダウンはそれほど激しくはない。ただし、天祖山までで体力を奪われ、天祖山の山頂を踏んだことで、気持ちも途切れているので、そういった意味でキツく感じるかもしれない。
タワ尾根の危険度・水場

まず、大京谷ノ峰までは、コース上を貨物用レールが並行しており難所はない。大京谷ノ峰からウトウノ頭までは、道迷い、滑落などに注意が必要。ウトウノ頭以降滑落の心配はなくなるが、反面道迷いの危険性が高まる。要所で立ち止まって地図で確認するなど、小さな道迷いは頻発する。特に要注意なのはミズナラの巨木周辺。落ち葉のせいもあって、広い尾根にも関わらず完全に道が消失していた。

天祖山表参道を含め、コース上に水場は一切ないので、水の量には十分配慮が必要。自分は2.8L持参して、ミズナラの巨木あたりで水がなくなった。
時間
今回このコースを1日で歩いたが、日が短い時期に歩くのはかなり危険。脚に自身がなければ酉谷山避難小屋に一泊するのが無難。タクシー使って奥多摩駅の始発バスに間に合わせたことで、1時間早く出発しておいてほんと良かった。でないと下山は18時越えてたし。
不人気

結局、途中で出会った登山者は、天祖山の表参道下山利用で2組3名、同じコースを歩いた1名の合計3組4名のみ。晴れた4月の日曜日でこれだけ人が少ないとなると、信者を除けば年間100人も登っていないと思われる。まさに不人気の山。

そして、不人気要因の1つでもあるが、天祖山の表参道・タワ尾根ともに、あっぱれなほど展望はないので、展望を期待してはいけない。巨木が多いので、そっち方面を楽しんで登ったほうが良い。
総括
天祖山の表参道は体力、後半のタワ尾根は道迷いと、下山したときはかなり疲労困憊。かなり高い難易度の山なので、天祖山、タワ尾根ともに、安易に足を踏み入れないほうが良い。特にタワ尾根は道迷いの危険度が高いので要注意。これまで登った奥多摩山域の中でも1、2を争う難易度のコースだった。
ご質問・感想などコメント歓迎します。
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