小法師岳

小法師岳登山

小法師岳

Koboushidake

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[小法師岳登山レポ]
六林班峠から逆走する袈裟丸連峰最高峰&小法師岳登山 足尾登山その3

2016年5月6日(金)天候:晴れのちくもり
庚申山荘 ~ 袈裟丸連峰最高峰 ~ 小法師岳 ~ 巣神山 ~ 原向
  • 袈裟丸連峰(けさまるれんぽう)
  • 袈裟丸連峰とは前袈裟丸山・後袈裟丸山・中袈裟丸山・奥袈裟丸山・法師岳の総称。最高地点は、標高は1,961m。
  • 小法師岳(こぼうしだけ)
  • 栃木県日光市足尾町にある1,593mの山。
  • 巣神山(すがみやま)
  • 栃木県日光市足尾町にある1,226mの山。

小法師岳のコース

巣神山を経由して、小法師岳に登るのが一般的なコース。巣神山までであれば、国土地理院の地図にコースとして掲載されている。それ以外では、自分が歩いたコースのように、袈裟丸連峰の尾根から下山途中に登頂されている。

小法師岳のコースは山と高原地図にはコースとして紹介されていないため、山と高原地図 + 国土地理院の地図も持参が必要。
山と高原地図
足尾山塊は、山と高原地図の「赤城・皇海・筑波」です。ただし、小法師岳のコースは山と高原地図にはコースとして掲載されていません。

小法師岳の登山計画

プラン
昨年のシルバーウィークに袈裟丸山から足尾山塊に抜けようとして敗退したため、今回はそのリベンジ登山。昨年敗退したコースを逆走する形で、六林班峠から袈裟丸連峰最高峰を目指し、小法師尾根から小法師岳・巣神山を経由して下山を予定。
コース
小法師尾根の小法師岳と巣神山は山と高原地図には載っていないバリエーションルートとなる。バリエーションルートとは、一般のルートとは異なる、より困難な道のこと。ただしココでは、山と高原地図に載っていない道という程度の意味で使っているので、困難かどうかは歩いてみないとわからない。

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小法師岳コースレポート

庚申山荘 ~ 六林班峠

【04:20】庚申山荘を出発。
本日はバリエーションルートを歩くため、時間に余裕を持って出発。この時期だとこの時間でも、ヘッドランプを使わずに歩ける。昨日歩いた六林班峠への道を登る。

途中で何度も沢と交錯するため、水はペットボトル500ml一本分だけで、残りは空。最後の水場で水を満タンにする。
【06:24】六林班峠に到着。
昨日下山で利用した際も感じたが、斜面をトラバースしているだけで、あまり標高が上がっているイメージが沸かない道だった。

六林班峠 ~ 男山

【06:33】六林班峠を出発。
ココから先は藪漕ぎに備え、レインコートに手袋を装着してゆく。なお、袈裟丸山へ向かう道には、道標すら出ていない。最初の中間目的地は男山。

出発直後こそ踏み跡はあるが、すぐに消失。男山まで道は殆どないに等しく、道を探して進んでいたら一生進めない。

正規ルートに戻ったのも束の間、再び道は消失。そして目の前に小ピークが出現。笹藪がなければなんてことのない小ピークだが、かなり笹が深い。必死だったので、この斜面を登る際の写真は残っていなかったが、傾斜がある上に笹藪が深いと前が全く見えない。倒木に躓いて転倒したりとこのピークを越えるのには相当苦労した。

ピークを越えたあとは、男山まで細い尾根が続く。尾根の上やや右側に正規ルートを発見。正規ルートに出てから道を遮る笹薮も少なくなり歩きやすい。
【07:01】男山に到着。
六林班峠から男山まで30分ほどで到着しているが、この区間は相当厄介だった。ちなみに山名標識は下に落ちていたので、自分が木の間に挟んでおいた。あの感じだと、いつか山名標識は失くなるかも。

男山 ~ 法師岳

次なる中間目的地は法師岳。男山から下ると見覚えのある風景。そう!ココが前回撤退した最終地点。男山から下ってココから目の前のピークを登る。

しかしこのピークは、道が殆どわからない樹林帯で、かなり厄介。笹藪なら掻き分けて進めるが、樹林帯はそうはいかない。また平坦ならともかく、斜面の道なき道を登るのって結構大変。前回の記憶で、最後のピンクリボンは西側(右)にあった筈なので西側から道を探りながら登る。

西側に道があった筈だが、見付けられず。仕方ないので、道なき道の斜面を強引に登る。狭すぎて物理的に通れない場所や、足場がなく登れないような場所もあるので、進める場所を探すだけでも相当大変。前回、緊急ビバークした地点などもあった筈だが、見付けられなかった。後にGPSのルートで確認すると、意識しすぎて西側に行き過ぎていたようだ..。

ピークを登り切った後は、法師岳まで笹薮も低く、道もはっきりとした平和な道に。
【7:45】法師岳に到着。
男山から法師岳手前にあるピークを越えるまでは大変だったが、越えてしまえば後は楽。

法師岳 ~ 袈裟丸連峰最高峰

法師岳から袈裟丸連峰最高峰までの道に笹薮はないが、尾根が広がり踏み跡も散見しており、登山道がわかりにくい。道を見つけようとすると返って時間がかかるので、方角を頼りに進む。目印もあることはあるが、数は少ない。

この区間の途中で、東側の崖ギリギリをコースが通っているので、法師岳以降は東の崖から離れすぎない位置を歩くと道に迷いにくい。逆に西方向に進んでしまうと迷うので要注意。
袈裟丸連峰最高峰の周辺はシャクナゲに覆われ道が消失している。かなり道がわかりにくいので要注意。最後はシャクナゲを掻き分けるようにして進むと、袈裟丸連峰最高峰に到達する。
【8:40】袈裟丸連峰最高峰に到着。
ココで本日最初で最後の登山者と遭遇。まさかこのコースで登山者と遭遇するとは思わなかったのでなんか嬉しい。少し会話したが、袈裟丸山から足尾山塊に抜けるようだ。

袈裟丸連峰最高峰 ~ 小法師尾根分岐

【8:43】袈裟丸連峰最高峰を出発。
小法師尾根分岐まで一緒に歩こうかと思い、同じタイミングで出発するも、一人で歩きたかったのか、すぐに撒かれてしまった。この袈裟連峰最高峰を急いで出発した時に、地図とコンパスを入れた袋のチャックを閉め忘れて出発してしまう。
小法師尾根分岐までの中間地点で、地図入れのチャックが開いており、コンパスを紛失したことに気付く。道なき道を歩いてきたため、さすがに戻って探すのは不可能。前回も袈裟丸連峰最高峰近くでコンパスを落としているので、懲りずに今回2度目。精神的ショックはデカかったが、地図は落ちずに残っていたことは幸い。GPSもあるので、いざとなったら携帯アプリのコンパスを代替にすることで、進むことを決断。

【9:19】小法師尾根分岐に到着。
前回もそうだったが、この道標は反対方向からくると見付けるのは至難。

小法師尾根分岐から小法師尾根に入るのに少し苦戦する。木がジャマして進むべき尾根が見えない。方角はあっている筈だが、この道を下ることに一抹の不安を感じる。間違って沢(谷)に下りてしまうと滑落してしまうし。勇気を出して、道なき道を強引に下る。進みやすい場所を模索しつつ進むと、踏み跡のある道を発見!どうやら本来の道より少し左(北側)を歩いていたようだ。暫く進むと黄色いテープの目印もあり、ホッと一安心。

小法師尾根分岐 ~ 小法師岳

最も不安だった小法師尾根の道の状態だが、想像以上に良い。道ははっきりしているし、踏み跡も明瞭で歩きやすい。たまにテープの目印もあるほど。要所で笹薮に覆われた道もあるが、笹薮の高さも腰ぐらいで漕ぎやすい上、尾根の形がはっきりとしているので、道迷いの心配もない。
1時間ほど進んだところで目の前に立ちはだかる大ピーク。最初は希望的観測からココが小法師岳かと思い、必死に登る。

【10:30】1,690mピーク山頂に到着。
てっきりココが小法師岳だと思い登ったが、山頂には1,690mとだけ書かれている。地図で調べると、小法師岳への中間地点よりさらに手前に1,690mのピークが記されている。コレには愕然。緊張と不安で、地図の距離と自分の歩くスピード、それに時間間隔も完全に失っていた。そもそも、小法師尾根分岐から1時間で着くわけないし。

直感的に、このペースはヤバイかも..という不安がよぎる。休憩も早々に切り上げて先を急ぐことにした。なお、ココから先は冷静にきちんと地図読みしながら進む。地図で確認すると、この先すぐに横に長い大ピークが立ちはだかり、その後平坦に近い道が続き、さらに中規模のピークを越えた先に小法師岳がある。
大きめのピークを登り切って暫く進むと、尾根の広がった場所があり、一面胸ぐらいまでの笹薮に覆われている。ココで、小法師岳に伸びる尾根と、庚申川に落ち込む尾根に分岐している。庚申川に落ち込む尾根に入り込むとヤバいので地図とコンパス、GPSで念入りに確認しながら進む。このあたりは少し道がわかりづらかったので要注意。有り難いことに笹薮が広がった場所にもきちんと目印が設置されていた。
その後は、中ピークを越えると小法師岳の上りとなる。なお、小法師岳は東西横に長く、山頂標識や三角点は、やや東側に設置されている。

小法師岳 ~ 巣神山

【11:57】小法師岳を出発。
次なる目的地は巣神山。国土地理院の地図によれば、小法師岳と巣神山の途中まで登山道が描かれている。懸念点は、これまでのわかりやすい尾根歩きに比べて、尾根が広がり道が蛇行している点。

まずは、小法師岳のすぐ先にある、1,526mのピークを巻いてそこから南東に進路を変更する。
小法師岳以降の道を心配していたが、蓋を開けてみたら、地図なしでも歩けるほどコースが明瞭で、道に迷う要素は殆どなかった。

【13:05】巣神山に到着。
巣神山はピークになっておらず、山名標識がなければ100%わからない。しかも山名標識は道横の石に、外側を向いて設置されているため、意識して歩いていないとスルーしてしまうだろう。

時間はまだ13時なので、ココまでくればゆっくり歩いても15時には下山が可能。張り詰めていた糸が切れ、一気に開放された気分。

巣神山 ~ 原向駅

巣神山以降、標高が下がったこともあり、登山道に山桜やツツジが咲き乱れていた。このあたりの標高はこの時期が春のようで。
ツツジに見とれていた訳ではないが、ココにきて道間違いが発生。巣神山以降、道もはっきりしていたので、完全に油断していた。これまでずーと尾根伝いに下ってきたが、登山口近くで尾根から沢へ下りる地点がある。その地点を見落としていたため尾根を直進してしまう。踏み跡が続いていたので、ココで道を間違う人は多そう。でも地図を先読みしていれば防げた筈なので反省。
沢へ下りてからは薄暗い道となる。登山口までトピックスのない普通の道。
【15:21】原向駅に到着。
15時22分の電車に乗車。それなりに本数はあるだろうと思い、特に電車の時間を調べていなかったが、次の電車は16時43分だったようで。15時22分の電車逃したら、こんな何もない駅で、1時間30分も待つところだった。危なかった..。

関連レポート

小法師岳コースタイム

予定 実際 場所
04:30 04:20 庚申山荘
05:05 - 天下の見晴
07:15 06:24 六林班峠
- 07:01 男山
- 07:45 法師岳
10:30 08:40~08:43 袈裟丸連峰最高峰
- 09:19 小法師尾根分岐
- 10:30 1,690mピーク
13:30 11:46~11:57 小法師岳
15:30 13:05 巣神山
17:30 14:44 登山口
18:00 15:21 原向駅
小法師尾根標高グラフ 小法師尾根標高グラフ

小法師岳の難易度

難易度

22/30

総合難易度
必要体力 体力難易度4
コース距離 コース距離難易度5
所要時間 所要時間難易度4
危険度 危険度難易度5

登山難易度 登山難易度9
小屋・水場 小屋・水場難易度2
アクセス アクセス難易度2

総合難易度 総合難易度7

登山DATE

  • 歩行距離:24.78km
  • 登山歩数:38,814歩
  • 高度上昇:0,936m
  • 高度下降:1,853m
  • 出発高度:1,593m
  • 最高高度:1,961m
  • 最低高度:0,577m

  • 標高の差:1,384m
  • 活動時間:10:47
  • 休憩時間:00:14

  • 合計時間:11:01
危険度・水場

前回敗退した法師岳以降の道だが、あの時引き返したのは正しい判断だった。当時の目印を頼りに歩く程度の技術や装備では、男山まで辿りつけたとしても、その先進めなかっただろう。六林班峠から法師岳手前のピークまで目印は殆どない笹薮が生い茂る道のため、地図読みやルートファイティングの技術が必須。特に六林班峠から男山までの道はヒドく、もはや登山道の体を成していない。山と高原地図でも難路の破線ルートで描かれているが、コース自体を地図から消した方が良いレベル。藪漕ぎの練習をしたいなら、良いコースだと思うけど。

また、法師岳~袈裟丸連峰最高峰の道も、わかりにくい。笹薮はないので、目印の数を増やした方が良い。それと山頂直前のシャクナゲに覆われた道もなんとかならんかね..。わかりにくいし、シャクナゲの枝で腕痛いし。

袈裟丸山の尾根とは対照的に、バリエーションルートであった小法師尾根は、想定以上に歩きやすかった。山と高原地図には掲載されていないが、確実に登山道は存在している。一部笹薮に覆われてわかりにくい場所はあるので、地図読みやルートファイティングの技術は必要だが、袈裟丸連峰の尾根に比べれば断然歩きやすい。目印もたまに設置されているし。
小法師岳以降はさらに道がわかりやすくなるので、登山口から巣神山を経由して小法師岳まで登るなら、特別な技術がなくても平気。

水場は六林班峠以前を除けば、巣神山手前の水場のみ。ただし、水の量は少なく枯れる可能性がある点と、終盤の水場なので利用価値としては低い。
必要体力・距離

全体を通して、息切れするような激しい登りはなかったが、標高グラフがギザギザな点からも分かる通り、小・中規模のアップダウンが連続する。普段からアップダウンのある縦走に慣れていないと、このルートは厳しい。

それと、やはり小法師尾根が長大なため距離が長い。小法師尾根分岐から下山まで、下りにも関わらず約6時間も費やしており、庚申山荘から袈裟丸連峰も含めると合計11時間。小法師尾根を歩くなら、余裕のある十分な時間設定と、長い時間歩ける体力が必要となる。
総括
前回のリベンジも果たせて、無事帰ってこれたのは良かったが、めちゃくちゃ疲れた..。当分、足尾山塊はお腹いっぱいって感じです。
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